艦隊これくしょん―黒き亡霊の咆哮―   作:ハチハル

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第19話 想いと影

 午後1時を過ぎた頃、拓海は横須賀鎮守府内にある「間宮」に来ていた。

 「甘味処」と掲げてはいるものの、この店では甘味以外のメニューも扱っている。値段も財布に優しく、それでいて美味いという評判から、職員や艦娘を問わず人気を博している。昼食の時間ということもあって、「間宮」は忙しさの真っただ中にあった。

 

 何十分かの後に漸くカウンター席に座った拓海は、並んでいるうちに注文したカレーを待つ。

 店の主である艦娘・間宮は、忙しそうに料理をしていた。そんな中にあっても、時折笑顔すら見せて注文をどんどん捌いていく。その手際の良さは、流石と言うべきだった。

 間宮の仕事の邪魔をするわけにもいかず、拓海は天井に近い位置にあるテレビ台を見上げる。

 テレビではまさに今、ここ数時間で起こった事態についての報道がされていた。

 沖縄がゴジラに襲撃され、次の上陸予想地点が長崎であること。長崎では急遽市外への避難が進んでいること。そして、特生防衛軍による巨大な新兵器が出撃したと、発表されたこと。

 テレビに映っている民放チャンネルでは、ゴジラの襲撃と新兵器についての情報が大きく取り上げられていた。ゲストを招いて色々と話しているが、そのチャンネルでの大きな関心事として、新兵器の存在が挙げられていた。

 店内の様子を窺ってみると、やはりテレビと同様、話題は新兵器のことで持ち切りである。

 

「確か、40年くらい前に似た様な名前のヤツがいたよな?」

「名前からして、後継機ってとこか」

「あの時の総理の判断で、破棄されなかったっけ」

「何で今更……」

 

 そんな男たちの声が、そこかしこから聞こえてくる。艦娘の姿も見受けられたが、彼女たちはそもそも、「新兵器」が何なのかあまり理解出来ていないようだった。

 

 新兵器の名は、47式機龍Ⅱ。

 5年前のゴジラによる東京襲撃が切っ掛けで、旧首都地下で極秘裏に建造されていたのだという。全高は120mにも及び、先代機龍よりも遥かに大きいが、基本的な構造は同じなのだという。

 記者会見の映像では、最高責任者の代理だという人物がその事を説明。記者たちからは、様々な質問がされていた。

 

「機龍は、5体目のゴジラと共に海に放棄されたのでは無かったのか」

「先代機龍はゴジラの骨をベースにしたと聞くが、今回もそのような方法なのか」

「骨を使っているとするならば、それはどこから調達したのか」

「この機体の存在によって、特生防衛軍は対外侵略すら可能になってしまうのか」

「人が去った後の東京で、何故こんなものを作っていたのか」

 

 エトセトラ、エトセトラ……。

 

 中には答えるに値しない質問も混じっていたが、その人物は言葉をぼかしたり上手くかわしたりしていた。一見答えているようでいて、その実何も答えていない。そのことに業を煮やした記者たちが追撃を試みるが、見事にかわされる。そんなことが繰り返されている記者会見だった。

 

「隣、失礼しますね」

 

 そんな声と共に、テレビを見ていた拓海の右隣の席に座る者がいた。テレビのある左上から隣に視線を移すと、髪をポニーテールに結わえた少女――大和と目が合った。

 

「ああ、大和さん。また特盛カレーですか?」

 

 挨拶代わりにそんな軽口を言うと、大和が頬を膨らませる。

 

「もうっ、からかわないでください! 私がよく食べる子みたいじゃないですか。……よく食べるんですけどね」

「――どこかに出撃してたんですか?」

「し・ら・せ・さ・ん?」

 

 会話の流れで軽い気持ちで聞いてしまったことが災いしてか、大和に笑っているように見えて、実は全く笑っていない凄味を帯びた表情を向けられる。

 

「す、すみません……」

「良いんですよ。別に気にしてませんから」

 

