最近友達の一色いろはがあざとくない件について   作:ぶーちゃん☆

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【リメイク】やはり私の友達のはじめて物語はリメイクされる【第3話完結編】

 

 

 

「家堀ー、部室の鍵よろー。今日は先生が保育園にお子さん迎えに行かなきゃなんないみたいで、早く帰んなきゃらしいから超特急で返してきてね」

 

「かしこまっ……りました部長っ……!」

 

「いやだからアンタ、毎日毎日畏まりすぎだから。しかもなんで畏まってんのにピースしてんのよ……。んじゃおつかれー」

 

「おつかー! ……れさまでしたー……」

 

「……」

 

 

 ……ふぅ、少しでも油断すると、このリア充な私が危うくオタクと勘違いされてしまいそうになる辺り、やはり上司……もとい上級生との会話ってのは危険がいっぱいだぜ……!

 まさにトラップまみれのデンジャラスゾーン。バレないように気を付けなくっちゃ!

 まぁバレるもなにも私オタ……略っ☆

 

 

 

 

 と、恒例の冒頭ひとネタをいつものように華麗に消化した私は、部長から預かった部室の鍵を顧問に届けるべく、夕焼け色に染まりかけた廊下を職員室へと向けて早足で歩く。

 

 ふふふ、今日はちょっと早めに終わったことだし、早くマイホームに帰って、夕ごはんまでの貴重なプライベートタイムに昨日の深夜アニメでものんべんだらりと観〜よおっとぉ! とブヒブヒしていたそんな時だった。

 ふと視界の端に、昇降口で上履きからローファーに履き変えてる女の子の亜麻色の髪が、ふわりと愉しげに揺れているのが目に入ったのだ。

 

「あ、いろはじゃん」

 

 お、あいつも今日はもう帰宅かな?

 あっれー? おかしいですねぇ。まだ校庭からはサッカー部員がヘイヘイ言ってる声がこんなにも聞こえてるっていうのにねぇ(ゲス顔)

 

 ま、武士の情けじゃ。まる分かりな理由は、敢えてここでは言わないでおいてやろうじゃないかね。

 おっと、そんなことより、せっかくだしいろはと一緒に帰ろっかなー? 呼び止めて鍵返してくんの待っててもらおっと。

 

「いろ」

 

 はす早い、いろはす早いっ! 呼び止めようとしたら、嬉々としてビュンっと走ってっちゃったよ!

 おいおい逃げ足早いなっ! どんだけ電光石火なんだよ。今どきはポケモンだってスイッとフリックしただけで簡単にゲット出来ちゃう時代なんだぜ?

 

 ……って、んん? なんであいつ駐輪場に向けて爆走してっちゃった?

 いろはんちってモノレール乗ってった先の駅じゃん。自転車通学ってレベルじゃねーぞ。そもそも自転車で来てるとか聞いたこともないし。

 

「どしたんだろ、あいつ」

 よく分かんないけども、私は職員室に行くのを一旦後回しにして、いろはを呼び止めるべく駐輪場に向かう為そそくさと靴を履き替えるのだった。

 

 

× × ×

 

 

 一色いろは襟沢虐殺事件から数日。

 正直、私達はあの事件以来、毎日気が気じゃなかったのよね。

 

 なにせいくら襟沢を成敗したとはいえ、それ以外の大勢のアンチいろはの目にもあの光景──いろはと比企谷先輩のイチャイチャ夫婦漫才──を目撃された事実に間違いはないのだ。

 この連中が面白可笑しく低俗な噂を広めたって不思議でもなんでもないし、こっぴどくやられた襟沢自身だって、仕返しであることないこと言いまくって、いろはの評判を落とす作戦に出たっておかしくなかったわけだし。

 

 でも、結果としてはそんな心配は杞憂に終わってくれた。つまりいろはへの悪意に満ちた噂は一切流れずに済んだのだ。

 

 まぁ単純に、今までなんでもないような顔して、笑顔で自分へのヘイトを受け流してた一色いろはが、実はキレたらあまりにも恐かった! ってのもあるんだろう。それほどまでにあの時のいろはの黒さはヤバかったです(白目)

 

 あとは比企谷先輩の後ろに控えるらしきビッグネーム様たちのご威光に、アンチいろは軍が恐れおののいたってのもあるんだろうね。

 いやマジこの学校で誰が雪ノ下先輩と三浦先輩を敵に回したいとか思うってのよ。そんな命知らずなアウトロー、この学校では生きていけなくなっちゃうわ。

 

