最近友達の一色いろはがあざとくない件について   作:ぶーちゃん☆

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【番外編】最近宿敵の一色いろはがとっても気になっちゃう件っ②

 

 

 

今日も今日とていろはグループ観察日記!

さ、さすがに日記はつけて無いけどね!?これで日記とかつけてたら、まるで私ストーカーだよぉっ。

…………あ、また香織ちゃんと目が合っちゃった。

な、なんで香織ちゃんてそんなにゴミを見るかのような冷たい目で人を見られるの……!?

 

うん。でもでも!まだストーカーとかまでは見られてないハズ!

……こないだストーカーとかキモいとか言ってたような気がするけど、そんなの気のせいのハズだもんっ……!

 

「いろはなんか忙しそうだよねー。あんまりとも君の話も聞いてくれなくなっちゃったし」

 

 

「いや、そんなもん始めっから聞いて無いから。……んー、でも今かなり忙しいんだよねー。あと一週間くらいでフリペ完成させなくちゃなんないからさー」

 

「そ、そんなもん……」

 

「アレ?なんか二月中旬くらいまでは余裕あるとか言ってなかったっけ?……あー、兄貴のツテの印刷所の持ち込み期限的なアレでか」

 

どうやらいろはちゃんは、今季の余った生徒会の予算を決算までに無理やり使いきる為に、期間ギリギリで無理繰りフリーペーパーなるものを作ってるみたいなのよね。

で、以前クリスマスのイベントの時に印刷物を発注した時の印刷会社さんにお願いした所、入稿締め切りまでに余裕が無くなっちゃったみたい!

 

 

ちなみにその印刷会社さんってのは、紗弥加ちゃんのお兄さんが……ど、同、人……誌?とかなんかを刷る際にお世話になってるトコみたいで、紹介であれば安く済むかもって事でクリスマスの時にいろはちゃんが紗弥加ちゃんに紹介をお願いしてたのをたまたま聞いてたんだよねっ。“た、ま、た、ま”!

 

「そーなんだよねぇ……二週間でも厳しいと思ってたのに、掲載内容の監修やら確認の各所への手配、それによる修正反映諸々を考えたら、一週間くらいしか余裕がなさそうって雪ノ下先輩に言われちゃってさぁ〜……」

 

「……?」「……?」「……?」

 

……?

い、一体いろはちゃんは何の話をしてるんだろう……?香織ちゃん達の頭上にも疑問符がフヨフヨと浮かんでる。

な、なんかおおよそ女子高生の口から出てくるセリフとは思えないんだけどっ……!

い、いろはちゃん……意識高そうでカッコいい!

 

「まぁなんだか良く分かんないけど、印刷関係とかってシビアっぽいもんねー」

 

「いやいや、私は兄貴から聞いても良く分かんなかったけど、香織だけはそういうの詳しいんじゃないの?だってあんた中学ん時に同人誌がどうこうっぶぅっ!!」

 

「ちょちょちょっと紗弥加!?わ、私同人にまで手ぇ出してないんだかんね!?」

 

紗弥加ちゃんの頭をはたいて必死に否定してる香織ちゃんなんだけど…………たぶん香織ちゃんの趣味がクラスにバレてないと思ってるのは香織ちゃんだけだからね?

大体あの子、興奮するとそういうオタク用語?みたいなの、すっごい大声で叫ぶし……(笑)

 

「いったぁ〜……!ま、まぁ香織の残念っぷりはどうでもいいとしてさ、」

 

「残念っぷりって酷くない!?」

 

「大体そのフリペ?作りだって、予算云々はあくまでも建て前で、本当は例の先輩に頼る口実が欲しかったからなんでしょ?」

 

「ちっ、違っ……!た、頼りたかったんじゃなくて!……うぅ〜…………そ、そう!利用!わ、わたしに会長押し付けた責任とってもらう為に、キリキリ働かせて散々利用してやろうって思ってるってだけっ!もう先輩はわたしの奴隷みたいなものなのっ!」

 

はいはい。

 

「はいはい」「はいはい」「はいはい」

 

無意味と分かっていながらも、真っ赤になって一応否定してるいろはちゃんに対しての心のツッコミをしたところ……やたっ!またシンクロしちゃった!やっぱり私ってあのグループに合ってると思うのっ!

