IS~平凡な俺の非日常~   作:大同爽

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エイプリルフールという事で思いつき書いてみました。
本当は昨日のうちにあげたかったんですが……

作中の日付は四月一日ですが、今のところこの作品に登場した人は出てきます。
作者がエイプリルフールに絡んだ話を書きたかっただけです。
本編には全く関係ないです。
あれです。
メイド・イン・ヘブンでできた似た世界線ってやつです。


番外編 四月は彼の嘘

「というわけで、君には現在うちの会社で作った新装備のテストを行ってもらう。装備は届いているよね?」

 

「はい、ここに」

 

パソコンにテレビ電話で映っている貴生川さんに俺は頷きながら手元の箱を見せる。

 

「じゃあ早速開けてみてくれる?」

 

「はい」

 

頷きながら手元の箱を開け、中身を取り出す。

 

「……なんですか、これ?」

 

それは変わった形の装備だった。片耳のヘッドホンにそのまま左目を覆うような緑色のサングラス。それをカチューシャのような頭に固定するようになっている。

 

「スカウターだけど?」

 

「ですよね!?ドラゴンボールですよね!?」

 

「そう。それの機能がスカウターそのままだったからデザインも同じものにしたんだ」

 

「てことは……」

 

「そう。それを使えば人のおおよその戦闘力がわかる」

 

「すっげぇ!!」

 

男のロマンが今俺の手の中に!!

 

「簡単に仕組みを説明すると、そのスカウターが対象の肉体をスキャン。その人物の筋肉のバランスや神経などを瞬時に計測し、それらのデータから相手の戦闘力を数値化するんだ」

 

「な、なるほど……」

 

今の科学技術を使えばそれも可能なのか。科学バンザイ\(^-^)/

 

「でも、これはあくまでも試作なんだ。最終的にはISの性能を瞬時に測るのを目的としているんだ。まずは第一段階として対人間用で作ってみた」

 

貴生川さんが誇らしげに胸を張る。でも実際これが本当に説明の通りなら、すごいものを作ったことになる。

 

「君に頼みたいのはそれの性能が正しいかどうかなんだ。それを着けて君の知り合いで試してほしい。君の認識でいいからその数字が正しいかどうか試してくれ」

 

「なるほど」

 

確かにこの学園なら強い人はたくさんいる。試すにはもってこいだろう。

 

「今日一日でいいんだ。大体あってるかあってないかでいいから」

 

「わかりました。やってみます」

 

「そうか。じゃあ、よろしくね」

 

「はい」

 

画面の向こうの貴生川さんに頷き、パソコンの電源を落とした。

 

 

 

 

 

「さて、誰のところに行こうかな~」

 

スカウター片手に俺は寮の廊下を歩いている。

これでわかる数値の上限がどれだけのものか分からないので基準になるような、強い人のところに行きたいところである

 

「あら、颯太君」

 

そんなことを考えていたところに楯無師匠に会った。

 

「こんにちは、師匠」

 

「やあ。ところでその手に持っているのは何?」

 

「あーこれは……あ、丁度いい。手伝って下さいよ師匠」

 

「ん?」

 

首をかしげる師匠に俺はスカウターのことを説明する。

 

「面白そうね、いいわよ」

 

楽しげに笑いながら頷く師匠。

 

「じゃあさっそく……」

 

左耳に取り付け、横のスイッチを押す。

ピピピピピ……

電子音とともに左目のグラスに数字が点滅する。

ピー!

音とともに数字が止まる。

 

「えっと……20000。これはすごい数字っぽいですね」

 

「でも私の数字だけじゃわからないわね」

 

「そうですね。とりあえずこれをまずは基準にしましょう」

 

さて、他に誰か……

 

「ん?颯太に生徒会長じゃない。こんなところで何してるの?」

 

そこに現れたのは鈴だった。

 

「ああ、実は……」

 

俺は鈴にも同じように説明する。

 

「へぇー!すごいじゃない!私も見てよ!」

 

「もちろん」

 

興奮ぎみの鈴に俺は頷く。

 

「ちなみに楯無師匠は20000だったから」

 

「私のはどのくらいかしらね~」

 

楽しそうな鈴を画面越しに見つめつつスイッチを押す。

ピピピピピ……ピー!

 

「えっと……はっ!?」

 

マジで?

