インフィニット・ストラトス 龍の魂を受け継ぐもの   作:すし好き

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GWを利用して3作品同時に執筆しましたが、
いや~楽しかった楽しかったwww

こんな面白いことはやめられないと、改めて思いました。


似た者同士と昔話

「これが……似ているのに仲が悪いと言う……同族嫌悪か」

 

カズキと恋華の間に漂う並ならぬ“圧”に一同が恐怖する中、

ラウラがゴクリと喉を鳴らしながら発した一言で、ピタリとカズキの

笑いが止まった。

 

「ラウラ……ちゃん?

 同族……嫌悪って……。

 似ている?俺が?誰……に?」

「いや、だから姉弟子なだけあって、恋華殿は兄様にそっくりだな……と」

 

カズキは自分が耳にしたことが信じたくなかったのか、ラウラに確認すると

壁に拳を叩きつける。

 

「それは、どういう意味かな?」

「いえいえ、お気になさらず」

 

いきなり壁を殴りつけたカズキに恋華が不思議そうに聞くと、

カズキは頬を盛大に引きつらせながら、何でもないと答える。

 

「なぁ?

 あれってつまり、カズキさんは自分が恋華さんにそっくりって

 自覚がないってことか?」

『だろうな。

 さっきの恋華の紹介は、カズキのことそのままだったと言うのに……』

「はい、そこ黙ろうか?」

 

ヒソヒソと喋る一夏とゲキリュウケンにカズキがストップをかけた。

 

「確かにぃ~?

 俺は他人の黒歴史を探ったりしてからかったり、

 自分の手のひらで躍らせるのは好きだけど……それは鈴ちゃんみたいに

 からかいがある子だけだ!!!

 “他人は全部自分を楽しませるためのお・も・ちゃ♪”とか

 考えているこの人とは全然違う!!!」

「どっちも同じじゃぁぁぁ!!!!!」

「そろそろ、話を元に戻さないか?」

 

真顔で目を見開いて、自分は恋華とは違うと強調するカズキに鈴は全力の

ツッコミを叩き込む。

そんなIS学園のいつもの光景に、透也は疲れが滲む声でつぶやく。

 

「そうですね。

 本来だったら、こっちが修業して力をつけたように、創生種達も

 準備を進めているだろうから、攻めてきた時のこととかを話し合う予定

 だったんですけど、探していた師兄達がやってきたから話は

 大きく変わってくる。

 ここに来たってことは、師兄達も大体のことは分かっているだろうし」

「そもそも、お前の兄弟子達を探していた理由は何だ?」

 

脱線した話を元に戻すとルルーシュが質問を投げかける。

透也はともかく、恋華への反応を見る限り、カズキが彼らを助っ人として

探していたわけではなさそうだ。

 

「理由は、二つ。

 一つは、俺達がジャマンガを倒すのに使った究極の力、

 アルティメットキーに代わる力を

 手に入れるため。

 もう一つは、創生種の正体と目的について」

 

アルティメットキーに代わる力もだが、自分達が戦っている敵の謎に

ついてなど、予想だにしていないカズキの言葉に、全員がハッと息をのむ。

 

「あれ?でも、前に創生種の目的って何かを復活させることって……」

「それは、違うわね簪ちゃん。

 復活させる何かは、あくまで手段であって最終的な目的はその先にあるわ」

「楯無の言うとおりだ。

 だが、侵略や支配というありきたりな狙いでないだろう。

 奴らなら、そんなことは自力でできる」

「実際、時空管理局を作ってある意味で支配してますからね……」

 

ルルーシュの考えに明が付け足すと、なのは達管理局員は苦虫を噛み潰した顔となる。

 

「まあ、時空管理局によって平和が守られているってのも

 あながち間違いとは言えないんだから、お前達が本当の意味で“守る”ってことが

 できる組織に変えればいいんじゃないか?」

「いいこと言うね~、一夏」

「そのためにも、まず創生種に勝たないと」

「うんうん♪青春だね~」

 

一夏の何も考えていないようで、核心を突く言葉にジノとスザクが同意し、

恋華は面白げに笑う。

 

「で、その創生種なんだけど……これを見てくれ」

 

