男主とエリナをイチャイチャさせる小説   作:リルシュ

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エリナちゃんの誕生日1週間前ってことで
「男主の誕生日にプレゼントをあげるエリナちゃん」
をコンセプトに書いてみた文



誕生日
先輩の誕生日


エントランス

 

「じゃーなエリナ!また明日!…いや、今夜かな」

 

「もうバカッ!……よ、予定空けておいてよね」

 

「ははっ!りょうーかい!」

 

今日の仕事を終えてニヤつきながら自分の部屋に戻る先輩を見送りながら、私は内心焦っていた

 

別に今夜が心配なわけではない

もう慣れたし、先輩は優しいから…ってちがう!

話がそれた!

 

実は明日は彼の誕生日なのだ

なのに、私はプレゼントを決めかねているという状況

なにもあげないっていうわけには絶対いかない

一年に一度の、それこそ私にとっては自分の誕生日かそれ以上に貴重な日なのだから

 

「どうしよ…」

 

彼自身明日が誕生日であることすら忘れているような雰囲気だったが…

 

「でも、ブラッドのみんなはプレゼントあげるとか言ってたもんなぁ」

 

一応聞き込みはしてみたのだが、ピンとくるものはなかった

 

「うーん…直接聞いちゃう?」

 

先輩が去っていったエレベーターの方を見ながら、誕生日誕生日…と、脳を働かせ

…あ、

 

「誕生日ケーキ…手作り」

 

バレンタインの時のお菓子をたいそう喜んでもらえたことを思い出す

私が作ってあげるという手もある

…けど

 

「やっぱり形の残るものがいいよね…」

 

ペアルックものは過去に私が買ったからダブり感あるし…

ケーキの他にも何かないものだろうか

 

…あっ

 

うろうろと出撃ゲートの前をうろつく私の脳裏に一つのアイディアが思い浮かぶ

 

そういえば、あの日もこんなふうにここをうろうろしていたっけ…?

先輩と一緒に外部居住区へお出かけした日

まだ、私が自分の気持ちを伝えられていなかった頃だ

なつかしい

それと同時に、むっとなる記憶も蘇る

私はあの時本気で指輪をもらえるものだと思っていたのに、あろうことか下着をプレゼントしてくるなんて

 

「ばかっ」

 

けれど、指輪というのはなかなかいいアイディアかもしれない

本物の…その…こ、婚約指輪ってのは、流石に私の現所持金だとキツいし年齢的にも流石に早い

だから代わりの…気持ちが伝わる程度の指輪で!

先輩を予約…っていう言い方はあんまり良くないかもしれないし、彼が浮気するなんてことは絶対にないと信じているけれど

 

「でも先輩とはやくけっk…む、結ばれたいし…///」

 

誰かが聞いてるわけでもないのに、私はボソボソと小さな独り言の中でも直接的な表現が恥ずかしくて言葉選びをごまかす

まぁほとんど意味は変わってないんだけど、やっぱりあの単語を出すのは想像しただけで頭がオーバーヒートしてしまいそうだから

 

「でもいつかは絶対…!」

 

そう決心して、急いで外出許可申請を取りに行くのだった

 

 

 

------------------

 

 

 

「うおぉう…」

 

自室でデスクワークを一段落片付けた俺は、ベッドにぼんと身を投げた

やべーよ

明日俺誕生日だよ

エリナと付き合い始めてから初の誕生日だよ!?

あえて意識してないように振舞ってきたが、プレゼントもらえるかどうか不安で仕方ない

そもそもアイツ俺の誕生日知ってたっけ…?

 

「あ、なんか心配になってきた」

 

なら素直に明日誕生日なんだって言えよ!

と、思われそうであるが、今更感半端なくて恥ずかしいのだわかってくれ

 

トントン

 

「っ!?は、はい?」

 

思考中の突然のノックに不必要なほど驚き声が裏返ってしまった

 

「あ、先輩?エリナです!」

 

「お、おう入っていいぞ」

 

そうだった

今夜もここに来るってあいつ言ってたじゃねーか

 

「おじゃましまーす」

 

部屋に入ってきたエリナがお気に入りの場所であるベッドに腰掛ける

 

「「………」」

 

心なしか、いつもよりそわそわと落ち着きなく部屋を見回す彼女に、俺もチラチラと視線を送る

なにやってんだ俺は!

初心なカップルか!

いやまぁカップルなんだけど…

今更何照れてんだ!

もっと堂々としてろ怪しいぞ

 

なんて脳内で一人悶々としていたら、エリナがわざとらしくオホンと咳払いして後ろ手に持っていたものをそっと差し出してきた

 

「あ、あの…せんぱい!」

 

「あっ、な、なに?」

 

プ、プレゼントなのか!?