う〜、早くグループに交ざりたいよぅ!

するといろはちゃんは、ぷくぅっと頬を膨らます。最近はクラス内ではあんまり見せなくなった仕草だよねぇ。

 

「もー!はいはいってなによ、はいはいってー」

 

「だーからもうそういうのは想い人の前だけにしときな〜。まぁそういうトコ見ちゃうと爆発を望んじゃうからこっそりとイチャイチャしてね〜」

 

「んべぇーっ!」

 

いろはちゃん?そのべーっもあざといよ?男子がやらしい顔して見てるからね?

それにしてもあのグループは、いろはちゃんの想い人が誰なのかに関しては見てみぬフリをするみたいだけど、隙あらばからかう事は忘れないのよね。

ぐぬぬっ……なんか羨ましいぃっ!

私も早く交ざりたいっ!私も一緒にからかい合ったりしたいのにっ!

 

……とは言うものの、やっぱり私の中では、あの比企なんとかとかいう嫌われものの二年生の事は、まだ気に食わないままなんだけどっ。

だってぇ……私もグループに入るからぁ、グループの中心が慕ってるのが学校一の嫌われ者とかって、なんかグループランクが下がるっぽくて嫌だしぃ〜!

そもそもアイツさえ居なきゃ、私だってこんな目に合ってないしぃ〜!

 

「まぁなんにせよ、こないだのデートでさえもこの件の口実に使ってるくらいなんだから、頑張って甘えて、せいぜい利用すんだよ〜?ホントどこまでも計算ずくな女だねぇ、あんたはっ」

 

ニヤリと笑い掛ける香織ちゃんに、さらに悪そうなニヤリ顔でそれに応えるいろはちゃん。

 

「えへへ〜!まぁたっぷりとこき使ってやりますよー」

 

そう。あの顔なの!あの顔。

あの、今までは決して男子の前では見せなかった、あの小悪魔な笑顔!

あの、絶対に男に見せちゃいけないような嫌〜な笑顔を、平気でクラスで晒すようになってからのいろはちゃんは、なんだか無敵な気がする……!

 

ただムカつくから対抗心を剥き出しにしてただけのはずなのに、そんな一色いろはの全然違う魅力に気付き始めたのは、あの無敵になったいろはちゃんを見てからなんだっ。

私も……あんな風に変わって、いつかは三浦様みたいになるんだもんねー!

 

 

× × ×

 

 

「よし、今日も頑張ったし、明日もたっぷり熱視線送っちゃうぞおっ!」

 

帰りのLHRも終わり、ちょっとお花摘みしてきた私が荷物を取りに教室に戻ってきたときだった……

 

むんずっ!

 

「っ!?はぇ?」

 

席に向かおうと意気揚々と教室に入ろうとしたところで、私は何者かに首根っこを掴まれて、後ろ向きに廊下を引きずられて行く。

 

「ちょ!?な、なになにぃ??」

 

こ、恐いぃ!なんなの!?誰なの!?

……はっ!!もしかして最近落ち目の私に対して、調子にのってた頃に密かにムカついてた女子グループが、今こそチャンスとばかりに強制呼び出しなの!?シメられちゃうの!?暗黒時代に突入しちゃうの!?

 

いやぁぁぁ!スミマセンスミマセン〜!

こここ恐いよぅっ!土下座でもなんでもするから許じでぐだざぁぁぁい"っ!

