インフィニット・ストラトス 龍の魂を受け継ぐもの   作:すし好き

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最新話、投稿です。
皆さん気になる、なのは&フェイトVSリベリオンナイトの
戦いはどうなるのか!



真実は美しく残酷で――

ドゴォ――――ン!!!

 

リベリオンナイトがなのはとフェイトへと振り下ろした剣によって、凄まじい轟音と

土煙が辺り一面を覆った。

 

「ちっ!」

 

彼が舌打ちすると同時に、土煙から二つの影が空へ飛び出した。

 

「大丈夫、フェイトちゃん!」

「うん、ギリギリだったけどバリアジャケットが間に合ったから。

 ありがとう、バルディッシュ」

「レイジングハートも」

『油断しないでください、Sir』

『来ます!』

 

突然の奇襲にも反応できた二人だったが、その直後のバリアジャケット展開は完全に

愛機たちのおかげであった。

しかし、息つく暇もなく空中へと移動したなのはとフェイトの目の前に

リベリオンナイトが跳躍して迫ってきた。

 

「ふんっ!」

 

手に持つ剣を横薙ぎに振り抜き、一夏が見せたものよりも大きな“飛ぶ”斬撃を二人に放つ。

 

「くっ!」

「お……重いっ!」

 

なのはとフェイトは手をかざして障壁を張って防御するが、その重さに押され

弾き飛ばされてしまう。

その隙にリベリオンナイトは着地すると二人の足元まで移動すると、再び跳躍する。

 

「(っ!この攻撃は囮っ!本命は、砲撃がメインのなのはへの接近戦!?)

 なのはっ!」

 

なのはの元へ跳躍するリベリオンナイトを見て、フェイトはその狙い推測する。

砲撃を得意とするなのはだが、敵に接近された時を想定した訓練は行っており、

接近戦に持ち込まれても簡単には苦戦はしない。

だが、報告に聞くリベリオンナイトの異常な戦闘力を一回の攻撃で直接肌身に

感じたフェイトは、接近戦ではなのはに勝ち目がないと察し彼女の元へと援護に向かう。

それを見ていたリベリオンナイトが、内心でほくそ笑んだことに気付かず――

 

「はぁぁぁっ!!!」

 

持ち前のスピードで、跳躍したリベリオンナイトに接近しフェイトはバルディッシュを

斧から鎌型のハーケンフォームへと変形させ肩に担ぐように大きく振り上げる。

身動きがとれない空中での奇襲。

確実にヒットすると思ったフェイトの目に映ったのは、何もない虚空であった。

そして――

 

「フェイトちゃん!」

 

なのはの叫び声と共にフェイトに飛来したのは、鳩尾を殴られたような鋭い痛みだった。

 

吹き飛ばされながらも目をやると、拳を振り抜き“空中”へと立つリベリオンナイトの

姿が映った。

 

「ディバインシューター!!!」

 

なのはは誘導弾をリベリオンナイトに撃ち込みつつ、その動きを牽制しフェイトの元へ

向かった。

 

「(迂闊だった!管理局に恨みを持っているんだったら、空を飛ぶ魔導士に対抗する

 手段を持っているはずだ!)」

 

フェイトの奇襲をかわせたのは、自分達の飛行魔法のようなもので空を飛び身を

ひるがえしたからだ。

 

「どこへ行く?」

 

殴り飛ばされたフェイトを助けに向かうとすぐ後ろから声がして、なのはが振り向くとそこには、一瞬で距離を詰めたリベリオンナイトが拳に雷を宿していた。

 

「落ちろ……!」

「レイジングハート!」

『All right』

 

“飛ぶ”斬撃を防いだのとは違い、今度は全力の障壁を張ってなのはは防御した。

 

「うっ……くっ……!」

「流石に硬いな……。っ……!」

 

互いに拮抗するものの金色の光がリベリオンナイトに襲いかかり、それを

回避するとフェイトがなのはと合流した。

 

「……浅かったか!」

「なのは!」

「フェイトちゃん!大丈夫なの!?」

「何とか……っぅ!」

『無理しないでください、Sir。バリアジャケットを貫通して内臓にまで、

 ダメージがあります。長時間の戦闘は、危険です』

 

