インフィニット・ストラトス 龍の魂を受け継ぐもの   作:すし好き

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大~~~~~変長らくお待たせいたしました!!!

活報にもあった試験勉強だけでなく、残業が続きに続きまして。
合間を見て、執筆する時間もなかなか確保できませんでした。

次話は、なるべく間を置かずに更新したかったので
2話分を完成させるのに時間がかかりました。

サブタイの〇〇〇〇に入る文字は日常と同じく、あとがきにて。

それでは!


その時、〇〇〇〇が動いた

翌日。

SHRと一限目の半分を使って行われる全校集会のために、全生徒と教師が

体育館に集まっていた。

 

「やあ~やあ~みんな。おはよう。

 各々思い思いの夏を過ごしたと思うけど……」

 

壇上で挨拶するのは生徒会長の楯無だが、急に顔を俯いたと思った瞬間に

クワッと!目を見開いてスタンドからマイクを取り外す。

 

「いつもと同じ夏の思い出しかできなかった奴は、

 恋人とアハハ♪ウフフ♪な思い出がを作った奴が羨ましいかっっっ!!!」

「「「「「羨ましいですっっっっっ!!!!!」」」」」

「自分だって……そんな思い出を作りたかったかっっっ!!!!!」

「「「「「作りたかったですぅぅぅっっっっっ!!!!!!!!!!」」」」」

 

ライブ会場のように場をエキサイトさせていく楯無に、

いつもと変わらない夏を過ごした者達の反応は凄まじかった。

その中には教師もチラホラといて、千冬は頭を抱えた。

最もその原因の一因は、人目もはばからずイチャイチャする弟と

自分(本人は激しく否定するだろうが)であることには気づいていない。

 

「みんなの気持ちは痛いほどわかるわ……。

 しかし、ここIS学園は女子高……出会いなんてもんは

 長期の休みでもなけりゃあるわけがない!

 ……でも、知ってる?

 この学園は、最初は普通の学校と同じで共学だったのよ?

 残念ながら一期生だけで、終わったけど……昨今ISの技術者や整備士

 に男がいるのは当たり前……ならば!

 操縦者育成の場に、いないのはやはりおかしいのではという声が

 上がっている!!!」

「おいおい……」

「まさか……」

 

ドドン!と効果音が付きそうな芝居がかった手振りで熱く語る楯無に、

ひょっとしてという気持ちが聞いている者達に大きくなっていく。

 

「そして!一夏君という実例ができた以上!

 IS学園が女子高である意味は、無いも同然!

 よって!

 IS学園が共学に復活することが決定しましたぁぁぁぁぁっっっ!!!」

「「「「「うおおおおおっっっ!!!!!」」」」」

「「「「「最高だぜ会長っっっ!!!!!」」」」」

「「「「「お姉さまっっっ!!!!!」」」」」

 

楯無が発表した宣言に、体育館どころか学園の外まで聞こえるんじゃないか

と言うような黄色い声が空気を震わせる。

その何割かは教師なのは、ご愛嬌である。

 

「そのための前段階的な試験として、今年の二学期から……

 男子の編入生と教員がやって来るぞぉぉぉっっっ!!!!!」

「「「「「っっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」

「み、耳がっ……!!!」

 

最早声にならない歓声に、一夏は耳を押さえて俯く。

冗談抜きで、何の変哲もないただの声で倒れそうである。

 

「でも、虚ちゃん的には残念なのよね~。

 虚ちゃんの彼氏も候補に挙がってたんだけど、やむにやまれぬ事情で

 できなかったのよ。

 せっかく、彼のために色々と男の子の本とか読んで勉強したりして

 大人の階段を登る準備をしてごべっ……!」

 

盛り上がった場から一転して、残念そうな顔をする楯無は何の前触れもなく

奇声を発して体が浮かび上がった。

正確には、みぞおちに拳を叩き込まれて飛び上がらされた。

そのまま拳を叩き込んだ虚は、楯無が落としたマイクを持つとにっこりと

微笑んだ笑みを浮かべて生徒達に顔を向ける。

ピクリとも動かない楯無を一切に気に留めず。

 

「え~それでは、新任の先生と編入生を紹介します。

 男性だけでなく、女性の方もいますので。

 みなさん、くれぐれも……く・れ・ぐ・れ・も静かに……お願いしますね?