 ぷい、とそっぽを向いてお冷を口にする大和。「やっぱり気にしてるじゃないか」と言いたい所だったが、それは心の中に留めておく。

 大和はまだ中身の残っているガラスコップを静かに置くと、安穏とした雰囲気をガラリと一変させ、拓海に視線を戻した。

 

「白瀬さん、今朝の沖縄でのことは知っていますか?」

「今日の分のカリキュラムが急に中止になって、その時に小耳に挟みましたね。何でも、今度の作戦の前線基地が大変なことになってるとか」

 

 拓海はいつものように本庁舎に赴き、講義を受けていた。しかし僅か30分ほどした頃に鎮守府内が突然慌ただしくなり、理由も言われないまま本日分が終日中止となってしまったのだ。

 蜂の巣を突いたような騒ぎに聞き耳を立ててみると、沖縄がゴジラに襲撃され、司令官や職員たちはその対応をしているようだった。

 

「はい。ホワイトビーチと嘉手納基地に深刻な被害が出て、石垣島攻略は延期になりました。その後の復旧次第ですが、最悪7月にずれ込むかもしれません」

「それは……マズいですね」

 

 石垣島海域の攻略が遅れるということは、それだけ周囲への被害も継続する。特に目と鼻の先に敵の本拠を見ている台湾島などにとっては、深刻な問題だ。

 沖縄本島の防衛は、佐世保から定期的に艦娘を遠征させることで行っているが、これにも限度がある。石垣島に腰を据える敵艦隊を殲滅したところで深海棲艦が全くいなくなるということは無いが、それでもこの作戦で被害の大幅軽減が出来る。

 是が非でも攻略したいところだったが、肝心の前線基地が使い物にならないのでは、話にならない。

 

「それに……」

 

 大和がテレビを見上げるのに釣られて、拓海も画面の方に視線を移す。テレビでは機龍Ⅱに加えて、ゴジラも話題に上がっていた。

 

「白瀬さんは、あの兵器を誰が開発したのか、知っています?」

 

 周りの様子を窺いつつ小声になった大和。拓海は大和に顔を寄せて、その声を何とか聴き取る。

 

「いいえ……。それがどうかしたんですか」

 

 拓海の問いに、大和はコクリと頷いた。

 

「開発者は、笠川大将です」

「艦隊総司令官の……ですか?」

 

 拓海は1度しか会ったことが無いが、温厚そうな印象を持ったのを覚えている。その一方で、こちらを見る目が怖くもあった。

 

「はい。ですが元々、特生防衛軍本隊の方に所属されていたそうなんです」

「じゃあ何で、艦娘隊(こっち)に……」

「適正があったそうですよ。艦娘との相性が良かったとか。艦娘が生まれてから、2年目くらいの時だそうです」

 大和の口振りからするに、その辺りにも事情があるのだろう。拓海の記憶では、呉、佐世保、舞鶴に鎮守府が設置された時期だ。

 これ以上は話が脱線しそうなので、これ以上のことを聞くのは止めておく。

「本隊の方の人だったんですね……」

「私も最近、鳴海提督に教えられて知ったんです。第1艦隊と第1戦隊の旗艦で、自分の秘書艦なら知っておけって……。少しは、教えられる方の身にもなって欲しいですっ」

 

 口をへの字に曲げた大和の口から、愚痴が零れる。

 秘書艦は、基本的に部隊の旗艦とイコールで扱われる。その方が、色々と都合がいいのだろう。そして大和のように艦隊の中心部隊の旗艦を務める者は、艦隊の旗艦も務めるということにされている。司令官の傍で彼是と動くことも多いため、何かと大変なようだ。

 

「……あの人のことだから、どうせ善意なんだろうけど」

 

 鳴海武少将は、結構マイペースなところがある。かと言って悪い人ではないし、寧ろ良い人の部類に入る。しかしそんな人の秘書艦を務めていると、何かと苦労があるのかもしれない。

