最近友達の一色いろはがあざとくない件について   作:ぶーちゃん☆

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どうも。完結詐欺に定評のあるあざとくない件です。


いやホントにスミマセン……
心の底から反省しておりますm(__;)m
まだ前シリーズ終了から二週間も経っていないというのに……

なぜ完結詐欺の謗りを受けてまでもまたまた書いてしまったのかは後書きで語りますっ><


それではお楽しみくださいませ!


※こちらは本編ではなくifな物語になります。




【ifバレンタイン編・序章】その日私の友達の運命の歯車が回りはじめる

 

「ねーねー、今度の日曜日、みんなでウチでお菓子作りしない!?」

 

 

いろはのこの唐突な提案により、私達1年C組トップグループ4人+オマケ1人によるお菓子作り大作戦が決行される事となったのが今から数日前。

 

 

私、家堀香織を含む美少女5人組は、グループの中心である友達の一色いろはの家に大集合し、甘いスウィーツバトルの開幕を今か今かと心待ちにしている最中なのである!

 

 

いやただのお菓子作りの練習会ってだけのお話なんですけどね☆

 

 

 

刻は2月半ば。

そう。お菓子作り練習とは名ばかりの、恋する乙女達の一大イベント!バレンタインチョコ作りの練習&作戦会議なのであるっ!

 

 

× × ×

 

 

「ホントに私まで参加しちゃって良かったのかなぁ?私いろはちゃんち初めてぇ!」

 

参加しちゃって良かったのかなぁ?……だと?

お前、いろはのあの提案聞いた瞬間、仔犬みたいにいろはに懇願の眼差し向けてたじゃんよ。

 

「私あんまり料理得意じゃないから去年は市販品しかあげられなかったんだ〜!いろはのご教授楽しみ〜っ!とも君喜んでくれるかな〜」

 

お前は豊満バディにチョコ塗りたくってリボンでも巻いてろよ。

二人でチョコまみれになりながら爆発しろ。

 

「私と香織は別に来る意味無かったよねー。うちらのファンにでも配っちゃう?……いや、んなのチロルでいっか」

 

うっさい。余計なお世話だ!てかチロルさん舐めんな。

 

それに私は、ちょっと渡そうかな……?とか思ってる人居ますしー!

あくまでも単なるお礼ですよ!?本とか借りちゃったりしてるしさっ!

ま、まぁ誰に?とはこの場では言いませんけどもっ!

 

うーん……でもさすがに手作りはやり過ぎかも……いろはには絶対言えないし……

 

 

「まぁあげようがあげまいが、お菓子作りって楽しいし女子力アップで男ウケいいし今後絶対役に立つよ!とにかく始めよーっ!」

 

どう考えても後者の理由でお菓子作りを趣味にしているいろはすの掛け声で、私達の甘いスウィーツバトルが開幕するのだった。

 

 

× × ×

 

 

「ところでみんな普段料理とかする?腕前に自信ある人〜」

 

「私結構自信あるかもぉ!たまにクッキーとかケーキとか自作しちゃうしぃ!パパもすっごい喜んでくれるよぉ?」

 

おっと!元女王様もどきが意外な女子力を発揮っ!

こいつ意外と乙女ポイント高かったりすんのかな……

ちなみにパパってリアルなほうですよね?

……あ、こいつこう見えて恋愛脳レベルは小学生クラスだから心配ないか(笑)

 

「さっきも言ったけど私は〜……」

 

だからお前は塗っとけ。

 

「乙女レベルの低いうちらは言わずもがな……だね」

 

いやだから紗弥加さん?さっきから私を仲間に引き入れようとしないでっ!

でも……

 

「ええ。言葉もございません」

 

はいはい乙女仕事してませんよー。

 

「じゃあ普段から経験あるのは恵理ちゃんくらいかー。でもせっかく集まったのに、チョコ溶かしてハート型の型に入れて固めただけの手作りかっこ笑いを、『はいっ♪手作りチョコだよっ☆』ってのは痛いもんねー」

 

てかあんたの『はいっ♪手作りチョコだよっ☆』って言い方がすでに手作り感満載ですよ。

 

でも確かに……!既製品溶かして固めただけのモノを手作りとのたまう女の痛ましさは異常。

それを貰う男も対応に困るっての!

 

「やっぱ手作りチョコといえば、簡単なのに手が込んでるように見える代表格のアレがオススメかなー」

 

「うん。そーかもぉ」

 

料理出来ます乙女組が顔を見合わせて頷き合っている。

チッ!ちょっと乙女が仕事してるからっていい気になりやがって襟沢め!

 

「と、言うワケでー、みんなにはトリュフ作りに挑戦してもらいまーす」

 

 

ト、トリュフ!?あれって簡単なの!?

サボり乙女に定評のあるこの私にも作れるのかしらん?

 

 

× × ×

 

 

結論から言うと、トリュフってかーんたんっ!