 でないと、終焉をもたらされるかもしれませんよ?」

 

微笑んでいるが笑っていないという奇妙な顔で

司会進行を進め、静かにと強調する虚に、先ほどまで興奮していた面々は

瞬時に沈黙した。

IS学園最強の生徒が楯無なら、虚はIS学園最凶の生徒なのだと

その場にいた者の心がシンクロした瞬間だった。

 

「ではまず、教員のコーネリア・リ・ブリタニア先生お願いします」

「うむ」

 

虚にまず紹介されたのは、千冬によく似た鋭い目つきの女性だった。

千冬を女侍なら、彼女は女騎士とでも言えばいいのだろうか。

如何にも男よりも強い女なといった感じである。

 

「コーネリア・リ・ブリタニアだ

 教員となったばかりの新参者だが、ビシビシと鍛えてやる!

 脆弱な者は特にな!」

「「「「「……きゃあぁぁぁっ!!!お姉さまっっっ!!!」」」」」

 

何度目かわからない、黄色い声が爆発して何人かが音圧で吹き飛ばされそうになる。

 

「千冬様と同じぐらいゾクゾクしちゃった!」

「かっこいい!」

「素敵……憧れちゃう」

「厳しく躾けてぇ!でも、時には甘やかしてぇぇぇっ!」

 

千冬と似たものを感じたのか、瞬時にファンが生まれた。

一部危ない発言をする者もいるが、ここでは大した問題ではない。

 

「続きまして、ギルバート・G・P・ギルフォード先生お願いします」

「はい。

 みなさん、こんにちは。

 ギルバート・G・P・ギルフォードです。

 女性の職場に、男が入ることに思う所があると思いますが、

 よろしくお願いします」

「「「「「正統派眼鏡イケメン来たぁぁぁぁぁっっっ!!!」」」」」

「塞いでるのに、耳がいてぇっ……!?」

 

ギルフォードの登場で、体育館の屋根が吹き飛ぶんじゃないかと言うレベルの

歓声が爆発し、その破壊力に一夏はうずくまる。

 

「眼鏡が似合うクールなイケメンなんて……素敵っ♡」

「教師もいいけど騎士服とか執事服も似合いそうっ!」

「私を全力で守ってぇ~~~♪」

「そして、攫ってぇ~~~!」

 

ブレーキが壊れて暴走する列車の如く、ノンストップで走る乙女の妄想に

ギルフォードもたじろぐ。

無論、黄色い声を上げているのは教師陣も同様である。

獲物を狙う肉食獣の目で。

 

「ギルフォードさんには、ホント頭が下がるよな~。

 教師陣に追加はなかったのに、コーネリアさんも来るって聞かないから、

 ストッパー役として来たんだよな」

『(まあ、彼の苦労はそれだけにはならないだろうがな)』

 

一夏は小声で呟きながら、心の中で何度も頭を下げるのであった。

 

「みなさん、静かに……静かに!

 まだ、紹介は終わっていませんよ。

 次は「とう!」……」

 

場をなだめる虚だったが、ほとんど聞く者はおらず頭を抱えながら

次の教員を紹介しようとすると、彼女の頭上を何者かが回転ジャンプで

通り過ぎ壇上に着地して姿を見せる。

 

「やっほ~!

 二学期から新しくISの技術主任になるプリティラビットだよ~♪

 よっろしくぅ~~~♡」

 

不思議の国のアリスが着るようなエプロンドレスにメカニカルなウサミミと

デフォルメしたウサギの仮面をつけた女性は、横ピースをしてポーズを

決める。

キラッとした音が聞こえてきそうだが、体育館は水をうったように

静寂に包まれた。

どう反応すればいいのかわからない者が大半だったが、

臨海学校に参加した一年生達はその正体を察し引き攣りながら

彼女の妹に目を向けると、顔を俯かせプルプルと震えていた。

 

「は~い~、おめでとう~。

 同じくIS整備担当になるプリン眼鏡だよ~。

 おもしろい改造をしてあげるから、楽しみにしててね♪」

 

そんな静寂な空気を分かっていないのか読めないのか、壇上に

姿を見せたのは、プリンをかたどった眼鏡をかけた白衣を着た

人物であった。

プリティラビットに似た怪しげなにおいをかぎ取ったのか、

皆顔が更に引き攣る。

 

「ふふふ……はっはっはっはっはっ!!!!!

