最近友達の一色いろはがあざとくない件について 作:ぶーちゃん☆
お久しぶりです!
今回は変なテンションで書いちゃったのでホントにおまけレベルです。
しかもコレ今回ヒロインいろはすじゃ無いですね(汗)
暖房の効いた教室を出て、冷え冷えとした廊下を二人並んで歩く。
行き交う生徒達は自身の所属する部活へと、あるいは帰宅のため友人や恋人の待つ場所へと思い思いに歩を進めている。
2月も中盤へと差し掛かったある日の放課後、私は友達の一色いろはと共に生徒会室へと向かっていました。
「ホント助かるよー。生徒会ってなんだかんだ言って常に人手不足なんだよねー。特にこの時期は一番ヤバいみたいでさ。もちろん先輩はこき使うにしても、恵理ちゃんがお手伝いを買って出てくれたのは超助かるよー。副会長達も大歓迎だって喜んでたし、先輩にも友達がわざわざお手伝いに来てくれるですよーって自慢しちゃった!へへーっ」
「んーん?どうせ私部活やってなくて暇だしぃ、今のうちからそーゆーの慣れとくのもいいしねぇ!」
私、襟沢恵理は総武高校に通う一年生です!
そして隣で私とお話しているお友達の一色いろはちゃんは、なんと一年生にして生徒会長なの!
まあなぜいろはちゃんが一年生にして生徒会長になったのかの経緯は、この際割愛させていただきます……
実は私、このいろはちゃんが大嫌いだった時期がありました!
ま…、まぁつい最近までの事なんですけどねっ☆
このいろはちゃん。元々恵まれた容姿のクセにさらに男子に媚を売って男ウケ狙ってて、とっても嫌なカンジだったんだよねぇ……。
でもある時期から急に真面目になっちゃって、それでもあんまり面白くなかった私は、いろはちゃんに意地悪をしちゃったんですよ……。
そしたら……、それはもうこっぴどくやり返されてしまって、私、自分がチキンでヘタレだったんだって思い知らされちゃったんですっ……。
それなのに、意地悪しちゃった上に勝手に凹んだ私に優しくしてくれて、友達にまでなってくれたいろはちゃんには本当に感謝!
その経緯はいろはちゃん達とは多少認識は違うかもだけど……
そんな強くて器の大っきないろはちゃんを見習って、いろはちゃんが成長した要因である生徒会のお仕事を手伝ってみたいなぁ…って思ってたら、こんなに早くチャンスが巡ってきたんだよね〜!
正直生徒会のお仕事を手伝うという事は、自動的にあの雪ノ下先輩ともお近づきになってしまう可能性が高くて、不安で不安でお腹痛いんだけど、あの環境で一生懸命頑張っていろはちゃんみたいな強い女になって、少しでも憧れの三浦様に近付けたらいいなっ☆って思ってます!
× × ×
「あー!いろはちゃんだ〜。いつもご苦労さま!今日もよろしくね〜」
「あっ!城廻先輩こんにちはー。今日もよろしくお願いします!」
あっ!この人、前生徒会長の城廻先輩だっ!
近くで見るの初めてだけど、なんかぽわんぽわんしてて噂通り可愛い人だな〜。
月末の卒業式の準備に向けて、生徒会を引退したのにまだ手伝ってくれるなんてホントにいい人!
ちょっと猫被ってる時のいろはちゃんに雰囲気似てるかもっ!キラキラ具合は別物だけどね〜(笑)本物と偽物の違いってやつ?
おっと!悪い癖はダメ!もう昔みたいにいろはちゃんに嫌な気持ち持たないようにしなきゃっ!
「いろはちゃんっ!こちらは?」
「あ!この子クラスメイトの襟沢恵理ちゃんって言うんですー。生徒会の仕事色々と手伝ってくれるらしくって」
「本当〜?わ〜、すごく助かるよ〜!ありがとうねっ、襟沢さんっ」
「いいえ〜、とんでもないですぅ!私ぃ、いろはちゃんのお手伝いを通じて成長したいなぁって!」
「それでこの子、次の生徒会選挙に立候補して、わたしの補佐もしたいって言ってくれてるんですよー」
わー!いろはちゃん急にそんな事まで言われちゃったら恥ずかしいよー!
そしたら城廻先輩はとっても嬉しそうな顔で私の手を握ってきてくれました!
「ホントに〜!?わ〜!すっごく嬉しいよ〜!いろはちゃんと一緒に総武高をよろしくねっ!襟沢さん達が居てくれるなら、私卒業してからもたくさん遊びにくるよっ」
はわ〜!なんかいいな〜!こういうの!
