イメージするのは常に最高の調理だ   作:すらららん

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原作の設定は最大限尊重し遵守していきたいと思っていますが、独自展開や解釈が入ったりするかもしれません。
そういうのが苦手な方はお戻り下さい。







ルート1
第一話 迷い続けた旅路の果てに


『しょうがないから、俺が代わりになってやるよ』

 

 ああ……自分は夢を見ているのだと、士郎はぼんやりとした意識の中で気付いた。

 月の綺麗な夜、今は居ない養父と幼い“自分達”が最後の語り合いをしたあの日。

 誓いの日。

 忘れた事は一日だって無かったが、こうして夢で見ると改めて決意を固める事が出来る。

 正義の味方になりたかった養父の、切嗣の夢を受け継ぐ事を決めた当時の思いを反芻する。

 

(ああ……忘れるものか、俺は絶対に正義の味方ーー)

 

『ああ、安心したーー』

 

(ーーにはならない(・・・・・・)

 

 そう、約束したのだ。

 正義の味方にはならないと、誰かを助けたつもりの人間にはならないと。誰かを幸せに出来る人間になるのだと。

 その為に衛宮切嗣という男が作り上げたモノを知っている、目指したカタチを、その理念を知っている。

 その姿に憧れた。

 だからこそ衛宮士郎はならなければならない。

 

(俺は絶対に、料理人になってみせるから)

 

 

 

 

 

 Fate/cooking story

 第一話 迷い続けた旅路の果てに

 

 

 

 

 

 それは本当に偶然の出来事だった。

 いや、運命だった。

 

 アインツベルンから娘のイリヤを取り戻しに向かい、その領地に踏み入る事も叶わず失意の帰郷の最中の出来事だ。

 故障した密航船が最寄りの町へと寄港し、その近くに嘗て正義の味方(殺し屋)として活動した紛争地域の1つがある事を思い出した。

 今やその紛争は終わり復興に向かっているらしい事を耳にしていた切嗣は、何の気なしに近隣の村へ向かう事を決めた。

 いや、或いは確認の為だったのかもしれない。

 

(よく覚えている………)

 

 殺した総数は124人。

 両陣営の主導者、扇動者、協力者、これらの中から時勢や影響を鑑みて出来る限り最小限の犠牲で済ませた。そのつもりだった。

 今ではまるで自信が無い。

 

 聖杯という奇跡に縋って、恒久的世界平和の実現まで後一歩の所にまで迫りながら、その方法を提示する事の出来なかった自分ーー殺す事しか考えられない自分の在り方に絶望した。

 その聖杯は殺傷する形でしか願いを叶えられない不完全な物だったが、それは関係ない。衛宮切嗣の方法では世界平和は訪れないと、ハッキリ見せ付けられた。

 そんな事に気付く為に、何年もの歳月と数多の命を犠牲にしてしまった。

 

「やはり、そうか……」

 

 確かに紛争は終わった。

 だが、もはや復興の為に立ち上がる力を彼らは失っていた。それは資源であったり、職であったり、土地であったり、労働力だった。

 そう、あまりにもーー人が死に過ぎた。

 

 明日の食事どころか、今日の食事にも事欠く状態。

 何日も飲まず食わずで過ごす者達は一様にやせ細り、或いは不自然に身体の一部が膨れていた。

 

 復興を手伝う為と各国から派遣された者達は、自国の糧を増やす為に勝手に工場を建設し、その恩恵を住人は殆ど得られない。

 マスメディアはその立派な工場を「復興の象徴」などと囃し立てている。

 

 着る物にも不足し不衛生なこの場所では体調管理など望める筈も無い。汚物すらそこら中に放置されており、病気を患い苦しむ者達で溢れ、死体すら散見している。

 

「…………」

 

 それらの惨状を備に観察しながら、切嗣は歩き続けた。見知った光景に足を止め、屈み込む。

 爆撃を受けたのだろう、見るも無惨に焼き焦げた跡には僅かに金属片が覗いていた。

 思い出す。

 

 武器の製造工場となっていたこの場所を襲撃した切嗣は、そこに居た人間の中で5人だけを選び殺害し、それ以外を魔術で誘導し逃がして爆破した。

 

「僕のしてきた事はーー」

 

 元傭兵を含む5人は銃火器の知識や仕入れる為の伝があった。この工場が潰されても彼らさえ生きていたら、紛争はまだ続いていただろう。

 だから殺した。

 そして武器弾薬の補充を満足に出来なくなった彼らは、これが決定打となり継戦能力を著しく失いそれから間もなくして紛争は終わった。

 そこまでしか知らなかった。

 

 ああ、結果的に見れば切嗣が行った活動は確かに犠牲を減らす事に成功していたのだろう。

 

