インフィニット・ストラトス 龍の魂を受け継ぐもの   作:すし好き

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何とか、一か月で更新できた(苦笑)

でも、月二回ぐらいはできるようにせねば。

間もなく平成ライダーの最後の映画が公開。
予告見ただけで、色々と鳥肌が立ちましたよ~。

今日のジオウと言い、やはり作品を超えて物語が交わるのは
おもしろい!
グリッドマンもうれしいものが登場してくれて♪
1クールで終わるっぽいけど、2期やってくれないかな~。




今、できることを――

「――っ!」

 

攻撃を受けたGリュウケンドーは、勢いに逆らわずそのまま

地面へと倒れ、少しでもダメージを減らすために転がる。

だが、その勢いで地面に積もっていた葉が舞い上がり、悪手だと

打ってしまったと悟る。

ここは、森林の中で障害物も多い。

加えて今、戦っている相手に少しでも視覚を妨げられるのはマズイと

すぐさま立ち上がるが、もうどこにも相手の姿はなかった。

 

「姿を隠された……っ!」

 

Gリュウケンドーは、新しく身につけた見聞色の覇気を使いながら

周囲を警戒し……。

 

「っ!」

 

斜め後方から攻撃の気配を察知し、振り向きざまに

飛んできた何かを叩き落すが、相手は素早く木々の間や枝の上を

移動しているのか四方八方から攻撃を受けてしまう。

 

「くそっ!……そこだ!」

 

絶えぬ攻撃に焦燥に駆られるGリュウケンドーだったが、その攻撃を

何とか読み切り、一瞬の隙をついて左手の盾を相手へとぶん投げる。

 

「どわっ!?」

 

相手もまさか盾を飛び道具として使ってくるとは思わず、木の上から

落とされ……“ふぁさ”と地面に軽いものが落ちる音が響く。

そこにあったのは、人間大の藁人形であった。

 

「か、変わり身!?

 ってことは……!」

「はぁぁぁっ!」

 

自分が攻撃を誘われ罠にかかったと思った瞬間、背後から相手が刀で襲撃を

仕掛ける。

Gリュウケンドーは、何とかその奇襲をゴッドゲキリュウケンで受け止める。

 

「だっ……んのぉっ!」

「おおっ!?」

 

何とか相手の攻撃を押し返し、下段から斬り上げるが、相手はダメージを

受けるどころか“二人”に分裂してしまう。

 

「いぃぃぃっ!?」

「「隙ありだ!」」

 

予想もしない事態にGリュウケンドーは驚いて一瞬動きを止めてしまい、

そこへ相手が銃を抜き撃ち放つ。

 

「うわぁぁぁっ!」

『大丈夫か!』

「……ててて。何とかな。

 だけど、カズキさんも何でもありな攻撃してくるけど、この人は

 なんていうか……本当に変幻自在って言うの?

 やりにくいぜ……」

『だからこそ、これ以上ない相手なのだろうな』

「「どうした?これでおわりか?」」

「まだまだ、これからですよ!

 ニンジャレッド、サスケさん!!!」

 

片手でゴッドゲキリュウケンを構え、Gリュウケンドーは妖怪軍団から人間世界を

守り抜いた忍者戦士の一人、ニンジャレッドに立ち向かう。

 

「「そうこなくっちゃな!」」

 

ニンジャレッドは、分身之術で分身した数の利を生かすべく

Gリュウケンドーを挟むように、二方向から同時に仕掛ける――。

 

 

 

「こ……んのぉっ!」

 

Mリュウガンオーも同じく森の中で、ある戦士と相対していたがこちらは

Gリュウケンドー以上に苦戦を強いられていた。

 

「撃っても撃っても……かわされたり、捌かれたりで全然中てられる気がしねぇっ!

