男主とエリナをイチャイチャさせる小説   作:リルシュ

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半年以上ぶりの久々の更新です…!
お待たせしました!


料理教室

 

「えー…こほん!それじゃー今から先輩のために料理教室を開いちゃいたいと思いまーす!」

 

ここはオレの自室

目の前にはいつかプレゼントしたエプロンを身にまとい帽子を取って髪を一つに束ねてまとめた珍しい格好のエリナが、嬉しそうに鼻歌まで歌いながらパンパンと手を叩いてニコッと極上の笑みを浮かべている

 

「おー!よろしくなっ!エリナ」

 

そう

今日は前々から幾度となく言っていた料理を教わる約束をしていた日だった

 

「習うより慣れろ。ゴッドイーターの仕事する時にせんぱいが教えてくれた言葉だけど、これは料理の時も同じことが言えるの。経験は大事なんだよ」

 

よほど楽しみにしていたのか、それとも教えるのが嬉しいのか

腰に手を当てふふんと胸を逸らすエリナはとても上機嫌である

最近はまた仕事の関係で忙しさがぶり返してきておりなかなか2人同時に暇になるということが無かったため、こうして一緒にいられるだけでオレも嬉しかったが

 

「ほほう。つまり今日はとりあえず何かしら作ってみようって事か。それで料理のコツというか基本的な技術というかそういう類のものを身につけると…あとはそれを応用して経験を積んでいけば自然と料理の腕前も上がっていく…こんなところか?」

 

ふむふむと彼女の考えを察し頷きを返すと、ちょっと頬を膨らまされてしまった

 

「流石ですね…その通りです…ですけど…むぅ。わたしの言いたかったこと全部言っちゃうんだもん…」

 

じとーっとこちらを睨まれても言ってしまったことは取り消せないわけで…

 

「あー…すまん。つい」

 

「謝ることはないですよ!教えるの楽ですし」

 

とは言ってくれたものの、オレは今日は余計な口出しはせず方針はエリナに全て任せようと決心するのだった

 

「さてっと…せっかくだから実践したものを晩ごはんにしたいんだけど…先輩何か食べたいものある?」

 

「そうだな~…初めて食べた手作り料理が肉じゃがだし、それで!」

 

「肉じゃが…材料はあるだろうけど、初心者には難易度高いかもよ?大丈夫かな〜?」

 

オレだけにしか見せないにま〜っと小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら、エリナが脇腹を小突く

 

「エリナ先生が手取り足取り教えてくれるんだろ?楽勝だぜ」

 

その腕を絡めとり華奢な彼女の体をぽふっと抱き寄せると、きゃっと小さな悲鳴をあげて胸板をコツンと叩いてくる可愛いお姫様

 

ふはは。ニヤニヤが止まらないぜ

 

「まったくもう!いくら教えたって実際に作るのは先輩なんですからね!」

 

ぺちぺちと腕を叩きながら離しなさいという彼女の言葉に従い、ここは素直に引き下がった

 

「よし…じゃーまずは、じゃがいもの下ごしらえからやってもらおうかな」

 

肉じゃがに必要な食材をズラリと台所に揃え、いよいよ調理が始まるという所で彼女の視線がキリッと真剣なものに切り替わった

 

「まず私がお手本を見せるから、ちゃーんと見てるんだよ?」

 

「お、おう…」

 

人差し指をピンと立て口元に笑みを浮かべた彼女が、目の前に置かれていた小さな銀のボウルから、ひょいと小ぶりなじゃがいもを取り出しそれを掴んだ

 

「まずは水で軽く洗います」

 

その顔はGEとして任務に励む時と同じくらい真剣で、目の前のじゃがいもが今にもアラガミに変化し襲ってくるのではという錯覚すらオレにもたらす

 

「…そ、そのあとは…えっとこれで皮を剥いて…」

 

心なしか、頬に赤みも差している

もしかしてオレが沈黙したままなもんだから緊張してきちまったのか?

