お陰さまで先日めでたくお気に入り件数が4000件となりました!
ここのところお仕事とかアレコレでバタバタしてしまい投稿が延び延びになってしまいすみません。
さて、今回のお話は本編のハーレム√時空です。
娘ができた後の颯太君のとあるお仕事のお話です。
彼のもとに舞い込んだとある〝お仕事〟のお話です。
それではどうぞ、お楽しみください!
「――絶対に嫌です!!」
二階の寝室から歩美を抱きながら降りて来たあたしはリビングから聞こえる声に首を傾げながら扉を開く。
見ればソファーに座る楯無さんに対してテーブルを挟んで反対側、カーペットの敷かれた床に胡坐をかいて座る颯太が不機嫌そうにそっぽを向いていた。
「嫌って……子どもじゃないんだから……」
そんな颯太に対して楯無さんはため息をつく。
「何と言われようが嫌なもんは嫌なんです。だいたい国連も国連だ。なんでこの仕事を俺に振るんだよ……」
「いや、それは私も思うけど……」
「何の話だ?」
同じように再びため息をつく二人に寝付いている歩美をベビーベッドに寝かせながらあたしが訊くと、二人は顔を上げる。
「あぁ、クリス……まあなんて言うか、お上からのお仕事が降りて来たんだが……」
「お上?おっさんからか?」
「いや、もっと上だ」
颯太は人差し指で天井を指さしながら言う。
「なんでそんな嫌そうなんだよ?」
「……………」
「……国連から今朝お達しが来てね」
あたしの問いにちらりと楯無さんへ視線を向けると、視線を受けた楯無さんが頷いて話し始める。
「八年前、女性権利団体が力を失う前、とある女性権利団体の下っ端が身柄を拘束されてね。命令でいろいろ動いてた人間で、それなりに情報も持ってたから女性権利団体が健在のころからあれこれ情報を引き出していたのよ。で、二年前、あらかた彼女の持ってた情報も聞きつくしたし、女性権利団体に関するあれこれの事後処理も済んでたから、監視付きで解放されてたのよ。なのに……」
「解放から一年後、姿を消したんだとよ」
「姿を消した?」
「ああ。国連の監視の目を欺いて、だ」
颯太は肩を竦めながら頷く。
「その女、一年間ず~っと同じルーティーンで生活していた。監視する側もず~っとそれを見続け、慢心してたんだろうな。まんまと裏をかかれて逃亡されたってわけだ」
「杜撰だな」
あたしは呆れながら颯太の隣に座る。
「でも、居なくなってから一年も経ってなんで今更そいつの話が?」
「いろいろ動きがあったのよ」
背もたれに身体を預け、深く座り直した楯無さんが言う。
「『幸福の会』って知ってる?」
「幸福……?」
「女性権利団体の代表が〝死んで〟からあれこれ女性権利団体がらみの会社での不正がアレコレ暴かれて、相次いでそう言う会社が潰れていった。『幸福の会』ってのはその時に倒産の煽りを受けて職を失った奴らの集まりだ……表向きはな」
「表向き?」
「その実態は女性権利団体の傘の下で甘い汁啜ってたやつらや、団体の幹部連中が立ち上げた〝第二の女性権利団体〟……まあいまはそれほど力持ってないから、精々〝残りカス〟ってところだな」
「そいつらが何の関係が?」
「女性権利団体で甘い汁啜ってたやつらの集まりだぞ?昔の栄華に縋って、それを奪った奴を、それに協力した裏切者を許すと思うか?」
「っ!?」
颯太の言葉にあたしは息を飲む。
「そんなわけで、最近『幸福の会』に動きが見られるから、ただ黙って見過ごすわけにもいかないしね」
「ケッ!裏の思惑が見え見えなんだよ」
「裏の思惑?」
「〝その女〟を囮にして『幸福の会』を――女性権利団体の息の根を完全に止める。残党狩りってわけだな。そこに〝女〟の生死は問われない。むしろ殺されてくれた方が罪に問いやすいんじゃないかねぇ」
「そんな……」
皮肉気味に笑う颯太の言葉にあたしは言葉を失う。