バルディッシュの言葉を聞いて、なのははレイジングハートを砲撃重視のバスターモードへと

変形させると自分たちを見据えるかのように佇むリベリオンナイトへとその砲身を向けた。

 

「――どうして……どうしてこんなことをするんですか!!!」

「どいつもこいつも言うことは同じだな……。

 自分達に罪はない……自分達が正義だと信じて疑わないその傲慢さ……。

 それが自分達の故郷さえ滅ぼすことにも気付かない……」

「何を言って……」

「お前達のような世界に害悪をもたらすものは滅びなければならない……

 ということだ!!!」

 

フェイトの問いかけに答えになっていない答えを返しながら、溢れんばかりの憎悪を

その剣にのせてリベリオンナイトは二人に斬りかかった――

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「あ~それで?これはどういう状況?」

「ええっとですね、旦那……」

 

指で頭をかきながら、冷や汗をかくハチに問いかけるカズキの目の前には

オロオロしている明と……

 

「どうしたんだ?反撃しないのか?男が女に勝てるわけないんだろ?」

「だ、だすげでぇ……」

「ところで?もう一回言ってみてよ?お前達は明になんて言ったの?

 ん?さぁ?」

「い、一夏。その辺で……」

 

口元は笑っているが、目はうっすらと細めながら防弾チョッキのようなものを着こんだ

女の背中をグリグリと踏んでいる一夏がそこにいた。

 

ハチの話のによるとこうだ。

 

自分とカズキの仕込みによって、二人目の男性操縦者を狙っていた二つのグループが

襲撃する日を今日に、上陸ポイントを離れた場所に設定することができた。

後は、カズキと囮役の明とその護衛である一夏がそれぞれの場所で襲撃者達を

撃退し捕獲するだけだった。明を囮にする際、一夏は自分が作戦時に護衛をするという

条件で明が囮になることを承諾したのだ。それでも渋々だったが。

カズキの方は数分もせずに決着がついたのだが、明の方で問題が起こった。

明と一夏の方は、自分達はすごいと増長した女達でたかが男だと侮ってくれたおかげで

大した苦戦もしなかったのだが、捕まえた女達が明に対して暴言を言いまくって

一夏がプッツンとキレたらしいのだ。

二人についていたハチは、自分の手には負えないとカズキを呼びに来て今に至る。

 

「全く、一夏もこれぐらいでキレるとはまだまだだね~」

「じゃあ旦那は、自分が千冬さんでしたっけ?その人の悪口言われたら

 どうするんですかい?」

「そんなの生まれてきたことを後悔させるに決まっているじゃないか~♪」

「ですよね~」

 

爽やかにそう言い返すカズキに、ハチは引きつった笑みをした。

 

「お~い、一夏。そろそろやめとけよ~。コイツら同様、ソイツらには

 いろいろ聞かなくちゃいけないんだから~」

 

カズキが手に持った縄を引くと、一夏が踏んでいる女達と似たような装備をした

男達が一人一人縛られて現れた。

 

「……き、聞いていないぞ。こんな奴がいたなんて……」

「情報収集ってのは、大事だよね~。

 さあ、キリキリ吐いちゃおうか♪君達を動かしたお偉いさんとかね☆」

 

息も絶え絶えに、縛られていた一人がそう言うとカズキは笑いながら、質問を

始めた。男の額に懐から出した拳銃を出して――。

 

「ふん!そう言われて素直にしゃべる奴がいると思うのか!」

「あれ?自分の立場が分かってないのかな?