 

「そんな事教えるくらいなら、私にも休暇をくれたっていいじゃないですか。長門さんと陸奥さんだけ休暇なんてズルいです」

「はあ……」

 

 さっきまで機龍Ⅱの辺りのことについて話していた筈が、いつの間にか一人愚痴大会に変わっていく。

 

「大体、部隊の皆に色目使いすぎなんです! 武蔵と飲みに行ったかと思えば、扶桑さんや山城さんとデートしてたり! それで、今度は長門さんと陸奥さんに休暇ですよ!? 私だって部隊の一員です。何かしてくれたっていいじゃないですか!」

「ああ、うん……」

 

 話す言葉に熱が籠り、段々と大和が饒舌になっていく。お冷しか飲んでいない筈なのに、お酒が入ってるのではないかと思ったほどだった。

 

「秘書艦や旗艦としての務めが出来るのは、光栄です。誇りも持っています。だけど、せめて視線くらい、合わせてくれたって良いじゃないですか! 初めて会った後から、一回も目を合わせてくれないんです! 私は便利屋なんですか? ホテル扱いしないで、ちゃんと出撃もさせてくれるのは有り難いです。でも! 帰って来たときの一言が『おかえり』で済まされるなんて、幾らなんでも酷いです!」

 

 大和は、多分に鳴海という男について勘違いしているように思えた。

 話す言葉は短く、簡潔で、解りやすい。だが、それ以上の表現となると途端に難しくなってしまう不器用な人だと、拓海は時々会う度に感じていた。大和と話す時の雰囲気や目線からして、彼女に気があるということは自分が同性だからか、易々と分かってしまった。

 嬉々として大和と話すのだが、視線を合わせようとしても照れが出てしまって、直視することが出来ない。良い大人なのに、思春期の男子かと突っ込みたくなるほどの、愛嬌のある人物だと思う。

 一方できちんとした公的な文書などを作成する時には、しっかりとしたものを書いてくる。司令官としての実力も高く、周りからの評判も良い。一端の司令官を務めているだけのことはあった。

 しかし言葉の少なさというのは、時として相手に誤解を与えてしまう。目の前にいる大和が、まさにそんな状態にあった。

 

「大和さんは、鳴海少将のことは好き? それとも嫌いですか?」

「……嫌いです」

 

 拓海の問いに、即答する大和。ツンとした顔が、猫のようで可愛らしい。言葉のニュアンスから察するに、完全に嫌っているわけではないだろうが、少なくとも恋愛感情などは持ち合わせていないだろう。

 

 気が付くと、拓海の目の前には所謂“普通盛り”のカレー。大和の前には、特盛カレーの皿が置かれていた。

 カウンター席と向かい合って配置されている厨房では、間宮が困ったような顔で笑っていた。ふと周りを見ると、傍にいた客の何人かが驚いたようにこちらを見、視線が合うと何事も無かったかのように食事に戻っていた。

 いつの間にか大和は、興奮の余り声が大きくなっていたようだった。拓海自身も大和に顔を寄せる様な姿勢では無く、普通に座っていたことに今更気付く。

 自分たちを取り巻く状況を理解した大和は、顔を赤くしながら「いただきます」と言い、誤魔化すように特盛カレーを食べ始める。

 拓海が間宮に対して頭を下げると、彼女も苦笑したまま「ごゆっくり」と言って、何事も無かったかのように仕事に戻った。

 

「俺もちゃんと、榛名に話さないとな……。――――いただきます」

 

 拓海の場合、榛名との間に懸案事項が残っている。

 機龍Ⅱがゴジラを止められるかどうかは、拓海には見当も付かない。だが、少なくとも呉鎮守府にあの怪獣が来ることが無いように祈るしか無い。

 拓海は自嘲気味に笑ってから、テレビを見つつカレー用のスプーンを手に取る。

 そんな拓海の横顔を、大和は意味有り気な横目で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 横須賀鎮守府、本庁舎4階。