 それを知らない敵国が、独自に掴んだ兵器工場の情報を元にその周辺に爆撃を繰り返し数百人に及ぶ無関係な人間を巻き込んで被害を出した(戦果を挙げた)としても。

 武器弾薬を失った彼らは、それでも諦めず単身爆弾を持ち特攻を繰り返し人命を減らし続けたとしても。

 やがて若い男達を中心に活動していた彼らは、その大半を失い為す術も無く蹂躙され女は犯され子どもは野垂れ死に、一方的な勝者と無惨な敗者という形で紛争が終わったのだとしても。

 

「ーー何の意味も、無かった」

 

 数だけを見て、人間を見ていなかった。

 自分がやらなければあと十年は紛争が続き犠牲者は増え続けたと、そう確信してーーしかし目の前の光景を見ても尚、そう主張する事に意味があるだろうか。

 100の内99を救い、残った1の犠牲が君達の家族や友人なのだと声高に言えるものか。

 

 正義の味方として活動した。

 少なくともその気だった嘗ての自分の行動は只の殺人であり、救った人間など誰一人として居なかった事が改めて分かった。

 

「っ」

 

 軽い衝撃を受けて倒れる。

 手に抱えていた食料の入った袋を年端もいかない少年が奪い、路地裏へと走っていく姿が見えた。

 盗られた事に対して思う事は無かった。

 特に身なりを整えていた訳ではないが、外国人である自分が彼らよりもあらゆる意味で恵まれているのは確かだ。

 そんな相手が特に警戒する事なく呑気に俯いているのだ、殺して財布や何から何まで奪わず、ただ食料だけを奪われた事に疑問を覚えたぐらいだ。

 

「いや、殺す力すら無いのか……」

 

 全盛期の半分の力もなく隠居の身とはいえ切嗣は常人では無い。殺意があれば無意識にでも反応していただろう。

 そうならなかったと言う事はつまり、殺意が無かったのだ。

 こんな場所でもナイフぐらいは調達出来る筈だ、銃も有るかもしれない。それすら持つ事が出来ない程に力が無いのだ。

 

 改めて先程の少年を思い出す。

 フラフラと逃げて行く姿、その手や足はこれまで見てきた人間と同様に痩せ細っていた。

 納得し立ち上がり、ふと……その少年が向かった場所に歩き出していた。

 理由は判然としない、それでも何か得体のしれない衝動に突き動かされ切嗣は早足で歩き続けた。

 

 この判断が死を待つだけだった彼の人生にとって、最後のターニングポイントとなった。

 

 

 

「居た…」

 

 入り組んだ構造では無いし、そもそも建造物の殆どは倒壊している。少年を見付けるのに苦労はしなかった。そこは小さな小屋で、中には複数人の少年達が身を寄せ合っている。

 その中央で1つの弁当を分け合っていた。港町で適当に買った弁当だ、中身が何だったかすら覚えていないし、大した量があるわけでも無かった。

 それでも少年達は嬉しそうに、美味しそうに食べていた。

 

(ぁ……)

 

 罪がそこに存在した。

 少年達に罪は無い、それは確かだ。

 ただ明確に、此処に居る人間の中で衛宮切嗣の罪だけが確実に存在していた。

 

 ただ機械的に命を天秤に掛け、殺してきた結果が目の前にある。

 彼らの親は紛争に関わっていたのかもしれないし、関わっていないかもしれない。紛争が続いていれば彼らもまた当事者になっていたかもしれない。

 そんな、もしもの話など関係ない。

 どんな理由や経緯が有ったとしても、今こうして生きる事にすら困窮している彼らを生み出した原因の1つは紛れも無く己自身なのだ。

 

 衛宮切嗣という正義の味方気取りの殺人者が、彼らの現状を作り上げたのだ。

 救うべき者達だ。

 本当に正義の味方ならば、彼らこそを救わなければならない。というのに、他ならぬ己が彼らをこんな場所で、こんな風に生きるしか出来ないようにしてしまっていた。

 

「っ……! くそう!」

 

 思わず声を張り上げ、少年らが一斉に此方を向いた。その瞳に浮かんでいる表情は様々で、切嗣の顔に気付いた1人の少年などは恐怖に満ちた眼差しで見つめていた。

 

「あ……いや、僕は……」

 

 その眼差しに気圧された。

 

 少年が何事かを呟き必死に頭を下げる、周囲の少年らもそれに習い恐怖に満ちた眼差しで切嗣を見つめ何かを喋っていた。

 その内容は切嗣には聴こえなかった。

 言葉が分からない訳ではない、掠れる様な声だったからではない。必死に謝罪を訴えている事など、誰でも分かる。

 そんな事が理解出来ない程に今、切嗣は衝撃に身を震わせていた。

 

 駆け出した。

 逃げる様にその場から、全力で、誰も居ない場所に向かって力の限り走り続けた。

 