 なんて人だっ!」

『落ち着け。

 焦れば、勝てるものも勝てなくなるぞ』

「その通りだ!」

 

Mリュウガンオーの銃撃を体裁きと両手に持つ鉄扇で、いなしたブルーカラーの戦士は

鉄扇をしまうと瞬時に、Mリュウガンオーの懐に入り込む。

 

「はっ!はっ!」

「うおっ!っと!」

 

青い戦士の拳を捌くMリュウガンオーだったが、相手は肉弾戦のスペシャリストの一人。

接近戦もこなせるとはいえ、Mリュウガンオーは中・遠距離で本領を発揮する戦士であるため

徐々に押されていく。

 

「はぁ~~~っ!」

「どわっ!!!」

 

腹部に強烈な肘打ちを叩き込まれ、Mリュウガンオーは吹き飛ばされる。

 

「っ~~~!」

「距離を詰められた時のために、近接戦闘の術を身につけるのは間違っていない。

 だけど、君が最も得意とするのが銃なら一番必要なのは、相手を自分に

 近づけさせないことだ」

「流石、技が彩る大輪の花“ファンタスティック・テクニック”の

 ゲキブルー、深見レツさん!

 半端な技術じゃない!」

『確かに、小手先の小細工でどうこうできるものではない。

 どうする?』

「技や技術は、引っ繰り返っても“今”の俺じゃ勝てない……だったら!

 絶対負けないっていう気合と根性で勝負だ!!!」

「あまり褒められた考えじゃないけど、嫌いじゃない!」

 

Mリュウガンオーは、ゴウリュウガンとマダンマグナムを手に走りながら

ゲキブルーに弾丸を放っていき、ゲキブルーもまたゲキトンファーを取り出し

応戦する。

 

 

 

『気合入っているな~二人とも~』

「一夏と弾は、まだまだ伸び盛りだからね。

 基礎トレーニングも大事だけど、強敵との戦いが、一番伸びるんだよ」

 

GリュウケンドーとMリュウガンオーの戦いを画面越しに見る、カズキは

楽し気にその様子を見ていた。

 

「覇気を実戦でも使えるレベルにするには、実際に戦いながら身につけるのが

 手っ取り早い。

 相手が予想しづらい攻撃を仕掛けてくる忍者や、負け劣らずの技を

 使ってくる相手なら、考えるだけでなく直感というのも否が応でも鍛えられる」

『まあ、多少スパルタだと思うけど、しゃーねぇか。

 敵さんの準備は、ほとんど終わっているみたいだしな……』

「ああ……」

 

カズキとザンリュウジンは、楽し気な目から一転して厳しい表情となる。

ウォータヘブン水上ペア障害物レースで雅と冬音のペアが優勝した時まで、

時間は遡る――。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「だぁぁぁっ!悔しいぃぃぃっ!!!」

「あ~おもしろかった~♪」

「それぞれの反応で、どんな風に参加していたのか丸わかりですね」

「そうだね~」

 

レース終了後、合流した面々であったがレグドの言うように、地団駄を踏んで

賞品を逃したことに悔しがっている鈴をはじめ、明達は意気消沈しているのに対し、

リリスはそれなりに楽しめてご満悦と色んな感情が混ざった混沌な場となっていた。

 

「うむ。海もそうだったが、プールで遊ぶというのは、初めてだったが楽しかったな。

 それに、これなら楽しみながら足腰を鍛えられそうだ」

「ちょっ!ラウラちゃん!?」

「余計なことを言うな!そんなこと言ったら、カズキさんが……!」

「確かちょうど、秋に運動会があったから、元々考えていたのに加えて……ふふふ」

 

何気なく夏休みの思い出となった今日この日をしみじみと語るラウラだったが、

ポツリと漏らした一言に弾と一夏が大慌てで止めようとするが、一歩遅く、聞かれては

ならない人物の代表であるカズキの耳に入ってしまった。

そして、カズキは誰にも聞こえないようでしっかり聞こえるような怪しい声で

笑いを浮かべる。

夏本番だと言うのに、一夏達は体が震えるのが止まらなかった。

 

「しっかし、こいつら本当に何もしてこなかったな」

『ああ。一応、警戒は怠っていなかったが、ホントの本当にただ遊びに来た

 だけのようだ』

 

学生達が、来る秋のイベントに恐怖している傍らで太夏とバクリュウケンは

レグドとリリスがウソを言っていなかったことに驚きを覚える。

自分達が戦ったかつての敵達とのあまりの違いに、どう反応を返せばいいのか

悩んでしまう。

 

