最近友達の一色いろはがあざとくない件について   作:ぶーちゃん☆

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原作沿いってやっぱり大変ですね!
三話くらいで終わるとか言っときながら、なかなか終わらないです☆





【ifバレンタイン編】私の友達は憤慨し、そして決意する③

 

 

ひゃっはろー。その世紀末な雄叫びと共に現れた美女に、私は戦慄していた。

 

だって、となりでマナーモードになってる襟沢もさることながら、あの奉仕部のお三方が同時に顔を強張らせたんだもの。

これはただ事じゃあない……

 

「というわけで、今日の特別講師のはるさん先輩ですー!」

 

「どもどもはるさん先輩です」

 

いろはのお株を奪うかのようなあざとい返し、なかなかやりおるわ。

ふむ。どうやら普通にいろはが呼んだみたいだ。城廻先輩ともにこやかに会話している所から、総武高校の卒業生なのだろう。

 

超美人で人当たりも良く、人望もありそうなこのはるさん先輩とやらに、私は一体なにを恐れているのやら……なんて思ってたら、比企谷先輩がいろはをチョイチョイ手招きして不吉な事を口走りなさった。

 

「なぁ、なんでこの人呼んじゃったの?」

 

……うん。やっぱりかなりの危険人物のようです。

未だぶるぶると震える襟沢を横目で見ながら、このイベントはただ平和的には終わらなそうだな……と不安でいっぱいの家堀香織が現場よりお伝えしました。

 

それではスタジオにお返ししてこのまま帰りたいです☆

 

 

× × ×

 

 

しかし意外や意外、お料理教室がいざ開催されると、命のやりとりの食戟が始まるような事もなく淡々とイベントは進んでいった。

 

開始直後は私達の近くを通ったはるさん先輩が

 

『あっれー?エリエリちゃんだー。こないだ急に帰ったって聞いてビックリしちゃったよ。また今度一緒にいろはちゃん手伝おうね』

 

なんて声を掛けられて肩をポンと叩かれた時なんかは、ピトー様と初対面のラモットさん状態でヤバかったけど、そのあとはこちらに特に近寄って来るでもなく城廻先輩と戯れあったり雪ノ下先輩や比企谷先輩にちょっかい掛けに行ってるだけで、こちらとしては安全らしい。

もっとも襟沢はずっとマナーモードのままですけどもっ。

 

 

しっかしまさかあの美女があの雪ノ下先輩のお姉様とはねぇ。そりゃ恐ろしいオーラを放ってるわけだ……

しかもいろはが前に比企谷先輩の話をしてる時に出て来た年上の美人さんってあの人の事だよね!どう見ても比企谷先輩の事お気に入りみたいだしっ!

 

ちょっとマジで比企谷先輩の周りどうなってんのよ!?割り込む余地とかないじゃんっ!

 

 

いやー、私の略奪愛は前途多難ですわ………って別に略奪する気なんて無いですよ!?

ふふっ!私は待ちの戦法ですから。

 

 

たぶん永遠に待ちぼうけです☆

グスンっ!

 

 

× × ×

 

 

そんなこんなでお料理教室は更につつがなく進む。

 

ふむ!前はトリュフとかクッキーとか作ってみたけど、今日はガトーショコラかぁ。

 

我々は三年待ったのだ!!と叫びながらチョコをテンパリングしてると……あ、もちろん心の中でだけダ・ヨっ?

 

比企谷先輩が暇そうにウロウロしていた。

比企谷先輩も少佐の熱い名言を脳内で叫んでるのかな〜っ?なんて思ってチラチラ見てると(チョコ作り集中しろ私っ)、比企谷先輩がいろはのお菓子作りの手際に感心した様子で、へぇ〜……と声を掛けていた。

わ、私には!?(乙女仕事すんな!私っ)

 

 

「お前、マジで料理得意なんだな……」

 

するといろはは恨めしそうにジト目で先輩を睨めつける。

 

「先輩、わたしの言うこと疑ってたんですか」

 

まぁいろはみたいな今どき女子高生が料理得意とかにわかに信じがたいしね〜。

むしろ「やだ〜っ!わたし包丁恐〜いっ☆」とか言ってそうまである。

 

「いや、そうじゃないけど。……なんかすげぇなと思っただけだよ。結構頑張ってんだな」

 

頑張ってる?……あ、そっかぁ、比企谷先輩はいろはが葉山先輩にアピールする為に料理とかも頑張ってるって思ってんだもんね。

まったく!いろははホントおバカよね!