 

「まずはお湯沸かしてチョコ溶かしまーす」との号令のあと板チョコを熱湯にブチ込んだ紗弥加のお約束があったり、なんにも考えずに溶けたチョコに生クリームをドバドバ入れすぎてチョコレートドリンクを作り上げてしまった智子を尻目に、なんと私の作ったトリュフは超キレイに仕上がったのだっ!

 

いやなんてーの?

『一色いろはの友達の私が意外と乙女な件について』

やばいもう1作書けそう。

 

うん!食感も大変よろしく美味しゅうございます。

美味でありますぅ〜!

 

 

いやん私ったら興奮しすぎ!かおりんがグルコサミンを大量摂取してメルヘンチェンジしちゃう勢い。

 

 

でもさすがにお菓子作りが趣味と公言してるだけあって、いろははちょっとレベルが違うな。

私達……主に紗弥加と智子が苦戦を強いられている中、自分は自分の分の何種類かのチョコ菓子をテキパキと作っている。

そしてその脇にはお菓子に練り込んでいるのであろう千葉県民御用達のあのエナジードリンクが数本。

 

そのお菓子って美味しいの?

 

 

いろはすにはかなわないものの、襟沢もなかなかの手際でチョコ作りを進めている。中西くんにでもあげんのかね〜?

彼は今ごろ抜け殻のようになってるから、意外とチャンスかもよぉ?

 

ま、まさかあんたまであの先輩にあげようとか思ってないよね!?

まぁグラスハートの襟沢には無理か!なにせ敵はひとりひとりが魔王軍みたいなもんだからね☆

 

てか私は渡せるんだろうか?バレたらマジやばいっ。テヘッで誤魔化せられないレベル。

 

 

そうして私達は、紗弥加と智子の作った危険な香りがする“モノ”以外のチョコをお互いに味見しあいながら、甘いスウィーツバトルは終結するのだった。

 

 

うん!紗弥加は別にあげる予定がないからいいけど、智子は本番までにはもっとガンバレっ!リアルに塗ることになっちゃうよっ(ゲス顔)

 

 

× × ×

 

 

「ふ〜っ……お腹いっぱ〜い……」

 

甘いもん食べ過ぎてみんなグッタリ……

なんだか最終的にはいろはのチョコの味見をする会みたいになってた事に今気付いた。

 

はっ!まさか元々それが狙いだったの!?

いろは恐ろしい子!

 

お口直しに温かいストレートティーを飲みながらみんなでまったり放課後ティータイムを過ごしていると、さっきから黙り込んでたいろはがふぅ〜っと深く深呼吸をすると、急に佇まいを正して口を開く。

 

 

「えー……皆様にご報告があります……!本日集まって貰ったのはほかでもありません……!」

 

いや、ほかでもないも何も、目的はチョコ作りだろうよ。まぁ味見させるのが真の目的なのかも知んないけどさっ!

 

しかしいろはは顔を林檎のように真っ赤にしながらも、真剣な顔を私達に向ける。

んじゃあ、茶化すわけにもいかないか。私達は顔を見合わせて頷き合うと、いろはに向き直った。

 

みんなの視線が集まったのを意識したいろはは、そっと目を閉じると決心したように「うしっ!」っと小さくガッツポーズをし、みんなの目をしっかり見てから語りだす……

 

「……実は……今、わたしには……好きな人が居ますっ……」

 

うん……だろうね。

 

「……それはみんなが知ってる葉山先輩とかなんかじゃなくって……もっとカッコ悪くてもっと情けなくてもっと嫌われもので………そしてもっともっと素敵で優しい人ですっ……」

 

知ってるっての。

 

「てかいろは今さらすぎー。まさかバレてないとかトボけたこと考えてなかったよねーっ」

 

真っ赤な顔で泣きそうになってるいろはを、紗弥加が場を和ませるように茶化す。

 

「ホントだよぉ!私がいろはちゃんにケチョンケチョンにされちゃった日から、みんな普通に知ってるってぇ!」

 

襟沢も自身のトラウマを交えさせて泣きそうないろはに笑いかける。

 

「てかこれでバレてないとか思ってたとしたらマジウケるし〜」

 

のんびり屋の智子の一言で場が一気に安らぐ。

 

「……うっさいなっ……!バレてることくらい分かってるってのっ!……ただちゃんと口に出すのは初めてだからっ」

 

なにこの恋する乙女は。

そんなにモジモジしてないで、もっといろはらしくシャキとしなさいなっ!

だから私はこう口にしてやった♪

 

「んじゃあいろはさん!そんな愛しき想い人のお名前を、ここに発表していただきましょーっ!」

 

「いぇーいっ」「いぇーいっ」「いぇーいっ」

 

私達4人の顔を恥ずかしそうに見つめコホンと一発咳払いっ。

ふぅ〜っとため息をついて顔をあげるとにひっと笑う。

 

 

 

「わたし総武高校1年C組生徒会長一色いろはは、二年F組奉仕部備品のっ、比企谷八幡せんぱいの事がっ!大っ好きだぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

 

真っ赤な顔で涙に濡れながら、私達の友達は私達の前で初めてそう高らかに宣言するのだった!

