最近友達の一色いろはがあざとくない件について   作:ぶーちゃん☆

36 / 54
どうも。完結詐g(ry

いやいや詐欺とかじゃないんで。今回はちゃんと建前がありますから。


というわけで!

☆(祝)お気に入り4000突破!!☆


なんとなんとこのような処女作のお気に入りが4000を突破してました!
本当にありがとうございます(*´∀`*)
てかこの久々の更新でお気に入りがゴッソリ減って4000切ったら笑えますよねー(涙)



とまぁ前フリはここまでとして、今回はその感謝記念に、まさかの本編再開です♪
こちらは、あざとくない件時系列としては、本編の方のサブタイに【バレンタイン編】が付いているモノは全部無かった、そして香織の短編も無かった……という体でお楽しみ頂けたらと思います!

香織好きな読者さまには物足りないかも知れませんが、原点回帰な本編をどぞ!





そして私の友達が本物のバレンタインを迎えたら①

 

 

本年度も残すところあと二ヶ月弱。

そんな、私達の青春の高一時代終了の足音がすぐそこまで聞こえてくる2月半ばに近づいてくると、教室内の雰囲気は徐々に色を帯び始める。

 

「なーんかさぁ、そろそろ甘いもんとか食いたくね?」「だよなー、そろそろ食いたくなりそうっつーか?」「な!な!ホントちょっとだけでいいんだよなー、チョコっとだけな!」

 

そう。あちらこちらで、妙に色付き始め…

 

「やっばーい!これ間に合うかなぁ……!?」「だ、大丈夫だよー!まだ間に合う間に合うー!」「いやいやどう見ても間に合わないっしょ……てか手縫いとか引かれるってマジで」

 

……チッ……うん。有体に言おう。

 

「チッ、ウッゼ……」

 

「おーい香織、あんた今、心の内が全部口と表情に出てんぞー」

 

「気持ちは分かるけどさぁ、その表情はヤバいってー」

 

「そうだよ香織ちゃーん。またみんなに残念な子って言われちゃうよぉ?ぶほぁっ!」

 

小生意気な襟沢の頭をスッパーンと軽くはたいてから、もう一度辺りを見渡してみる。

 

たく……どいつもこいつも色気付きやがって……

リア充グループ男子共はチョコチョコとウザいアピールをし始めてるし、リア充グループ女子共は、意中の相手にどう気持ちをアピールしようかなっ♪みたいな顔してガールズトークに花を咲かせている。

あんた達もう爆発しちゃいなYO!

 

「フッ、なんかみんな青春してんなぁ……って、ちょっとキラキラと眩しくなっちゃってねっ……」

 

「……あんたそんな優しい目してなかったから」

 

「もー、そんなに羨ましいんだったら、香織だって彼氏作ればいいのにー。彼氏が居ると幸せいっぱいだよぉ?」

 

「なにそのムカつく顔……べ、別に羨ましくなんてないんだからねっ!?」

 

「……あんたツンデレキャラやるとオタ集団の熱視線が一斉にこっち向くからやめてくんない?」

 

「ツ、ツンデレじゃねーし!」

 

「もー……香織だったら選り好みしなきゃ男くらいいくらでも作れんでしょ〜?なんか好い人でも居ないのー?」

 

「……ふんっ、私のお眼鏡に適う相手が居ないだけだっての……」

 

 

ん、んー……ま、まぁちょっとコイツ面白そうかもっ!って思える人が居ないわけでは無いのですよ。

……ただちょっと相手が悪いっていうか、相手の相手共が悪いっていうか。

ですので、この件に関しましては気のせいだったという方向に持っていきたい所存であります!

 

 

「…………いったぁ……もう香織ちゃん暴力反対っ!」

 

 

──と、このように2月半ばの休み時間ともなると、各地でその名を口に出すことさえも恐ろしい例のあの人……もとい例のあの日のアピール大作戦が決行されるのである。

乙女が長期休暇中と名高いこの香織さんとしては、ホンっトにウザい事この上ないのよね。

 

「ちょっと香織ちゃん無視!?」

 

女共の「わたし彼氏にチョコあげるのー!」アピールもマジで鬱陶しいけど、男共の「俺の鞄にはいくらでもチョコが入る余裕があるZE☆」アピールがこれまた鬱陶しい。

 

ホラ、こう見えて私ってかなり可愛いから結構モテるんで?