「まあ、当然でしょうね。

 こいつらの最終目的を実行する時間である午前零時には、時間があったし、

 今日何かをするってことはないでしょう」

 

さらっと言うには、あまりにも重要なことを口にしたカズキに一夏達はビシリと

固まり、レグドとリリスは不敵な笑みを浮かべる。

 

「……ほぉ~。

 そのように考える理由を尋ねましょうか……?」

「ジャマンガのように何かを復活させるためにお前達がマイナスエネルギーを

 長い間集めていると仮定すれば、誰だって時間ぐらいは気づくさ」

「どういうことですか?

 何かを復活させるための時間が午前零時って、どうしてそんなに

 正確にわかるんですか?」

 

和気あいあいとした触れ合いから一転しての腹の探り合い、カマのかけあいに

冷や汗を流しながら、一夏が口を挟む。

千冬ですら息をのむ中、平気そうなのは太夏と雅、首をかしげる冬音ぐらいであった。

 

「別に大した理由はないよ。

 絶対じゃないけど、

 異形のモノが復活とかして姿を現すのに、一番適している時間が午前零時なんだ。

 ここで、問題。

 今日の午前零時は、まだ今日か?それとも昨日?それとも明日?

 さぁ。ど~れ~だ?」

「えっ、今日の午前零時って……あれ?」

「午前零時に一日が始まって24時間が一日の長さだから、今日……。

 あれ?でも、その午前零時が明日の始まりだから、明日?

 だけど、明日になるならやっぱり昨日?」

「……っっっ!!!

 ああ、もう!訳が分からん!!!!!」

 

カズキが言った午前零時に関する問いかけに、一夏達は何でそんな簡単なことを聞くのか

と疑問に思うが、いざ答えようとするとだんだん混乱して回答に詰まってしまった。

 

「わかったかい。

 改めて、聞かれるとすぐには答えられないだろ?

 午前零時っていうのは、昨日と今日の狭間。今日と明日の狭間でもある。

 昨日であり、今日であり、明日でもある。

 何時でもあると言えるし、何時でもない、時間という絶対の律が曖昧と

 なる瞬間――。

 世界と異界の境界が曖昧となり、どんなことでも起こりうる時……

 それが午前零時という瞬間なんだ」

「そこまでたどり着いたなら、残された時間もあとどれぐらいなのかも

 わかっているのでは?

 そして、先手を打ちたくても肝心の場所がわからないのが現状だと……」

「ああ。

 強い相手と戦いとか、バトルマニアみたいな趣味は俺達にはない。

 復活する前に潰せれるなら、潰すに越したことは無い。

 てなわけで、今度はこっちがそっちに遊びに行きたいから、お前達の本拠地の

 場所を教えてくんな~い?」

「すいませんね~。

 今、散らかっていて、とても人様を招待できるような場所じゃないんですよ~」

「それもそうだね~。

 だって、グルメワールドの主みたいな奴の住処の更に奥にあるんだからね~。

 ああ、それともペットが散らかしているのかな?」

「さぁ~どうでしょう?

 ただ、私達が片付けできないだけかもしれませんよ?」

「ははは……」

「ふふふ……」

「「はっはっはっ!!!」」

 

爽やかな笑顔と声で会話するカズキとレグドは、傍目には仲の良い友達による

談笑に映るのだろうが、よく見ると笑顔には影が差しており

二人の体からはうっすらと黒いオーラのようなものが出ていて見るものを震え上がらせた。

 

「死んでも、あの二人の間に割って入りたくはないわね……」

「さっきの鈴とは違った黒いオーラが出ているのが見える……気がする」

「簪も見える?僕も見えるんだ……」

「よからぬことを企んでいる時の姉さんに似ているが、濃さ?というものは段違いだ」

「鈴さんのドス黒さが可愛く見えてきましたわ……」

「セシリア、後で顔を貸しなさい……」

「ひぃぃぃ!何なのあの二人の真っ黒オーラは!?」

「虎白、慣れろとは言わないがこの程度で腰を引いていたら、身が持たないぞ?