「ま、そんな胸糞な作戦に参加したくない。やるんなら俺抜きでやって下さい。――お上にそう伝えてくださいよ」
「あっ……」
そう言い残し、あたしや楯無さんが止める間もなく颯太はリビングを後にした。
「ん~……やっぱり難しかったかぁ……」
「なぁ、なんであいつここまでこの仕事嫌がってんだ?」
ため息をつきながら頭を掻く楯無さんにあたしは訊く。
「悪いけど、彼が口を閉ざしている以上、私が勝手にぺらぺら喋るのはフェアじゃないわ。気になるなら自分で聞いてちょうだい」
「……なあこの仕事断ったら、あいつにとって何か不利益があったりするか?例えばあいつの自由が制限されたりとか」
「あぁ、そう言うのはナイナイ。この任務はあくまでも依頼だし、断ることは可能。断ったからってペナルティも無いわ」
顔の前で手を振りながらそう言った楯無さんは「ただ……」と言葉を区切り
「ホントにいいのかしらねぇ……彼にとってもこの件は無視できるものじゃないと思うんだけど……」
「…………」
その言葉にあたしは少し考え
「なあ、ちょっと相談があんだけどよ……」
○
寝室に入った時、室内はベッドわきの電気スタンドだけが灯され薄暗かった。
ベッドに寝転がり、電気スタンドの明りで背中を丸めながら颯太は漫画を読んでいた。
「なんだ?俺は今『名探偵コナン』を一巻から一気読みしたい気分なんだ。最新刊まで読み切るまで俺は仕事しないぞ」
「何馬鹿なこと言ってんだよ」
呆れてため息をつきながら隣に腰掛ける。
「なあさっきの仕事、受けなくていいのか?」
「……楯無さんから何聞いた?」
「別に何も聞いちゃいないさ。ただ、なんかお前の元気がないように見えてさ。気にかかるならやればいいのに」
「別に俺は……」
顔を漫画に向けたままブツブツと呟く颯太。
「やらずに後悔するくらいならやってみればいいだろ?」
「……でもぉ……」
「デモもストもないんだよ。あたしも手伝ってやるからよ」
「手伝うって、歩美のことどうすんだよ?」
「楯無さんに頼んである。あたしがお前の仕事手伝う間は三人で面倒見てくれるってよ」
「…………」
「お前が今回の件にどういう経緯があんのか知らないけど、どんな結末になってもあたしが着いててやるからよ」
「クリス……」
あたしの言葉に颯太が呟き
「………はぁ、わかったよ。やるよ」
「そう来なくっちゃな」
ため息をつきながら漫画を閉じた颯太にあたしはニッと笑みを向けた。
○
と言うわけで、あたしたちは例の女が行方を眩ませてから偽名を使って働いていた店をまずは訪ねてみることにした。
そこは個人経営のカフェだった。店主の中年の親父は煙草をけぶらせながらあたしたちの話を聞くが
「ちょっと前なら覚えちゃいるが、一年前だとちとわからねぇ」
「髪の長い女なんだが……」
言いながらハヤテが胸ポケットから取り出した写真を見せる。
「髪の長い女だって?ここには従業員にも客にもたくさんいるからねぇ。悪いなぁ、他をあたってくれ」
「そう、ですか……」
「ありがとうございました」
あたしたちは頷き、揃ってお辞儀をし、踵を返す。が――
「なぁ……」
「「???」」
店主に呼び止められ、振り返る。
店主は加えていた煙草を灰皿に押し付けて消す。
「――アンタ、あの娘のなんなのさ?」
○
その後あのカフェの店主が教えてくれた情報をもとにサンジェルマン達が裏の情報網を使って調べてくれた。
「あの店主のくれた情報とサンジェルマン達の調べてきた情報を合わせれば、恐らくここだ」
「ここって……」
そこは都心の歓楽街、そのさらに奥の裏側。ネオン煌めく怪しい雰囲気の通りで――
「この辺りは少々特殊な店が並ぶ場所でな。金さえ出せばメニューにはないサービスをしてくれる水商売のお店だのなんだのがチラホラ紛れてる」
「何だってそんなものがまかり通ってんだよ?」