 俺は質問しているわけじゃないんだよ?しゃべれって言っているんだよ?」

「悪いことは言わないから、素直に言うこと聞いた方がいいですぜアンタ。

 この人、ドSだから何されるかわかったもんじゃないですぜ~」

「う、うるさい!しゃべらんと言ったらしゃべらん!」

 

余程とんでもない目に合ったのか、タヌキがしゃべっていることにも気付かず

男は口を割ろうとしなかった。

 

「いいか!男がISを動かせるようになれば、世界h……」

 

強がっているのがバレバレだったが、男はカズキに反論を続けるも途中で言葉は

途切れて頭がのけ反ってしまう。

一夏や明が、男の声が聞こえなくなったので視線を向けるとカズキが持つ銃から

煙が上がっていた。

 

「……普通、撃ちやすか?」

「これ以上……人間の醜さってやつを見たくなかったんだ……」

 

カズキは目を手で押さえながら、だらんと銃を持った手を下す。

縛られた他の者たちは、躊躇なく撃ったカズキに驚きで声を失った。

 

「ハチ……人間ってやつはどうしてこう……」

 

ハチの肩に手をかけ顔を俯かせながら、カズキはそっとハチの手に持っていた

銃を握らせた。

 

「あり?」

「普通、撃つか?お前」

「ちょっ!何あっしが撃った感じにしてんすか、アンタ!?」

 

あろうことか、カズキは男を撃ったことをハチに押し付けた。

 

「お~い、大変だ。ハチの奴が、せっかく捕まえた奴を撃っちまったよ~」

「棒読みで、何言っちゃってくれてんですか!ちがいやすからね!

 あっしは、無実だ!!!」

 

カズキの首をしめて揺らしながら、ハチは必死に一夏と明に無実を訴えた。

その声を聞きながら、一夏は撃たれた男に近づくと撃たれた額についた赤い水を

指につけた。

 

「これ……血ノリですね」

「へっ?」

「そう♪新開発の血ノリ麻酔銃♪

 撃つと血ノリに混ぜた麻酔薬によって、相手は眠りまるで撃たれたようになるから

 今みたいに使えば、こうなりたくなかったらしゃべれよって脅しにもなりま~す。

 びっくりした?」

 

イタズラが成功した子供のような顔で笑うカズキに、一夏と明はため息を漏らし

ハチはヘナヘナ~と座り込んでしまう。

 

「さ~て♪お遊びはこれぐらいにしてと!

 こいつらからの情報の引き出しは、あっちとこっちの人間の違いを知りたいって

 言っていたエスデスに任せるとして♪」

「エ、エスデスさんですか……」

「それはまた……」

 

カズキとは違い、ガチで拷問が趣味な人に尋問されると知り自業自得とはいえ

襲撃者達に若干同情を覚える一夏と明だった。

 

「こいつらの報告を待っている連中に“お話”を……ん?」

「どうしたんですか?」

 

カズキが“お話”の準備をしようとしたら、突然動きを止めたので何事かと明が尋ねた。

 

「大きな魔力が二つ……いきなり消えた……」

「え?……っと!

 ――あっ!本当だ!魔力が一つしか感じられない!」

 

一夏はゲキリュウケンを取り出し、天に突きだすように構えて目を閉じて集中すると

学園の中で感じる魔力が一つだけしか感じ取れなかった。

この魔力の持ち主はもちろん、なのは、フェイト、はやての三人のことである。

 

「一つしか感じられないって……まさか創生種に!?」

「いや、結界に取りこまれるって感じじゃなかった。

 本当に煙のように気配が消えたんだ……?いや、ちょっと待て。よくわからないけど、

 何かおかしな場所がある」

「それじゃあ、そこに!」

「ああ。明、ハチ。俺と一夏はその場所に行くから、こいつらのことは頼む!」

「はい!」

「わかりやした!」

 

カズキと一夏は、襲撃者達を明とハチに任せると魔力が途絶えた場所へと向かった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「はぁ……はぁ……。これで、こちらを殺す気が無いとは恐ろしいな……」

「……あっ……っ……」

『ま、m……スt-……』

「う……あっ……」

『Ss――iいいいいいrrr――』

 

なのはとフェイトのバリアジャケットは、ボロボロで血が滲み二人は横たわっていた。

相棒であるレイジングハートとバルディッシュも本体の部分に亀裂が走り、発声も

できていないので、大破寸前だろう。

だが、相対するリベリオンナイトも無傷ではなかった。

肩で息をし、鎧が砕け血を流していた左腕を押さえているものの倒れている二人よりも

どこか余裕があった。

何故なら、なのはとフェイトの傷は彼女達にとって予想外のものだったが、リベリオンナイトの

傷は彼にとって想定内のものだったからだ。

 