 あれがこちらに向かうこともあるのだからな……」

「「『『うんうん』』」」

「あらあら~。すっかり、仲良しさんね。

 カズキ君とあの子♪」

「そうだね~、雅さん~」

「レグドもすっごく楽しそうだわ~♪」

「仲良し……なのか?あれ?」

『さ、さぁ……?』

「私に聞かれても困る!」

 

和やかに笑う二人から、少し距離を置いて明達は引きつった感想をもらす。

何回か今の笑顔を向けられたことがある者は、多少の慣れはあるがとても

慣れる類のものではない。

何を勘違いしているのか、微妙にずれた感想を口にする雅や冬音、リリスに

太夏は脱力し、千冬もお手上げとなる。

そんな周りを気にすることなく、カズキとレグドは終始笑みを絶やすことなく、

夏のプールに極寒の寒さを体感できると言う矛盾した空間が出来上がった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

その後、旅行から戻ったカズキは予定を前倒しして夏休み後半の修業を

開始したのだった。

 

『創生種の連中の本拠地を探そうにも、転送魔法の痕跡を

 こっちのワープキー以上に消していて、探すのは困難ときた』

「尾行も同じく、実質不可能……。

 怪しげな場所とかをユーノにも調べてもらってしらみつぶしに、

 探してもいるけど、成果はほとんど皆無に等しい……」

『そもそも、管理局を奴らが作ったなら、無限書庫も

 あんまり信用できないんじゃね?』

「人や資材の出入りもあるから、その方面で調べれば

 可能性は全くのゼロってわけじゃない。

 ヒントだけでも、見つかれば御の字さ。

 今は、できることを一つ一つ確実にやっていくしかない」

『でもよ、あいつらの目的が達せられるまでの時間って、ぶっちゃけ

 後どれぐらいあるんだよ?

 地球が太陽の周りを回って、一か所に止まっていないみたいに、次元世界も

 動き回っているんだから、ユーノが言っていた魔法陣ができる時間も

 見当がつくんだろ?』

「それなんだけどね~。

 次元世界の移動とか時間を計算すると魔法陣の形になる時って2回

 あるみたいなんだよ。

 片方はフェイクで、本命なのは2回目なのか。

 はたまた、そう思わせることがフェイクで最初の陣完成でいくのか……。

 決定打に欠いた状況だ」

 

頭の後ろで手を組み背を伸ばして、カズキはため息をつく。

向こうが知っている自分達の情報に比べ、こちらが知っているあちらの情報は

少ない。

 

『間に合うのか?』

「間に合うかじゃない……間に合わせるんだよ――。

 さっきも言ったけど、やれることを一つ一つやって

 0同然かもしれない俺達の勝率を1にも2にもするっきゃないんだ……!

 そのために俺も腹をくくらないとな。

 ……」

『どうかしたのか?』

「多分“あの人達”なら、俺の知らない創生種のことを知っているかもだけど……

 あの人は……見つからないと……いいな……。

 もし、見つかったら何されるか……」

「「どわぁぁぁっ!」」

 

先ほどまでの何があってもその時に間に合わせると揺るがない姿がウソのように、

効果音が聞こえるのではなく

見えそうなぐらいカズキが気落ちするのと、GリュウケンドーとMリュウガンオーが

吹っ飛ばされるのは同時であった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「場所を移動される前に……!」

「狙撃場所がバレて、猛スピードで接近中。

 オマケに射程も威力も向こうが上……私、ピンチ♪」

 

とある次元世界。

なのはは、自分に砲撃を仕掛けてきた敵の居場所を見つけ、すぐさま自分の十八番

である砲撃で確実に仕留められるよう、高速で接近するが相対するピンク色の髪を

ツインテールにまとめた少女、マインは手にした巨大銃を構えて不敵な笑みを浮かべる。

 

「世の中は、まだまだ広いってことを知りなさい!

 いけぇっ!