カズキは、プロジェクターを使ってある壁画の画像を映し出す。

壁画には、人々が何者達からか様々なものを授かっているように見えた。

そして、授けている者達は……。

 

「これって……レグドやベルブ?」

『見えなくはないな』

 

一夏とゲキリュウケンがつぶやいたように、壁画に描かれている者は、

創生種ことクリエス・レグド達を描いているように見える。

 

「創生種がどんな世界に手を広げているか調査している時に、たまたま

 見つけたんだけど、奴らに似ていると言うより、何となくこの絵にも

 似てないかな?雰囲気とか」

 

カズキが続いて映し出したのは、龍と共に何かと戦っている戦士の絵だった。

 

「過去の魔弾戦士を描いた壁画……確かにこっちの絵と似てますね」

 

明が言うように、その絵は過去に戦った魔弾戦士と魔弾龍の姿であり、

絵のタッチは全然違うが言葉で表せない似ている“何か”があった。

 

「待ってください、碓氷先生。

 仮に、ここに描かれているのが彼らだとしたらおかしくないですか?」

「そうですわね。これでは彼らが、人間に手を差し伸べているみたいでは

 ないですか?」

 

シャルロットとセシリアから疑問の声が上がるが、他の者達も

同じ考えであった。

壁画に描かれているのが創生種なら、現在と真逆である。

 

「もっともな意見だね。俺も同じことを思ったよ。

 だけど……っ!」

「何だ……これ……」

 

カズキが新たに映し出した壁画は、戦いの絵であった。

それも創生種達と魔弾龍らしきものたちとの――。

魔弾龍らしきものとは、ゲキリュウケン達のような蛇のように長い体ではないが、

龍に見えなくもない姿をしており、彼らと同じ気高い魂が感じ取れた。

描かれている龍は4体。

 

4本足の体で、胸にダイヤのような宝石を輝かせ、咆哮を轟かせている龍。

 

西洋風のドラゴンのように、2本足で両肩に宝石がついている腕で、斬撃を

放っている龍。

 

長い体をくねらせながら、6枚の羽根を羽ばたかせている龍。

 

その三体の後方で、体から光を放ち一際存在感を示している神々しき龍。

 

更に……。

 

「創生種達の後ろにいるのも、別格って感じだね……」

 

カズキの言うように、4体の龍と戦っている創生種達の背後にも、

巨大な1体の龍がいるのだ。

それも、神々しき龍によく似た姿の龍が。

 

「これ!何なのか知らないの!ゲキリュウケン!」

『いや、私にもわからない』

『俺も同じく』

 

鈴がこの壁画について、ゲキリュウケンに詰め寄るもザンリュウジン共々

戸惑いを隠せなかった。

 

「この壁画が正しく当時の何かを描いているとしたら、

 創生種って言うのは、侵略者とかじゃなくて魔弾龍達に近い存在なんじゃないかな。

 だけど、何かがあって決別することになった。

 奴らの後ろにいるのは、復活させようとしている何かって所かな……。

 実際は、どうなんですか?師兄?貴姉?雪姉さん?」

「何で、私達に聞くのかな~?」

 

何の前振りもなく自分達に話を振ってきたカズキに、恋華は首を傾げる。

 

「何でも何も、あなた達はこの創生種達と戦っている魔弾龍らしき

 3体の龍のことは知っているはずだ。

 あなた達が、大技や力を使う時に後ろに現れるあの龍達……。

 あれは、この3体にそっくりだ。

 何も知らない、関係ないって言うのは無理がありますよ」

「あぅぅぅ……。ええっとね、カズちゃん?

 そ、それは……ね?」

 

透也達が何かを知っているのを確信しているとばかりに、言い切るカズキに

雪はしどろもどろになるが、透也は肩に手を置いて落ち着かせる。

 

「いいだろう。教えてやる。

 カズキが言ったこの3体の龍だが、こいつらは魔弾龍神。

 それぞれが、時間、空間、裏世界を創り司る、魔弾龍達の神だ」

「神さま……ですか?」

 

透也の言葉に、全員の驚きを代表するようにナナリーがつぶやく。

 