 

 

私は心の中で泣き叫びつつジタバタして抵抗を試みたんだけど、結局そのまま引きずられて連れ去られてしまうのでしたっ……

ああ神様っ……憐れなわたくしめに簡易トイレを用意しといてくださいっ……

 

 

「襟沢、あんたさぁ、なに企んでんの?」

 

拉致られたまま階段の踊り場まで連れて来られた私は、恐くて相手の顔を見ることも出来ずに涙目で斜め下を凝視しながらも“相手に聞こえないように”小声でブツブツと呟いていた。

 

「……な、なんなんですかなんなんですか私あなたになにかしましたかこれは拉致監禁という立派な犯罪行為ですよ場合によっては訴えちゃいますからね……なんなんですかなん…」

 

「…………あんたなに一人でブツブツ言ってんの……?こえーよっ……」

 

ブツブツをリピートしかけた所に、もんのすごく呆れた様子の声が掛かる。

その声はとても聞き覚えがあり、恐る恐る顔をあげてみると…………あ、香織ちゃんだった。

 

「ふぇ〜、か、香織ちゃんかぁ〜」

 

「ど、どしたの?あんた……」

 

はぁぁ〜、び、ビックリしたぁ!相手が香織ちゃんだと分かり、一気にお腹の力が抜けていく。

神様!もう簡易トイレ大丈夫ですぅ!

 

「えっと、香織ちゃん、私になんか用なのぉ?」

 

「いやいやなんで急に横柄になってんのよ……」

 

ひぃっ!そのゴミを見るような目は勘弁してぇっ!

ちゅみまちぇんっ……!安心したらちょっと調子にのっちゃいましたっ……!

 

「あ、え、えっとぉ、どうかしたの……?」

 

思えば、香織ちゃんと二人で話すのなんて初めてかも。

どうしたんだろう。

 

「どうかしたのじゃないでしょ。あんたさ、なんで最近ず〜っと私らのこと見てんの?なに企んでんのかなって思ってさ」

 

「や!た、企むなんて!そんなこと無いよぉ」

 

「……企んでんじゃなきゃ、なんでずっと見てんの?すっごい気になっちゃうんだけども」

 

「そ……それはっ……」

 

ど、どうしよう!やっぱり私がジッと見てたのバレてたんだっ!(当たり前)

ここはいい機会だから仲間に入れて欲しいって白状しちゃうべきかなっ?

でもでもぉ、実は私って結構いろはグループに好かれてない気がするんだよね……(今更っ!?)

 

ここで急に仲間に!とかグループに!とか言っても、またゴミの視線を受けちゃいそうよね……

だったら……私は確かに仲間に入れてもらいたいし入るけど、それよりも前にしなきゃと思ってたことを正直に話してみよう……

 

「その……私……いろはちゃんに、まだ謝ってないからぁ……そのぉ……謝りたいなぁって」

 

「……」

 

「わ、私ぃ、いろはちゃんに泣かされてから……これでもすっごく反省したのよ……?それにちょっと格好良いなぁ……とか、優しいなぁ……とかも思っちゃったりなんかしてぇ……。んで、ちゃんと謝って、今度は仲良く出来たらなぁ〜……なんて」

 

恥ずかしかったけど、そこまではカミングアウトしてみた。

ど、どうでしょうか……?と、チラリと香織ちゃんの様子を伺ってみる。

 

「はぁぁぁぁ〜……成る程ねぇ。なんか今までみたいに敵に向けてくる視線とは違うと思ってたら、飴と鞭でデレたわけか……こいつチョロイン過ぎでしょ……」

 

デ、デレ……?チョロ……?

あ、あの〜……趣味の専門用語を使わないで頂けないでしょうか?

みんながみんなオタク用語が通じるとは思わないでね?

だから残念だって言われてんのよ。

 

「……あんた今失礼なこと考えたでしょ……」

 

「ひぃっ!べべべ別にっ!?」

 

な、なんで!?心読まれたの!?

