時系列は2のストーリー終了後で、キャラエピは最後の一つを残すのみ!ってところ。RBのストーリー開始前ぐらい
※キャラエピ最後まで進んでいる条件だと、少し不自然に感じる部分が出てきたので、急遽時系列設定を修正しました 申し訳ありませんでした
出発
…このごろ先輩は忙しいみたい
前は私の訓練も兼ねて結構一緒にミッションとか行ってたのに、最近はほとんど同行していないし
それどころか、アナグラ内で出会える機会すら減ってきている
二人で同時に休暇がとれた日とか、外部居住区とかにお出かけしてたのになぁ…
ううん!もうはっきり言っちゃうけど、デートよあれは!そう!デート!
…こ、こほん!とにかくそういうことができる時間も作れないのだ
「はぁ~…」
お陰で私の一日は、今日も深い溜息から始まるのだった
久しぶりに先輩と二人っきりでゆっくり過ごしたいなぁ…
「やぁ!エリナ!」
エントランスまでやってきた私にうるさく挨拶するのは、一応同じ極東支部第一部隊所属のエミール
「…おはよ」
「ん!?どうしたんだ!元気がないようだが…具合が悪いのか!?」
「はぁ…うるさいなぁ…」
コウタ隊長から仲良くするようにと言われてはいるけども、どうにも私はコイツと仲良く出来る気がしない
「よーっす!お前ら早いn…って、またケンカしてるのか?」
「あっ、隊長。おはようございます」
ぎゃーぎゃー私に何か問いかけてるエミールをひたすら無視していたら、エレベーターから降りてきたコウタ隊長が眉間にシワを寄せながら挨拶してきた
「コウタ隊長!エリナの様子がおかしいのだが、体調が優れないのではないだろうか!」
「だからっ!違うって言ってるでしょ!」
「まぁまぁ…」
私達のやりとりを見て苦笑いしながらため息を吐くコウタ隊長を見ていると、すぐケンカしちゃうのはやっぱりちょっと悪い気もしちゃう
「とりあえず元気はあるみたいだし…あっ…エリナさ…あれだろ?最近ブラッドの隊長と会ってないもんな~」
「へっ!?」
一応はエミールの意見に耳を傾けたらしいコウタ隊長が、真面目に心配した顔をしていたのはほんの一瞬
すぐに何か思いついたように声をあげて、ニタニタといやーな表情になる
「ちっ、ちがいます!ど、どうして先輩に会えないだけで私の体調が悪くなるっていうんですか!?」
カァーっと自分の頬が熱で赤く染まるのがわかって、言葉の上だけでもごまかそうと早口で頭に浮かんだ言葉を言ってしまった
「だってお前…アイツのこと好きなんだろ?なぁ、エミール?」
「うむ。僕から見ても、エリナが我が友に対し恋心を抱いているのは間違いないと思うぞ!」
「なっ…えっ…!?」
そ、そこまでバレてる!?うそっ!?どうして!?
先輩と二人でいる時以外は、普通に友達感覚ぐらいで接してたはずなんだけど…
「エリナさぁ~、ちょっと前にお前とブラッドの隊長が同時休暇のとき一緒に外出してたことなんて、極東支部のほとんど全員が知ってるんだぜ?」
「うそ…じゃーみんな私が先輩のこと好きなの知って…っ!」
思わず口をついて出てしまった言葉が墓穴を掘ってしまっていることに気づき、慌てて黙るがもう遅い
「それにあいつと一緒にメシ食ったり話したりしてる時の自分の顔…見たことある?」
「えっ…えっ…///」
「僕が見たところ、任務中の表情や言動にも変化があったぞ!」
「っ~!!!!///」
頭の理解が追いついてない
恥ずかしさだけが先行して私の体を駆け巡り火照らせる
じゃーなに!?
私が先輩に対する想いは隠せてるって思ってただけで、実はすでに周知の事実だったってこと!?