雪ノ下先輩の事でちょっぴり不安だったけど、こんなに優しい先輩と友達のいろはちゃんが居てくれるんなら、生徒会活動もすっごく楽しいものになりそう!
× × ×
「あっ!めぐり〜!遅れてごめーん!」
とっても和やかな雰囲気の私達に近付いてくるすっごい美女。
こんな美人のお姉さんはどちらさま!?
「あっ!はるさん!ご苦労さまです〜」
「あっ!はるさん先輩!ご無沙汰してますー!今日もご苦労さまです」
「おや?いろはちゃんだ!やっはろー」
どうやらこの美女はいろはちゃんとも顔見知りのようですね〜。
「いや〜、めぐりから聞いてるよ?いろはちゃん生徒会長がんばってるらしいじゃん!」
「そうなんですよー!いろはちゃん、すっごい頑張ってくれてるんだよね〜」
「いえいえ、そんな事ないですよー!若輩者なんでいつもいっぱいいっぱいです」
わ〜、なんかいろはちゃん、こんな美人のお姉さんとも普通に接してる!
どんな相手にも物怖じしないのって憧れちゃうなっ。
「ん?そういえばこっちの子は?」
ヒッ!急にこっちに話が来たっ!
ダメよ!恵理!物怖じしないで!
「あっ!あのぉ……、初めましてぇ。私いろはちゃんの友達の襟沢恵理っていいますぅ」
「襟沢さんね〜、これからの準備とか手伝ってくれるらしいんですよ!しかもっ!次の生徒会役員候補なんですよ〜」
ぱんっと両手を合わせて、城廻先輩がとっても嬉しそうに紹介してくれました♪
「へ〜!やる気いっぱいだねぇ。え〜と襟、襟……、まぁエリエリちゃんでいっかな?私は陽乃でいいよ」
「はいっ!よろしくお願いします!えっとぉ、陽乃……先輩……でいいのかな……?」
「はるさん先輩はね、二年前の卒業生で、伝説の卒業生って言われてるくらい有名な先輩なんだよー」
ふわ〜……伝説の卒業生ですか〜!そりゃこれだけ綺麗でこれだけ人に好かれそうな人なら、伝説にもなりますよね〜!
ホントすっごい素敵な人っ!
「いろはちゃん、いくらなんでも伝説は無いよー。なんかそれじゃ私がすっごい古そうじゃん」
「すっ!すいません!はるさん先輩っ……」
……………あれ?
なんかすごい違和感……
陽乃先輩こんなに笑顔なのに、なんでいろはちゃんこんなにびくびくしてるんだろ?
「やだなぁ!別に畏まって謝るような事じゃないじゃない!…………あれ?そういえば今日は比企谷くんは?」
「あ!先輩ならあとでもちろん連れてきますよー」
「比企谷……先輩?」
あれ?陽乃先輩って、もしかして比企谷先輩とも知り合いなのかな。
「ん?エリエリちゃんも比企谷くん知ってるの?」
「あ!そんなに知り合いって程では…」
「この子、最初は先輩の事、超悪く言ってたんですよー♪」
ちょっ!?いろはちゃん!?それは言わない約束よ!?
そ、それに初対面の比企谷先輩のお知り合いにそんな事言っちゃったら……
「あはは〜!そりゃそうだよねー!比企谷くんいっつも超ヒールだもんねーっ」
あれ?別に大丈夫だったみたい!
「でもこの前ー、しつこいナンパに助けて貰ってから、結構いい人だよね〜!なんて言うようになっちゃったんですよー」
そうなの!あれ以来、私の中で比企谷先輩株が急上昇なんだよね!
あんなに最悪な人とかって馬鹿にしてたのにホントにいい人だった。今ではいろはちゃんが慕う理由もちょっぴり分かっちゃうような……!
「…………………………………………へぇ」
え?……
なんか急に寒くなった?
なんだかお腹が痛いよ?
「……えっと、襟巻ちゃんだっけ…?」
へ?いや、襟沢ですけ…ど………
てゆうかさっきまでエリエリちゃんて言ってませんでしたっけ……
「もしかしてさー、まさかとは思うけど、比企谷くんの事気に入っちゃったりしてないよねー?」
「い、いや、そんな事は……」
あ、あれ?なんかホントにお腹痛くなってきちゃった。
「そうだよねー!そんな訳ないよねぇ。いやぁ、なんかシチュエーション的にありがちじゃない?最初嫌いだったけど、助けて貰ってから気になり出しちゃう!みたいなっ」
「そ、そんな事ないですよぉ!まだ一度くらいしか会ったことないですしぃ」
「そっかそっか!駄目だぞ〜?比企谷くん好きになっちゃ!」
えー?陽乃先輩って比企谷先輩の事好きなのっ!?