 

 

「ハァ……ハァ……っ! う!」

 

 体力の限界まで走り石に躓いて転倒する。

 咄嗟に受け身を取る事も出来ず、顔面から勢い良く地面に叩きつけられ無数の擦り傷が出来た。

 その痛みを感じない、ゆっくりと深呼吸をしながら仰向けに姿勢を変えると空は薄暗くなり始めていた。

 

 まだ昼過ぎだったにも関わらず、こんな時間になるまで自失して走り続けていたのだ。己の行動を冷静に振り返り、溜め息を吐く。

 誰かに恨まれても仕方が無い人生だった、聖杯の内で妻のカタチをしたモノにすらそんな目で見られた事もある。何度も何度も、そんな目をしてきた相手を殺してきたのだ。

 だから大丈夫な筈だった。

 

「あ……あぁ、うあぁ…………っ!」

 

 先程の眼差しを思い出し、込み上げてきた嗚咽を抑えられなかった。

 まるで耐えられない。

 慣れていた筈の、先程よりも恐ろしく、殺意にまみれた視線すら浴びた事があるのに全く耐えられなかった。

 己の内に今も存在する呪いすらも、比較にならない程の絶望感。

 

『ケリィはさ…どんな大人になりたいの?』

 

 脳裏に少女の声が蘇る。

 大切だった少女、誓いを話せなかった少女、殺してやれなかった少女。

 あの頃は誰かに言うのが気恥ずかしくて言えなかった“正義の味方になりたい”という夢を、今の自分は全く別の理由で言えない。

 言える訳がない。

 

 どうしてこうなってしまったのだろうか。

 正義の味方など夢物語だと理解し、それでも犠牲にしてきた者達を無駄にしない為に出来る限りの手を尽くした。

 それだけは信じていた。

 今では、その思いすら揺らいでしまいそうだった。

 

「僕は……」

 

 もはや切嗣は正義の味方を諦めている。

 それでも、さっきの光景を見て何もしない人間など正義の味方がどうこうなど無関係に、最低を通り越して人間ですらない。

 だから行動する。

 魔術師殺しではなく、正義の味方でもなく、衛宮切嗣として初めて彼らの為に何かをしたいと強く思った。強く願った。

 人間が出来る事など高が知れている、この村を救う事などどう考えても出来ない。

 あの少年達を救う事もだ。

 

「いや、違う」

 

 誰かを救うという考え方自体が烏滸がましい。何様のつもりだろうか、こんな調子だから人命を軽く見てしまうのだ。

 

 起き上がり、彼らに何が必要かを考える。

 食料は当然として服も必要だろう、しっかりした住居に彼らを護る存在が必要だ。

 まだまだ必要だが、これ以上を考えても意味がない。それは己の限界を越えている。

 今の切嗣にとって優先順位は既に決まっている。

 士郎と、イリヤ。

 この2人の為だけに生きている。それを変えるつもりは毛頭ない。

 

(僕の命が尽きる迄に必ず……イリヤを迎えに行ってみせる。ただ、今回はーー)

 

 食料と衣服を買い揃える事に決めた。

 彼らの生活を考えれば一時凌ぎにしかならないのは明白だ。保存食を多目に買うつもりだが、育ち盛りの年頃の彼らが我慢し節制するなど考えられない。

 成長してしまえばサイズが合わなくなり、いずれ着れなくなるだろう。

 使い終わってしまえば、それ迄だ。

 何度も通うつもりは無い、これ一度きりだ。その後の彼らが飢えて死んだとしても、その前に周囲の人間達から食料や衣服を奪われたとしても。

 自分は何もしない。

 

 誰かに聞かせれば無責任だと言われるだろう。

 身勝手な自己満足だと。

 偽善者だと。

 その通りだ。

 それで構わなかった。

 小難しい理屈など知った事ではない。ただの思いつきだ、気の迷いの一種だ、だから行動するのだ。

 

「取り敢えず買えるだけ買って……ああ、そう言えば近くに居たな」

 

 この村の近くの都市に、表向きは名士の魔術師が居る事を思い出した。そいつの金を使う。資産の半分ほどなら直ぐにでも動かせるだろう。

 命を奪わず・奪わせず、代わりに資金提供をしろと自己強制証明で縛っているので構う必要は無い。これに関しては全く良心が痛まない。当然だ、そもそも魔術師に人権などありはしない。

 

 元は武器購入の資金調達先の1つだった。それを今回は人助けに……いや、自己満足の為に使う。

 思う所が無い訳ではない。それでも誰かの命を奪う事に使うよりは、ずっとマシな使い道に思えた。

 

 

 