リベリオンナイトの隙を突いて、なのはが砲撃の態勢に入り撃とうとした瞬間彼は

避けるでも防ぐでもなく、あろうことかレイジングハートの魔力をチャージした砲門に

雷光を纏わせた左腕の拳をぶつけてきたのだ。

その瞬間、ゼロ距離で爆発が起こり三人は巻き込まれてそれぞれダメージを負ったのだが、

あまりにもありえない行動をされたなのはとフェイトと自分から傷を負いに行った

リベリオンナイトでは、精神的な衝撃に明確な差が出ていた。

 

「信じられないといった顔だな?時空管理局でも上から数えた方が早い程の

 強さである貴様達を腕一本の代償で消せれるのなら、安いものだ……」

 

そうは言うものの内心リベリオンナイトには焦りがあった。

地球に来る前にも何度かなのは達と同じSランクの魔導士と戦い倒してきたリベリオンナイト

だったが、この地球に来てから全力を出すことができなくなっているのだ。

グレアム達と戦った時は、相手が最前線から退いていたこともあり目立った苦戦は

しなかったが、今ぶつかっているこの戦いも本来の力を出せたのならここまでのケガを

負うこともなかったのだ。

 

「(あの老害や猫、あいつらの時は気のせいかと思ったが、間違いない。

 私はこの世界では、力を出しきれない。

 この二人が、“戦い”を知らなかったからなんとかなったが、“あの時”のような

 奴らが現れたら……とにかく今は――!)

 では、さらばだ。世界の害悪よ!!!」

「っ!!!?」

「くっ……!!!」

 

空へと掲げたリベリオンナイトの剣が雷を帯び、二人がもうダメかと目をつぶった

瞬間――

 

「グオォォォ!!!!!」

「ちょっと待った!!!!!」

 

獅子の咆哮と共に、レオントライクを駆るリュウケンドーがその場に現れた。

 

「あれは……!」

「嘘っ!?」

「貴様はっ!!!?」

「おおおりゃあああ!!!!!」

「ちっ……!」

 

リュウケンドーはレオントライクでリベリオンナイトに体当たりしようとしたので、

リベリオンナイトは舌打ちしながら、飛び退いてその攻撃をかわしリュウケンドーは

丁度彼らの間でレオントライクを止めた。

 

「お前が時空管理局の基地を襲っているって言う噂のリベリオンナイ……って、

 そういえばこれは勝手に決められたから、本当の名前じゃないのか。

 なあ。あんたの名前はなんなんだ?」

「私の名などどうでもいいことだ。

 それよりも貴様は、この世界を守護する戦士だな?

 どうやって、ここに入ってきた……」

「ああ。光と共に生まれし龍と力を合わせ、魔を叩く――リュウケンドー!

 入ってこれたのは、企業秘密ってことで」

 

リュウケンドーは挨拶をするかのような軽い口調だが、ゲキリュウケンを油断なく構えて

いつでも攻撃に移れるようにしていた。

 

「リュウケンドー……。

 私は別にこの世界をどうこうしようとするつもりはない。私の目的は、そこに

 転がっている連中を消すことだ。……そこを退け!」

「今から命奪いますって言われて、退く奴がいると思うか?」

「だろうな……やはり、貴様は真の戦士だ。関係の無いものを極力傷つけたくはないが

 ――仕方ない!」

 

リベリオンナイトが剣を構えて臨戦態勢に入った瞬間、二人の闘気が大気を震わせ

横たわっていたなのはとフェイトは、自然に息をのんでいた。

 

『気をつけろ、リュウケンドー。こいつは……』

「わかっているよ、こいつ……ジャークムーン以上だ――!」

「……」

 

リュウケンドーとリベリオンナイトは互いに向かい合ったまま一歩一歩、ゆっくり

横へと移動していくとだんだんとそのスピードを上げていき、そして――

 