 

「……言っとくけど、あんたすっごい顔に出まくるタイプだかんね……?」

 

「」

 

し、知らなかった……

うぅっ……お腹痛くなってきたぁ。

 

「まぁいいや。あんたから失礼な思考抜いたらただのまともな美少女になっちゃうもんね」

 

「それ褒められてるの!?けなされてるの!?」

 

香織ちゃんにだけは言われたくないセリフに嘆いていると、そんな私の嘆きを余裕で無視して香織ちゃんは私の肩をポンと叩き、とってもいい笑顔でアドバイスをしてくれた。

 

「うん。無理。諦めな」

 

「酷いっ!?」

 

 

× × ×

 

 

慈愛さえ感じるほどの笑顔で真っ向から否定された私は、それでも必死に食らい付く。

 

「なんで!?謝るのも無理なのぉ!?」

 

私の悲痛な訴えに、香織ちゃんは面倒くさそうに指で頬っぺたをポリポリと掻きながら答える。

 

「んー。無理だね。少なくとも今はまだね。今謝ったって、まぁ襟沢の望むような結果にはなんないと思うよ?……あんたがうわべの謝罪をして、いろはがそれをうわべで許す“だけ”でいいんなら、それで満足するんならいつでも謝りゃいいけどさ。……でもあんたの望みはそうじゃないんでしょ?そのあとに“友達になりたい”が付属しちゃうとなるとそうはいかない」

 

「なんで……?ちゃんと謝っても、うわべにしかなんないの……?」

 

「なんないね」

 

良く分かんないよぉ……

だって、私はちゃんといろはちゃんに悪いことしたって反省してるから謝りたいのに、それなのにうわべにしかなんないのぉ……?

 

「じゃあ聞くけどさ、襟沢はなんでいろはがあんなにドス黒さを出してまであんたにキレたのか理解してんの?」

 

「そっ……それは……私がいろはちゃんに酷いこと色々しちゃったから……?」

 

「ねっ、根本的な事が分かってないじゃん」

 

「へ?」

 

「色々な事なんていろはにとっちゃどうでもいいのよ。だってさ、あんた散々いろはに酷い事してきたじゃん?反いろはみたいに女どもで連るんで陰でビッチだのなんだの悪口言って笑い者にしてたり、コソコソと裏で糸引いて生徒会長に立候補させたりさ」

 

「……うん」

 

「でもさ、いろはは別に表立って怒ったりはしなかったじゃない?まぁ裏では中西君と仲良くしてるのをわざわざ見せびらかせて楽しんでたけど…………あ、やっぱダメじゃんあの女」

 

あれやっぱりわざとだったんだ!?

 

「んん!ん!……ま、まぁそれはそれとしてさ、あんなにまで嫌がらせされたのに、なんであんたに対してキレなかったと思う?」

 

「い、いろはちゃんの心が広かったから……?」

 

「ぶー!ハズレ。答えは……」

 

その答えを勿体ぶる香織ちゃんは、ちょっと意地悪な笑顔を浮かべたあと超真顔になった。

 

「あんたに興味ないから」

ぐはぁっ!

まさかの単純すぎる上に一番残酷な答えに、私は力なく崩れ落ちるっ……うぅ……ホントは薄々気付いてはいましたけどもぉ……

 

「そんな興味の無い、どうでもいいあんたにでさえも、いろはがあそこまで怒りを露にしたって事がどういうことか分かる?」

 

香織ちゃん……どうでもいいまで追加しなくても、すでに私は死にかけてますので……

 

「それだけいろはにとって、比企谷先輩は特別だって事でしょ?まぁ好き嫌いなんて人の自由だし、あの先輩は好かれる事の方が稀みたいだから、ただ嫌う分には別に構わなかったんだろうけど……」

 

香織ちゃんは、そこで一呼吸空けると私を一瞥した。

 

「あんたはなんも知りもしない人を、他人から聞いた噂だけで最低な嫌われ者だって馬鹿にした。それもいろはを陥れる為に利用する形でね。だからいろははあんなにも怒ったのよ」

 

 

 

『最低な人って言うけど、ちょっとでも先輩の事知って言ってるのー?なんも知んない癖に噂だけ信じて人を馬鹿にすんのって、ほんっとくだらないね』

 

 

 

いつかのいろはちゃんの言葉が頭を過った。

あの時のいろはちゃんの声と顔を思い出しただけでも…………うぅ……ちょっと……チビっちゃいそうっ……

 

「で、でも私はその事だってちゃんと反省してるもんっ……!」

 

「……じゃああんたは比企谷先輩のこと、今ならちゃんと分かってる?」

 

「……へっ?」

 

い、いろはちゃんに謝る事と、あの二年を分かってる事って関係なくない!?