そういえばこの間、いろはちゃんが香織ちゃんに年上の美人さん?とかって言ってたような……?
「比企谷くんは雪乃ちゃんのなんだから♪」
…………………え?雪乃……ちゃん……?
「……え?えっと、雪乃ちゃん…とは……」
「あ〜!はるさんはね〜、あの雪ノ下さんのお姉ちゃんなんだよ〜!」
……………………え?
× × ×
いやいやいやいや!ちょっ!ちょっと待ってよ?
ゆ!雪ノ下先輩のお姉さんっ!?
え?なにそれ?怖い恐いこわいコワイ……っ!
あれヤバいよパニクっちゃってますよ私
じゃあさっきのあの空気って雪ノ下先輩的なやつ……なの……?
さっきまであんなに素敵に見えた笑顔が、恐ろしいものにしか見えなくなってきたよ……
助けてっ!いろはちゃんっ!
でもいろはちゃんは、私のそんな淡い期待をいともあっさり裏切ってくれました。
「やだなー、はるさん先輩!確かに先輩は雪ノ下先輩と仲いいですけどー、先輩は先輩の物ですよー。別に雪ノ下先輩のじゃありませんよ」
ざわっ……ざわざわざわっ……
ひぃ〜っ……い、いろはちゃん〜!そっ!その人を刺激しないで〜っ!
私のヘタレレーダーがっ!すっごく反応してるのぉっ!
「ふぅん……いろはちゃんってなかなか面白いねぇ……やっぱり比企谷くんが気に掛けてる事だけはあるのかな?♪」
ヒィッ!陽乃先輩のその笑顔は本当にヤバいやつです!
私が言うんだから間違いないよ……!
ああ…、怖くて視界が滲むよ……ママ〜……。
「えー、そんなことないですよー。先輩が雪ノ下先輩の物じゃないなんて当たり前のことじゃないですかー」
もう視界がぼやけてよく見えないよ……
なんかウフフ……、オホホ……って恐ろしい笑い声が聞こえる……。幻聴かな……?幻聴だよね。
城廻先輩はっ!?あとはもう城廻先輩しか頼れる人が居ませんっ………あ、すっごいニコニコしてる……
城廻先輩の目には和やかでハッピーな光景に見えているのでしょうか……?
「あ!ところでいろはちゃんさぁ!もう明後日にはバレンタインじゃない?もしかして比企谷くんにあげたりするのー?」
「えー?そりゃもちろんあげますよー。いつもお世話になってますしー。ほら私ってお菓子作り得意じゃないですかー。なので手作りあげちゃいますよー!まあもちろん葉山先輩の練習用に作ったやつですけどー」
「……へぇ?いろはちゃん隼人が好きなんだもんねぇ!でもまさか隼人ってダシじゃないよねぇ?」
「えー?ダシってなんのことですかぁ?わたし手作りチョコを作るのであって、別にお味噌汁作るわけじゃないですよぉ?」
いろはちゃん……。お願いだからもう許して……。私にはもう無理……
トイレ行きたい……
「そっか〜!もうバレンタインかぁ!じゃあ私も比企谷君にチョコあげちゃおっかな〜」
えっ…?
「えっ…?」
「えっ…?」
「ちょっとめぐりっ!?めぐりも比企谷くんにチョコあげるのっ!?」
「う〜ん。まだ分からないですけど、ちょっとあげたいかな〜とかって思ってるんですよ」
「な、なんで城廻先輩が先輩なんかにチョコあげるんですか!?」
「だって、比企谷君にはすっごいお世話になったし!それに比企谷君の事誤解しちゃって酷いこと言っちゃった事もあるから、そのお詫びもしたいな〜って、ずっと思ってたんだよ〜!」
「あ、なんだ。そういう事ね!あ〜ビックリしたー。めぐり比企谷くん好きなのかと思っちゃったよ」
「…………えっ!?も、もうはるさんやだな〜!全然そんなんじゃないですよ〜……」
「そ、そうだよねー……あははははは……」
「城廻先輩、びっくりしちゃいますよー………あははははは……」
なんか気まずそうに顔見合わせて静かになっちゃった……
「……よ、よしっ!それじゃそろそろ行こっか、めぐり!」
「そ、そうですね〜!お話長くなっちゃいましたしね〜。あ、いろはちゃん達もこのまま一緒に体育館行く?」
「あ!城廻先輩スミマセン!私たち一度生徒会室に寄ってから行きますんで、お先にどうぞー」
「そっか、分かったよ〜!それじゃまた後でね〜」
「じゃね!いろはちゃん。また後でねー」
「はいっ!はるさん先輩も城廻先輩もまたあとでですー」
助かった……。
なんかよく分からないけど、城廻先輩のおかげで助かったのかな……。
私、もう腰が抜けそうです……。
× × ×
「………………はぁ〜………こ、怖かったぁ……」
二人が居っちゃった途端にいろはちゃんが崩れ落ちた……
よく見るとすっごい足震えてるっ!