 

「どしたの、どしたの?もしかして会長の数字超えちゃった?」

 

「…………5」

 

「「は?」」

 

「だから、鈴の数字は……5」

 

「なっ……5!!?」

 

俺の言葉にふたりが驚愕の表情を浮かべる。

 

「……とりあえず鈴。あの台詞言ってもいい?」

 

「なによ!どの台詞よ!?」

 

「……戦闘力たったの5か。ゴミめ」

 

「ぐはっ!」

 

俺の言葉に鈴が崩れ落ち、膝立ちで両手をつく。

 

「いくら生徒会長が学園最強って言っても、そんなに差があるものなの?」

 

俺も師匠も鈴に何て言っていいかわからない。どうしよう、背中が可哀想すぎる。

 

「おう。こんなところでなにしてんだ?」

 

「……なんで…鈴は崩れ落ちてるの?」

 

そこに現れたのは一夏と簪だった。

 

「実は……」

 

俺はここまでのことをかいつまんで説明する。

 

「なるほどな。よし、俺のことも見てくれよ」

 

「わ、私も……」

 

一夏と簪も乗り気みたいだ。とりあえずやってみよう。

 

「いいぜ。そのまま立っててくれればいいから」

 

ピピピピピ……ピー!

 

「えっと、まず一夏が………あれ?」

 

「ん?どうした?」

 

スカウターを一旦外して左目を擦り、つけ直す。うん、見間違いじゃないらしい。

 

「……1」

 

「は?」

 

「だから…1」

 

俺の言葉にその場の全員が言葉を失う。一人を除いて。

 

「ぷっ!え?一夏、1?ホントに?戦闘力1?ふっ、ゴミが!!(笑)」

 

「ぐはっ!」

 

鈴の言葉が突き刺さったらしい。今度は一夏が崩れ落ちる。

 

「………えっと……じゃあ次は簪」

 

「…あ…うん」

 

崩れ落ちた一夏をとりあえず放っておいて簪に顔を向ける。

ピピピピピ……ピー!

 

「えっと、簪は……10」

 

「なっ?」

 

俺の言葉に一番驚いたのは鈴だった。多分簪には勝っていると思っていたのだろう。

ふと見ると一夏が膝をつくどころか地面にうつ伏せに寝ていた。

 

「い、一夏?」

 

「………………」

 

返事がない。まるで屍のようだ。

 

「……どんまい」

 

一夏の肩にぽんと手を置きつつ俺は言う。

みなその様子を見てなんとも言えない顔をしている。

 

「ん?どうしたんだ、こんなところに勢揃いして」

 

「なぜ一夏さんは地面にうつ伏せになっていますの?」

 

そこにやって来たのは箒とセシリア。

 

「なんというか、今このメンバーで俺をのぞいて一夏が最弱らしくて」

 

「…?話が見えんな」

 

「どういうことですの?」

 

「実は……」

 

俺はふたりにもここまでの経緯を話す。

 

「なるほど」

 

「そんなことがありましたの……」

 

ふたりは事情を知ったことでなんとも言えない顔をしている。

 

「……とりあえずふたりも見てみようか?」

 

「で、では……」

 

「お願いしますわ」

 

ふたりが頷いたのを確認してまずはセシリアを見る。

セシリアの実力は恐らくは鈴と同じくらいだろう。つまり5くらいかな……

ピピピピピ……ピー!

 

「えっと、セシリアは……なっ!?」

 

画面に表示された数字に俺は驚愕する。

 

「………8000」

 

『はっ、8000!!!』

 

その場の全員(一夏をのぞく)が驚愕の表情を浮かべる。一夏は壁の隅によっている。その肩はプルプルと震えている。誰も一夏には触れない。触れてはいけないと理解しているのだろう。

 

「ちょっと!なんで私は5でセシリアは8000なのよ!」

 

「知らねえよ!俺も驚いてるわ!!」

 

「やはりわたくしの実力はそれほど大きいということですわ」

 

結果にご満悦なセシリアと納得のいかない鈴。

 

「え、えっととりあえず次は箒」

 

「お、おう」

 

ピピピピピ……ピー!