 そしてそして!

 私が謎の天才科学者ドクター~~~Jだぁっ!」

 

どこからどう見ても、特撮に出てくるような悪役にしか見えないあくどい笑いと

サングラスをかけた紫のロングヘヤーの怪しげな人物は、

白衣を翻しこれまた悪の科学者にお約束のような

ポーズを取り、その場を混沌の渦にしていく。

 

「「「三人合わせて、スペシャルブレインスリー!!!」」」

 

役者は揃ったとプリティラビットをセンターにしてポーズを決めた瞬間、

ドドン!と効果音の幻聴がその場にいた全員の耳に聞こえたと言う。

更に同時に、箒が雨月を振りぬき(峰打ちで)プリティラビットを斬り裂き、

どこからともなく現れたセシルが見事なシャイニングウィザードを

プリン眼鏡へと叩き込み、

ドクターJはセシルと同じくどこからともなく現れたウーノのかかと落としに

よって沈められた。

 

「お騒がせしました~」

「失礼しま~す」

 

混沌から一転して静寂に支配された体育館に、何でもないと言わんばかりの

セシルとウーノの明るい声がやけに響き渡り、スペシャルブレインスリーを

回収していった。

突然姿を見せた怪しさしかない謎の3人組や

どうやって箒が一瞬で、壇上に移動したとか華麗な技を決めたお姉さん達は

一体何者なのかと疑問に思う余裕は、誰にもなかった。

 

「……では気を取り直して、編入生の紹介に入ります」

 

数瞬、この何とも言えない空気をどうしようかと悩んだ虚だったが、

どうしようもないと何事もなかったことにするのが一番と、全校集会を

進めるのであった。

 

「編入生のみなさん、お願いします」

「は~い♪

 はじめまして、ミレイ・アッシュフォードです。

 みんなで、色々とおもしろいことして楽しみましょうね♪」

「何だか、更識会長と同じ匂いがする……」

「すっごく、おもしろいことが起きそう!」

 

楯無のようなイタズラ好きというか人たらしを感じ取ったのか、

生徒達はワクワクとなったが、教師陣は反対に学園が更に騒がしく

なっていくと感じ取り頭を痛めるのであった。

 

「紅月カレンです。よろしくお願いします」

「おおっ!今度は原田さんに似た感じの子だ!」

「気が強そうに見えて、実は乙女な感じ?」

「漂う……漂ってくるわ!恋のフレグランスが!!!」

「「「……お姉さま~♪」」」

 

コーネリアのように男よりもカッコイイ女という印象を与えるカレン

であったが、乙女の勘か超能力か。

カレンが明のように恋する乙女だということを、見抜いていた。

何人かはうっとりするような蕩ける表情を浮かべ、周りの者に

戦慄を与えているのは余談である。

 

「シャーリー・フェネットです。みんな、仲良くしてください」

「フェネットさんのあの体、何かスポーツをしてるわね……。

 新戦力として期待できそう!」

「むむ!彼女も恋に恋する乙女と見た!」

 

三人目となっても、彼女達の興味は薄れることなく、シャーリーにも

色んな意味で興味津々である。

 

「は、初めまして……C、C.C.と言います……。

 えっ~と、あの……す、好きな食べ物はピザです!!!」

「C.C.って、イニシャル?」

「照れ屋さんみたいだね~」

 

人見知りなのか、オドオドしながらもあいさつするC.C.に

空気が少し和む。

 

「ユーフェミア・リ・ブリタニアです。

 みなさんと友達になれるのが楽しみです」

「あれ?ユーフェミアさんの名前って、コーネリア先生と一緒?」

「織斑君と同じで、先生の妹かな?」

「何だろう?こう……纏うオーラがただ者じゃないっていうか……ん?」

 

やんよやんと騒がしくなる中で、ユーフェミアがただ者じゃないと

感じた子が見たのは、満足そうに笑っているコーネリアだった。

その顔は、千冬や楯無が見せるブラコン、シスコンの顔と同じであった。

瞬間、ユーフェミアとコーネリアの二人は姉妹であり、

コーネリアは妹命な人だと生徒達は理解した。

 

「ナ、ナナリー・ランペルージです。

 まだ、15歳ですが、よろしくお願いしまひゅっ!