 ま、実はいろは曰く「ただ恵理ちゃんを懲らしめたかったからああ言っただけで、ホントはいくら恵理ちゃん達が先輩を悪く言おうが、先輩の噂には雪ノ下先輩はともかく、三浦先輩は一切干渉しないんだけどねー、てへ♪」との事。

 あの小悪魔めっ。実にぐっじょぶである。

 

 

 

 とまぁアンチいろは軍団の面々はそんな恐怖の連鎖から逃げ出したわけだけど、噂を流すのはなにもアンチ達だけではない。

 そう。噂でなによりも恐いのは、当事者以外の数多くの第三者達なのである。

 悪意まみれの噂の源流とは違い、悪意ではなく単なる好奇心と興味本位で噂の水流を裾野へと広げ回る支流こそが一番の厄介ごとに他ならない。

 別にいろはが特に嫌いではなくとも、噂が流れていく途中途中で、こいつらがその噂の中にほんの僅かでも悪意を込めてしまえば、それは一気に汚水の激流となって各地に被害を及ぼしながら、どこまでも広がってしまうだろう。

 

 ならばなぜ今回の噂が広まらなかったのかというと、いろはが比企谷先輩のあの文化祭の噂自体を全く気にしていない様子や、代名詞ともいえるあざとさなどどこかにブン投げてしまったかのような、あの素まる出しのいろはの姿に、クラスメイト達(女子)のいろはに対する空気が好意的なものへと変わっていったからなのだ。

 

 あとおまけに、いろはが男に媚びる姿を見せなくなった原因を作ったであろう比企谷先輩と、そんな比企谷先輩と仲良くしてるいろはの仲を好ましく捉える空気さえ出てきちゃったりね。

 だってさ? 恋する乙女達は恋敵が居なくなってくれて万々歳じゃない?

 それさえ無ければ、わざわざ学校の有名人、一年生にして生徒会長の肩書きを持つ一色いろはにわざわざ敵対する理由なんかないんだもの。

 

 もちろんいろはに恋心を寄せていた男子諸君は面白くなさそうではあったけど、女子の間でそういう空気になってる時に、男子だけがアンチ比企谷の空気なんか出せるわけないじゃん?

 悲しいかな、今の世の中は男尊女卑どころか、男女平等(笑)を謳った女尊男卑な優しくも厳しい世界なのですよ☆

 

 

 あ、そうそう。実はあのあと襟沢のアホが人目もはばからず「うえ"ぇぇえぇぇんっ!」とか大声で泣きだしちゃってさぁ、そんな襟沢を、なんと泣かせた張本人のいろは自身がフォローしたんだ〜。

 

 実を言うと、いろはって襟沢に感謝してるらしいのよね。

 ただの嫌がらせではあったけども、恵理ちゃんが生徒会長に立候補させてくれなかったら今の自分は無いんだから……だってさ。

 

 ふふっ、“今の自分”ってより、“比企谷先輩と出会えた自分”でしょうが。

 

 

 

 そんなこんなで悪い噂は勝手にひとり歩きする様子も一切無く、この一年C組に巻き起こった大騒動は一件落着おつかれちゃーん! ってな形と相成りましたとさ。ちゃんちゃん。

 

 

 

 

 そんなここ数日の出来事を分かりやすく(誰に?)振り返りつつ、ばびゅんと走ってったいろはにようやく追い付いた私が駐輪場で目撃した光景。

 それは、件の比企谷先輩がいろはにゲットされている光景でした。

 なんだよ、いろチュウ早すぎゲット出来ないぜ! と思ってたら、駐輪場に向かう獲物を発見したいろはが比企チュウをゲットしてたのかぁ。そりゃ電光石火にもなるねっ!

 

 

 あらまぁ、なんて楽しそうな笑顔で先輩捕まえちゃってるんでしょ。思わず私がニヤニヤしちゃう!

 だったら私がこのあと選ぶ選択肢などひとつしかないではないか! そう、NO☆ZO☆KIである。

 

 そして私はあのフェイマスな出歯亀家政婦よろしく、気付かれないようそっと対象に近づくのだ。私 家堀香織の使命を遂行する為に……存在理由を証明する為に……!

 

 そう、これはあくまでも使命なのである。決して趣味や道楽でノゾキと盗聴を楽しんでいるわけではない! そう、決して……

 

 

 

 

 

 

 …………ふひっ!