 

「んー。たぶん襟沢はさ、比企谷先輩のこと未だに全然知らない癖に、『あの最低な二年が居なきゃ私は女王様のままで居られたはずなのに!学校一の嫌われ者の分際でマジ腹立つ!』とかって逆恨みしてんでしょ?」

 

ぐぅ!やっぱり香織ちゃんてエスパーなんじゃないのぉ!?

 

「まぁ知った上で嫌いなら嫌いでも全然いいのよ。でもさ?あの時と同じように、知りもしない癖に一方的に嫌ってる状態でいろはに謝ったところでさ、それであんたの気持ちが通じると思う?」

 

「……うぐっ!」

 

「そんなんじゃさ、本当の意味で“なんでいろはがあんなにまで怒ったのか”って理由は理解出来てないままじゃね?」

 

「う、うん……」

 

「そんなうわべの謝罪をさ、興味のないどうでもいい奴からされてみ?『全然気にしてないからもういいよー』って言われてハイお仕舞い。そのあとに関わることなんてなーんもない。ここんとこストーカーチックになってまで熱視線送り続けてるあんたの謝罪はこれでご満足?」

 

「…………」

 

違うっ!私が望んでるのはそんなんじゃ無い!

でもっ……じゃあどうすればいいのよぉ……

 

目に見えて凹んじゃった私に、なんと香織ちゃんは暴力を振るってきた!

 

「ていっ!」

 

「あいたっ!?」

 

ポカッと軽くチョップをしてきた香織ちゃんに、うー……っと両手で頭を押さえながら恨みがましい視線を向けると、今まで私には決して向けてくれなかった表情でニヤリと笑った。

 

「だから最初に言ったでしょ?“今はまだ”ってさ。だからさ、本気で謝りたいって思うんなら、焦んなくてもいいから、ちゃんとあんたなりに理解してから謝りにくれば?って言ってんの。なんでいろはが怒ったのかってこと!」

 

「私なりに理解してから……?そんなの、どうすればいいのか分かんないよぉ……」

 

「それくらい自分で考えなー」

 

香織ちゃんは背を向けて階段を降りていく。

香織ちゃんの言いたい事は理解出来たけどさぁ……じゃあどうしたらいいのかなんて、全然分かんないですぅっ……!

 

「あー、そうそう」

 

階段を降りながら、香織ちゃんは思い出したかのように教えてくれた。

 

「ぶっちゃけちゃうとさ、ホントは私も心配だったんだよねー。なにせ相手はあの噂の二年生。どんなにいろはが慕ってるって言っても、学校一の嫌われ者の噂が立つくらいの奴なんて、やっぱろくな奴じゃ無いんじゃないのかなってさ」

 

香織ちゃんは階段の中程で、振り向きもせずに言葉を紡ぐ。

 

「でもあの襟沢大泣き事件のあとさ、実はたまたま何回かいろはと比企谷先輩が一緒に居るとこ目撃しちゃったり、なんと一度だけ会話なんかもしちゃったりしてさっ。……少なくとも私はその数回見たり会ったりしただけで心配は無くなったよ。噂は噂でしかないってすぐ理解出来た。ちゃんといろはが夢中になった理由もなんとなく理解出来た。てかあのいろはの顔見りゃ分かるか」

 

すると香織ちゃんは振り向いて私を見上げた。

 