素直にアピールすれば、その頑張りが全部自分に向けられてるんだって、先輩も感動するってのにさっ!

 

するといろはは目を真ん丸にしてビックリしてた。

ホントあの子って比企谷先輩に急に褒められるのに弱いのよね〜!

 

「なんですか口説いてるんですか甘いものだけに甘い言葉を囁けばいけるんじゃないかとかちょっと考えが甘いのでもう少しよく考えて出直して来てくださいごめんなさい」

 

予想通りに照れ隠しの往年の名芸・振り芸の発動ですね。

でもオイオイ……「もう少しよく考えて出直して来て」って……断るどころか告白の出直し要求しちゃってるよっ!?いろはすったら!

いつも通り呆れ眼を向けている先輩のその一瞬の隙をついた衝撃的ないろはの攻撃はこうかばつぐんだ。主に比企谷先輩と私に。

私も大ダメージなのかよ。

 

「えいっ!」

 

いろはは一瞬の隙をつき、比企谷先輩の口に強引にスプーンをねじ込んだのだっ!

キャーッ!か、間接ちっすよ〜っ!

 

「先輩、こういう甘いの、お嫌いですか?」

 

じっくりと味わわせたスプーンを真っ赤に頬を染めた先輩の口からゆっくりとエロく引き抜くと、お得意の挑発的な笑顔で比企谷先輩に微笑みかける。

その表情は上目遣いで首をかしげるあざと可愛い仕草ながらも、口元はニヤリ小悪魔さを忘れない。

どうよ?とでも言いたげに控えめな胸を目一杯に張るその姿は、つねに比企谷先輩専用だよねっ。

 

「……嫌いじゃねぇけど」

 

「はぁ。別に味の感想聞いたわけじゃないんですけど」

 

照れ隠しで、味に対してなのか行為(好意)に対してなのか分からないような受け答えをする比企谷先輩に、はぁ……とため息をつくいろはだが、その眼差しは比企谷先輩の答えを待っている。

 

「それでも、答えは変わらんな……」

 

「……そうですか」

 

比企谷先輩の答えに満足したのかご不満だったのかは分からないけどフム……と考える仕草をすると、にこぱっと先輩に笑顔を向けた。

 

「参考になりました。じゃ、ちょっと行ってきますね。葉山せんぱーい!」

 

そう言うとクルリと背を向け、葉山先輩の元へと向かういろは。

 

しかし私は見逃さなかった!

比企谷先輩に背を向けた瞬間、頬を染めてにへら〜っと表情を緩めると…………はむっ!とそのスプーンを味見しやがったよあの子!

葉山先輩の元へと向かいながら幸せそうにはむはむし続けると、そのスプーンを大事そうにエプロンのポッケにしまって新しいスプーンを用意していた……

 

チクショウっ(血涙)!う、羨ましくなんかないんだからねぇっ(血涙)!お前らなんか爆発しちゃえよぉぉ〜!

 

 

しかしいろはが去ったあとの卓では、極寒の眼差しで茶色ではなく超!黒のチョコを味見させようとする雪ノ下先輩と、地獄のかまどから謎の液体をスプーンで掬い迫る由比ヶ浜先輩の恐怖の追撃が始まり、比企谷先輩はリアルに爆発しそうになってました。

ま、仕方ないですね。ええ、胸がスッとしました♪

 

 

× × ×

 

 

その後現れた平塚先生のおかげで比企谷先輩が救われていると、チッ……さらに新たなヒロインが登場したのです!

 

その幼女は綺麗な髪をツインテールにした超可愛い子で、「はーちゃんはーちゃん」と先輩の事を呼んですごく懐いていた。

いや、新たなヒロイン候補はそっちじゃなくて姉の方だろ。

 

だって!確かにその姉も比企谷先輩と親しいみたいなんだけど、その幼女をはーちゃんに預け……いやいやはーちゃんじゃないだろ!ど、どうしよ!?私無意識にはーちゃんとか呼んじゃったら……!恥ずかしくて即死!