 

 

× × ×

 

 

 おっと、私が現場に到着した時には、すでに二人の熱いラブラブちゅっちゅバトルは始まっていたようだ。ラブラブちゅっちゅしているとは言ってない。

 

 校舎の陰からぴょこりと可愛く顔を出して、ばっちりノゾキ盗聴実況体勢に入った私の耳に、甘ったる〜い「先輩♪」が届いた。

 

「せ〜んぱい♪ せっかくたまたま偶然奇跡的にもこうして帰りが一緒になったんだから、駅まで後ろ乗せてってくださいよぉ」

 

 どんだけミラクルいろはちゃんだよ。

 あんた必死で追い掛けてってたじゃん。そういうの、偶然とかたまたまなんて言いませんからね?

 

 

 ……しっかし、んー、なんだろ? 前に盗聴した時も思ったんだけど、いろはが比企谷先輩に見せるあざとさって、なんか今までのと違うのよねー。

 今の帰宅のお誘いだって、言ってみれば男子を荷物持ちとしてお誘いするのとおんなじシチュエーション・おんなじ甘え方のはずなのに、やっぱどこかが違う。

 

 なにが違うんだろ……私気になります! これはもう私の使命として、じっくりと舐め回すように観察しなくては! 使命として。

 てなわけで、とりあえずはこの極上の見世物……やりとりに集中しようではないかね。

 

 

「え、嫌だけど」

 

 そんなあざと攻撃など我には一切響かぬわ! とばかりに、比企谷先輩はなんの迷いもなく即拒否。

 いろはの甘いお誘いをこうもすげなく拒否っちゃうとか、やー、やっぱ手強そうだわこの人。

 

「なっ!? なんでですかー! てか考える間もなく拒否とか酷くないですかー? ……ったく、こんな可愛い後輩と放課後デートとか、それはもうすんごいステータスなんですからね?」

 

 不満げにぷくっと膨らんだあざといろはすだが、すかさず自分と一緒に帰る事のメリットを顧客に提示した。

 いやあんたデートて……

 

「なんでデートになっちゃうんだよ……駅まで送るだけだろうが」

 

「ふふふ、言質いただきましたー。いま送るって言いましたよね? 言いましたよね?」

 

 罠がダイナミックすぎワロタ。

 そんな雑な罠で獲物を捕らえられるわけないでしょーが。

 

「……なんでだよ。いやホント恥ずかしいんで勘弁してくれませんかね……」

 

「うっわ……先輩なに恥ずかしがってるんですか? 頬染めちゃって結構気持ち悪いですよ?」

 

「おい、しかめっ面でキモいって言われるより、真顔で気持ち悪いって言われる方が遥かにダメージでかいんだぞ」

 

 ……ああ、ちょっと分かる。紗弥加辺りに真顔で「あんたイタいわー」って言われた時のダメージといったらもうね……

 比企谷先輩とはいい酒が飲めそうだぜ。うう、涙なしでは語れませんなぁ……

 

「いやいや先輩のダメージとか、わたしにはどうでもいいですし。むしろこんな可愛い後輩とこうして楽しくお喋り出来てるって奇跡が、先輩のような冴えない男子にとっては極上の癒しじゃないですかー?」

 

 お前何様だよ。もしかして即座にイチャイチャ帰宅を拒否された事に対して、意外とおこなの?

 

「そもそも恥ずかしいとか今さらなに言ってんですかねーこの先輩は。先輩なんて学校一の嫌われ者じゃないですか。まさか今さら周りの目とか気にしちゃうんですかー?」

 

 うん、やっぱちょっと怒ってますねあの子。辛辣ゥ!

 

「甘いな。学校一の嫌われ者なんていう一過性のムーブメント、七十五日を待たずしてとっくに過ぎ去ったわ。むしろ当時の方が、俺はこの世界で生きてるんだって実感できたまである。だが残念ながら今は元通り、学校で一番存在を認識されてない男に戻っている」

 

 ブワッ……! あれれ、おかしいな……急に前が見えなくなったよ……?

 

「ああ……なんかすみません」

 

 

「……いやそこは引くとこじゃなくてツッコむとこだろ」

 

 比企谷先輩……今のはさすがのいろはでもツッコめませんて……気の毒すぎて。

 先輩はそんないろはの無慈悲っぷりに本日最大級にどよんと目を腐らせたんだけど、次の瞬間には少しだけ気まずそうに頭をがしがしと掻いた。

 

「……つーか、知ってたんだな、それ」

 

「……ま、先輩は悪い意味で有名人ですからね。そういうのは、いつの間にか自然と耳にも入ってきますよ」

 

 ……いつの間にか、かぁ。

 それを知ったのはつい先日のはずだけど、いろははそれを言わない。

 たぶん自分を訪ねて来た時にクラスメイトにバカにされたなんて知ったら、比企谷先輩はいろはを心配した上、不用意にいろはを訪ねてしまった自分を責めちゃうんじゃないかと思ってるんだろうね、この子は。

