男主とエリナをイチャイチャさせる小説   作:リルシュ

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ベッドの日らしいのでベッドに関係ある話を書こうとした結果がこれ

キャラ崩壊かもしれないので苦手な方はご用心を…!


ベッドの日

「あれ!?どうしたの!?先輩の方から私の部屋を訪ねてくるなんて!」

 

私はその日の夜もいつも通り彼の部屋に向かおうとしていたのだが、ちょうど出発しようとした矢先に会いたかった人の方から訪問してきてくれた

驚きよりも嬉しさが顔と声に出てしまっていたのか、もうすっかり見慣れたニヤニヤ笑いを浮かべながら先輩がわたしの頭をポンポンと撫でる

 

「へへっ、たまにはいいだろ?エリナに会いたい気持ちが抑えられなかったんだよ」

 

またこの人はこうやって恥ずかしいことを惜しげもなく…

まぁ、こういうのももう慣れたものだけどね

 

「ふーん…そんなに私に会いたかったんだ~。せーんぱい♪」

 

だから、こう言って彼の腕を絡め取るぐらいの反撃ならできるようになっていた

 

「お?言うようになったなコイツ~」

 

自由な方の手でわしゃわしゃと私の頭を少し乱暴に撫でる先輩

…ふふ♪

こういう撫で方するときは照れ隠しっていうのも既にお見通しなんだから!

 

「恥ずかしがることないですよー!私だっていっつも先輩とは一緒にいたいんだから!もっと積極的にこっちの部屋来てもいいんだよ!」

 

上機嫌で額を彼の胸板に押し当てて思いっきり甘える

ここ…あったかくて、すごく安心するんだよね

 

「ははっ…俺が恥ずかしがってることなんてお見通しってか?」

 

「もちろん!先輩のことならなんでもわかっちゃうんだから!」

 

ニコリと満面の笑みで先輩の顔を見上げる

もちろん理由は先ほど述べたとおりキチンとあるのだが、これを言ってしまうと器用な彼のことだ

照れ隠しのクセを直してしまうかもしれない

それじゃあ私が面白くないもんね~!

ふふ、ごめんね先輩!

これは私だけの秘密にしちゃうから!

 

「まいったなそれは~。でも、流石のお前もなんでいきなり俺がここに来たのかはわからんだろ?」

 

まいったという割には全然そんな風に見えずに笑みを絶やさない先輩が、張り付く私の後頭部に優しく手を当てて抱きしめながら耳元でそう囁く

…ちょっとくすぐったい

 

「んっ…私に会いに来てくれたんじゃないの?」

 

頬をくすぐる彼の髪の感触が心地よかった

 

「もちろんそれもあるけどな…エリナは今日が何の日か知ってるか?」

 

今日…?

えっと…なにか特別な日だっけ?

 

「ベッドの日だ」

 

「…え?」

 

ベッドの…え?

 

「ベッドの日だ。だから俺は今日エリナの部屋に来た」

 

「はい!?」

 

まってまって!?

まずベッドの日ってなに!?

 

驚いてポカンと口を開ける私から一旦距離をとる先輩

 

「いや、よく知らんけど今日はベッドの日というらしい」

 

知らないの!?

 

「しかしそう聞いて、いつもお前は俺のベッドへ寝に来るけどその逆は全然ないなという考えにたどり着き今に至るというわけだ」

 

なにそれ!?

じゃー先輩は今日私のベッドが目的で部屋に来たの?

 

「え…じゃーえっと…今日は私のベッドで一緒に寝るってこと…?」

 

そういえば確かに彼の部屋で一緒に寝たことは何回かあったけど、私の部屋でっていうのは初めてかも…

あれ?

なんか意識し始めたら急に恥ずかしく…///

 

「まぁ、そういうことになる」

 

「あ…う、うん。そっか…じゃー…えっと…その…い、一緒に寝る?」

 

…///

な、なに緊張してんのよ私!

べつに今更照れるようなことでもないでしょ!

 

「お?ではお言葉に甘えて…」

 

そう言うが早いか、いぇーい!と夜中だというのにテンション高く叫んだ先輩がボフン!といい音を立てて私のベッドに飛び込み…

その瞬間、頭の中が真っ白になりドクドクと心臓が高鳴りだした

 

「いやぁぁぁぁぁああ!!!やっぱり恥ずかしい!!!」

 

いつも寝ているあのベッドに先輩が体を埋めている…!

ダ、ダメ!

そう考えるとカッと頬が熱くなった

 

彼の腕を掴み強引にズルズルとベッドから引きずり下ろす

 

「いてててて!!!なにすんだよ!」

 

「や、やっぱり恥ずかしいから!せんぱいの部屋行こ!そしてそこのベッドで一緒に寝よ!」

 

「なんで!?」

 

うぅ…

なんか分かんないけどすっごい恥ずかしいんだもん!

 

「大丈夫だって安心しろ。俺はちゃんと毎日風呂に入ってるぞ汚くなんてない」

 

「いや!そういうことを心配してるんじゃなくて!」

 

ふたたびベッドへと歩き出した先輩の腕を掴んで慌てて引き止める

 

「俺のベッドなら大丈夫でなんでお前のベッドじゃダメなんだよ…ハッ!」

 

私が必死に言い訳を考えて頭の中がいろんな熱でごちゃごちゃしてる間に、彼は何やら思いついたのか

コホンと咳払いをしてボソボソと呟きだした

 

「あ…すまん…エリナぐらいの歳なら…うん、まぁ…そういうものあっても…ね?ベッドの近くに隠しててもべつに構わないよ?自然なことだしね?でも俺がいるんだから言ってくれればまぁ…いつでも…ね?」

 

た、大変な勘違いをしているこの男!!!