 三笠は、光樹と共に彼の執務室で執務に勤しんでいた。この時代になっても、重要書類の多くが紙だ。サインが必要なものには内容を確認しつつサイン。そんな作業を光樹は延々と続けていた。

 三笠の方はと言うと、PCに向かって光樹から任された書類の作成や、メールチェックなどの仕事をしていた。

 はっきり言って今回は、三笠よりも光樹の方が大変な仕事状況となっていた。

 急に本隊へと合流することになった大輔から、一部の仕事が任されたのだ。そのほとんどが光樹に任せても大丈夫なものばかりだったが、普段の彼の仕事分を含めると結構な量になっていた。

 三笠に手伝えることはあまり無く、結局普段通りの量の仕事をこなす。その量も特別多くは無かったので、早々に作業を終えてしまった三笠は手持ち無沙汰になっていた。

 

「提督……。そろそろ休まれませんか? お昼、とうに過ぎていますよ」

「もう、そんな時間か……。そうだな、あと1時間くらいしたら昼にしようか」

「そんな事言って、また『もう1時間』なんて言いませんよね?」

「ぐ……」

 

 目頭を揉む光樹が、くぐもった声を出す。この様子だと、本当に言いかねなさそうだ。だが、それをやりかねないほど重要な書類ばかりであることを知っているだけに、三笠は責めることが出来ない。

 

「せめて、今くらいは休んでください。いくら大事な仕事と言っても、身体が持ちません」

「そこを何とか……」

「駄目です」

 

 有無を言わせずきっぱりと言うと、光樹は名残惜しそうな雰囲気で書類に視線を送る。

 

「――――分かったよ。休むから、そんなに睨まないでくれ。三笠」

 

 貼りつけた笑みを向けて威圧してみると、光樹は書類から視線を外してあっさりと降参のポーズを取った。

 8年の付き合いとはいえ、これではどちらが上司か部下なのか。そんなことを思って溜め息を吐いてから、三笠は自分に割り当てられた机の横に手を伸ばした。そこにある小さな手提げバッグを取り、光樹の机の上に置く。

 

「奥様からのお弁当です。提督が大変そうなので、こっそりお願いしておきました」

 

 目の前のバッグをきょとんとした目で見つめる光樹を前に、三笠は言う。

 大輔から光樹に引き継がれた仕事の量を見た三笠が、密かに電話をかけて彼の妻にお願いをしておいたのだ。

 

「……愛妻弁当、だよな?」

「さあ、何かしら? ご自分で、確かめてみては」

 

 不安げな表情を見せる光樹に、三笠は含み笑いを浮かべて言葉を返す。特にここ最近、光樹の妻は彼への攻撃……もとい悪戯が多い。三笠との関係を知っているからか、或いは帰って来ないことへの文句なのか、それとも喝を入れているのか……。恐らくは、そのどれもが当てはまるだろうと三笠は思う。

 恐る恐る手提げバッグから弁当箱を取り出す光樹を見て、三笠は鎮守府ゲートで会った時の彼の妻の顔を思い出す。彼女は歳に似合わない、悪戯っ子のような活き活きとした笑みを浮かべていた。

 時々光樹が可哀想に思えてくるときがあるが、それは彼の自業自得だ。光樹は、家族も三笠も両方取るという選択をしたのだから。

 光樹が家族と仲良くしているのを見て、妬かないわけでは無い。だからこうして、彼の妻の悪巧みに率先して手を貸すことがあった。そのおかげと言うべきか、彼女とはすっかり意気投合してしまっている。

 

 光樹は二段構造の弁当箱の上段と下段を横に並べ、警戒するように蓋を見つめている。

 あまり悪戯が続いたためか、光樹は自身の妻が関わるとやたらと慎重になっていた。今回も何かあると思って、警戒しているのだろう。

 光樹は非常に慎重な手つきで、二つの蓋を開ける。そこにあった中身は――――。

 

「……あれ」

 