「まぁ散々聞き耳立ててるからどうせ聞いてると思うけどさ、なんか今日はフリーペーパーの仕事で比企谷先輩と二人で各部活回ったり写真撮影とかするらしいよー。だからもしかしたら普段よりも二人で居るとこに遭遇する確率高いかもよ?……一度さ、邪な気持ち抜きにして、比企谷先輩の事、んでその時のいろはの顔を見てみりゃ、なんか分かっかもしんないぜっ☆」

 

ニカッと笑顔でパチリとウインクすると、香織ちゃんはそのままゆっくりと下の階へと消えていった。

遠くの方で突然走りだす足音と「……やっべぇぇ!!部活遅刻じゃんかよぅー!いやん先輩にいたぶられちゃうぅぅー!」という悲痛な叫び声を残して……

 

 

ありがとぉ!香織ちゃん!

実は香織ちゃんて、とっても男前でとっても良い子なんだねぇ!

やっぱりちょっと残念だけどっ!

 

 

× × ×

 

 

比企……なんとか先輩かぁ……ホントに見ただけで何か分かるのかなぁ……?

前にクラスに来た時にいろはちゃんと話してた時は、もういろはちゃんを貶める事しか考えて無かったもんねぇ……

 

とはいえ、広い学校でそう易々と見付かるもんなのかなぁ?

一応近くに特別棟もある事だし、とりあえず文化部から見て回ってみようかなっ?

……と、思って二階の廊下をてけてけ歩いていた時だったのです!

ふと窓の外、中庭に目を向けると……

 

 

「い、居たぁ〜!?」

 

なんたる運命のイタズラか、そこには比企谷先輩といろはちゃんが、なんと葉山先輩を取材したり撮影したりしてる光景が広がっていたのですぅ!

 

 

 

どうやら神様は、簡易トイレよりももっと素敵な贈り物をしてくれたみたい♪

 

 

 

続く

 





サーセン。八色夫婦漫才が予定通り延びました。
予定通りなのかよ。


今回は香織回でしたね〜。普段は脳内テンションが高い主人公な香織ですけど、他視点から見た香織はいかがでしたでしょうか!?

そして次回こそはようやく八色夫婦漫才ですっ。
その夫婦漫才の盛り上がり次第で、3話予定の今シリーズがもう1話延びちゃうかもです><



今回のシリーズは実はエリエリ仲間入り編と見せ掛けた、久しぶりの原作舞台裏妄想『フリーペーパー編』だったのですっ。
香織視点ではあんまり触れる要素のなさそうなフリーペーパー編だったので、今回はエリエリに任せてみました(^ω^)


ただちょっと原作とは異なる所があるので、その相違点をば。

原作では、いろはすがフリペ相談→部活インタビュー&写真撮影までを同日に行ったようなフシがあったんですけど、こちらでは2日に分けてあります。


だって、原作では

いろはすが奉仕部に相談(この時点で、八幡が今日はそろそろ終わりにしてもいいんじゃない?と言ってる事から、部活動開始時刻からそれなりに時間が経ってると思われる)→いろはすが状況説明→(とりあえず説明後、生徒会室に資料とりにいったりしてる)→内容の会議→平塚先生に許可を取りに行く→奉仕部に帰って来てから中身の精査&実務開始→各部活への取材&写真撮影(この時点で各部活の部長に結衣がアポ取りを済ませてある)

までを1日目でこなしてるんですけど、それって実質的に不可能じゃね?って思ってしまったんですよねー……

二月だし、時間的にも取材&撮影の頃なんかもう真っ暗だろうし、大体部活開始からかなり経ってるはずであろう時間に、特に運動中の運動部の部長にすでにアポを取り付けてあるとか無理ゲーでしょ(白目)

というワケで、誠に勝手ながら取材&写真撮影は、フリペ作業二日目となっております!
け、決して取材&撮影が二日目の方が都合がいいワケじゃなかったんだからねっ!(吐血)

そ、そんなこんなでまた次回お会いいたしましょう!


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