 

「ち、ちがうよばかっ!先輩のえっち!」

 

「え?違うの?じゃーホントなんでだよ?」

 

「っ…!それは…っ!」

 

どうやって伝えたらいいんだろこの恥ずかしさ!

わからないよ!

 

「まぁ何をそんなに照れてるのか分からないけど、物は試しだ。一回寝てみようぜ。すぐ慣れるってきっと」

 

「そうかな…」

 

いまだに収まらない胸の鼓動に手を当てる

 

「そうそう。だいたい俺のベッドだけ一緒に使ってるのも不公平だろ?」

 

う…まぁ…それは一理あるけど…

 

「ぶっちゃけいつもエリナが使ってるベッドで寝てみたい」

 

「欲望丸出しかこの変態!」

 

ペシッ!

 

「あたっ!なんだよ?お前だって俺のベッドには躊躇なく飛び込んでくるくせに…」

 

「う、うるさい!」

 

思わず突っ込んでしまったが、バカな発言を聞いたおかげで緊張は少しほぐれてきた

 

「…ま、まぁ?今日は先輩がせっかく来てくれたんだから、一緒に寝てあげてもいいよ?…仕方なくなんだからね!」

 

「おぉ…久々にツン成分きた」

 

「ツン成分ってなに!?」

 

わけのわからないことを言いながらも、ウッヒョイ!と今度は腹の立つ叫び声を上げながら彼は私のベッドにダイブした

 

「っ…!」

 

だ、だめだめ!

意識しちゃうからまずいのよ!

 

私は努めて冷静を装い、まるで自分のベッドのように大の字になって天井を見ている先輩の隣に潜り込んだ

…てゆうかせま!

私の場所せま!?

なんで二人で寝るって言ってるのに中心でそんな格好で寝てんのよ!?

私だってそんな図々しいことしたことないよ!?

 

「先輩場所とりすぎ!」

 

ガバッ!っと上半身を起こして、今にもベッドから落っこちそうな場所から抗議の声をあげる

 

「だいじょーぶだいじょーぶ。ほら、俺の腕を枕にすればいいだろ?」

 

「えっ!…あ…う、うん///」

 

パンパンと自分の腕を叩いてそういう先輩の表情がすごく優しくて、私は思わず視線を逸らしてしまった

そんな顔、ずるいよ…

 

「じゃー…お邪魔します」

 

「おいおい。ここは元々お前のベッドだぞ」

 

「い、意識しないようにしてるんだから言わないで!」

 

「はいはい」

 

ギュっと枕がわりになってる彼の腕を握りながら、私は固く目を閉じ早く寝てしまおうと目論んでいた

…のだが

 

寝れない…緊張しちゃって全然眠くない!

 

先輩のベッドでこの状況なら彼の温もりを感じながら安心して夢の世界へと旅立つことができるのだが

今は全く眠くない!

意識が覚醒しきって睡魔をまったく寄せ付けなかった

顔に集まる熱が腕越しに先輩へ伝わってしまうのではないかと思うと気が気でないし…

 

えっと…どうしよどうしよ…

ここは何か無難な話をして緊張をほぐすしか…

 

「なぁエリナ」

 

「ひゃ!ひゃい!?」

 

突如かけられた声に反射的に返事をした私の口から変な声が出る

 

「…どした?」

 

「な、なんでもない!」

 

「そうか?…なら、続き言うけどな」

 

なによもうこのタイミングで!

ちらりと彼の顔を伺えば何やら鼻をヒクヒクさせていて…

…って

な、なにしてるの先輩!?

 

え?え?

うそ!?

 

「でもベッドシーツはちゃんと洗ってるし、私だってお風呂入ったし!変な匂いなんてしないでしょ!?」

 

「は?」

 

「あ」

 

思わず口に出てしまっていた言葉に気づいて慌てて塞ぐがもう遅い

てゆうかさっき先輩がしていたのと同じ心配しちゃってるじゃない私のバカ!

 

「いや…べつに変な匂いとかは…全然」

 

「言わないで恥ずかしいから!」

 

ガバッ!っと枕に抱きついて照れを隠そうとしたものの今はそれの代わりに彼の腕を使わせてもらっていたことに気づき、思いっきり顔を押し当ててしまって全然効果がなかった

もー!

この腕噛み付いてやろうかな!

 

「むしろエリナのいい匂いがそこらじゅうからするし、その匂いに囲まれて本人も隣にいるもんだからまるでお前に体中抱きしめられながら横になってるみたいですごく快適だぞ」

 

「…はぇ?」

 

今…先輩なんて?

なんかとんでもない発言をスラスラとしていたような…

え?

私の匂いがそこら…じゅう…から?

体中だきし…め…ぇぅっ!?!?!?

 

「いやぁぁぁああぁぁぁあぁああばかぁああぁぁぁああぁ!!!!」

 

バッシン!!!

 

「ぶふぉおぉぉああぁ!?!?」

 

ハンニバル神速種もびっくりの超スピード張り手が先輩の頬に炸裂し、すごい音を立てながら彼をベッドからはじき出す

 

「やっぱりだめ!先輩のベッドに行く!!!」

 

床に転がって意識が既に飛んでる先輩に向かって、私はそう声高らかに宣言したのだった…

 

END

 


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