可愛い奴め

 

「…う…あ、あの…せんぱい?」

 

「ん?どうした?」

 

視線を右往左往させながら遂にエリナはオレの方に体ごと向いてしまった

 

「そういう風に真剣に見てくれるのは嬉しいんですけど…」

 

うんうん

真っ赤になった顔と焦りでふるふる小刻みに震える唇が可愛いなぁホント

 

「見てほしいのは私の顔じゃなくて…手先なんだけど…」

 

…ぇ?

 

「あ…」

 

彼女の言葉を聞いた瞬間慌てて2、3歩後ろに下がる

そうだよ何してんだオレ!?

じゃがいもが視界に入ってたのなんてエリナが手に取った瞬間だけで、あとは完全に顔ばっかり見てた!

料理に集中する彼女の表情しか見てないじゃねぇか!

 

「いやあの…す、すまん」

 

「べ、別に謝んなくてもいいですけど…ちゃんと料理してるところ見ててよ?ね?」

 

もじもじと両手でじゃがいもを転がしてなんて羨ましいイモやろう…ではなくて!

 

「わ、分かった。これは料理の勉強会だからな!次はしっかり見ておくぞ!」

 

パンパンと自分の頬を叩き活を入れる

せっかくの貴重な時間なんだ

いくらエリナが可愛いとはいえここはしっかり学ばなければ…!

 

「う、うん…もう、先輩は世話が焼けるなぁ...」

 

オレが決意を込めた握りこぶしを作って見せた瞬間、嬉しそうにじゃがいもの皮むきを継続させるエリナの横顔に視線が吸い寄せられるのを感じた

 

あ、これダメかもしれない

 

 

 

 

 

 

「えっと…ここで煮込んだ具材に調味料を入れれば…完成だっ!」

 

あれから何度もエリナに注意されては手を止め教わりという事を繰り返し、やっとこさ完成までたどり着くことができた

 

「ふっ…アラガミとの戦いに負けず劣らず厳しく長い戦いだったな…」

 

鼻を鳴らし額に浮かぶ汗を腕で豪快に拭いながら決めセリフでカッコつけるオレに、つかつかと歩み寄ったエリナが冷静に言い放つ

 

「ダメだよせんぱい台所でそんなふうに汗拭ったりしちゃ!撥ねたら汚いでしょ!」

 

背伸びしてまで手ぬぐいをグイっとおでこに押し付けられる…ってちょっと待て力込めすぎ…!

 

「いだだだ!首折れるっ!」

 

おでこを勢いよく押されたもんだから、天井を見上げてる状態で負担がかかるのだが!?

 

「折れないっ!ちゃんと拭かない先輩がいけないんだから!」

 

なんだかんだ言いながら、結局そのままゴシゴシと一見乱暴だが汗が飛んだりしないようにしっかりと拭き取ってくれる彼女の姿を見ながらオレは…

 

「…なんかこう…責められるプレイもやっぱりいいよな」

 

「っ…フンッ!」

 

「あいだっ!!!」

 

実にバカな発言をして思いっきりつま先を踏まれてしまった

 

「ほら!せっかく完成したんだしもういい時間だから食べようよ!先輩!」

 

オレの汗を拭き取った手ぬぐいを近くに置いてあった洗濯物用の籠に入れながら、エリナが台所に置いたままの二つの肉じゃがを指さした

完成してるのはもちろん片方がエリナ作でもう一つがオレ作のものだ

 

「うむむ…」

 

…しかしこの距離から見ても盛り付けの乱雑さでどちらがオレの料理か分かってしまうのがなんとも…

 

「せっかくだから私、先輩が作ったやつ食べるからね!」

 

そんな苦悩を知ってか知らずか

エリナはオレ作の肉じゃがを器ごと持ち、とっととソファーの方へ向かって行ってしまった

 

「お、おい!ホントにいいのか?」

 

「うん。だって、もともと私が先輩の手料理が食べたくて考えた計画だもん」

 