 翌日。

 大きなコンテナを詰んだトレーラーが20台ほど小さな村へと走り出した。

 先頭のトレーラーの助手席に切嗣は居た。凡そ10年ぶりの再会となる魔術師は、切嗣の顔を見た瞬間に全てを諦め歓迎の言葉を心から口にした。

 しかし切嗣、これをスルー。要件だけを掻い摘んで伝える。

 

 言われるがままに己の資産の四分の三に及ぶ金額を使い、大量の食料や衣服、簡易的なテントや救急箱等々を仕入れる為の根回しに馬車馬の如く働かされた魔術師は、それでも笑っていた。笑うしかなかった。

 定期的に人を送りだす事にも賛同する。こんな事、切嗣に殺され家系が断絶する事に比べれば安すぎる出費だった。

 

 思いがけない程に肥大化していた資産のお陰で、当初予定していたよりも上等な支援を彼らに出来ると分かった切嗣だったが、その顔に喜びは浮かんでいなかった。

 当初よりもマシだが、その程度だ。

 あくまでも少年達の為に動いた切嗣にとって、それ以外の者にも恩恵を受けられる状況は、少年達の生存率を上げる為に過ぎない。

 定期的な人材の派遣も、良くて数ヶ月に1度程度だろう。

 一時凌ぎにはなっても、それ以上にはならない。

 

 復興を考えるなら何よりも安定した環境が必要だ。端的に言ってしまえば、金を稼がせる事が。

 野菜を育てるなり、物を作るなり……何でも良い。経済活動を出来る様に支える事が必要だ。

 その点から見れば、今回のこれは余りにも下作だ。

 与えられるだけでは、何も力にはならない。

 搾取するだけの“自称復興支援”よりもマシだが、大した差は無い。

 

(だから何だ……)

 

 そんな事は分かっていてしているのだ。

 人を殺す事しか知らない男には、これ以上は手に余る。何でもかんでもしようと手を伸ばすから、大事なモノを見落としてきた。

 もう間違わない。

 さっさと配給を済ませ、日本に帰る。

 そしてイリヤを迎えに行く算段を練り直す。

 

 拡声器を使い村の中を歩き回った。

 中央の広場に行けば食料と衣服が貰えると、少ないながらも住居を用意したと。動けない者が居れば手伝うと、それらの言葉を繰り返し歩き回った。

 最初は疑っていた者、興味を惹かれた者、病を抱え動けず困っていた者、様々な者達で広場は埋め尽くされていった。

 その中には先日、切嗣の弁当を奪った少年達も含まれていた。

 切嗣が率先して食料を食べ、毒が入っていない事を見せる。身体が汚れている者は綺麗に洗い流し、新しい服を着せる。

 連れてきた医者に診察を任せ、テントや簡易トイレの設置に汗を流し、清掃業者に指示を出して、放置されたままの死体を荼毘に付す。

 半日掛かりでそれらを終え、トレーラーの陰で身を休めた。流石にキツかった、心身共に使い果たした。

 

「終わった……か」

 

 煙草を持ち出してきたが、吸う気にもなれない。

 やりたい事は出来た。後はこの場の責任者として全員の所在を確認し終えてから港に向かうだけ。

 それでお終い。

 もう彼らに関わる事は無い、思い出す事もそんなに無いだろう。

 それでいい。自己満足の行いを誇る気は無い、後悔する事も無い。

 誰に話す事もなく記憶の奥に仕舞われ、死ぬ時の走馬灯で思い返す事の一つになるだろう。

 

「あの……」

 

 そうなる筈だった。

 声を掛けられた事に少しの間を置いて気付き、ゆっくりと首を傾ける。

 見覚えのある少年だった。

 それもそうだ、こうして今日此処に来ようと思った直接の理由。弁当を盗られ、追い掛け、勝手に絶望して、逃げ出した相手だ。

 

「……」

「あ、その…」

 

 上手く声が出なかった。

 声を掛けられた以上は何かしら話す為にそうしたのだ、それは分かる。しかし何を話せば良いのか、そもそも何故話してきたのか。

 様々な思いが脳裏に過ぎっては消えていく。

 そうして惚けたような顔を晒していた切嗣に、全く想像だにしていなかった言葉が聴こえてきた。

 

「ありがとう!」

 

 簡潔な一言だった。

 だからこそ雄弁に、その言葉には少年のありったけの思いが込められていた。

 

 朗らかに笑い、そそくさと走り去って行った少年の背中を切嗣は見続けた。何を言われたのかを理解できない、いや言葉の意味自体は理解している。

 気付けば涙が流れていた。

 ありがとう、たった5文字に込められた思いが、切嗣の心を激しく揺さぶった。

 少年は自分達の現状を、恐らく理解していない。していればお礼など言う筈が無いからだ。

 そうだ、理解していないからこそのお礼の言葉は、何一つとして打算の無い想いは、だからこそこんなにもーー心をうつ。

 

「……んな」

 