「そんなもん簡単だ。それなりの地位にいるやつの御用達のお店なんだよ」
「最低の野郎どもだな」
「野郎ばかりじゃないさ。そっち系の趣味の女性にもここらを利用してるやつはいるらしいぜ?」
「聞きたかないねぇそんな話」
舌打ちしながらあたしは言い
「そんだけ知ってるってことは……まさか、お前もここ使ったことあるなんて言わねぇよな?」
「なんでやねん」
「あ、おい!」
鼻で笑いながら歩き始めた颯太を慌てて追いかける。
そして、ハヤテは立ち並ぶピンクな店の一つに入って行き――
「この娘なら……」
一人の風俗嬢を呼び出し店の裏で話していた。
最初は彼女同伴で来た好事家と思われたみたいだが、よくよく話をすれば冷めた目でやさぐれた様子でその風俗嬢は写真を見ながらあたしたちに視線を向ける。
「半年前に辞めたはずさ」
「辞めた?」
「アタイたちにゃ、挨拶なしさ」
「なんで辞めたか、とかわかりますか?」
「マリのお客を盗ったってさ、そりゃもう大騒ぎよ」
「マリさん?」
「うちのお店の人気頭よ」
風俗嬢はハヤテに写真を返しながら答える。
「ま、ここらには脛に傷のある人が多いけど、そんな中じゃ仁義を欠いちゃいられやしないよ」
「なるほど……」
「ありがとうございました」
二人でお辞儀をし、踵を返したところで
「なぁ」
「「???」」
呼び止められたあたしたちは振り返る。
「――アンタ、あの娘のなんなのさ?」
○
その後、その風俗嬢や他の風俗嬢たちの話をもとにさらに捜査を進めて見ると
「あぁ、この娘……」
とある港町にたどり着いた。
「ハマから流れて来た娘だね。ダンスがとってもうまくってよお、三か月前までいたはずさ」
港で網をいじっていた漁師の一人に写真を見せながら訊くと漁師が教えてくれた。
「三か月前?」
「ああ。昼間ここに来てね。小さな仔猫を拾ったって言って売れないような魚のあらを分けてくれってね。そのまま小さな仔猫を拾った晩に、仔猫といっしょにトンズラよ」
「それからは?」
「さぁ?どこに行ったか知らねぇなあ」
言いながら興味を失くしたように漁師は網へ視線を戻す。
「そうですか」
「ありがとうございました」
あたしたちは漁師へ頭を下げて別の人へ話を聞こうと踏み出し
「なあ」
呼び止められて足を止める。
「アンタ、あの娘のなんなのさ?」
○
それから他の人間にも話を聞き情報をかき集めた結果、あたしたちは横須賀にやって来ていた。
「横須賀好きだって言ってたけど、外人相手じゃ可哀そうだったねえ」
横須賀の片隅の小さな個人経営の居酒屋、そこの小太りの店主が写真を見ながらポツリと呟くように話し始める。
「あんまり何にも言わない娘だったけど、仔猫と話していたっけ」
「それで、今は?」
「前借残したまんま、ひと月だったらオサラバさ。その後の事は知らないな」
「そう、ですか……」
「ありがとうございました」
これ以上話すことはない、とでもいうように不機嫌そうな顔で黙る店主にあたしたちはお辞儀し店を出ようと踵を返し
「なあ」
「「???」」
呼び止められ、振り返る。
店主は煙草に火を付け、煙を吐き出すと
「アンタ、あの娘のなんなのさ?」
○
「なぁ、この女、あんたとどういう関係なんだ?」
「どういうことだ?」
「知り合いなんだろ?」
「……なんでそう思う?」
あたしの問いにハヤテは少し待開けて訊き返す。
「元からあんたはあまりこの人探しに乗り気じゃなかった。その癖やるとなったら仕事って理由以上にアンタはこの女にこだわってる様に見える」
「どの辺が……」
「これって言う確証があるわけじゃないけど、確信はしてる」
「なんで?」
「女の勘」
あたしの言葉にハヤテはため息をつく。
「クリス、最近楯無さんに似てきたな」
「えぇ?どの辺が?」
「さっきの言い方とかそっくりだったぞ」
笑いながら答えたハヤテは足を止める。