 ……はぅ~」

「アーニャ・アールストレイム。

 趣味は写真撮影。おもしろいものがあったら、教えてくれるとうれしい」

「ナナリーさんとアーニャさんは飛び級で、こちらに編入しました。

 戸惑いもあるでしょうが、どうかよろしくお願いします」

 

どう見てもまだ中学生なナナリーとアーニャの登場に、ざわつくが

虚の冷静な対応で徐々に落ち着いていき、段々その愛らしさについて

口にして行く。

 

「お願いしまひゅって、可愛い~♪」

「アーニャちゃんもお人形みたいで、かわいい♪」

「ラ、ラウラたんと一緒に……おおお着換えさせたいいいいいい!!!!」

「穢れを知らない無垢な肌……じゅるり」

「じゃ、じゃあ次はお待ちかねの男性陣の紹介よ……」

 

お巡りさんへの通報待ったなしの危ない会話が花咲そうになった時、

ヨロヨロと復活した楯無の弱弱しい声が、体育館は水を打ったように

静まり返らせた。

 

「やあ、みんな。

 ジノ・ヴァインベルグだ、よろしく!

 いや~庶民の学校は、楽しそうだね♪」

「見ての通り、いいとこのお坊ちゃまだけど、悪くないでしょ?

 そして、彼は一夏君と違って完全なフリーよ♪」

 

ごくりと息をのむ音さえ、響くような静寂の中でジノが気さくに

あいさつをすると、多少体をふらつかせながら楯無が付け加えるように

言葉を続ける。

手に持って広げた扇子には“玉の輿♪”と言う文字が書かれていた。

 

「「「「「待ってましたぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!!」」」」」

 

楯無の言葉により、体育館は爆発したかのように震えた(比喩でも何でもなく本当に震えた)。

 

「彼氏いない歴=年齢に終止符を打つ時が来たわっ!!!!!」

「世間のことを色々と教えてあげる~♪」

「「「ジノさま~♡」」」

「ハハハ、やっぱり庶民の学校は楽しいな~」

 

暴動でも起きそなぐらいに興奮する女性達を見て、ジノは呑気な感想を

述べる。そんな彼の能天気さに、一夏は苦笑いを浮かべるのであった。

 

「さあ!まだまだ行くわよ!」

 

興奮が収まらない中で、楯無は次の男子を呼ぶ。

教師も大半が生徒と同じノリでカズキも大笑いしているので、千冬も

色々と諦め気味である。

 

「みなさん、こんにちは。枢木スザクです。

 男だからとか、関係なく仲良くしてください」

「「「「「爽やかイケメンきたぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!」」」」」

 

多少緊張しているが、爽やかなスザクの笑みはバッチリと

彼女達のハートを射抜いたようである。

 

「織斑君やヴァインベルグ君とは違った天然っぽさがそそられるっ!!!」

「甘~い声を囁いて、私をとろけさせて~♪」

「お姉さんといいことしましょ~」

 

もう、抜け駆けして壇上に突っ込む者が現れるのは時間の問題なぐらいの

騒ぎようである。

 

「そして、次が最後の男子生徒でスザク君の幼馴染で親友の

 ルルーシュ・ランページ君よ!」

「紹介にあずかりました。

 ルルーシュ・ランペルージです。

 どうぞ、よろしく」

「「「「「ここでミステリアス知的イケメンだぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」」」

 

ギルフォードのように礼儀正しく微笑を浮かべながらルルーシュが

挨拶すると、彼女達は腕を上げて勝どきの歓声をとどろかせる。

 

「碓氷先生みたいに何か企んでる感じがたまらな~い!」

「あふれ出る危険な匂い……でも、近づかずにはいられない~♪」

「スザク君と幼馴染……すぐにルル×スザの作成に取り掛かるわよ!」

「何言ってんのよ!スザ×ルルでしょ!」

「一×ジノのよ!」

「ええい!今年の冬は大忙しじゃ!!!」

 

冬のお祭りのために筆を走らせる面々を筆頭に、体育館は完全に混沌に

飲み込まれ事態の収拾は出来そうもなく、一夏達も我関せずである。

最早、島全体が揺れていると言っても過言ではないだろう。

 

「やれやれ、聞いていた以上に騒がしい学園のようだな」

「みんな、楽しそうで何よりだわ。

 でも、ルルーシュ君とスザク君を狙う子は多いから、みんな頑張ってね♪

 それと、ルルーシュ君?