 

「……だったら余計にアレだろ。それ知ってんなら、俺と二人乗りとか見られたらマズいって事くらい分かんだろうが、生徒会長」

 

 そっかぁ……この人の拒否は、いろはと一緒に帰るのが嫌とか恥ずかしいとかじゃなくって、いろはの立場を考えての拒否なのかぁ。

 

 ……なんか、いろはがこんなにも懐く理由が良く分かった気がする。この人は、実はとっても優しいんだ。不器用そうな優しさだけど、そこがまたストレートにズバッと胸にくるんだろうね。なにせ普段異性からいろはに向けられる優しさって、まず間違いなく下心込み込みだもん。

 

 ……そんな不器用な優しさに触れたいろはは一瞬だけ哀しげな笑顔を浮かべた。

 そりゃね、自分に優しさを向けて貰えるのって嬉しいけど、比企谷先輩のその優しさって、向けられる本人にはちょっと悲しい優しさだもんね。

 ……いろははそんな不器用で優しくて、そして悲しい先輩をそっと抱きしめ……

 

「……………あっれぇ? もしかしてぇ、わたしのこと心配してくれてますー?」

 

 るわけはなく、ニヤァっと悪い笑顔でまさかの挑発的態度である。

 だからさぁ、ちょっとはシリアスな空気を大切にしようよぅ! さくせん、シリアスだいじに。

 

「ば、バッカ、生徒会長に悪い噂が立つような学校、小町が安心して入学してこられなくなるだりょうが」

 

 ぷっ、いろはの挑発に照れくさくなって、慌てて否定しようとして壮絶に噛んで真っ赤になってやんの! やっぱ不器用だわこの人。どんだけ分かりやすいのよっ。

 

「はいはい、しょーがないから今回はそういう事にしといてあげますよー。てゆーかぁ、先輩ってシスコン発言を照れ隠しに使ったりしますよねー」

 

 嬉しそうにからかってくる後輩と目を合わすのが気まずくなったのか、比企谷先輩はぷいっとそっぽを向いていろはの追及から逃げ出そうと試みる。

 まぁ? 真っ赤になって目を逸らしちゃう時点でお察しなんですけども!

 

「……ちっ、アホか。小町を愛する心なめんな」

 

「ぷっ、はいはい了解で〜す♪ んじゃそろそろ行きますよ?」

 

 ……なんだこれ? どうなることかと思いきや、最終的には結局単なるイチャイチャ寸劇じゃねーかよ……

 ふぇぇ、そろそろ見てるだけで胸が火傷しちゃいそうだよぅ……

 お願いだから仲良く爆散しちゃってください。

 

「……だからお前は人の話聞けよ……二人乗りなんかしねぇっつってんだろ」

 

「ふふっ、大丈夫ですよー。そりゃ先輩は学校で一番嫌われてるかも知れないですけど、わたしだって決して評判良くないですしねー。ま、女子限定ですけど。だからまぁ嫌われ者同士が二人乗りしてたって誰も気にしませんってばー」

 

 

 そう言ったいろはは、いつの間にか比企谷先輩の愛車らしきママチャリの荷台に跨った状態で、満面の笑みを浮かべてサドルをぽんぽん叩いていた。

 

 こやついつの間に乗車完了!? やはり比企谷先輩の事となると、いろはは光の早さになるのか。

 

「……いやお前いつの間に乗ったんだよ。……だから嫌だと……」

 

「せんぱーい、そろそろ陽も暮れちゃいそうだし、わたし超さむいです。ほーらー、はーやーくー」

 

 ぽんぽん。

 

「いや、だから……」

 

「なんですかこのまま生足女子高生を冬空の下で凍えさせて風邪ひかせるつもりですか? はっ! まさかこのままわたしを凍えさせて、風邪引かないようにその冷えた生足を暖めてやるぜとか言って生太ももをいやらしい手付きでさする作戦ですか正直変態ちっくなのはちょっと無理かもですのでノーマルプレイでお願いしますごめんなさい」

 

 ぽんぽん。

 

「……」

 

 いろは、あんたすげーよ……もう有無をも言わせねーよ……

 てかノーマルプレイでお願いしますってなんだよ。

 

「ほれほれー」

 

 ぽんぽん。

 

 このままぽんぽんぽんぽん叩かれたら、サドルも根負けして埋まっていっちゃいそう!

 比企谷先輩! サドルの為にもそろそろ折れてぇ!