「ここだな」
ハヤテの視線の先には一件のキャバクラがあった。
「たぶん、ここにいる」
「根拠は?」
「情報を精査した結果だよ。勘なんて曖昧なモノじゃなく、な」
言いながらハヤテはドアに手を伸ばし
「っ!?」
「あ、すみません」
青のドレスに白い上着を羽織った短い茶髪の女性がドアから出てくる。
「こちらこそすみません。――おい」
「っ!す、すみません」
慌てて頭を下げ、ドアの前に突っ立っているハヤテを小突く。
ハヤテは慌ててドアの前から離れる。
女性はにこやかにお辞儀しあたしたちが来た方とは逆の方に歩いて行く。
「…………」
「……どうした?」
「……いや、なんでもない」
そう言ってハヤテは店に入る。あたしも後に着いて行けば
「いらっしゃいませ」
と、ボーイがやって来る。が、あたしを見て客じゃないと思ったのか
「何か御用でしょうか?お客さん、ではないようですね?」
「陽子さん、いますか?」
「……アンタ、あの子の知り合いかい?」
「いるのか?いないのか?」
ハヤテの言葉に少し考える様子を見せたボーイは
「たった今まで座っていたよ。あそこの隅のボックスさ」
部屋の奥まったボックス席を指さす。
「客がどこかを触ったって店を飛び出して行っちまった。初心なネンネじゃあるまいし、どうかしてるぜ、あの娘――」
「チッ!やっぱりさっきのは!!」
ボーイの言葉が終わる前にハヤテは駆け出した。
「あ、おい!」
それを慌ててあたしも追いかけ始めた。
○
「はぁ……!はぁ……!はぁ……!」
路地裏へ逃げていく長い黒髪の女性が走る。息を切らせながら、何かから逃れるように。しかし――
パァンッ!
「ヒッ!」
響き渡った銃声に女性は驚き、そのまま気躓いて倒れる。
「危ない危ない。また逃げられるところだったわ」
女性の背後から姿を現したのはハヤテがぶつかりかけた茶髪の女性。その手には拳銃が握られていた。
「あ、あなた……」
「はぁい、ひと月一緒に仕事してたのに、気付けなかったでしょ、陽子?」
「っ!?」
「それとも、本名で呼んであげようか?ね、裏切者さん?」
「ッ!てことは、アナタ、『幸福の会』の……!」
「正解です。正解のご褒美に――」
言いながら女性は倒れ伏す陽子と呼ばれた女性に銃口を向け
「苦しまずに殺してあげますね」
「っ!」
鈍い光を放つ銃に陽子は息を飲み
「そいつを殺されるのは僕としてはやめてほしいなぁ」
「「っ!?」」
突如聞こえた声に女性は銃口を声の聞こえた方、自分の背後に向け――
「クリス!」
「ああ!」
バンッ!
銃声とともに女性の手に握られていた拳銃に着弾、破壊する。
「っ!?」
突然のことに息を飲んだ女性は
「フッ!」
目の前まで接近した男――ハヤテに顎に素早く拳を撫でるようにぶつけられて脳震盪を起こされる。そのまま一瞬前に拳銃を握っていた手を掴まれ、そのまま背負い投げされ
「ガハッ!?」
そのまま意識を失った。
「フゥ……間一髪」
そう言ってハヤテは一息つき
「やぁ、怪我はない?」
「あ、あなた一体……?」
陽子の目の前にかがみこんだハヤテはその身体をじっと視線を巡らせ
「ん。大丈夫そうだね」
満足そうに頷いたハヤテは立ち上がり
「まったく、これで分かっただろ?君の元上司たちは失敗した上に自分たちを潰す手伝いをした君を許してはくれないって。君があの時保護してもらう相手を選択した時点で、この未来は決まったようなものだったのさ」
「それは……」
「ま、君にその選択をさせた者としては、少しは責任を感じてる。だから、今回は助けてあげる」
「な、何を言って……?」
ハヤテの言葉に困惑した様子の陽子を見下ろしニッコリと微笑むと
「ま、昔馴染のよしみってやつだよ、キヨちゃん」
「っ!?そ、そんな……あ、あり得ないっ!だって……」
「あり得ないなんてことは、あり得ないのさ。現に俺は今、君の目の前にいる」
