男主とエリナをイチャイチャさせる小説   作:リルシュ

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この章めっちゃ長くなるな(2回目
そしてイチャイチャ成分がほとんどない…というか普通の長編小説っぽい雰囲気になりつつある
これは章の終盤でイチャコラさせるしかないぞ!


最初の目的

「ねぇ先輩」

 

「ん?」

 

ゴゥンゴゥンという機械音だけが聞こえるエレベーターの中

俺はエリナと二人っきりで会話をしていた

 

「さっきさ。私が先輩の部屋に行くと思ってた、とかなんとか言ってたじゃん?」

 

「あー、それがどうかしたか?」

 

「私達の部屋…相部屋とかに出来ないかなと思って…」

 

キュっと握られている手に力がこもるのを感じた

ほほぅ…アリナの件があるとはいえ、やっぱり同じ部屋で暮らしたかったのか

カワイイ奴め

 

「ははっ。それも後でサカキさんに相談してみるか?」

 

「うん!あ、あともう一個…第三世代神機使いの適合試験、受けてみようかなって」

 

「え?」

 

「サカキ支部長の話聞いてたら、もしかしたら可能性あるかもって思ってさ」

 

そうか!

サカキさんは確か、アリナがエリナの身内だと確証を得たのはDNAの解析によるものだと言っていた

当然こちらには向こうの世界のエリナの情報はないため、こちら側の彼女のデータと比較して出た結果ということになる

つまり…

 

「アリナ側の世界のエリナと、こっちの世界のエリナはDNA構造までほぼ同一って可能性が高いわけだ」

 

「そう。だから、第三世代神機使いの試験クリアできるんじゃないかな~って…」

 

「なるほどな…」

 

しかし、第一世代神機使いから第二世代神機使いに更新された人は、ハルさんを例に何人かいると聞いているが第二世代から第三世代へは前代未聞だし…

 

「…確実に安全が保証できるなら俺も賛成だけど、1%でも危険があるなら反対するぞ」

 

「えー!なんでよー!私もっと先輩の役に立ちたい!」

 

いくら機械による調査で安全性が高まっているとはいえ、ゴッドイーターの適合試験が100%安全というのはありえないことだ

つまり、今の俺の言葉は遠回りに『反対だ』と言っているようなもの

それを理解してムスッと頬をふくらませるエリナの頭を、宥めるように優しく撫でる

 

「バーカ。お前はもう十分俺の力になってるって、前にも言っただろ」

 

「でも…異世界の私は血の力まで使えるみたいだし、きっと今の私以上に先輩の役に立っているんだろうなって…」

 

「ったく。俺のために必死になってくれてるのは嬉しいけどな。無茶しすぎて大事になったら元も子もないんだぞ?」

 

「分かってる…けど、少しでも先輩の力になりたいんだもん」

 

ほんとにコイツはどこまでも健気だな

ここまで想われてるなんて俺は相当な幸せ者に違いない

 

「…ありがとう。けど、自分自身のことも大事にしてくれよ?」

 

そっとエリナの肩を抱き寄せて耳元で語りかけると、彼女は恥ずかしそうに身動きしながら頷く

 

「…うん」

 

会話が途切れた後は、再びエレベーターの稼動音だけが静かに聞こえていた

 

 

 

 

 

またもやサカキさんのところに訪問してきた俺達は、何回も申し訳ないと謝罪をいれてから相談事を開始した

先ほどの件で異世界にアリナを帰す方法を調べてくれているのだろう

カチカチとせわしなく指を動かしモニターを見ながらも、サカキさんは俺たちの話を聞いてくれていた

 

「なるほど。アリナちゃんの居住スペースの提供ね。うん。それならちょうどいいところがあるよ」

 

彼の話によると、3年前の例の事件の際に、シオを匿っていた場所が研究室に用意されていて今も残っているそうだ

 

「少し狭いけど、掃除して貰えれば人間一人住むことに問題はないはずだ。ただ食事や入浴、生理現象などのこともあるから、君たち二人が定期的に訪問してくれるのが望ましいけどね」

 

そう言って彼は背後の扉に視線を送る

あそこがその部屋というわけだな

 

「了解です!それなら問題ないよなエリナ?」

 

「うん。私達だって、アリナを誰かに任せて放っておくつもりなんてありませんからね!」

 

「そうかい!ならばそっちの部屋は今日から自由に使って構わないよ」

 

サカキさんの言葉に頷き、早速俺達はその部屋の扉を開いた

 

 

 

 

 

「…と、いうわけで、今日からここで寝泊まりしてもらうわけだが…」

 

その後、待機していたアリナを研究室まで呼んできて例の部屋を紹介することになった

 

「うわぁー…す、すごい部屋だね!」

 

ホコリが積もってあちこちボロボロな有り様の部屋を見て、アリナが明らかな作り笑いを浮かべる

 

「気を使わんでもいいぞ。これからちゃんと掃除するんだからな」

 

「あっ…うん」

 

改めて狭い秘密の部屋を見渡す

壁にある無数の落書きは…なんとなく消さないほうがいい気がした

きっとシオがここにいた証拠のようなものに違いない

だが流石に崩れたベッドやボコボコになってる床などはどうにかしないとな

 

「…ていうか、これ掃除してどうにかなるもんなのか?」

 

散らかっているものが片付いたところで壊れているものはどうすれば…

 

「そうだね。誰か他に協力者を探して、君たちが仕事に行っている間に部屋の件は任せた方がいいかもしれない」

 

相変わらず画面から目を話していないサカキさんが、状況を察してくれたようだ

 

「ちょうど今…アリナちゃんの神機の情報が送られてきてね。少しお願いしたいことができたんだ」

 

「お願いですか?」

 

アリナの神機の情報か

きっとリッカが仕事してくれたんだろう

 

「そうだ。僕からの個人的な依頼ということで任務を発注するから、君たちには受付へ行っていつもどおりその仕事を受注してもらいたい」

 

「なるほど…しかし、オペレーターの人に違和感を感じられたりしないんですか?」

 

「その点ももちろん心配ないさ。彼女も僕達ヒミツ共有者の仲間だからね」

 

ふむ…ということはヒバリかな?