 これだけは、最初にはっきりさせておくわ……。

 世界一かわいい妹は、簪ちゃん何だからね!

 そこのところ、間違えないように!!!」

「……ふっ。

 何を言うのかと思ったら……。

 違うな……間違っているぞ楯無!!!

 世界一かわいい妹はナナリーだ!!!」

「寝言は寝て言え、愚か者ども!!!

 世界一かわいい妹は、ユフィ以外ありえん!!!」

「ふははははは!何を言っているのかな、ちみ達は!

 世界で一番かわいい妹は、私のラブリー箒ちゃんに決まってるじゃないか!

 このプリティラビットが断言する!!!

 見よ!あんなたわわなナイスボディで、もじもじするという

 反則級ないじらしさを!!!!!!!!!」

 

壇上で肩をすくめていたルルーシュに、楯無が神妙な顔を浮かべたと思ったら

妹命なシスコンとしての宣戦布告をするのであった。

対するルルーシュは、小ばかにするように楯無を嘲笑ったと思ったら同じく

自分の妹であるナナリーこそ一番だと主張する。

更に黙ってられん!とコーネリアと復活したプリティラビットも参戦する。

プリティラビットは自分の妹が箒だと言っている時点で、仮面をしている意味は

完全に無意味である。(最初から無意味だったとは、言ってはいけない。)

無論、自分が世界で一番可愛いと言われているその妹達は、

慣れているのか苦笑いを浮かべるユーフェミア以外は、

羞恥心で悶死寸前である。

特に、箒は超神速の抜刀術もできそうなぐらいワナワナと震えている。

 

「二学期は、ますます楽しそうなことになりそうだね~。

 千冬ちゃん♪」

「これを見て、そんなことが言えるお前を

 心底殴りたい……」

 

今回、IS学園にやってきた面々と知り合いである一夏達を除いて、

お祭り騒ぎで興奮する教師や生徒を見て、愉快に笑うカズキに

千冬が苦虫を嚙み潰した顔で拳を握りしめるのであった。

これから始まる二学期は、一学期以上に騒動が絶えない日々になるのは

疑いようもなく、それを考えるとルルーシュ達を転入させた張本人である

カズキを一発殴るぐらいは許されて当然だと、戦闘態勢に入ろうとする。

 

「みなさん、お静かに。

 編入生はこれで全員ですが、最後に病気で休学していて二学期より復学

 することになった生徒にあいさつしてもらいます」

「うん?休学?」

 

まだ、あいさつする者がいると虚が告げると、耳に聞こえていない生徒達を

尻目にカズキは疑問符を浮かべる。

 

「はい!

 一学期に入ってすぐに、入院していましたが、やっと治ったんですよ~」

「3年になって突然だったからな。色々とフォローしてやらないとな」

 

うれしそうに休学していた子のことを話す麻耶と共に、千冬も

自分を引き締めるようにその子のことを気に掛ける。

だが、それを聞いたカズキは難しい顔をするのであった。

 

「……ねぇ、二人とも?

 その生徒の名前と顔ってわかる?」

「えっ?」

「何を言っているんだ?

 彼女の名は……ん?」

「あれ?名前と顔が、思い出せ……ない?」

 

カズキの突拍子のない変な質問に答えようとする千冬と麻耶だったが、

答えることはできなかった。

それを見たカズキはすぐさま壇上へ向かって駆け出した。

 

「(IS学園に入る前に創生種が紛れていないか教師や用務員、生徒……

 学園内の人間は全部チェックしているけど、休学している生徒なんていなかった!

 つまり、その休学していた生徒って言うのは自分の正体を隠して入り

 込んできたってこと。

 それも最初からこの学園にいたと、思いこませることができる程の力量の!!!)」

 

侵入者が目と鼻の先にいることも驚きだが、カズキはその手口に戦慄を感じずに

いられなかった。

相手に自分がそこにいることのは当たり前だと、違和感を感じさせないというのは、

戦闘中に相手の注意を逸らしたりするのとは違い、相手の意識に“干渉”する

ということである。

しかも、カズキ自身も休学している子がいると聞く今この時まで、気づけなかったことも

考えるとカズキも干渉されている可能性があるのだ。

 

「(そんなことができるなんて、ただ者じゃない!