 拍子抜けしたような顔で、光樹は弁当を見つめる。

 下段には、白ごはんと梅干。上段には、卵焼きやその他諸々のおかずが入っている。

 

「どうぞ、召し上がってください」

 

 三笠は込み上げてくる笑いを必死に堪えながら、光樹に勧める。

 

「あ、ああ……」

 年甲斐も無く間抜けな表情になった光樹は、卵焼きの一つに箸を伸ばすのだった。

 

 

 やはりと言うべきか、光樹は易々と目の前の罠に引っ掛かってしまった。彼は唐辛子がふんだんに混ぜられた卵焼きを、何の疑いも無く食べてしまったのだ。

 結果、何とか吐き出すのは防いだものの光樹は三笠から受け取ったコップの水を飲んでは、机に突っ伏している。

 激辛卵焼きを食べた時の光樹の表情は、本人には悪いがあまりに面白かった。口に入れた瞬間目を丸くし、顔を赤くして咳き込むが絶対に吐き出さまいとする。おかげで三笠は、我慢できずに吹き出してしまった。

 一頻り笑った後、三笠は恨みがましく見つめてくる光樹の背中を擦りつつ、落ち着くのを待っていた。

 

「……三笠、知っていてやったな?」

「ふふ。おかげでいいものが見られました」

「また、まんまとやられたな……」

 

 光樹が自己嫌悪するかのように、ブツブツと一人で何か呟き始めた。

 

 数分経って、光樹は何とか立ち直ったようだった。むくりと起き上がると水を飲み干し、何でも無いような顔をして話を切り替える。あまり触れて欲しくないのだろうと思いつつ、三笠もその話題に乗ることにした。

 話題は、ゴジラと機龍Ⅱについてのことだった。

 ゴジラは現在東シナ海を北上し、長崎沖に近づきつつある。一方の機龍Ⅱも長崎を目指して日本上空をぎりぎりバランスが崩れない程度のスピードでしらさぎⅡに吊り下げられて急行しているようだ。

 

「正直、新しい“機龍”が作られていたというのは、初耳でした。開発されたのは、笠川大将だったというのも」

「まあ、あの人はゴジラを倒すためだったら、何だってやりそうなんだよな……」

 

 どこか現実感が伴っていない三笠に、光樹は物憂げな目で天井を見つめていた。

 

「それって――――」

「復讐だよ」

 

 三笠の言葉の先を続けるように、光樹は呟いた。その目の奥深くが、暗く揺らいだのを三笠は見逃さなかった。彼を8年、傍で見続けていたからこそ気付けた、些細な変化だった。

 それは何も、他者へ向けられるようなものでは無かった。少なくとも、彼自身による復讐ということは考えてはいないだろう。だが、それでも三笠は胸の内に湧き上がる不安を抑えきれずにいた。

 その瞳は、まるで罰せられるのを待っている咎人のように見えた。

 光樹にもまた、三笠にも知らせていないことがあるのだろう。それは、どうしようもなく大きなことのような気がする。彼一人にとってなのか、彼の周りにとってのことなのか、あるいは別の何かなのかは分からない。

 だから三笠は、彼の傍に居続けようと思った。辛いことも、悲しいことも、苦しいことも、大切な人が傍にいればきっと大丈夫だ。

 

「光樹君」

「何だい、三笠」

「ずっと、傍に居させてね」

「……ああ」

 

 光樹の返事は、完全に肯定とはいかないものだった。だが、それでも三笠の言葉は彼の心に届き、僅かでも痛みを和らげることは出来たようだ。

 満足の行く答えでは無かったものの、それが嬉しくて、三笠は微笑む。

 

 ――――この人と、どこまでも歩いて行きたい。

 

 それが地獄だったとしても、三笠はそう心に誓う。

 

 ――――理由? そんなもの……。

 ――――愛しているからに、決まっている。

 

 

 




 やっぱり、上手い人の小説を読むだけでも筆の進み具合が全然違いますね。

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