 

「ぐぬぬ…………チッ、くそっ……きょ、今日だけだからな……」

 

 

 ついに折れました。そりゃこれはもう折れざるを得ませんよね。ホントうちのいろはがご迷惑おかけします。

 ちなみに比企谷先輩が折れた瞬間のいろはのニヤリ顔は放送禁止レベルでした。

 

 

 

 

 

 渋々サドルに跨る比企谷先輩の顔を、してやったりと荷台から覗き込むいろはは、紛うことなきあざとい小悪魔。

 数日前、偶然比企谷先輩が我がクラスに顔を出すまでは、このひと月ほどすっかりとナリを潜ませていた小悪魔笑顔。

 

 でも、やっぱりナリを潜めてたってのとはちょっと違うんだよねー。だって、ひと月前まで良く目にしてた、あのあざとい笑顔とは全然別物なんだもん。

 

 その正体に、その違和感に、ついさっきまでは首をかしげてたんだけど、さっきまでの二人のやりとりを見てたら、なーんとなくだけど分かっちゃったかも!

 

 ……それは、あざとさの“質”が全然違うのだ。

 今までのいろはのあざとさって、男に媚びて甘えていいように利用してやろう! っていう打算的なあざとさだったんだよね。

 

 でも今の……比企谷先輩に対してのあざとさには、そういった媚びとか打算とかは全然感じない。

 比企谷先輩って、いろはをあざといあざといとウザがりながらも、実はあのあざとさに対して結構照れちゃったりしてることがある。

 なんだかんだ文句言っても、たぶん脳内では「なんだそれ可愛いじゃねーか」とか思っちゃってんじゃなかろうか?

 

 だからいろはは、そんな照れた比企谷先輩を惑わせてからかいたくて、わざとあざとい一色いろはを見せつけてるような気がする。

 だって比企谷先輩には素がバレちゃってんだもん。あざとさを見せても意味のない先輩に、わざわざあざとい自分を晒す必要性なんて一切無いじゃない?

 

 利用するために演出するあざとさと、気になる人を惑わせたい乙女心のあざとさ。

 そんなん別物だって思いますよね。そりゃ違和感覚えちゃうはずですよ。

 

 

 

 

 

 ──友達にばっちり見られているとも知らず、得意の小悪魔攻撃で比企谷先輩を上手に転がし、大好きな温かい背中をまんまと独り占めにして颯爽と走り去るいろはの横顔は、自身の火照る熱による赤みなのか、夕焼けに染まる街と同じ赤みなのかは知らないけれど、とても幸せそうな朱色に染まった、とってもあざとい素敵な笑顔でした♪

 

 

 

 

 

 やはり私の友達一色いろはがあざとくないわけがないっ! (ただしせんぱいに限る)

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談ではありますが、夫婦漫才に胸がいっぱいになってそのままひとり寂しく帰宅した私ではありますが、部室の鍵を返却するのをすっかり忘れてて、ずーっと待っていたらしい顧問と、そんな顧問からの電話攻撃に悩まされた部長に、翌日こっぴどい仕打ちを受けたのはまた別のお話っ。

 

 いやん! もうこういうオチは間に合ってますから☆

 

 

 

 

おわり

 




最後までありがとうございました!
これにてこの【最近友達の一色いろはがあざとくない件について】は完結となります☆ ぷっ




と、お約束はここまでにしておくとしても、リメイク自体はこれでホントにお終いです\(^o^)/オワター
読み直してみたら4話目以降は結構香織が香織らしくなってて、これ以上リメイクをやっても意味なさそうでしたので♪


今回は感謝感謝のUA100万回突破記念にリメイクをやってみましたが、やってみて思ったこと→初期の下手くそな頃のノリと勢いには敵わない☆

でした!(白目)



てなわけで、あざとくない件としてはしばらく更新する機会が無いと思いますので、またどこかでお会い出来たら嬉しいです(*> U <*)
ではではノシ

















ひっそりと……



【『あざとくない件』のお気に入り5000突破記念☆】


この先グロ注意です。


記念なのに書くネタが全く無かったので、作者の香織イメージを描いてみました!

ホント人様にお見せするのは恥ずかしいレベルの下手くそな手描き携帯撮影なラフ絵なので、閲覧注意でお願いします><
香織のイメージ台無しだよ!等々の覚悟があるアウトローな冒険野郎のみが見てくださいね><




【挿絵表示】



【挿絵表示】



サイズが大きくて見られないというお声を頂戴しましたので、↓は小さいサイズです



【挿絵表示】



【挿絵表示】




イメージ壊れちゃったらごめんなさい><
これに懲りて絵は二度と載せたりしません(平身低頭



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