 それは今までの人生で感じた事の無い気持ちだった。

 正義の味方として多数の為に少数を殺してきた時には感じる事の無かった、何処までも自己満足でしかない行いの果てに、ただ一言……“ありがとう”と言われ、泣いてしまった。

 嬉しかったのだ。

 どんなに自己満足からの行いだとしても、その場凌ぎの方策でしかないとしても……その言葉に報われた気がした。

 

「……こんな、簡単な……事……だったのか……っ!」

 

 ああ、間違いでは無かった。

 正義の味方になろうと思った事は間違いではなかった、ただ衛宮切嗣の方法だけが間違っていたのだ。

 誰かを助けるヒーローに憧れた、なら助ければ良かったのだ。誰かを殺す必要は無い。

 下作と蔑んだこの、どうしようもない自己満足にすら劣る行為しかしてこなかった事に気付いた。

 気付けた。

 

 立ち上がる。

 今まで感じた事が無いほどの力が全身に漲っている。これは錯覚だ、気分が高揚しているから感じている偽りの全能感。殺人機械としての切嗣なら、そう断じただろう。

 しかし違う。きっと違う。

 これが、この衝動が、愚かしさこそが大切だったのだ。小難しい事を考える必要など無い。

 

「そうだ、僕はまだ……なにもしていなかった」

 

 今更また正義の味方を目指す気は無い。

 士郎とイリヤの為に生きる誓いに何ら変わりはない。

 ただ、少しだけ。ほんの少しだけ自分にやれる事をやっていくのだ。

 先ず最初に何をしようかと考えて、腹が空いている事に気付く。腹が減っては戦が出来ぬ、昔の様に無理をしてまで身体を動かす必要は無いだろう。

 

 助手席の扉を開けて、そこに放置されているファストフードの袋を掴む。

 温いコーヒーと冷めたバーガーを咀嚼しながら、ふと思い付いた。

 これでいい、これを始めよう。

 適当な思い付きだが、だからこそ良かった。

 

「衛宮バーガー……語呂が悪いな、まあ名前なんて何でもいいか」

 

 やる事は決まった。

 もうこの国に、この場所に来る事は無い。残された時間は、そう多くは無いのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エミヤグループ。

 

 全世界にチェーン展開している『ファストフード・エミヤ』を初めとして、多数の飲食店や病院・介護施設などなどを傘下に収めている複合組織の総称。

 創設者である故・衛宮切嗣氏の理念により利益のほぼ全てを戦争災害などの救援金に充てているにも関わらず、現会長:藤村雷画の卓越した手腕と多数の出資者の存在により急成長した大企業である。

 

 今や日本国内は元より諸外国に於いても学生が就職したい企業の十肢に入る程の人気企業だ。

 それはこの冬木市は穂群原学園でも例外では無く、寧ろ他のどの学校の生徒よりも熱意に溢れていると言っても過言では無かった。

 

「なあ衛宮! お前の力でどうにか採用されないかなぁ?」

「ちょっと! 自分だけズルいわ。ねぇ衛宮くん、私も紹介して欲しいな!」

「俺も! 俺も紹介してくれないか、頼む面接だけでもいいからさ!」

 

 それも当然である。

 何故ならこの穂群原学園には、エミヤグループ次期後継者と噂されている衛宮士郎が通っているのだから。

 まだ3年生になる前にも関わらず学友達は、熱心に士郎へ自己アピールをしていた。

 半ば以上が縁故採用を仄めかしているが、これは軽い冗談の類だ。そんな志の低い人間など早々居はしない。

 多分。きっと。

 

「ハァ……みんな知ってるだろ? 俺は経営に関わってなんかないってさ。頼むならまだ藤村先生に頼んだ方がいいって」

「タイガーに頼んでも意味ねーって、だってクビになったんだろ?」

「藤村先生を秘書にしようんて命知らずよねー」

「つーか教師になれた事自体、俺はまだ疑ってるぜ」

「ほぉーう。それはー、どーいう事なのかなーん?」

「だってタイガーって頭良さそうに見え……って! た、タイガー!?」

 

 理解したか?