「っ~!!!てゆうか!なんでコウタ隊長もエミールもそんなに私のこと観察してるんですか!正直気持ち悪いんですけど!」
もう恥ずかしくて恥ずかしくて、とにかく何か喋ってないと具合は悪くないけどほんとに倒れちゃいそうだった
「いやエリナ…特別観察してたわけじゃないし、あれは誰でも気づくって…『せんぱ~い♡』って、お前が満面の笑み浮かべながらラウンジでアイツの隣座った時、俺は確信したね」
「ひ、人前でそんな声で!?先輩のこと呼んでました私!?」
「うん呼んでた呼んでた。漫画とか小説なら、確実に語尾にハートが付くぐらいの声で呼んでた…ん?てか、人前でってことは…」
あっ…!
「ににに任務!そう!隊長!任務です!きょうの任務!ミッション!なんですか!?」
だめだだめだ!このままじゃどんどん深みにハマっちゃう…!
「エリナよ!僕は君の恋を応援するぞ!栄えある極東支部第一部隊の仲間として!そして君の兄として!我が友と君の恋路を全力で支援しようじゃないか!」
「ばっ、ばかっ!声が大きいのよ!」
周囲にいた人がこちらに視線を送ってくるのを感じて、もう私はいてもたってもいられなくなってしまい顔を俯かせる
がちゃん
ふと、エレベーターの開閉音が聞こえた
今度はそっちに視線が動くのを感じ、私も俯いていた顔を上げてエレベーターの方を見る
…!…!!…!!!
「ん?よう!エリナ!久しぶりだな!」
なんと先輩がいた
どうやら今日の私はとことんついてないらしい
直前でこんな会話をしてなかったら、きっと跳び上がるほど喜んで…って、そういう行動が気持ちがバレちゃう原因なのかな…///
と、とにかく悪すぎるタイミングで先輩が目の前に現れちゃったわけで…
「コウタもエミールも!元気か?」
「おう!あったりまえだろ!」
「ふっ…いつまでも君の足を引っ張るわけにはいかないからな!いつの日か、君たちブラッドと肩を並べて対等に戦えるよう、日々精進に励んでいるよ」
「あっはっは!そっか!楽しみにしてるぜエミール」
「うむ。是非楽しみにしていたまえ!」
普通に会話を始めちゃった男3人を前に、私はありえないぐらい高鳴る心臓を抑えつけるので精一杯だった
もしうっかりエミールが口を滑らせて、私の気持ちを先輩がいるこの場で暴露させちゃったら?
…考えるだけで頭がクラクラしてきた
「…?エリナ?どうしたんだよ?具合悪いのか?」
「ひっ…!」
突然先輩の顔が目の前にきて、思わず一歩後ずさる
「お、おいおい。落ち着けって。俺だよ俺」
「う、うん…」
いつもならなんともないはずなのに…普通に話せるのに…
視界の隅っこでニヤニヤしてるコウタ隊長が恨めしい…っ!
「おっと…そうだ。ブラッドの隊長さん。お前、今からミッションとか行けるか?」
「ん?俺か?行けるぜ!今日は珍しくヒマでな~。やることないかと思ってここまで来たんだよ」
コウタ隊長が先輩に持ちかけた相談内容を聞いて、胸が踊ったのは確かだ…けど…
はぁ~…すごく緊張しちゃうなぁ…
「よーし!なら決定だな!俺ヒバリちゃんから任務受注してくるよ!」
「りょーかい!いやー!ブラッドのメンバー以外とミッションすんのなんて久しぶりだからなぁ~。ワクワクしてきたぜ!」
にっと笑顔でこちらを見る先輩に、不覚にもドキッとしてしまった
「エリナよ!僕達の成長ぶりを見せる時が来たようだぞ!」
「そ、そうね…」
意気揚々と神機保管庫へ向かう先輩の後ろ姿を見ながら、私はさっきとは違う意味で大きなため息を吐くのだった