「そう捉えても間違いじゃないわ。

 私達も知ったのは偶然だけどね。

 修行してた時に、たまたま出会ったのよ」

「もう、80年ぐらい前になるかな?」

「雪さん。今は、そないな冗談をかましている時やないですよ」

 

真面目な話をしていると言うのに、冗談を挟んできた雪にはやてが

苦言を入れる。

小学生に見える程小柄な透也もだが、雪も恋華も弟弟子のカズキよりも

若々しいのだ。

 

「冗談じゃないよ、はやて。

 この人達は、最低でも100年ぐらいは生きている」

「へ?」

 

間の抜けた顔とはこんな顔という見本な顔をはやてだけでなく、全員が

さらして、カズキに顔を向ける。

 

「この人達は、道士。

 仙人を目指している者なんだ」

「まだまだけどね」

 

カズキのしれっとした回答に、雪は苦笑いして頬をかく。

要約すると、自分を天地といった自然と同化することで、それらと等しい

寿命を得ようとする超人思想の一種らしい。

 

「実際、この人達がどれぐらい生きているのか正確な歳は、

 俺も知らない」

「何言ってるのかな?

 私は、永遠の乙女よ☆」

 

ちょっとウザい感じでキメる恋華に、一夏達は乾いた笑みをこぼす。

 

「とにかく、俺達は出会ったんだ。魔弾龍神に。

 奴らは言った。

 自分達は、この世界を創るために“はじまりの神”に生み出された存在だと。

 そして、同じく生み出された者達によってこの世界を滅ぼそうとする

 魔弾龍神が蘇ろうとしていると」

「その同じく生み出された者達って言うのが、今君達が戦っている創生種」

「彼らは、創生の名の通り様々なモノを創生していきました。

 炎や水、土……といった具合に」

「ある程度予想してたけど、一気に話が大きくなってきましたね」

 

透也達が語る、世界の始まりとその出来方について、カズキだけでなく

一夏達も思考が遅れないように、しっかりと理解しようとする。

 

「そんな創生種を生み出したのが、こいつらの後ろにいるこの魔弾龍神。

 命を生み出す神とのことだ」

「命を生み出すってことは……俺達人間も!?」

「うん。そうだよ、一夏君。

 微生物みたいな小さな生き物から生まれて、最後に知恵のある生き物として

 生まれたのが人間。

 だけど……」

「その人間が失敗作だったから、この神は世界を滅ぼすのを決めたそうだ」

 

言葉に詰まる雪に代わり、透也がその先を告げる。

 

「失敗作って……そんな」

「随分、勝手だな。

 自分達で生み出しておきながら滅ぼすとは……流石は、神と言ったところか」

 

あまりの内容にスザクは言葉を失い、ルルーシュは痛烈に皮肉を口にする。

 

「知恵を持って生まれた人間は、知りたがりで好奇心が豊かだった。

 だから、様々なことに興味を持ち、道具や文化を作っていった。

 外部の変化、環境の移り変わりにも対応できるようになったが……

 同時に自分達が万物の頂点と考えるようにもなっていった」

「そうして、他人から略奪し屈服させる残虐さを見せるようになった。

 同じ人間だけでなく、他の生物や自然にもその矛先が向いていったことに、

 その魔弾龍神は人間に見切りをつけたのよ」

「だけど、はじまりの神と3体の魔弾龍神は、人間はまだまだ成長途中の未熟な生き物。

 結論を出すのは、早いと。

 自分達が手を出さずとも滅ぶなら自分達で勝手に滅びると、

 干渉するのに反対しました……」

「神様は言うことが違うね。

 人間が歩んできた何百万年って時間も、彼らからしたら大して気にするような

 ものじゃなかったらそんなこと言えないし、滅びるなら自滅する……か。

 栄えるのも滅びるのも俺達人間の好きにしろってこととは、なんともまぁ……」

 

神達のそれぞれの考えに、カズキは理解に苦しむと肩をすくめる。

 

「じゃあ、創生種達の神に反対したってことは……。

 この壁画は!」

「ああ、これは魔弾龍神達の考えの違いから起こってしまった戦いを描いたものだろう。

 そして、創生種達を封印したんだ」

「待ってください。倒したのではなく、封印?