「はぁぁぁっっっ!!!」

「うおりゃぁぁぁっっっ!!!」

「きゃあああっ!!!」

「……なっ!?」

 

二人が剣を交えた瞬間の凄まじい勢いでなのはとフェイトは吹き飛ばされてしまう。

 

「くぅっ……!」

「……っ!」

 

リュウケンドーとリベリオンナイトは鍔迫り合いになり、半回転すると互いに

後退する。

 

「うおぉぉぉっ!!!!!」

「――っ!!!」

 

だが、二人とも一瞬も動きを止めることなく走り出し、再び剣を交える。

 

「くらえっ!」

「はっ!」

 

リュウケンドーとリベリオンナイトは、相手の攻撃を時に剣で受け止め時に体を回して

かわし時に拳や蹴りを交えて攻撃する……まるで舞をまっているかのような動きで、

なのはとフェイトの目を釘付けにした。

 

「すごい……」

「うん。一撃一撃が相手に止めを刺すつもりだ……多分、勝負は一瞬で動く」

 

フェイトがそう言うと、いつのまにかリュウケンドーが上から押し込まれる体勢となった。

 

「沈めっ……!」

「ぐっ!……ならぁっ!!!」

 

だが、リュウケンドーはリベリオンナイトの剣を受け止めていたゲキリュウケンを一瞬だけ斜めにして、自分へと向けられていた力を受け流すと同時にリベリオンナイトの脇腹に蹴りを入れる。

 

「がっ!?」

『今だ、リュウケンドー!』

「おう!ダガーキー!召喚!」

『魔弾ダガー!』

「いでよ魔弾ダガー!」

 

ゲキリュウケンから光が放たれ、獣王を呼び出すような魔法陣が描かれると

鍔に球がついた短剣が現れた。

 

「ダガースパイラルチェーン!」

「な、何っ!?……このっ!」

 

リュウケンドーは魔弾ダガーを普通とは違い、逆手に持ち球から光の鎖を放ち

リベリオンナイトを拘束した。

 

「あれって、バインド!?」

「違う……似ているけど、何か違う!もしかして、ロストロギア!?」

 

自分達がよく使う魔法と似たものをリュウケンドーが使ったことに、驚くなのはだが

フェイトはそれが違うものだと見抜き、管理局が回収しているロストロギアなのかと

疑いを持った。

 

「悪いが一気にいかせてもらうぜ!」

『ツインパワー!』

「ツインエッジゲキリュウケン!」

 

魔弾ダガーはゲキリュウケンと合体すると刃が伸び、両刃の剣となった。

 

「はぁぁぁ……はあっ!!!」

「スパイラルチェーンを力ずくで!?」

『やはりただものではないな……』

 

自分達の拘束技を力ずくで破られたことに、リュウケンドーは驚きを禁じ得なかったが

それが隙となってしまった。

 

「ふんっ!」

「っ!……このっ!」

 

隙を突かれてもリュウケンドーは慌てることなく、鈴のように両刃となった

ゲキリュウケンを巧みに操り、攻め返した。

 

「がはっ……!」

『止めだ!』

「ファイナルキー、発動!」

『ファイナルクラッシュ!』

「ツインエッジゲキリュウケン超魔弾斬り!」

 

光り輝くゲキリュウケンをリベリオンナイトへと振り下ろすべくリュウケンドーは

駈け出した。

 

「まだだ!建御雷神(たけみかづちのかみ)!!!」

 

リュウケンドーの決め技に対し、リベリオンナイトも同じように剣に雷を滾らせ自身の決め技らしきものを放ち、両者を中心として強い光が放たれた。

 

「こ、これは!」

「いくらなんでもすごすぎぃ――!」

「「おおおおお!!!!!」」

 

なのはとフェイトの驚きの声をかき消すかのように、リュウケンドーとリベリオンナイトの咆哮が永遠に続くかのように響き渡り――両者は弾き飛ばされた。

 

「どわっ!?」

「――っ!?」

 

二人は弾き飛ばされながらも、ヨロヨロとその場に立ちあがった。

 