てか、私らのグループがみんなモテますんで?

あのチョコチョコとアピールしてくる男子共がさぁ、チョコチョコ騒ぎながらチラチラと私らを見てくんのよ。

ったく……鬱陶しいったらありゃしない……

 

 

あ、そういえば、そのチョコくれアピールを一番受けそうな、ヤツの姿が見えないな。

まぁもっともそれは二学期までの話で、今ではヤツ狙いだった連中もほぼ諦めちゃってるっぽいけどね。

 

「そういえばいろはは休み時間だってのに、まーた生徒会室行ってんの?」

 

誰となしに尋ねてみると智子が答えてくれた。

 

「うん。そうみたいだねー。なんか例のバレンタインイベントの準備が忙しいらしいよー?」

 

「あー、そういえばなんか今回は奉仕部……つーか比企谷先輩に頼んないで、自分たちだけで用意するって張り切ってたもんね」

 

紗弥加も話に乗ってきたので、私も定番ネタで迎え撃とうじゃないかね!

 

「やー、いろはも成長したもんだねぇ!クリスマスイベント前のやる気の無さがまるで幻のようだよ。……フッ……もう私に教えることはなにも無いようだね……一色くん」

 

「あんた一人でなにブツブツ言って満足顔になってんのよ恐えーよ。なにその言ってやった感……腹っ立つ……」

 

なんでよ!?こういう時って謎の師匠キャラは定番じゃないのん?

 

「まぁ……成長って言っても、なんか超我欲まみれっぽいけどねー……」

 

「あー……」「まぁねー……」

 

智子の一言に、私と紗弥加は思わず顔を見合わせ苦笑い。

 

 

「……ね、ねぇ香織ちゃん!?わ、私のこと見えてる!?大丈夫?私、ココに存在してるよね……!?」

 

 

───1年C組トップカーストである我らグループの代表取締役でもあり、我が校の生徒会長の一色いろはは、3学期の頭から謎の変貌を遂げていた。

それは…………ってまぁいっか!なんかもう今さらわざわざ説明する必要もないですよねー。字数稼ぎかよ!?ってツッコミが入っちゃう前にヤメときますね。

キャッ!字数とか言っちゃった☆

 

「ねぇ香織ちゃん!?」

 

まぁそんなわけでどんなわけだよ。

ある1人の先輩以外にはほとんどあざとさを見せなくなったいろはは、現在来るバレンタインイベントとやらに向けて頑張って奔走しているのだ。

 

そのイベントってのは、つい数日前にアイツがあの部室で突然話を通してきたっていう、生徒会活動とはあまりにも無縁と思える、いろはを筆頭とする恋する乙女達の私利私欲にまみれたとんでもイベントである。

「ふ、ふぇぇ……む、無視はやめてよぅ……!」

 

ひひっ、「イベント決めて来ちゃったー!」ってワクテカで話して来た時のいろはのはしゃぎようは、マジで面白かったっけなぁっ。

恋する乙女心とは無縁の私でさえ、あのいろはがあんな表情が出来ちゃう恋とやらに、ほんのちょっとだけ羨ましさを感じちゃったほどにね。

 

…………にしてもさっきからなんか五月蝿いわね。

 

 

× × ×

 

 

キンコンカンと、日本中でお馴染みのチャイムの音と共に本日の昼食タイムが始まる。

 

私達、香織と愉快な仲間達&オマケ(襟沢)グループは、今日も今日とてクラス中の男子の視線を集めつつ、代表取締役を囲うように昼食の準備を進めていた。

 

本日のランチなのだが、どうやら社長からなにか一言があるっぽいんだよね。

別に「お昼に話あるからー」とかって宣言されてたわけじゃ無いんだけども、ま、朝からあれだけニヤニヤにゃーにゃーしてりゃあ嫌でも分かるっつの。

ホラホラっ、今も弁当箱開けつつ、早くネタを吐いちゃいたいのん!って顔してニマニマと私達を見渡してますよこの子ったら!

 

「あのさー、ちょっと面白情報があるんだけどー」

 

皆の弁当箱が開いた瞬間を見計らって、いろはが早速口を開き始めた。

やれやれはいはい。

 

「え、なになにー、なんか面白い話でもあんのー」

 

いいから早く話せよ……と思いながらも、語尾に(棒)が付いちゃいそうな勢いで一応聞いてあげる私って優しすぎると思うんですよね。

ふと見ると、襟沢以外の二人も私と同じような目でいろはを見てる。そして、どうやら面倒だからこの会話は私に一任したようだ。

ねぇ……私だってこのいろはの相手すんの面倒くさいのよ?