 

んん!ん!と、とにかくその姉は比企谷先輩に幼女を預けてどっか行っちゃって、今まさに比企谷先輩と幼女が超イチャイチャしてんだもんっ!

 

 

なにコレ……?超癒されるっ!

最初比企谷先輩が幼女の頬っぺたをぷにぷにと突ついて遊んでたら、今度は「えいっ」と幼女が比企谷先輩の頬っぺたをつんつんと突つき返して、今はぷにぷにつんつんと突つき合ってるんですものっ!

はぁ〜……わ、私も交ざりたいっ……なんて素敵パラダイスなおさわりタイムっ……

 

 

ぷにぷにつんつん……ぷにぷにつんつん……ぷにぷ…

 

 

 

「……ねぇ、あんたなにしてんの」

 

姉の突然の襲来に比企谷先輩と私は冷や水をぶっかけられた!

いや私は見てただけです!はい。ちょっと妄想では交ざってました!

 

心の中で平身低頭土下座してしまうほど、この姉がまた恐いっ!

なにが恐いって、まだ保育園児くらいの妹にやきもちを焼いてるあたり。

 

 

いや、どうやらこの姉も重度のシスコンのようだから、やきもちとシスコンの板挟みな感じかな!

いやんすっごい複雑ぅっ!

 

すると幼女は比企谷先輩の腰あたりにひしっと抱き付いて離れない。

さすが幼女先輩!そのポテンシャルを如何無く発揮していらっしゃる!勉強させて頂きます!私も幼女になりた〜いっ!

 

「さーちゃんもやる?」

 

と、なんの穢れもない純粋な眼差しで危険極まりない台詞を吐くと、姉は真っ赤な顔で拒否し幼女先輩をひっぺがし、比企谷先輩と二言三言会話を交わすと雪ノ下先輩達の卓へと加わっていった。

 

 

どうしようこのお料理教室……心が休まる時が無いんですけど……

 

 

× × ×

 

 

しばらくすると、また新たなる珍客がっ!

それは比企谷先輩を狙うヒロインズ最強のライバル……そう!天使先輩のご登場である!

 

「八幡!」

 

ぱぁっと純粋無垢な笑顔でとてとてと比企谷先輩に近づくそのお姿はまさに天使そのもの!

城廻先輩と戸塚先輩の二人が居れば、世界は救われるんじゃないかしらっ!

 

なんかその後ろから「はちまーん!はぽんはぽん」とか聞こえる気がするんだけど、アレ隠れオタ的にヤバいヤツや……

たぶん触れたら私的に地獄を見そうだからオールスルーな方向で……

 

てかああいうのが居るから私みたいな健全?なオタ(オタクとは言ってない)が世間様からコソコソ隠れなきゃなんないんでしょうがっ!てか比企谷先輩交友関係特殊すぎっしょ!

 

 

 

どうやら天使先輩は平塚先生のお使いとして、有名高級チョコの差し入れに来たみたいだ。

バレンタインチョコ作りのお料理教室に高級チョコの差し入れとかどんな嫌がらせだよ。まぁお高くて普段食べられないようなヤツなんで頂きますけどもっ?

私こう見えても女の子なので。

 

そういえばはるさん先輩と平塚先生は仲が良いらしく、チョコを酒のツマミにするだのしないだので盛り上がり、「今度飲みに行こうよー」なんて騒いでいたのだが……なんとはるさん先輩の魔の手が比企谷先輩にも忍び寄った……

 

「あ、比企谷くんも来る?お姉さんたちと一緒に飲もうぜぇ」

 

な!なんですとぉ!?美人女子大生が健全な男子高校生を飲みに誘うとは、なんとエロ破廉恥なっ!

比企谷先輩!逃げてぇ!

 

すると比企谷先輩は……

 

「俺は未成年ですよ。酒はダメなんで、オレンジジュースください」

 

 

ブフォッ!………比企谷先輩!食べてる時に急にネタを挟まないでっ!?危うく戸愚呂(兄)が口から出ちゃうトコだったわ!