「な、なんて奴だ……ケガしているのにここまでやるなんて!」

「ぐっ!す、清々しい程真っ直ぐな剣だ……。貴様とは……違う形で会いたかったよ――」

『確かに奴は強いが、それ以前にリュウケンドー。お前、力を出し切れていないぞ!』

「やっぱり?」

 

剣を交えてリベリオンナイトが自分よりも強いのは分かったが、ケガを負っている

この状態なら魔弾ダガーを呼び出し力を出し切れば、押し切ってもおかしくはなかった。

しかし、何故かリュウケンドーは全力を出せなかった。

そして、それはリベリオンナイトも同じだった。

 

「(何でだ?こいつと面向かうと……)」

「(さっきの感覚が強くなった……)」

「「(こいつ(彼)とは戦いたくない――!!!)」」

 

相対する二人の戦士は、奇しくも同じ感情を抱いていた。

 

「嵐脚(ランキャク)」

 

リュウケンドーの後ろになのはとフェイトがいる状態で、リベリオンナイトと

向かい合っていると両者の間を突然、巨大な鎌風が通り過ぎ溝を作りだした。

 

「両者とも、一端そこで剣を納めてくれ」

 

驚く間もなく聞こえた声の方に、その場にいた全員が顔を向けるとそこには

脚を振り上げた体勢の宇宙ファイターXの恰好をしたカズキがいた。

 

「あなたは!」

「宇宙ファイターX!まさか、今のは!?」

「新手か……ふざけた姿だが、相当の実力者だな……」

「お褒めに上がりありがとう。だが、それは君も同じだろ。

 そこの二人を閉じ込めたこの結界……まさか俺の探知外になる高高度の上空から

 の発動とは驚いたよ。

 しかも相当頑丈な上、見たことのない術式だったから下手に破壊でもしたら、

 どうなるかわからなかったから、リュウケンドーを侵入させるだけでも苦労したよ」

 

何でも無いように言うが、これはとんでもないことである。

見たことのない術式を解析するというのは、比較して意味を推測するものがない

新発見した大昔の言葉を今の言葉に翻訳するようなものである。

スーパーコンピューターでも何十、何百時間もかかるものを数十分で解くというのは

まさに規格外である。

 

「それで、どうする?こっちとしてはできれば、このまま君には引いて欲しいんだけど?」

「そうはいかん。そこにいる害悪どもは、消さねばならん!」

「どうして!どうしてそこまで私達を消そうとするの!」

「多分、誤解があると思うんです!時空管理局は……」

「黙れ!!!!!」

 

友人に話しかけるような気さくな感じでお願いをする宇宙ファイターXに対し、

リベリオンナイトは頑として譲ろうとせず、なのはとフェイトはそんな彼に悲痛な

叫びを上げるが、凄まじい怒声に黙り込んでしまう。

 

「まだ解らないのか……?自分達が何をしているのかも理解せず、手にした力が

 何をもたらすのかも知ろうともしないその無知がどれほどの罪かということを――!!!」

 

怒りの中に悲しみを含んだ叫びに、リュウケンドーやゲキリュウケンも声を失ってしまう。

 

「やめておけ。君達の言葉はいたずらに彼の怒りに、油を注ぐだけだ。

 そう……彼の故郷を滅ぼした時空管理局の言葉は……ね」

「『なんだってっ!!!?』」

「「なっ!?」」

「――知って……いたのか?」

 

宇宙ファイターXの言葉にリュウケンドーとゲキリュウケンは驚き、なのはとフェイト

の目は驚愕で見開かれる。

そんな彼らのことなど気にもかけず、リベリオンナイトは宇宙ファイターXに

問いかけるも首を横へと振った。

 

「いや。単純にカマをかけただけさ。

 でも、大体の見当はつけていたよ……確認できた言動にこうして直接会って

 感じるその空気……。

 昔、いたんだよ。その空気と似たモノを纏っていた奴を……。

 大切なものを奪われた奴を……ね」

「そうやって、カマをかけられて見事に引っかかったというわけか……。

 そうだ。そこの男……宇宙ファイターXの言うとおりだ。

 私は、時空管理局に故郷を……仲間を……家族を奪われた……」

 