 

でも一人ワクワクキラキラした目でいろはの言葉を待っているエリエリちゃんは、こう見えて意外と純粋少女なのかも知れませんね、と思いました。

 

「えへへ〜、聞きたいー?」

 

イラッ☆

 

「いいから早く話してよどうせ比企谷関連なんでしょうが」

 

「な!?べ、別に先輩とか関係ないし!葉山先輩メインの話ですぅー!」

 

なんかいきなり茹ではすになって、手をぶんぶん顔をぶんぶん必死に弁明するいろはす。

 

……でたよ葉山ネタ。

いろはすったら、いつまでこのネタ引っ張るつもりなのかしら。

 

この一色いろはという女、比企谷先輩にベタ惚れな事なんて、とっくに私達にバレてるのなんて気が付いてるだろうに、未だに「わたし葉山先輩LOVEですがなにか?」って体で話を通してくるのよね。実にめんどくさいったらありゃしない。

 

なんなの?照れくさいの?振られた時の為の予防線なの?

あれだけ好き好きアピールをクラスメイト全員の前でしといて、マジでもう今更すぎでしょ……恋愛初心者かよ。

そんなんじゃ今に私が盗っちゃうゾ♪?

 

「はいはい葉山葉山。んで?葉山せんぱーいがどしたの?」

 

「チッ……」

 

……っ!?

ねぇちょっと!?聞きました?奥さん!

この子ったら舌打ちしましたよ舌打ち!!

嫌々ながらも付き合ってあげてる私に対して、なんたる仕打ちなんざましょ!

 

「……あー、なんかもう聞かなくてもいいかも知んな…」

 

「そんなに聞きたいのー?もう香織はしょーがないなぁ!ここだけの話だよー♪」

 

こっ、このヤロオぉぉっ……!

いやん!なんだかとっても屈辱的☆

 

いろはすの手によって、この私が如何にムッキー!としてるのかなど一切お構い無しに、この女はきゃるんと満面の笑顔で語り始めるのであった。

 

「えへへ〜!昨日奉仕部でさぁ、イベント決めてきちゃった!」

 

はぁ……まったくぅ……

どんなに面倒くさかろうがどんなにイラッと来てようが、そんなに素敵な笑顔で話し始められちゃったら、こっちもつられて笑顔になっちゃうじゃんよっ!

ふふっ、もっとも呆れ半分だけどもね〜。

 

 

× × ×

 

 

「なによ、唐突にイベントって……」

 

「は?時期的にバレンタインに決まってるじゃん」

 

いやいや!なんでそんなアホを見るような目で見られなきゃなんないの!?情報無さ過ぎて分かるわけないじゃんよ!

眼鏡っ子少年探偵がじっちゃんの名に賭けても真実にたどり着けないレベル。なんか死神探偵が混ざっちゃった気がする。

 

ったくよ……これだから女子トークは難解すぎんのよ……

あ、こう見えて私も意外や意外に女子でした☆

 

「…………やっぱもう聞かなくてもいいや…」

 

「でねでね!わたし昨日奉仕部に遊びに行ってたんだけどさー」

 

あっれー……?聞き手の意思は完全シャットアウトなの?

これ、勝手に喋らせとけばOKなんじゃない?別に相づち打たなくてもいんじゃね?

 

「……」

 

「ちょっと香織聞いてんの?」

 

相づちは打たなくちゃいけないのかよ。理不尽すぎんだろ、いろはす……

 

「……あー。うん。で?」

 

「でっさー、まぁ元々は先輩のチョコの好みをリサーチしに行っただけなんだけどー」

 

もう先輩にチョコあげる気まんまんなこと言っちゃってるよコイツ。

あんた葉山先輩という建前を全力で投げ出すの早すぎでしょ。

 

「そしたらね?三う……ある女子生徒が葉山先輩に手作りチョコ渡したいって依頼に来てさー」

 

一応依頼人だから伏せようとしたのはなんとなく分かるけど、もう三浦って名前は隠れてないからね?