 これが、虎の尾を踏み付けるという事だ。

 

「誰がタイガーじゃァア!! シャラーーーップ!!」

 

 恒例となったタイガー弄りで話は有耶無耶になり、今日も慌ただしく1日が終わった。

 時間は放課後、部活や受験に汗を流す青春の時間だ。

 

 

 

 実の所、士郎がエミヤグループの後継者である事は確かな事実である。

 と言うよりも、未成年の士郎から保護者代わりである雷画が経営権を委託されている形なのだ。

 本人的には成人した後に正式な形で雷画へと経営権を譲渡するつもりであるが、そうはさせない為に周りを固められている事には気付いていない。

 

 切嗣が思い付きで始めた小さな店は、よほど時代の流れに合ったのだろう。

 あれよあれよと業績を伸ばし、直ぐに本人の与り知らぬレベルにまで膨れ上がった。

 大まかな方針を決め、後は任せ切りにされた部下達を尻目に株や投資に適当に手を出すと、何故か利益を出し続けた。

 入念な下調べも無く店を乱立するも、例外無く利益を上げ続ける。金は金を呼び、更なる金を生み出す。

 その後も、彼の生来の運からは考えられない程の幸運に恵まれ続け今や衛宮家は冬木市最大の資産を持つ迄に至った。

 そしてそれは、彼にとって最良の結果を齎した。

 

「藤ねえ、今日も来るんだろ。何かリクエストあるか?」

「うーん……そうねぇ、何でもいいわよぉー」

「そういうの困るんだけどな」

「じゃあ……イリヤちゃんの好きな物にしてあげなさいよ。私は~士郎の料理なら何でも大好物なんだからぁ♪」

 

 潤沢な資金にモノを言わせ、切嗣にはもはや見付ける事の叶わないアインツベルン城が存在する“であろう山岳地帯”を爆撃した。

 幾ら千年の歴史を誇る魔術師の大家と言えど、専門は錬金術だ。戦闘には向かないし、異空間や別次元に城を構えている訳では無い。

 確かに地球上に存在するのだ、ならば虱潰しに探せばいい。その方法が些か過激だったが切嗣にとって知った事では無い、魔術師に人権は無い……それも、己の妻や娘をあんな“出来損ないの聖杯”の為に使おうとした外道など生かしておく価値も無い。

 

 現代の兵器・特にその単純な火力に於いて科学は既に魔術を越えている。

 容赦など微塵も無い爆撃は連日に及び、やがて隠されているアインツベルンの本拠地にも降り注いだ。

 目算通り結界を維持する機能を失った城に突入し、これまた目算通り結界を維持する為に全力を尽くし疲弊したユーブスタクハイトを抹殺。

 千年の妄執は呆気なく終焉を迎えた。

 持ち出せるだけの秘奥とイリヤを無事に回収し、完全にアインツベルン城をこの世から抹消。

 勿論、ミサイルぶっぱである。

 

 その後、アインツベルンの秘奥や巨額の金と引き換えにイリヤの身体を何とか出来る眼鏡の似合う魔術師に交渉・了承を貰い、聖杯の機能を抑え普通の人間として生きて行けるように調整。

 それから、切嗣が死ぬまでの僅か半年程しか家族3人で過ごす事は叶わなかった。

 それでも夢に破れた男が手にするには余りある幸福の中で死んでいった。

 

「そうだな……そうするよ。んじゃ」

「はいはーい。それから士郎、たまにで良いから道場に顔を出しときなさいよー?」

「ああ、分かってるさ。美綴にも今日さんざん言われたからな」

「それなら宜しい。桜ちゃんに、今日は早く終わるから一緒に帰ろうねーって伝えといて!」

 

 じゃね! シュバッ!

 陽気な挨拶と共に小走りで職員室へ向かう大河を見送り、言われた通り道場へと向かう。

 

 道中でも同級生や、まだ進路の決まっていない3年生に泣き付かれ苦笑しながら丁寧に断りを入れる。

 昔はこんな事は無かったが、大河がうっかりエミヤグループと士郎の関係性をバラしてからは毎日こんな調子だ。うっかりする人間が間違ってるんじゃないか、と何故か思ったりした。

 赤い少女がクシャミをしたとか、してないとか。

 

 名目上は弓道部に所属している士郎であるが、彼は学友達と違い何年も前から明確な目標に向けて日々鍛練を積み重ねている。

 弓道を始めた事はその鍛練の一環でしか無い。

 部長である美綴が熱心に引き留めていなかったら、ある生徒との諍いの際に辞めていただろう。

 今では幽霊部員に近いが、それでも彼の射は誰が見ても群を抜いている。請われて1度や2度射るだけだが、それだけで充分な指導となる。

 流石にそれだけでは申し訳ないので参加した日は居残って掃除をする事にしていた。

 が、今日はする訳にもいかない事情があった。

 

 

 

「来たぞー美綴」

「おう! ちゃんと来たな衛宮。さあ、射っていけ」

「ハハ……いや、今日は遠慮するよ」

 

 挨拶もそこそこに射る事を強要する美綴に苦笑しながら丁寧に断りを告げる。

 入口の近くに居た部員達は見慣れた光景に口を出す事はなく、しかし士郎の射が見れない事を残念に思ったりした。

 

「今日はって事は、明日は良いって事か? そうだな、うん仕方ない。今日は勘弁してやろう」

「なんでさ……」

「ほら、何時までもそこに立ってるんじゃない。間桐に挨拶していくんだろ? 早く上がんな、それとも呼んでこようか?」

 