今にも消えそうな声でリベリオンナイトは語りだした。

ささやかだが、何にも代えがたい日々のことを――――

 

「私の故郷は決して豊かとは言えなかったが、自然と共存し平和に暮らしていた。

 だが、人間と言うのは悲しい生き物だ。どんなに平和な世界でもよからぬ考えで、

 他人を傷つける者は必ず現れる。

 私は、そんな奴らと戦う戦士だった……」

 

リベリオンナイトが顔を上げ、虚空を見つめながら語るのをリュウケンドー達は

黙って聞いていた。

 

「ある時、時空管理局と名乗るもの達が現れた。

 奴らは私達の秘宝、“星の大樹”をロストロギアだから回収するためにやってきたと

 言った」

「星の大樹?」

「それは一体……」

 

宇宙ファイターXとリュウケンドーは疑問の声を上げて、問いかけた。

 

「一見植物のように見えるが、金属でできた巨大な構造物だ。

 木が水を吸い上げるように、星の力を吸い上げ大気に放出し地上に生きる生命たち

 にその力を分け与える……」

『待て。そんなことをしたら、やがて星の力は尽きて滅ぶのでは?』

 

ゲキリュウケンの指摘に、リベリオンナイトは首をふって否定した。

 

「いや。恩恵を受けた生命は、その命が尽きるまでに受けた恩恵以上の命の力を

 発し結果的に星から生き物に、生き物から星へと力は循環していた。

 記録によると、大災害が起きて全ての生命が危機にひんした時にある賢者が

 作り上げたらしい……」

「ということは、その“星の大樹”が機能しなくなるかなくなったら、

 循環は止まり……」

「星も生き物も死んでしまう……!?」

 

宇宙ファイターXとリュウケンドーの言葉に、なのはとフェイトは口を手で覆い、

リベリオンナイトは血が出るほど拳を握りしめた。

 

「そう……奴らは、危険だからロストロギアだがらと言うばかりで

 私達の言うことなど一切聞かず……星の大樹を……奪い去った!」

「そ、そんな……」

「管理局がそんな盗賊のようなことを……」

「盗賊のようなではない!盗賊そのものだ!!!」

 

なのはとフェイトの信じられないといった感じの言葉は、リベリオンナイトの

叫びにかき消された。

 

「奴らは卑劣にも、最後まで話し合おうとした長を殺し一方的に私達へ攻撃してきた!

 突然の奇襲だったが、私達はなんとか態勢を整えた……だが……!」

 

リベリオンナイトは俯き言葉が止まると、拳の震えが体全体に広がっていた。

 

「管理局は人質でもとって、降伏を要求した――か?」

「は……?……はぁぁぁ!?」

「――っ!!!?」

「そんなこと、管理局がするわけ……」

「…………そうだ」

 

宇宙ファイターXの推測に皆が驚きの声を上げるが、フェイトの否定の言葉は

リベリオンナイトが発した何かを堪えるような低い声の前に途切れた。

 

「奴らは、これ以上攻撃したら命はないと人質を取った……子供をな!」

「「「『っ!?』」」」

「……」

「私達は攻撃を迷い、その隙を突かれ敗れた。

 人質の子供の命も奪われた……ついでと言わんばかりにな!」

 

その場にいた者は、鎧に包まれて見えないはずのリベリオンナイトの眼光が

憎しみに染まっているのが見えた――

 

 

 

 

 

 

 




明を狙ってきた襲撃者達ですが、油断させるためにカズキ達は楯無や千冬にはしらせていません。
敵を騙すにはまず味方からですwww

リベリオンナイトは、何故か地球では全力を出せません。今までは相手が前線を退いていたり、こちらの土俵に引きずり込んで勝てましたが、なのは達には肉を切らせて骨を断つ戦法を(汗)
そして、同様にリュウケンドーこと一夏も彼に対して全力で戦えていません。
互いに無意識に、戦うことを拒絶しています。

星の大樹の恩恵というのは、肉食動物が死んで微生物に分解されてやがて植物の成長に繋がる様なイメージです。

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