まだ日付超えてないけどプレゼントなのか!?

と、内心めちゃくちゃ期待しながらも努めて冷静な顔を装ったが、声は裏返り言葉は噛み噛みで動揺してますよと行動で表現しているようなものだ

だが、どうやら彼女もそれに気がつかないぐらい緊張しているみたいで

 

「ケ、ケーキ…作ってきたんですけど…」

 

「へ?ケ、ケーキ?」

 

お誕生日ケーキってやつか?

え?もしかして…

 

「エリナの手作り!?」

 

「っ!?…う、うん。そうだけど」

 

突然大声を張り上げた俺に驚いて肩を震わせながらも手に持っていた箱は臆さず差し出したままのエリナ

いや驚かせたのは悪かったけど、お前が俺のためにケーキ焼いてくれたなんて嬉しすぎて声出しちまうのは仕方ないだろ!?

 

「マジか!すっげー嬉しいよ!ありがとう!!」

 

「そ、そんな大げさだよ…バレンタインの時だってつくってあげたじゃん」

 

あまりの嬉しさに頭をわしゃわしゃと撫でてやると、エリナはぽっと頬を染めながら照れ隠しのつもりなのかボソボソとそう呟く

 

「あの時はあの時でめっちゃ嬉しかったけど、誕生日にもう一度あのケーキが味わえるなんて…俺は幸せだよ」

 

「あ…今回はザッハトルテみたいなチョコケーキじゃなくて、普通のショートケーキなんだけど…」

 

「なに!?違う種類だと!?それはますます楽しみだ!」

 

わくわくとケーキが入っているのであろう箱に注目していた俺を、彼女も嬉しそうな笑みを浮かべて見ていた

 

「まったくもう…ちょっとは落ち着いてくださいよね!子供みたいだよ先輩」

 

「落ち着いてるって!さ!はやく見せてくれ!エリナが!俺のために!手作りしてくれたケーキを!」

 

「そ、そうやって強調されると照れちゃうな…///」

 

はいっと恥ずかしそうに視線を逸らしながら、とうとう箱の蓋を開封…!!!

 

「お…おぉ!!!」

 

真っ白に輝く白銀のような生クリームにまず目を奪われたが、直後に中央にちょこんと鎮座されている砂糖菓子に注目した俺は感動のあまり声を詰まらせる

その板状の菓子には、チョコで文字が書かれていた

 

『○○先輩お誕生日おめでとう!』

 

と…

手作りってことはもちろんこれも手書きってことだ

ケーキを作りながら繊細な手書き文字作業をしている彼女の姿を想像すると…

 

「エリナ…お前ってやつは…最高だぜ。あぁ最高だ!」

 

半分無意識で体が動いて、ギュっと彼女の華奢な体を抱きしめてしまった

 

「せ、せんぱっ…!?///ケ、ケーキつぶれちゃ…ぁ///」

 

「おっと!すまん。つい…」

 

慌てて体を離し、ケーキの無事を確認する

 

「落ち着いてって言ってるでしょ!…そんなに喜んでくれるのはとっても嬉しいけど」

 

頬を膨らませながら、エリナはそれでも嬉しそうな表情を崩さぬまま俺をじっと見上げる

 

「当たり前だろ!こんな…こんな嬉しい誕生日プレゼント初めて…」

 

「…ふふ。違うよ♪」

 

「へ?」

 

この最高のプレゼントに対する喜びを伝えようとしたのだが、エリナの口から信じがたい言葉が聞こえた

 

「これはただの誕生日ケーキ!プレゼントはね、別に用意してあるの!」

 

……………

 

「なぁエリナ」

 

あぁ目の前が感涙で霞んできた

 

「え?な、なに?どうしたのそんな真剣な表情して…」

 

「俺嬉しすぎてどうにかなっちまいそうだ。キスしていいか?」

 

「なっ…///え…っと…それ…は…///」

 

じっと照れてる彼女の瞳に俺の姿を至近距離で映し出してやると、チラチラと視線を迷わせているのがすごくよくわかった

 

「するぞいいな」

 

「ケ、ケーキをまず食べて!」

 

ぐぃと顔を近づけると、慌てて瞳を閉じてしまったエリナが焦った声で叫ぶ

 

「わかったケーキ食ったらキスする」

 

「っ///…ばかっ…ちゃんと味わってよね!」

 

当たり前だ

エリナの手作りケーキ…!

しっかり味わって食わなきゃもったいない!