 よく分からない理屈だが、彼女の中では言質を取った事になったらしい。本気で嫌がる事をあまり無理強いはさせないタイプだが、こうなると話は別だ。

 明日もし捕まってしまったら帰る時間が遅くなってしまうだろう、イリヤから“最近”暗くなる前に帰るように言い含められているのに困った話だ。

 それはそれとて、何もしない人間が道場に上がる訳にもいかない。

 申し訳ないが呼び出して貰う事に決めた。

 

 僅かに間を置き、ひょっこりと顔を出した後輩に手を振る。美綴が耳打ちして、真っ赤な顔になりながらワタワタと手を振り、その内の一つが鋭い一撃として顎に当たった。

 あれは痛い、沈黙した美綴を尻目にまだ若干顔を赤らめながら近寄ってきた後輩の意外な実力に士郎は感心してしまった。

 

「お、お待たせしました、先輩!」

「い、いや、待ってないぞ桜。急に呼び出して悪かったな。藤ねえがさ、帰りは一緒に行こうって言ってた。悪いけど迎えに行ってやってくれるか?」

「ふふ……はい、分かりました」

 

 士郎の中で大河という女性は、いざという時に頼りになるといった感じだ。逆に言えば、いざという時以外はどうしようもないと思っているという事でもある。

 その考えが通じたのだろう、桜は少しだけ笑ってしまった。

 とても先ほど美綴を一撃で倒した相手とは思えない程のたおやかさだ。

 

「ーーじゃあ、俺は買い物に寄ってから帰るよ」

「はい。お気を付けて」

 

 特にとりとめのない会話を二・三し、別れた後は誰にも見付からないよう校舎を出る。

 校外に出れば流石に士郎の顔や正体を知る者は少なくなる。それでも慣れ親しんだ商店街の人達にはバレてしまうが、そういう人達は派手に騒いだりはしない。

 藤村組の者が護衛として周囲を固めており、マスコミなどには気を使わなくて良いのが幸いか。

 

 夕飯は鍋に決めた。

 先週の大食い番組で見たちゃんこ鍋に異常なまでの食いつきを見せていた姿を思い出し、これなら気に入って貰えるだろうと考えたからだ。

 日本に来たばかりの外人ではあるまいに、未だに日本特有の食べ物や文化に並々ならぬ興味を示す小さな“姉”を思いつつ、手早く買い物を済ませていった。

 

 

 

「おかえりシロウ! わ、何これ今日は凄い量ね。

一つ袋を持ったげるわ。なに遠慮してるのよ? お姉ちゃんの言う事は素直に聞きなさーい!」

 

 遠慮していると強引に袋を取られた。

 実年齢は兎も角として見た目は幼い少女の為に、お姉さんぶりたい子どもにしか見えない姉。初めて来た頃よりも少しは成長している筈だが、それでも士郎とイリヤを見て姉弟と思う者は居ないだろう。

 されど的確に一番重い袋を見つけ出す手腕は流石といった所か、フンスと鼻息を荒くして台所へと持って行く背中は確かにお姉さんらしさが垣間見えた。

 

「隠しといて正解だったな」

 

 玄関の外に置いていた一番重たい荷物を抱え直し、今頃は団子を見付けてつまみ食いしているだろうイリヤの元へ急ぐ。

 居間には大量のマンガやDVDが散乱していた、以前からの物や届いたばかりの未開封品に特典などで足の踏み場も無い。テレビには最近ドはまり中のプリズマだかリリカルだかマギカだか士郎には分からないが、魔法少女アニメが流れている。

 基本的に学校に通っていない彼女は日がな1日こうしたサブカルを堪能している。

 散らかしてもキチンと直すので、来客時以外はあまり強く注意する気にはならない。

 

「しりょー、なにひてるの?

……らぁー、ぁにそれ!」

 

 案の定お団子を口に含みながら顔を出したイリヤは、士郎が隠していた大きな荷物を目敏く見付けて少しだけ不満そうな声を出した。

 ゴメンゴメンと軽く謝りながら、急いで生ものを冷蔵庫へと仕舞う。ぶちぶちと不満を垂れ流すイリヤには、美味しい夕飯を作る事で謝罪とするしか無いだろう。

 少なくとも、今夜の献立を聴いてキャッホウしてる彼女の脳に長く不満が残るとは思えなかった。

 

 軽く下拵えを終えて「マミざぁーんっ!!」と泣き叫ぶ声の聞こえる居間を素通りし、大根を持って庭へと向かう。

 これから鍛練を始める。

 本当は千切りにしたい所だが、夕飯の事を考えるとそんな細切れには出来ない。仕方がないだろう。

 目標は1分以内。

 

「……投影開始」

 