 浪漫砲台(ろまんほうだい)パンプキン!」

 

パンプキンと呼ばれた銃から巨大な衝撃波がなのはに向かって、放たれる。

目の前に迫る巨大な壁に、なのはは愕然とする。

 

「ちょっ!?」

「あんたも天才って呼ばれているみたいだけど、悪いわね。

 私は“超”天才なのよ♪」

 

落ちていくなのはを見ながら、マインはパンプキンを肩に掲げ、

イタズラが成功したような笑みをする。

浪漫砲台パンプキン。

その特性は、使用者がピンチになるほど威力が増していくという癖のある

ものである。

 

 

「はぁっ!」

「ふん!」

 

二つの黒い影が目にも止まらぬスピードでぶつかり合う。

金色が混じる影は、もう一つの黒い影より数段速いのだが、一向に

勝負がつく気配はなかった。

 

「(私の方が速いはずなのに、決められる気が全然しない……!)」

「お前は、今自分の方が速いはずなのに何故私に勝てないかと考えているだろう。

 理由は簡単だ……お前の攻撃や動きは、素直すぎる!」

「っ!」

 

バルディッシュを振りぬいた一瞬の隙に、相対していた黒髪の少女……アカメに

懐へと潜り込まれたフェイトだったが、持ち前のスピードで距離を取る。

しかし、フェイトが離れるや否やアカメは手にしていた模擬戦用の日本刀を

おろしてしまう。

 

「あ、あれ?どうしたの?」

 

まるでもう戦いは終わったかのようなアカメに、フェイトが首をかしげると

アカメは、フェイトの脇腹を指差す。

 

「?

 ……あっ!」

「気づいたか。

 もしも、この刀が村雨(むらさめ)だったら、お前は今葬られていた……」

 

フェイトの脇腹には、刀による一筋の傷が走っていた。

傷と言っても、薄皮一枚切れた程度のかすり傷にもならないものだったが、

アカメが言うように、この傷が彼女本来の刀……一斬必殺(いちざんひっさつ)村雨

であったら、フェイトの命は消えていた。

村雨は、相手を斬ると傷口から呪毒が流れ込み即座にその命を奪うことができる

恐ろしい妖刀なのである。

その名の通り、フェイトが負ったようなかすり傷一つでもつければ、どんな強者が相手でも

決着がつくのだ。

 

「これは一夏達にも言えるが、お前達は防御をおろそかにしている部分がある。

 状況によっては、小さな傷一つが致命傷に繋がることがある。

 覚えておくといい」

「はい……」

「後、さっきも言ったがお前攻撃も動きも素直すぎる。

 速さがある分、相手に察せられても関係ないと思っているのか、

 フェイントも甘い。

 次は、フェイントのフェイントというのを意識してみろ」

「フェイントのフェイント?」

「見せた方が、速いな。行くぞ!」

「ちょっ、ちょっと待って!

 わっっっ!?」

 

淡々と述べられるアカメからのダメ出しにシュンとなるフェイトだったが、

落ち込んでいる暇はないとばかりに、仕掛けられたアカメの攻撃に悲鳴を上げて

応戦する。

 

 

 

「派手にやっとるなぁ~。

 で?

 何で、私は青空の下で本を片手に勉強しとるんやろな。

 ルルーシュ君?」

「無駄口を叩くな。

 お前は、他の二人と違って全体を見て指示を出す俺と似た指揮官タイプ。

 一対一のような戦闘技術が不要というわけではないが、

 戦術方面での戦い方を学んだ方が確実なプラスになる。

 それにカズキからの戦闘技術用のメニューもこなす必要があるから、

 マルチタスクを鍛える面でもこうやって、他の者の訓練を

 見ておく必要がある」

「わぁ~い。

 碓氷先生の優しさは涙もんやね~……ぐすん」

「はやてちゃん、ファイトですぅ!」

「他人事じゃないぞ、リイン。

 君にもユニゾンデバイスとしての訓練メニューを預かっているぞ?」

「うぇぇぇっ!?」

 

なのはとフェイトの激闘による爆音をBGMに、今日もはやてはルルーシュとの

マンツーマン指導による戦術勉強を行う。

 

「それにしても、マインちゃんの武器……帝具やったっけ?