トンッと優しく机上に器を置いて、ふっと柔らかい笑みを見せ彼女は隣の席を叩いた

早く来て一緒に食べようという意思表示だろう

 

「そりゃそうだけどな…オレとしてはもっと料理の腕を磨いてからお前をアッと言わせるものを…」

 

「もう!そういうのは後で聞くから先輩も早くこっち来てよ!」

 

いつまでも台所周辺をうろつくオレに痺れを切らしたエリナがむっと頬を膨らませ、足をジタバタさせ始めた

…こういう所はなんというか子供らしいな

って本人に言うと怒られるからもちろん口には出さないが

 

「わかったわかったよ」

 

エリナ作の肉じゃが

1度食べたことがあるとはいえ、見た目も華やか匂いも実に食欲を刺激し見事ととしか言いようが無かった

 

「ほら、来てやったぞ」

 

ぽふんと座りながらついでに頭を軽くなでてやる

もうほとんどクセになっている行動ではあったが、彼女はニコニコとよりいっそう笑顔になりながらお箸を手に持ってくれた

 

「うん♪じゃーいただきまーす!」

 

そして使ってる具材は同じはずなのに見た目がグチャグチャで美しくないオレの肉じゃがをエリナは口に含み…

 

……お、おぉ…なんだこれ

教わりながらとはいえ自分の作った料理を目の前で食べられるというのはこう…

すごく緊張するな…

 

「…ど、どうだ?」

 

口に含んだものを長らく咀嚼し無言を貫いていた彼女にとうとう気になって聞いてしまった

 

「ふふっ…」

 

「っ!?」

 

わ、笑い声だと!?

美味しかったのか!?

 

「やっぱり今日の料理食べさせてもらって正解だったな〜♪」

 

「え?ど、どういう事だよ!?」

 

ゴクリと口内にあったものを飲み込んでから、エリナはニヤリと意味深な発言をしてオレの頭を逆に撫でてきた

 

「先輩って器用だから、きっと料理もすぐに上達しちゃうと思うんだよね。だから、貴方が作ったこういう肉じゃが食べられるのって私だけかな〜なんて思ったり」

 

「そ、それはつまり」

 

彼女は嬉しそうにパクパクとテンポよく口に運んでるけど…

 

「美味しくないって事だよな!?」

 

なんでだぁ!?くっそぉ!?

エリナに教わったとおり作ったはずなんだが…!

…あ、調味料の量か…?

そう言えば味見もしてねぇじゃねーか!あぁー!くそっ!

 

「美味しくないなんてこと、無いよ」

 

「え?」

 

今の話の流れでなぜそういう結論が出るのか分からず、オレは相変わらずのペースで肉じゃがを食べ続けるエリナの横顔をポカンと見つめる

 

「先輩が作ってくれた料理が美味しくないわけないじゃん」

 

「エリナ…」

 

「だけど、次はもっとおいしいもの私に食べさせてよね!せんぱいっ!」

 

「お前…めちゃめちゃ恥ずかしいこと言ってんぞ」

 

「なっ…///ば、ばかっ!そういう事いちいち指摘しないでよっ!」

 

オレの冷静なツッコミにかぁっと一瞬で頬を染め上げたエリナが、照れ隠しのように器を持ち上げて肉じゃがをかきこむ

 

「はっはっは。その食べ方はしたないな」

 

「うるさいっ!」

 

やれやれちょっとからかい過ぎたか

すっかりそっぽ向いてへそ曲げちまった

 

「でもありがとな、そう言ってくれて。次に料理振る舞う時はもっと上手く作ってみせるぜ」

 

ピクリとエリナの動きが止まる

 

「だけどもうしばらくは指導してくれるよな?先生?」

 

コクリと無言で頷く彼女の姿を確認し、静かに笑った

さて、オレも冷めないうちに食べさせてもらうとするかな

 

〜END~

 




多分オレが今まで書いてきた中でも最高に健全な作品ですね!
でも人によっては甘さが足りないということになりそうです( ´•ω•` )

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