 イメージするのは幅広の大剣。

 縦2メートル・横20センチにも及ぶ長さと5センチもの厚さ、その重量と頑丈さで敵を鎧ごと叩き潰す為に生まれたその大剣をーー改竄する。

 柄を排除、∩の様に折り曲げ地面に突き立てまな板として代用する。……構成に問題あり、長時間の維持は不可能。補強。

 

 大根をその上に置き解析する。

 全体を読み取りながら包丁を投影ーー成功、使い慣れた感触は台所にある本物と変わらない。

 ここまで30秒、少し急がなければならない。

 包丁を破棄、刃のみ10振りを待機状態で維持。大根を持ち上げ大剣を破棄、籠を投影してその上に放り投げる。

 

「……っ! 射出、開始」

 

 次々と空中から生まれ多角的に大根を切り抜ける、その瞬間に破棄して再装填。3度ほど繰り返す。

 無事に籠の中に落ちた大根を検分する、面取り以外は及第点。待機しておいた刃を破棄、包丁を高速投影ーー失敗。これでは使い物にならない。

 やはり連続投影には難あり。所要時間は1分5秒、要修行だ。

 

「はぁ……くそっ、まだまだだ」

 

 再度包丁を丁寧に投影して面取りをする、細かな作業にはどうしてもミスが目立つ。

 こうした細々とした鍛錬がどんな形で将来の役に立つか分からない。だから少しでも暇が出来れば続けている。

 切嗣から託された夢の為にはどんな場所でも、例え手が使えなくとも何時もの様に調理を行えなければ話しにならない。

 特に被災地では。

 

『日本で暮らす事に不自由はまず無い。けどね士郎、世界には今日を生きる事にも苦労している人達が大勢いる。住む所や食べる物さえ満足には手に入らないんだ』

 

 イメージする。

 箸、皿、茶碗に汁椀、フォーク、ナイフ、スプーン……ありとあらゆる食器を想像し創造する。

 ここからは速さは必要ない、中身の無い出来損ないを造ってはならない。集中する。

 

『食器もそうだ。手掴みで食事を行うと病気に罹る危険性が高い。だからね士郎、君のその才能はとても役に立つんだ』

 

 何年も続けていれば流石に分かる、これは衛宮士郎の魔術の本分では無い。剣を造る事……いや、その根本にある“もの”こそが本分だ。

 分かっている。

 だからこそ意味がある。やってみせる。

 魔術使いではなく正義の味方でもなく料理人として衛宮士郎はコレを成さなければならない。

 

「全投影……開始!」

 

 設計図を固定し魔力の続く限り連続で創り出す、ナイフやフォークなどは魔力の消費が軽いが、鍋やフライパンになると消費量が跳ね上がる。

 魔力が足りない、ならば補えばいい。

 閉じている回路を無理やり叩き起す、これで13本目。激痛と引き換えに精度が増す、滞っていた魔力の流れが正常になっていくのを感じる。

 これならイケる。

 

 暫く黙々と造り続けた。

 合計150を超えた辺りで不意に背中に手が触れた事に気付く。ああ、ならこれで終わりだ。

 まだまだイケる気がするが、彼女が判断したのならこれが今の限界なのだろう。また倒れる訳にはいかない、あんな泣き顔をさせてはならない。

 

「ありがとう、イリヤ」

「ううん、いいわ。続きは夜になさい。もう直ぐタイガ達が帰って来るそうよ、早く準備しないとね」

 

 気付かない間に日が暮れ始めている。

 身体の調子は悪くない、無理やり開いた回路が痛むが調理をするのに些かの問題は無い。

 いや、一つだけあった。

 

「しまった、大根……ああ、やっちまった」

「あーあ、土が付いちゃってる。どうする、捨てちゃう?」

「ん~……いや、モノ自体は良いからそこまでは必要ないさ。丁寧に殺菌して煮物にでもしとく」

「そ、ならいいわ。ねぇねぇシロウ! 早く作りましょうよ、私もお手伝いするんだから!」

 

 

 

 よほど楽しみなのだろう、身振り手振りで興奮を表すイリヤの姿に苦笑しながら投影を破棄する。

 造ったら必ずその場で消せ、何度も言い含められた事だ。こればかりは未だに何故か分からないが、多分ジャマになるからだろう。

 その間もイリヤは急かすように騒ぎ続けている、小刻みにジャンプしたりする姿はやはり見た目通り子どもらしい。

 絶対に口には出せない事を考えながら、はてさてご飯は何合炊けばいいやら……と、鍋とのバランスや虎の餓え具合に頭を悩ませるのであった。




料理が主題ですが、別にサーヴァントが料理でバトルする聖杯()戦争ではありません。そんなんエミヤさんが最強過ぎて一話で終わっちまう……!!

その様な内容がお好みでしたら気軽に書き込みください、書きますので。

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