 

一人分だというのを考慮してあるのか、バレンタインの時と同じくちょうど食べきることができそうなサイズだった

 

「では!いただきます!」

 

箱の中に同封されていた可愛らしいプラスチック製のフォークを手に取り、俺はソファーに腰掛けてエリナお手製のケーキを食べ始める

 

「うまい…」

 

彼女の料理レベルが相当高いことはだいぶ前から知っていたので美味いことは食べる前からでもわかるのだが…

しつこくなく、かつしっかりと甘味を伝えてくる味

ふんわりと口の中で溶け、自然に次の一口を食べたくなるようなサッパリ感

 

すげぇ…すげぇ俺の好みの味…!!!

 

「先輩はあんまり甘すぎるもの嫌かなって…それに夜中だししつこすぎるのもちょっと…って思ってさ。私なりに気を使ってみたんだけど…どう?」

 

なに!?

マジかよコイツ…!!!

そこまで計算して出した味だってのか!?

 

「パーフェクトだ…!満点!文句のつけようがない!俺はこんな美味いケーキ初めて食った!バレンタインの時のチョコケーキも相当な美味さだったが、これもそれと同等以上だよ!」

 

「ほ、ほんと!?やった!♪」

 

パンっと手を合わせて喜び、俺の食いっぷりを真横に座りながら嬉しそうに見つめるエリナを見てたら、満点どころかそれを余裕で飛び抜けると確信できる

 

「美味かった…ご馳走様!」

 

ペロリと跡形も残さず綺麗に平らげると、彼女は空っぽになった箱を満面の笑みで受け取る

 

「お粗末さまでした♪」

 

「決まり文句だと分かっていても、お粗末なんて冗談でも言えるレベルじゃなかったことをもう一度はっきり言っておくぞ!」

 

「ありがと!せんぱい!」

 

お礼を言いながら何かを期待するようにこちらを見るエリナの様子を見て、俺は先ほど自分がした発言を思い出した

…なんだ~?

結局お前もして欲しかったってことか?

ホント可愛いやつ!

 

「キスか?」

 

「…こ、言葉に出さないでよ…はずかしいかむぅっ!?」

 

キスって言った途端に頬を染める彼女のあまりの可愛さに、これまた自然と体が動いて唇を重ね合わせる

 

「あっ…あまっ…せんぱい…♪」

 

なんだかんだで一度火がついてしまうと積極的になるエリナは、舌を絡ませ合いながら未だ俺の口内に残るケーキの味を感じてるみたいだった

 

「お前の口内はいつでも甘いけどな」

 

「ふぁっ!…ば…かぁ…///」

 

一通り恋人らしいディープなキスを楽しんでから、最後に軽く唇を重ねて離れる

彼女はまだ満足しきっていなかったようだが、今はこれぐらいにしておくべきだ

 

「…日付、キスしてる間に超えちゃったね」

 

ベッドの近くに置かれている時計の時刻を確認し、わざわざ報告してきたエリナにニヤニヤが止まらない

 

「おぅ。今年の誕生日を恋人とキスしながら迎えられるとは思ってもなかったぜ」

 

「私も…先輩の誕生日に一番近くにいれて、とっても嬉しい」

 

「っ…!」

 

慌てることなく落ち着いた声で紡がれる甘い言葉に、俺の心臓が急に彼女を意識し始めてドキドキと高鳴る

それを見透かしたようにトンっと胸元に添えられる小さくて白い手

 

「誕生日プレゼント…今受け取ってほしいな」

 

「あ、あぁ…」

 

耳元に口を近づけて囁くように小さな声でそう言われ、胸の鼓動の音が余計大きく聞こえる

 

…いったい…いったいエリナは何をくれるのだろうか?

 

期待と緊張で胸がいっぱいになりもうこれ以上脈は早くならない!

ってところですっと今度は小さな箱が目の前に差し出された

ケーキのやつよりもっともっと小さな…

 

「…えと…あけても?」

 

コクリと無言で頷く真剣な表情のエリナを確認し、ゴクリと生唾を飲み込んで小さな箱をそっと開けてみる

 

 

 

指輪だ

 

 

 

中身は指輪だった

それが何を意味するのか分からないほど俺は愚かではないつもりだ

流石に本物ではないのだろうが、そんなことは些細な問題である

エリナがこの銀色に輝く指輪を俺にくれた

そこが重要なんだから

 

「…わたしが付けてあげる」

 

あまりの衝撃でプレゼントを凝視したまま動けないでいる俺の手元からさっと指輪を取り、エリナは素早くつけてくれた

…左手の薬指に

 

 

「先輩のお嫁さん…予約させてください!」

 

 

そのトドメの一言を聞きながら、俺は膨大な幸福感に飲まれて意識を手放すのだった

今まで生きてきた中で、今年が間違いなく最高の誕生日だよ

ありがとう。エリナ

 

 

END

 

 




エリナちゃんの誕生日にも小説上げたい…!
が、間に合うかどうか…(・・;)

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