なんか平塚先生プルプルしてるしヤバい人は大爆笑だし、私あの人たちの仲間に見られたくないのよぉっ!

 

 

私は隠れて腹パンしながらなんとかその危機を脱したのだった……

なにこのお料理教室……マジで命のやり取りじゃないのよ……

 

 

× × ×

 

 

しっかし今日は次から次へとヒロイン候補が現れる日ですなぁ……

マジでぼっち(笑)だよね、あの人。

 

 

しかしこの時香織はまだ知らなかったのだ。

この新ヒロイン四天王の中では、ヤツらなどまだまだ小物……と影でほくそ笑んでいる四天王最強の小学生ヒロインが居るのだという事に……

 

 

などと脳内では訳の分からない設定に銀河万丈大先生が素敵な声でナレーションをあててくれては居たものの、当の私は色々ありすぎて精神的に若干お疲れ気味だったので、休憩スペースの自販へとジュースを買いに向かっていた。

 

 

すると先にトイレか何かで調理室を出ていた比企谷先輩と偶然にもかち合ってしまったのだったのだっ♪

いやホントに偶然ですから!

 

「おう、家堀おつかれさん。まさかお前まで来てるとは思わなかったわ」

 

ひぃっ!前にいろはが言ってたけど不意打ちとか超反則!やっばいやっばい!!赤くなんなよ私っ!

 

「おお疲れさまでしゅ……す、比企谷先輩。い、いやー、いろはのヤツ強引なんで断り切れじゅにちゅい〜……」

 

よしっ!よく頑張った私!………いやいや噛みまくってっからぁっ!!先輩怪しんでますからぁっ!

 

「お、おうそうか。あいつはホントにしゃあねぇな……でもまぁお前もお菓子作り得意だもんな」

 

 

………へ?

 

「………へ?」

 

「……ああそういやまだお礼言ってなかったっけな。……まぁ、その、なんだ……家堀に貰ったチョコとクッキー、なかなか旨かったわ。サンキューな」

 

そういうと恥ずかしかったのか真っ赤になって頭をがしがし掻いて、ててっと調理室に行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………反則すぎる……………っ☆

 

 

 

うわぁぁぁぁっ!マジで反則すぎるぅっ!

なにあれなにあれ超嬉しすぎるんですけどぉぉぉ!

うおぉぉぉっ!比企谷先輩が美味しかったって言ってくれたよー!おかーさーんっ!!

 

はぁっ……作った物を好きな人に美味しかったと言ってもらえる喜び……癖になりそう……

私も料理頑張っちゃおうかなっ……世界三代珍味は育てないけどっ……

 

 

と、一人夢見心地で悶えに悶えていると妙な視線が……

またかよ……と恐る恐るその視線の方向へと顔を向けると……

超ニヤついた顔の襟沢が壁に隠れて覗いていやがった……お前いつの間に復活してたんだよ。

 

「や、やぁ〜……良いモノ、いや複雑なシーンを目の当たりにしちゃったよぉ、香織ちゃんっ…………うへへ……ど、どうすんの?どうすんがっ!?………」

 

 

私は、優しく包み込むようにアイアンクローを食らわせてそのまま優しく締めあげたのっ☆

 

 

 

× × ×

 

 

優しく襟沢を落とすと、そのまま調理室へと帰ってきた。

そこで私を待っていたのは、新たなる事件の幕開けだった……

 

「あたし比企谷にチョコあげたことあったっけ?」

 

 

ピシィッ……昔比企谷先輩となにかあったらしいその女子生徒のその一言で、調理室内にはいまだかつて無いほどの緊張が走った。

 

 

 

マジでどんだけ波瀾万丈なんでしょうか………このイベント……

 

 

 

 

続く

 





今回もありがとうございました!


今回はまさかの原作のセリフそのままの八色夫婦漫才という暴挙をやってしまいました!
だって……この原作だと、夫婦漫才があそこくらいしか取れないんですものっ……


そしてめくるめくキャラの入れ代わり立ち代わりに血反吐を吐く思いです><
やっぱり原作沿いって大変!
やはりこの原作を使ってのあざとくない件執筆は無理があったのか……orz


それではバレンタイン編④でまたお会いしましょう(涙目)

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