「い、いろはちゃん…?大丈……夫?」
「ホント怖かった……最近雪ノ下先輩で慣れてきたからなんとか耐えられたけで、わたし超震えてるよ。ホントもう無理……。城廻先輩が居て助かった……のかな……」
あんなに堂々と渡り合ってたように見えたのにそんなに無理してたの!?
………じゃああんな無茶しないでくださいよ、いろはちゃん。こっちに飛び火しちゃうじゃない。
「陽乃先輩って、すっごい素敵な人だったけど怖かった……」
「なにせ先輩が恐れるくらいだからねー」
いろはちゃんと雪ノ下先輩に挟まれてあれだけ罵倒されても平然としてた比企谷先輩が……?
ど、どうしよう……。この後また陽乃先輩と会うの?
でも逃げちゃダメ!城廻先輩だって居るんだし!
弱い自分を卒業するんでしょ?
今日一日くらい我慢しなきゃ!
そう!たった一日だけよ!
恵理ガンバっ☆
「でも今後生徒会でやってくんなら、はるさん先輩とは長い付き合いになるだろうから、恵理ちゃんも上手く付き合わないとねー」
なんで?
「そんなに暇なの?ってくらい、あの人良く来るんだよねー。ああ見えてシスコンだから雪ノ下先輩大好きだし、さっきので痛いほど分かったと思うけど先輩の事も超気に入ってるしさー。それにお父さんが県議会議員だったりあの雪ノ下建設の社長だったりして、卒業式みたいな行事にはちょくちょく名代として顔出したりするみたいなんだよねー……」
ごめんなさいいろはちゃん私には無理みたいです。
「あ、あの……いろはちゃん。……も、申し訳ないんだけど、私ちょ〜っと用事思い出しちゃったかな〜……なんて……」
「へ?」
「本当にごめんねぇ!ちょっとお腹も痛くなって来ちゃったし私もう行くね!また今度誘ってねっ!じゃあねっ」
私は走りだす……。とりあえずトイレ行こう。
ホントにごめんなさいっ、いろはちゃん!
私変わりたかったんだよ!?強くなりたかったんだよっ!?
でも!でもね!?まだ私にはそっちの世界に足を踏み入れるのは早かったみたいなのぉっ!
「ちょっ!ちょっと恵理ちゃーん!?わたし先輩にも副会長達にも友達連れてくって言っちゃったんだよー!?マジでっ!って期待してくれたんだよー!?はるさん先輩だって城廻先輩だって来ると思ってるんだよ!?わたしの立場どーしてくれんのよぉ!」
遠くで徐々に小さくなっていくいろはちゃんの悲痛な叫び声を聞きながら、私は心の中でいろはちゃんに涙ながらに謝るのでした……
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
だって怖いんだもんっ!
小悪魔と魔王の濃すぎるブラックなエスプレッソには、いくらキラキラな天使のミルクを添えても、お子さまの私にはまだまだ苦すぎて飲めないみたい。でもヘタレでお子さまな私も、それはそれで可愛いよねっ!
はぁ……やっぱり私にはいろはちゃんみたいな図太い神経はないんだろうな……。
ホントに凄いって感心しちゃうよ、あの図太い神経。か弱い私には無い物ねだりなのかな……
ちなみに翌日、いろはちゃんに超白い目で見られながらも見ないフリして普通に和の中に入っていって、香織ちゃんに「あんたって図太いよね〜」って言われたのはまた別のお話っ☆
オマケおしまい
しょーもない話でお目汚ししてしまい申し訳ありません!
実は現在もう一本連載している方がちょっと苦戦しておりまして(精神的に)……
香織目線で書いてた時はスラスラ文章が出て来たのに、八幡目線だと難しくて難しくて(血涙)
しかもこれから結構重くなってくし……
なので久しぶりに気分転換として病んだおかしなテンションで書いたので、しょーもない感じになってしまいました><
次はいつになるか分かりませんが、またこちらでお会い出来たら嬉しいです!