「そ、そんな……」
呆然と自身を見上げる陽子――相川清香から視線を外し背後に立つクリスに
「楯無さんに連絡してくれる?目標を保護したって」
そう微笑みながら言うのだった。
○
「彼女はね、小学校で四年生まで同じクラスだったのさ」
傍らに立つクリスに俺は言う。
「でも、俺が途中で転校してからは交流は無くて……まあ同じ小学校の頃からそれほど親しかったわけじゃないけど――それから数年後、IS学園でクラスメイトになった。初めは彼女と小学生の時のクラスメイトが繋がらなかったし、彼女も初対面のフリしてたしね」
クリスは黙って聞いていてくれる。
「でも、彼女の両親の勤め先が女性権利団体の傘下でね。彼女自身女性権利団体の人間としてIS学園でスパイみたいなことをしていた。そして、彼女は事件を起こした」
「事件?」
「俺を狙って爆破テロしたのさ。ま、失敗したんだけど……その代わり、結果〝それ〟は俺を怒らせた。俺を狙った爆弾で俺以外を傷つけた。だから、俺は彼女を罠に嵌めた。彼女に死か、裏切りかの選択をさせた」
俺たちの目の前で〝彼女〟は護送車に乗せられて去っていく。
俺とクリスはそれをただ見送る。
「彼女が今ああなってるのは、いわば俺が原因ってわけだ」
そう言って俺は自嘲気味に笑う。
「さ、帰るか」
そのまま俺は踵を返し
「待てよ」
「???」
クリスに呼び止められ、振り返る。
「…………」
「……?」
「……あぁもう!察しが悪いな!屈めよ!!」
ジッと見つめられ、首を傾げているとクリスが頬を膨らませて怒鳴る。
首を傾げながらも俺は言われたとおりにして
「ん……」
柔らかなぬくもりに包まれた。
「アンタのせいじゃねぇよ」
「……お前知らないだろ?」
「知らなくてもわかるよ」
言いながらさらにグッと抱きしめられる。
「アンタがそう言う顔するとき、大抵余計な責任までしょい込もうとしてるときの顔だぞ」
「なんだそれ?」
「だって、あの時――バルベルデでアタシに別れを告げた時と同じ顔してる」
「…………」
クリスの言葉に俺は押し黙る。
「もっと肩の力抜けよ」
言いながらクリスは優しく俺の頭を撫でる。まるで赤子をあやすように。
「それでももし、アンタの責任だって言うならあたしだって一緒に背負ってやるからよ」
「お前…なんでそんな……」
「舐めるな。あたしはお前の奥さんだぞ?病める時も健やかなる時も、ずっと一緒にいて全部一緒に背負ってやるよ」
「……ハハッ」
クリスの物言いに俺は思わず笑いを漏らす。
「な、なんだよ?」
笑ったことに不貞腐れたように顔を顰めるクリスに俺は首を振り
「いや、なんて言うか……俺お前と結婚してホントよかったって思うよ、マジで」
「な、何だよそれ?」
「俺にはもったいないほどいい女だよ、お前は」
言いながら俺はクリスの背に手を回し
「ありがとう」
「気にすんなよ」
逆に俺がクリスを胸に抱きしめる。
そのまま少しの間クリスのぬくもりを感じた後、彼女を離し
「腹減ったな。飯食って帰ろう。なんか食いたいもんあるか?」
「なんでもいい。任せる」
「ん。じゃあさっき見かけたステーキハウスにでも行くか」
そう言って俺は歩き出す。クリスもすぐに歩き出し、俺の左手を抱く様にくっつく。
左手にぬくもりとともに感じる彼女の重さが、すごく心地よかった。
そんな訳で、改めましてお気に入り件数4000件記念です!
お陰さまで本編ハーレム√に続き個別√にも入りました。
楽しんでいただけていると幸いです。
これからも皆さんに楽しんでもらえるように頑張りますのでよろしくお願いします!
さて、颯太君とクリスちゃんの捜索の様子に既視感を覚えた方もいるでしょう。
この様子はとある昭和歌謡を真似てます。
僕個人としては名曲だと思っているので気になる方は探してみて下さいね!