とりあえず、情報の隠蔽に関しては完璧ということか

 

「ただ、流石にエリナちゃんとアリナちゃん二人同時に出撃してもらうのはマズい…だからといって、今回の『お願い』にアリナちゃんの神機は欠かせないし、彼女一人で任務に向かってもらうのも危険だ」

 

「えっ?私なら一人でも平気ですよ!」

 

自信有りげに胸を叩くアリナだったが、サカキさんはコチラに振り向いてゆっくりと首を横に振った

 

「実力が不足しているということではなくてね。君の神機はまだコチラに来てから一度も起動させていないから、実戦でまともに動く保証がないんだよ。いくら似ている世界の似ている武器だからとはいえね」

 

彼の言葉を聞いて脳裏によぎったのは初めてマルドゥークに遭遇した際に同行していたエミールの姿だった

あの時はたまたま大きな事故にはならなかったが…確かに神機が突然動かなくなったりした時一人だったら冗談抜きで危険極まりないことになる

 

「だから、少なくとも最初の何回かは彼らと同行して欲しいんだ」

 

「は、はい。分かりました。私もお姉ちゃん達と一緒なのは嬉しいので!」

 

ニコリと俺達に笑いかけるアリナ

俺だって彼女とは一緒にミッションへ行ってみたい…というか守ってあげたい

なのでもちろん異論はない

 

「でも…同時に出撃するわけにはいかないのに、一緒にミッションへ行かなかればならないなんて…どうするんですか?」

 

エリナが腕を組んで悩みながら投げかけた質問に、これまたサカキさんはスラスラと答えていく

 

「大丈夫。出撃時間を少しだけずらして君たちには現地で集合してもらうのさ」

 

彼の説明によると、出撃メンバーリストを受付と協力して偽装すれば難しいことではないようだ

 

「…バレたら除隊処分は確実ですね…」

 

「安心したまえ。バレるようなヘマは絶対しないよ」

 

心なしか、サカキさんの顔がイタズラを考えている子供のような笑顔に見えてきた

きっとこの人は3年前の事件の際にもこういう事をしていたに違いない

 

「ここは支部長を信じるしかないみたいよ先輩」

 

「ははっ…そうみたいだな」

 

呆れ気味にため息を付くエリナに、俺も苦笑いで同意する

 

「それじゃー、今回君たちにお願いしたい仕事の件なんだけどね」

 

きた

ここからが本題だ

気を引き締めて彼の話に集中する準備

 

「お兄ちゃんが仕事の時真面目になるのは、こっちでも同じなの?」

 

「そうよ…こういう時はカッコイイんだけど…」

 

「えー。いっつもカッコイイよ~」

 

「っ…そりゃ…その……いつもがダメってわけじゃなくて…」

 

「あっ!お姉ちゃんまた顔真っ赤!」

 

「う、うるさい!」

 

…あのー

お二人さん。背後でボソボソ俺の事を話すのはやめていただけないでしょうか?

気になって集中力が削がれるんですが…

 

「君達にはウロヴォロスのコアや素材の採取をお願いしたいんだ」

 

エリナ達の会話に気付いているのかスルーしているだけなのかはわからないが、サカキさんはそのまま仕事内容を伝えてきた

それにしてもウロヴォロスか…

 

「いきなり大物ですね」

 

もちろん俺やエリナは何回か相手にしたことがあるが、決して楽に勝てる敵ではないことは経験から知っている

 

「君達ならそこまで苦戦は強いられないだろう。それに、アリナちゃんの神機…あれはウロヴォロスの素材を使ってチューニングしてあるよね」

 

「あっ、はい。向こうのお姉ちゃん達と一緒にウロヴォロスをやっつけた時に…」

 

…なるほどな

話が見えてきた

 

「こちらのアラガミとそっちのアラガミ…まずは両方の共通点を確証させたいんだ」

 

「了解です。じゃーこれから俺達はサカキさんが発注した任務を受注しに行けばいいんですよね?」

 

「うん。そうだね…君とアリナちゃんに先に行ってもらって、後からエリナちゃん一人で向かってもらえるかい?」

 

そうだな

確かに現地に向かうまでとはいえ、アリナ一人ぼっちにするのは良くない

 

「じゃー現地で集合だね!先輩」

 

「おう。部屋割りの件は仕事終わってから相談だな」

 

「うん!いってらっしゃい!」

 

ニコリと最高の笑顔で見送ってくれたエリナの頭をもう一度だけ撫でて、俺はアリナを引き連れ受付に向かうのだった

 




圧倒的糖分不足!これはまずい!
今他のネタがいくつか思いついているので、もしかしたら短編集や別の新規章の更新も途中で何回か挟むかもしれません


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