 使う者は一騎当千にも匹敵するって話は、冗談やないみたいやね。

 あんなのをアカメちゃんや他にも持っている人がいるとか、

 ロストロギアのバーゲンセールかい!っちゅうねん」

「気持ちはわかるが、誰でも使えるものではないと言う点では、

 使い勝手のいいものではないがな。

 それに能力の相性やリスクのあるものも少なからず存在している」

 

帝具。

それは、アカメ達の世界のとある国の最初の皇帝が、国を守るために

作り上げた48の超兵器である。

現代人が聞いたら眉唾物に聞こえる幻の金属や希少な獣を材料とし、

古代の技術や選りすぐりの技術者達によって作られ、その力は

最新技術の塊であるISに勝るとも劣らないモノばかりである。

ただし、ルルーシュの言うように誰にでも使えるというわけではなく、

相性というものが帝具には存在している。

使用者との相性が合わないと十全に力を引き出せないどころか、発狂や即死の

危険もある。

 

「加えて体力や精神力の消耗も激しいからな、

 使おうと手を出すのは、あまりオススメできない代物だ。

 むしろ、こういうロストロギアクラスの武器を相手が使ってくる

 可能性もあるということを頭に入れておけ」

「はぁ~い」

「お前達には、圧倒的に“敗北”というものが足りない。

 敗北=死となる戦闘を繰り返し、何回天国に行ったかを数えるといい。

 後は、マインやアカメといった“暗殺”の戦いを経験することで

 戦闘中での“考える”ことと“直感”を養う」

「向こうの箒ちゃん達もそうなん~?」

 

はやてが視線を向けた空では、多様な色の影が幾たびもぶつかり合っていた。

 

「そうだ。

 お前達もそうだが、彼女達も一夏や弾のように自分と同格以上の

 相手と戦うのが一番伸びる――」

 

ルルーシュが空へと顔を向けると、ちょど彼の幼馴染であるスザクが白式のように

白をメインカラーとする彼専用のKNF(ナイトメアフレーム)、ランスロットで

紅椿を駆る箒を追い込んでいるところだった。

 

「これでっ!」

「何の!」

 

空裂を振りぬき波状攻撃を仕掛ける箒だったが、スザクはランスロットを

巧みに操り、空を縦横無尽に飛翔し容易く全ての攻撃を回避する。

 

「そのランスロットの性能もそうだが、お前の反射神経は本当に人間かっ!?」

「ルルーシュやみんなからはよく体力バカって、言われる……よ!」

 

千冬と同じように人外な自分の反射神経に“ついてこれる”

ランスロットを駆り、スザクは箒を追い込んでいく。

 

 

 

「この距離で、なんて正確な射撃なんですの!?」

「素質は、申し分なし。

 それでいて、現状に満足せず上を目指している努力も垣間見える。

 ティアナと同様、いずれ俺を超えていくだろうけど、

 今はまだ俺の方が上だ!」

 

“自分の狙撃可能距離以上”の距離から、“自分以上の精密射撃”を仕掛けてくる

デュナメスとティーダにセシリアはただただ戦慄する。

距離を詰めようにも、ティーダは予知能力でも使っているのではと

疑いたくなるほどセシリアの動きを先読みして狙撃を行ってくるので、

距離を詰めるどころか回避で精一杯。

しかも、ブルー・ティアーズを出そうものなら、動きを止めたその一瞬で

落とされると直感で感じとっていた。

 

「八方ふさがりとは、まさにこのことですわね……」

 

自分の得意分野をここまで上回れ、セシリアは逆にもう笑うしかなかった。

 

 

 

「おりゃぁぁぁっ!」

「甘い!」

 

気合を入れた声と共に、ウォータランスを突き出す鈴だったが、

ティアナは慌てることなく、ウォータランスを狙い撃っていく。

 

「くっ!このっ!」

「はぁぁぁっ!!!」

 

近づかせてなるものかと、乱れ撃つティアナに鈴は防戦一方となる。

 

「やるわねっ!

 (なんて早撃ちよっ!捌くので精いっぱいだわっ!