 

「箒は………はぁ!!!?」

 

画面を見た俺は顎が外れるほどあんぐりと開ける。イメージはアラジンのジニーだ。

 

「何々!?どんな数字が出たの!?」

 

師匠が訊き、みな興味津々の様子だ。

 

「……30000」

 

『さっ30000!!!!?』

 

一夏をのぞく全員がセシリアの時以上に驚愕する。俺も多分こんな顔をしていたのだろう。

ちなみに一夏はもう完全に泣いていた。

 

「おかしい!!絶対におかしい!!箒が会長を超えるとか絶対におかしい!!壊れてるわよそれ!!」

 

「そ、そういわれても……」

 

確かにこれは壊れているとしか思えない。みな不思議そうな顔をしている。ただひとりを除いて

 

「……ちょっと確かめたいことがあるの。いいかしら?」

 

師匠が提案する。

 

「はい。任せます」

 

「よし、ちょっと待って。電話するから」

 

そう言って師匠は携帯を取り出す。

 

「………あっ、もしもし本音?」

 

 

 

 

 

「来たよーお嬢様~」

 

数分後、師匠に呼ばれたのほほんさんがやって来た。

 

「詳しくはさっき言った通りよ」

 

「アイアイサー」

 

「じゃあ颯太君、よろしく」

 

「は、はい」

 

師匠の言葉にスカウターをのほほんさんに向ける。

ピピピピピ……ピー!

 

「えっと………ふぁ!!!?」

 

これは顎外れる。そのくらい驚いた。今世紀最大の驚愕キタコレ。

 

「どう?」

 

師匠の問にブリキの玩具のようなぎこちない動きで顔を向ける。

 

「………50000…です」

 

『ごっ50000!!!!?』

 

「やっぱり……」

 

その場の全員が驚愕し、師匠は納得している様子だ。

ちなみに一夏は真っ白な灰になって燃え尽きていた

 

「ど、どういうことなんですか師匠!?やっぱりこれが壊れてるってことですか!?」

 

俺の疑問に師匠はもったいぶったようにため息をつく。

 

「簡単な話よ。数字の低い人と高い人の違いを考えてみなさい」

 

「え?」

 

えっと……低いのは鈴、一夏、簪。高いのは楯無師匠、セシリア、箒。…………あれ?もしかして………

 

「あら?みなさんどうしたんですか?」

 

俺以外にも(一夏はのぞく)全員が答えに気付きかけたとき、山田先生が現れた。

これは俺の仮定を確かめるのに丁度いいかもしれない。

 

「実は……」

 

山田先生にもここまでのあらましを説明。

 

「というわけなんで、山田先生もよかったら協力してくれませんか?」

 

「はぁ、いいですけど……」

 

山田先生が頷いたのでスカウターのスイッチを押す。

ピピピピピ……

 

「なっ!!?」

 

途中経過から俺は驚愕する。

 

「20000……30000……40000……50000……まだまだ上がっていく!」

 

あまりの速度で数字が変わってくので目がチカチカしてくる。

 

「80000……90000……100000!!」

 

ボンッ!!

 

「うわっ!」

 

俺の顔の横でスカウターが爆発する。

それにより全員が驚く。

 

「……爆発したよ…」

 

みな呆然としている。一夏もあまりのことに復活している。

 

「なあ……これってそういうことかな?」

 

『………………』

 

誰も何も言わないがみな頷いている。山田先生と一夏はよくわかっていないらしく、首をかしげていた。

 

 

 

 

 

「そろそろ気付いたかな?」

 

職場のデスクでコーヒーを飲んでいた貴生川はニヤリと笑う。

 

「あれですか?『OPPAIスカウター』」

 

「ああ、それだ」

 

貴生川の横の席のおかっぱ眼鏡な青年の言葉に楽しそうに貴生川は頷く。

 

「しかし、主任も暇ですね。エイプリルフールのためだけにあんな高性能なもの作って…」

 

「やるならとことんやるのが面白いんじゃないか」

 

楽しげに笑う貴生川に青年も苦笑いを浮かべる。

 

「今頃どうなってますかね?漫画みたいに爆発してたりして……」

 

「そんなわけないだろ」

 

冗談めかした青年の言葉にさらに貴生川は笑う。

 

「そんな胸の女性がいたら、是非会ってみたいね」




以上、番外編でした。
ただの思いつきなんで半分は冗談でできています。
出てくる数字も適当です。

普段はパソコンで書いているのに、今回は手の空いているときにスマホで打ちました。
やっぱり普段と違うやり方では難しいですね。
これからまた少し忙しくなるのでまた間が空きます。
早めに更新できるようにはしたいですが……

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