ソースは隣で色めき立ち始めた襟沢の危険極まりない(具体的に言うと変態顔)表情。

 

「……でも、なんか葉山先輩って、女子からのチョコは受け取らない主義なんだってさ」

 

いやそこ「女子からの」ってフレーズはいらなくない?

絶対に腐った海に沸いた海老がホモチョコキマシタワーーー!とか言って鼻血吹き上げてたでしょ!?

にしても……

 

「……チョコ受け取らない主義ってのは……な、なんか徹底してんねー……」

 

チョコ受け取らない=よせよ!俺の為に争うなよ!!

なにそれカコイイ(白目)

 

「まぁそれはそれとしてどうでもいいんだけどさー」

 

どうでもいいのかよ。

あんたもう葉山先輩の事はこの際どうでもいいって言っちゃってるかんね!?

 

「じゃあどうしたら手作りチョコを後腐れなく意中の相手に食べてもらえるかなー?ってみんなで悩んでる時に先輩がいいこと言ったんだぁ!『……まぁ、言い訳があればいいんじゃねぇの。建前っつーか、受け取るのが自然な状況なら話は別だろ。バレンタインっつーんじゃなくて、試食してくれってことなら葉山も食うだろ、たぶん。知らんけど』…………ってねっ」

 

「ぷっ!なんかちょっと似てんだけど!」

 

 

「でっしょー!先輩のモノマネとか超余裕だからっ。このダルそうに目を腐らせるのがポイントなんだよねー。……なんなら、夜ベッドに入る前に軽く練習してるまである」

 

そう言いながら、またモノマネっぽくダルそうに言ういろはがなかなかに面白い。

あんたどんだけ大好きなんだよ。

 

「と!まぁそんな先輩の意見を参考にさせて頂きましてー、来るバレンタインデー!!の数日前に、コミセンにてバレンタインイベントならぬお料理イベントを開催するという運びとなりましたー!ちなみに私が提案して、即日企画書製作ハコ押さえ準備まではやっときました!副会長が☆」

 

「はー……」「へー……」「ふーん……」「すっごーい!」

 

約一名を覗いて気の無い返事をしたかのように見えますが、こう見えてみんな結構感心しておりますよ?予想外のいろはの行動力に。

そして副会長さんの頑張りに。御愁傷様です。

 

「やー、三浦先輩のこの依頼にはホントすっごい助かっちゃったんだよねー!伏兵的には、ライバル達に警戒されないよう、どうやって義理に見せ掛けた本命チョコを渡したもんかと悩んでたんだけどさー、これならこの“お菓子作り名人いろは”と呼ばれたこの私が、なんの制限もなく本気チョコを堂々と渡せちゃうんだもーん!えへへ〜」

 

誰もその通り名知らねーよ。そして三浦先輩って言っちゃってるよ。

あとさっき全力で投げた葉山先輩という建前は、今ごろブラジル辺りに到達した頃かな?

 

 

 

 

ホンっトこいつの行動力には驚かされるわ。

どこにも生徒会長の責務としての感情は一切!これっぽっちも!びた一文!見受けられないけどもっ。

 

でも目の前で、やる気に満ちたナチュラルスマイルをほんのり染めて「うし!用意頑張るぞー!」と小さくガッツポーズしてるいろはを見てたら、自然とこう思えちゃうのよね!

 

 

 

ふひひっ、ま、楽しそうだしなんでもいっか!

 

 

 

 

続く

 






本当にご無沙汰でございますあざとくない件でした!
前書きでも述べましたが、本当に沢山のご愛顧、誠に誠にありがとうございますっ(´∀`)



さて、今回のIf編なんですけども、御覧の通り【もしも香織が八幡に惚れてなかったら】というコンセプトで書いてみました。
まぁ厳密に言えば『ちょっと気になる男子』レベルでとどまってますね。
なので、かなり初期の頃の空気になってるかと思います。


これは、【もしもあの時、作者が香織短編を書かなかったら、あざとくない件はこうなっていたんだろうな】という私自身のIfでもあったりします。
実はずっと書いてみたかったんですよね、このIf。
なのでこの記念に乗じて書いちゃいました(・ω<)
お久しぶりの、乙女が仕事をしてないやさぐれ香織はいかがでしたでしょうか?



原作次第では、ヘタしたらこっちがあざとくない件の本編でいいんじゃね?
あっちはあっちでちゃんと締めてあるし。

なーんて事を思いつつ、後編または中編でまたお会いいたしましょう!



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。