 一夏や弾なら、いくつか受けるの覚悟で突っ込むんでしょうけど、

 私のバリアジャケットの防御力はたかがしれてるし……)」

 

どう接近戦に持ち込むかと、思案する鈴だったが、どこかに隙がないかと

ティアナを見た時、その胸が視界に入った。

自分より年下なのに、ちょびっと……ちょびっとだけ自分のものを超え始めている

それを……

 

「――よし……殺ソウ!!!」

「えっ!いきなり、何っ!?」

 

瞬時に殺気が膨れ上がった鈴に、ティアナは驚愕し命の危機を感じ取った。

戦闘中でも相手の戦力を正確に測り取る鈴の観察眼(とある身体特徴、主に女性のあるもの限定)は、確実に成長していた。

 

 

 

「なかなかやるね~君!」

「つ、強いっ!」

 

目にも止まらぬ斧剣による高速突きや、可変機構を駆使したスピードの緩急に

よるジノの変則的な攻撃に、シャルロットは終始翻弄されっぱなしであった。

 

「これでも、通らないのかっ!」

「何て、防御力……!」

「今度は、こっちの番」

 

近くの空域では、ラウラと簪がアーニャのモルドレッドの火力と防御力に四苦八苦していた。

おまけにその見た目に反して、高起動タイプの打鉄弐式と変わらない

機動力を発揮し、本人の技量も合わさって攻撃を当てるのも一苦労に加え、

ラウラ達の攻撃は、ISとは桁違いの防御力に全て防がれてしまう。

 

「逆にこちらに、あちらの攻撃を防ぐ手段はない。

 一発でも当たれば、致命傷だ……!」

「オマケに連携の練度もあっちが上……」

 

当初は、ジノ・アーニャペアに対し、シャルロット・ラウラ・簪の三人で

挑んだのだが早々に、二手に分断されてしまい、連係を崩されてしまったのだ。

更に、彼女達が何とか隙をついて反撃しようとすると、もう一人が的確に

援護をし、カウンターを喰らってしまうのだ。

 

「そろそろ、頃合いかな♪」

「スイッチ……」

「「「なっ!?」」」

 

反撃の糸口を探してたシャルロット達は、突然攻撃の相手を変えてきた

ジノとアーニャに驚きの声を上げる。

 

「突然、変化球を撃たれたら、誰でも驚くよな~」

「ドッキリは、意表を突くのが基本」

 

さっきまでの相手とは、反対の攻撃を仕掛けてくる事態に、三人は

軽いパニックとなり、窮地に立たされる。

 

 

 

「っっっ~~~~~!」

 

滝が流れる水辺で、楯無の悶絶した声が木霊する。

 

「どんなものにも何かしら、もろい部分がある。

 お前が防御に使っている水のヴェールに、薄い箇所があったので

 そこを突かせてもらった」

「言いたいことはわかりますけど、そんなことを生身で……!」

「俺は、元々要人警護用の生物型帝具。

 主の体調管理のため、観察眼が優れていて、そういうことは自然と

 気になるんだ。

 お前なら、すぐにこれぐらいのことは身につけられるだろう」

「ええ。もう一本、お願いします!」

 

自律稼働できる帝具であるスサノオは、楯無の防御の隙をつくと

そのカラクリを説き、再度彼女との戦いを始める。

元々、暗部当主として頭一つ抜きんでた戦闘技術を持っていた楯無だったが、

スサノオという強敵と相対することで、また一つ上のステージへと踏み込み始めた。

 

こうして、少年少女達はそれぞれの夏を過ごしていくのだった。

 





スーパー戦隊の方に登場してもらいましたが、この後も
色んな方に”みっちり”と一夏達はしごかれます。
無論、仮面の戦士達にもwww

カズキが見つからないといいなと言った時の顔は、
ハガレンのエルリック兄弟が当初イズミさんに会いたくないなと
ビビっていたようなものです。

この後、色んな世界でも修行しますが、その話をバトルありに
するか、ただのギャグ回でいくか、どうしようかな(汗)

感想・評価、お待ちしてま~す。

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