 

いや備品って!

 

 

× × ×

 

 

今いろはは目の前で激しく後悔している。

元々私達に所信表明演説をするつもりだったにしても、涙ながらに叫ぶってのはやり過ぎだったらしい。しかも自宅(笑)

 

「うう……盛り上がりすぎてやっちゃった……」

 

いろはのお父さんもお母さんも私達に気を遣って別室に行ってるけど、確実に自分の娘の魂のシャウトを聞いてるしね!

 

「ま、まぁやっちまったもんは仕方ないじゃん?私達も面白いもん見せてもらって満足だし!」

 

紗弥加……追い詰めんなよ……

 

「うう〜……」

 

真っ赤ないろはすはトマト味?

いいえ、いろはすはトマト味でも透明です。

 

よし!とりあえず聞いてみるか。なんで急に宣言する気になったのか。

 

「で?わざわざ宣言したってことは、ついにバレンタインでなんかするつもりなの?」

 

「うーん。まだ分かんない。あまりにも敵が強大すぎるからさ……先輩にとっての本物は……わたしじゃないし……でも本物になりたいし……でも先輩には本当の本物を手に入れてもらいたいし手に入れさせてあげたいし……」

 

 

本物……か。

 

そういえば度々出てきたワードだよね。

クリスマス前の、葉山先輩に告白する前の情緒不安定だった時にも言ってたし、比企谷先輩との夫婦漫才の時も言ってたっけ。

 

よく分かんないけど、比企谷先輩といろは……違うか。比企谷先輩“達”といろはにとって、特別な意味をもつ……そんな言葉なんだろう。

 

「だから……自分でもどうしたらいいか分かんないんだ〜……負けたくないけど……でも負けることが先輩にとっての幸せなのかな……とか」

 

いろはが……あの一色いろはが相手の為に身を退くっての!?

 

「いやまぁ、ほぼ負けは確定してるから、負けることが……なんて偉そうなこと言える立場じゃないんだけどねー」

 

やめなよいろは……そんな痛々しい笑顔すんの……

 

「端から見ててもあんなに頑張ってたのに、戦う前から諦めちゃうの……?」

 

「諦めたくなんか……ないよ……先輩にとっての本物はわたしじゃなくても、わたしにとっての本物は先輩なんだもん」

 

だったら……

 

「今度のバレンタイン、生徒会主導でイベントやるんだ!……で、いつものように先輩には助っ人をお願いしてる。その結果がどう転がるのかなんか全然分かんないけど、それでも…………それでもこのバレンタインで、なにかが変わりそうな気がする。わたし達の関係性とかが色々と。なんにもしなきゃこのまま終わっちゃいそうな気がするんだけど、だからこそ……わたしらしく最後まで悪足掻いてみたい!」

 

とっても不安そうに、でも精一杯の気合いを込めてそう宣言するいろは。

 

「………そっか。がんばんなっ!」

 

そして私達はいろはに向けて最大級の笑顔を向けて、グーっ!と親指を立てた!

 

「安心しなっ!骨は拾ってあげるからっ!」

 

「ひどいっ!?」

 

 

 

 

 

恋する乙女達の希望と絶望を乗せて、時間は無情にも刻を刻み続ける。

 

バレンタインまでわずか数日。ついに……ついに運命の歯車が動き出す……!

 

 

 

 

続く

 




いや本っ当にスミマセンでした……

11巻の表紙とあらすじを見てたらどうしても書きたくなってしまいました……
気になって仕方なくなるから、あえて検索しないようにしてたんですけどねー(--;)


かねてからの予想通り11巻の表紙がガハマさんだったので(ラスト前がガハマさんでラストがゆきのんだとずっと思ってたので……)、本当に佳境なんだな……と感極まってしまいました><

そしてあらすじを見る限り奉仕部を取り巻く面々の関係性にもついに変化が訪れそうで、もうあざとくない件も気軽な気持ちでは書けなくなるかも知れません……!


なので、もう書きたくて書きたくてゆうべ寝る間も超惜しんで、いろはすの告白を書き上げてしまいました!
てか今まさに寝不足で書き上げて、いつものように19:00に予約している所です!ね、眠い……

この先の展開はホントに11巻次第です!


でももしかしたら、ここから分岐させちゃうのも……アリなのかも知れないですね。
なんかもういろはすに愛着湧きまくりで、せめてここでくらいは幸せになって欲しい(;_;)


そんなこんなで、作者同様11巻の発売を心待ちにしましょうねー!(早く読みたいような読みたくないようなっ!)それではまた!

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