 創生種達が何かを復活させようとしてるのは、わかってましたけど、

 はじまりの神だけでなく、3体の魔弾龍神が戦って完全に勝つことができなかった?」

 

一夏が、壁画に描かれているものが何なのかを理解すると、

カズキが透也に質問を投げかける。

何かを復活させようとするなら、そこまで追い詰めた者がいたはずだが、

同格の力を持っていたであろう者達に加えて上位の者がいて、押し切ることが

出来なかったとはどういうことなのか……。

 

「その理由は、単純にはじまりの神達の力が強すぎたの原因だ。

 神なだけあって下手に全力を出したら、世界が壊れる。

 何せ、神を生み出した神に、時間や空間といった世界そのものを司っているんだからな」

「だけど、創生種達の神は世界が滅ぼすのが目的だから、全力を出し放題。

 そりゃあ、押し切れないわよ」

「あの……何で、その創生種の神は人間だけでなく

 世界も滅ぼそうとしてるんでしょうか?」

 

明らかになっていく壮大な物語に、簪はおずおずと疑問の声を上げる。

封印された魔弾龍神が滅ぼそうとしているのは人間だけのはずなのに、

世界にもその手を伸ばすのは何故か……。

 

「その理由は、他の生き物達が人間のようになってしまうかもと

 危惧したからなの。

 生き物は互いに関わってきたから、人間の負の面が影響して、

 同じような生き物になってしまうかもと……」

「だったら、いっその事全部滅ぼして、一から作り直そうってしたわけ」

「敵の神様も神様ってわけね……」

 

雪と恋華の説明に創生種達の神もまた、傲慢な面を持つ神なのだと

カズキはため息をつく。

 

「そうやって、創生種達を封印したはじまりの神達は、

 後は世界に生きる者達次第だと、異世界からの侵入者に対する

 守護者として魔弾龍を生み出して、世界を去った」

『ほぇ~。俺達って、そんな風に生まれたのか……』

『改めて聞くと、驚きだな』

「創生種達の目的が、自分達の神の封印を解いて、世界を滅ぼして

 創り直すことはわかりました。

 では、師兄。

 あなた達は、その出会った魔弾龍神達の力を使えると言う認識でいいのでしょうか?」

 

透也の締めくくりに、ザンリュウジンとゲキリュウケンが感嘆の声を上げるそばで、

カズキは新たな問いかけをする。

 

「ちょっと違うな。

 奴らの力を模倣して、俺達の力として昇華していると言った方が正しい」

「自分達の今の力を試すって意味で、戦ったりはしたけどね~」

「強かったよね、恋ちゃん」

「神様と戦って生き残ったんかい、あんたら……」

 

兄弟子達の破天荒ぶりに、カズキは呆れ気味に顔に手を当てる。

一夏達もその意味がだんだん分かってきたのか、戦慄が走った。

 

「別に、負けてないだけで勝ってはいないぞ?

 俺達の力を認めてはくれて、自分達の力が欲しいかとは聞かれたがな」

「でも、断ったんですね?」

「うん」

「自分の力で強くならなきゃ意味ないでしょ?」

 

神様の力をいらないと言う透也達に、カズキ以外の全員が驚く。

彼ら道士は、自分という『個』の完成を追求しているのだ。

数を成して群れるのは“弱い”生き物であり、個体としての能力が

高くなっていくほど他者と協調する必要がなくなっていく。

無論、そんな『個』の完成に途方もない時間を要するのは言うまでもない。

 

「と言うことは、魔弾龍神達の話を聞いても

 あなた達は世界が滅びても問題ないと?」

「俺達に害が出るなら、それは排除するがな」

「それで、死んじゃうようなら私達はそこまでの存在だったってことよ」

「魔弾龍神達もそれが私達の選択ならそれもいいだろうって」

「そもそも世界の滅びを気にするとか、どうしたの?