 また、何かしら干渉される前に叩く!)」

 

再び自分も違和感を感じなくなる前に、決着をつけるべくカズキはザンリュウジンを

取り出し、壇上へ上がった……。

 

 

 

後に、この全校集会のことを生徒達はこう語った――――。

 

「あ……ありのまま今起こったことを話すわよ!

 私はそれを見た時、自分の目がぶっ壊れたと思ったわ。

 な……何を言ってるのかわからねーと思うが、

 私も頭がどうにかなりそうだった……。

 催眠術とかマジックじゃない、この世の神秘って奴の片鱗を見たわ……」

「UFOやUMAを見た人の気持ちを理解しました」

「これを見たって言っても、実際に見ないと信じてもらえないって、

 断言できる」

「これから先、これ以上の驚きの場面には、遭遇しないんじゃないかな~?」

「人生で一番驚いた光景でした」

 

そして、全員が最後は口を揃えて、この集会を締めくくる――――。

 

 

 

「久しぶりの人も、初めましての人もこんにちは♪

 源恋華(みなもとれんか)です」

 

壇上であいさつをしたのは、昨日一夏が遭遇した謎の先輩であり、

男女問わず見惚れる優雅な微笑みを浮かべていた。

だが、誰もそんな彼女の笑みに目を向けていなかった。

 

カラ――――ンと、棒状の金属が落ちる音が体育館に響き渡る。

 

「…………え?」

 

それは、誰が漏らした声かはわからないが、思わず出てしまったその声が

体育館全体に聞こえるんじゃないかと思えるほど、体育館は静まり返り、

全員の目が例外なく壇上に向けられていた。

その視線の先には…………

ザンリュウジンを取り落としたカズキが、呆然として立ち尽くしていた。

 

「な……な……な……」

 

カズキの目は驚愕で見開かれていた。

顔からは瞬く間に血の気が引いていき、表情を青ざめさせていく。

まるで、絶望的な何かを見たように言葉を失い、一歩、二歩と後ずさっていくと

足をもつれさせて転んでしまう。

逸らしたいのに、逸らせないカズキの視線の先には、源恋華が

優雅な笑みを浮かべていた。

 

 

 

そう。

この集会を皆――――“その時、IS学園が動いた”と言う……。

 

 

オ マ ケ 5 (NGシーン 教員紹介) 

 

「お久しぶりどす!カズキはん!

 心の友と書いて心友(しんゆう)と読む、アラシヤマが

 やってきました!!!」

 

ギルフォードの次にオドオドしながら壇上に上がった、少し暗そうな者は

カズキの姿を見るや否や、ハイテンションで突進する。

 

「……っ!」

「ぼへっ!」

 

が。カズキの無言のカウンター飛び蹴りを喰らい、壇上の脇へと

ぶっ飛ばされれ、カズキ共々姿を消す。

そして……

 

ばぎっ!どごっ!ごがっ!べごっ!ぼん!

 

”ちょっ!カズキはん!そこの関節はそっちには曲がりま……”

 

……グチャ!

……ズルズル……どさっ……。

 

「さっ♪

 次は、お待ちかねの編入生だよ~♪」

 

何か硬いものが折れたり、壊れたりする音に、

まるで肉のような柔らかいものが壁にぶつかった音がカズキが姿を

消した方向から響き渡った。

そして、大きななものが引きずられ、ダストシュートに

捨てられる音がした後、カズキが笑顔で現れ全校集会の進行を促した。

……顔に赤い水を浴び、同じく赤い何かに濡れた手を拭きながら。

 




サブタイに入ったのはIS学園でした。

大量のキャラが学園にやってきましたwww
ミレイとかシャーリーは、この世界の人間の目をごまかすための
カムフラージュな意味合いがあります。
最初は、コーネリアは来る予定はなかったですが、ユーフェミアが
来ることになり、自分も行くと聞かず(笑)

最後のNGシーンは、PAPUWAのアラシヤマでやってみました。
ただのNGシーンなので、今後の登場予定はありませんwww

次は、2019年中に更新予定です。

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