 変な正義感にでも目覚めた?」

「正義感何てもんじゃありませんよ。

 見ず知らずの人間や世界のために戦うつもりもありません。

 ただ、のんびりと生きていたいのに勝手な都合で滅ぼされるとかごめんなので、

 あらがうだけですよ」

 

人間だけの問題ではないというのに、透也達は自分達が率先して動く気はないようだ。

そして、珍しい生き物でも見るかのような恋華に、カズキもまた

手をヒラヒラさせながら、結局は自分の生活を守るために戦うと気楽に答える。

 

「わー。

 本当なら、色々とツッコまなきゃいけないんだけど、

 やっぱりこの人達はカズキさんの兄弟子だよ~。

 そっくりだよ~」

 

あんまりなカズキ達の言い様に、一夏は棒読み気味にみんなの心情を

代弁する。

 

「まあ、とにもかくにもこれで、アルティメットキーに代わる力の

 目途もついたね。

 その魔弾龍神に勝つ必要もないみたいだし。

 手にするのは、俺と一夏。それに弾だ」

「勝つかどうか云々の前に、戦いになるのかっていうのが問題じゃないんですか?

 少なくとも、カズキさんよりも強い透也さん達でも勝てなかったってことは、

 息を吹かれただけで木っ端微塵になりそうなんですけど?

 どこかの馬の王みたいな息で」

「だから、探してたんだよ師兄を。鍛えてもらうためにね。

 貴姉や雪姉さんまで、見つかったと言うかやってきたのは予想外だったけど。

 そのためにも、やりたいことはやった方がいいよ?

 後、遺書の準備も……」

「遺書……っ!?

 透也さん達の修業って……ど、どのぐらいすごいんですか?」

 

自ら考えていたことなのに冷や汗を流し、あの世に行くことになっても

問題ないようにしておけと言う、一夏は恐る恐る自分達が受ける修行がどれぐらいの

凄まじさになるのか聞く。

夏休みの修業でさえ、きれいな川を何度も見るようなものだったのに、

それを上回るというのかと、一夏は震え上がる。

 

「そうだね……。

 俺達が魔弾龍神に認めてもらうぐらいだから、さじ加減は師兄達次第だけど……。

 仮に師兄達の修業をそのままするとしたら……。

 俺がさせている修業が体育の授業レベルになるかな?

 小学生の……」

「いぃぃぃっ!!!?」

 

カズキが告げた内容に、一夏は冗談と言ってくれと目で訴えるが、カズキは

乾いた声で笑うばかりであった。

 

「まあ、鍛えてくれって言うなら、やってやってもいい」

「楽し~~~くやりましょ♪」

「うん!カズちゃんの弟子なら、私達の弟も同然!

 一緒にがんばろうね!」

 

三者三様の意気込みに、一夏は仲間達に助けを求める視線を向けるが、

みんな揃って顔を背けるのであった。

そして、知らない内にとんでもない修行に参加することが決定された

弾は、体に走った圧倒的イヤな予感に周囲を見渡していた。

 

「なるほど。

 俺達を集めたのは、お前達が修行で不在している時の戦力をカバー

 する面もあるということか」

「流石、ルルーシュ。理解が早くて助かる。

 でも、もう一つ理由がある。

 この世界で創生種が絡んでそうな組織に動きが見られてね?

 今度の学園祭で、仕掛けてきそうなんだ。

 だから、その迎撃も兼ねてる。

 色々と立て込んできたから、これを機に潰しちゃおうと思ってね♪」

「おもしろそうね、それ?

 私も一緒にやろうかな~♪」

 

楽しそうに笑いながら、物騒なことを言うカズキと恋華に、一同は

やっぱりラウラの言うようにそっくりだな~と思うのであった。

 

「はい!恋華殿に質問です!

 クラスの者達が話していたのですが、恋華殿は兄様の元カノという奴なのでしょうか!」

 

話も大方終わってタイミングがいいと思ったのか、ラウラは特大の爆弾を

放り投げ、一夏達を戦慄させる。

 

「兄様って、カズキのこと?」

「はい!

 頼りになる年上の男性で、そう呼ばれて嫌な者はいないと聞きました!」

「ララララウラちゃんだっけ!

 恋ちゃんはカズちゃんの元カノじゃないよ!!!!!

 カズちゃんは、わたしのその……」

 

純粋な目で尋ねるラウラに、雪は慌てて否定するが段々と尻すぼみになっていく。

 

「もう何恥ずかしがっているの、雪?

 私達、週8ぐらいしてた仲じゃない♪」

「あうぅぅぅ~~~」

 

ラウラの十倍以上の破壊力の爆弾を恋華は笑いながら放り投げて、

一夏達は思いっきり吹き出す。

ラウラやナナリー、アーニャはよく分からず、首をかしげ、

透也はため息をついて頭を抱える。

はにわみたいな顔になっている千冬は、誰も視界に入れるのを避けて。

 

「弁明させてもらうけど、そういうことをよく分かっていなかった

 俺を貴姉が無理やりだからね?

 そんでもって、雪姉さんも貴姉が俺を煽ったからだよ?」

「でも、修行してた時には色んなお姉さんとイイことしてたでしょ?」

 

誤魔化さず、事実を言うカズキだったが、恋華が放った二発目の爆弾に

周りから驚愕の目を向けられる。

 

「…………あれは、俺が修業し始めて半年ぐらい経った頃だ」

「カ、カズキさん?」

 

顔の前で手を組み、ゲ〇ドウポーズをして唐突に語り始めたカズキに

一夏は遠慮がちに声をかける。

何故だかわからないが、カズキはどこか遠くを見るような目をしているのだ。

 

「いきなり、貴姉にいきつけの酒場に呼ばれたんだよ。

 そしたら、店のお姉さん達がさ。貴姉がツケを踏み倒したって身ぐるみ

 を剥いできて……。

 で、そんなことが何回かあって……だんだんお姉さん達の目が、獲物を

 狙う肉食獣の目になっていってさ……」

「ちょっと!大丈夫ですか!!!?」

 

独白を続けるカズキに、一夏は呼びかけるが、カズキは帰ってこれなかった。

 

「その時はよく分からなかったけど、このままじゃヤバイって身の危険を感じて

 必死にギャンブル場で技を身につけたよ……。

 金を稼ぐために。

 まあ、そうやって稼いだ金も湯水のごとく消えていったけどね?

 貴姉の酒代とか酒代とか娼館巡りとかで……」

 

最後に妙な単語が出てきたが、誰もカズキに声をかけれなかった。

最早、カズキの目に周りは入っておらず、引きつった笑みを漏らしてて……

ちょっと怖い。

 

「そんなある日、貴姉にある娼館に呼ばれたんだ。金払ってくれって。

 ただ、その時俺はとんでもなく嫌な予感がしたんだ。

 その予感に従って、俺は持てるだけの道具とかを持ってそこに行った……。

 そこは屈強なアマゾネスみたいなお姉さん達がやっててね?

 もう、俺を見る目が完全に肉食獣が品定めする目だったね……っ!

 ……ひっ、ひひひひひ」

 

当時のことを思い出したのか、カズキは狂ったように笑う。

あまりの恐怖に笑うしかないかの如く……。

 

「で……そのお姉さん達の中に、ホントに人類か?な人がいてさ。

 目を付けられちゃったんだよ……自分が一番の美人だと言い張る、ヒキガエルを

 人の形にしたようなお姉さんに……。

 今でも、思うよ。

 あの時、逃げ出すのが0.1秒でも遅れてたら……あの角を逆に曲がって逃げてたら……

 作るのが難しいあの道具を使うのを出し惜しみしてたら!!!

 俺は……碓氷カズキとしてここにいなかったかもしれない――」

『戻ってきてぇぇぇ!!!!!

 カズキくぅぅぅんっっっ!!!!!』

 

虚ろな目をして笑うカズキに、ザンリュウジンが必死に現実に戻そうと叫ぶ。

 

「おかげで、状況を読む力と判断力が養われたんだから、結果オーライオーライ♪」

「いや、遊んだだけだろ?」

「テヘッ☆」

 

元凶の恋華は笑い飛ばすが、透也のジト目に笑ってごまかした。

 

 

 




ラウラの言うように、カズキは恋華と姉弟のようにそっくりですが、
カズキ自身に似ている自覚はないです。
指摘すると、ものすんご~~~い嫌な顔となります(苦笑)

魔弾龍神やはじまりの神は、気づいた人は気づいたかもですが、
ポ〇モンのシ〇オウ地方に出てくる伝説の方々となりますwww

カズキの過去は、グリザイアの迷宮と
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかから。
特に後半部分は、触れたらカズキはどこかに旅立ってしまいます(汗)

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