インフィニット・ストラトス 龍の魂を受け継ぐもの 作:すし好き
申し訳ありませんm(_ _)m
個人的なことですが、いつも利用している映画館で何故か仮面ライダーをやらなくて少し遠出して前売りを買いにいきました。
ドライブとゴースト。本当の始まりとありましたが、今から楽しみです♪
設定は次話と同時に載せようと思います。
寮のある部屋で、頭を抱える者がいた。
「くっ!だ、だめだ!これは人として、やっちゃいけない!
したら“戻れなくなる”!
で、でも……これは……」
その者は悶々と頭を抱えながら、時間だけが過ぎていった――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「で?どう思う、二人とも?」
「う~ん、どうって言われても……」
「ねぇ?」
時は放課後の屋上。
ここで、はやてとなのは、フェイトが転校生の原田明について話をしていた。
女性にしか起動することができないパワードスーツ、IS。
それを男なのに動かしてしまった、イレギュラーな存在の織斑一夏。
彼のようなイレギュラーは、他に現われることはないと考えていたのに
現れてしまった、二人目の男性操縦者になのは達は頭を悩ませていたのだ。
「今日一日だけど、かなりの紳士だったよね」
「うんうん。お昼の時も、歯の浮く様な言葉で
女の子達のお誘いを断っとったけど、絵になってたしなぁ~。
フェイトちゃんらがその言葉をユーノくんに言って欲しいなぁ~
って、思うほどやったし……」
「そうそう……何言ってるのはやて/////!!」
「フェイトちゃん?」
「な、なのは!?そんな怖い笑みで私を見ないで!!!」
フェイトがなのはの無自覚な嫉妬のオーラを浴びているのを眺めながら、はやては
昼食の時のことを思い返していた。
ISの実習時、隙をみて箒は一夏と昼食を屋上で食べることをこぎつけたのだが、
みんなで食べた方がおいしいだろうと一夏はいつものメンバーにも声をかけたのだ。
がくりと肩を落とす箒だったが、自分が作った弁当で一夏を落とせばいいと
前向きに考えるが、全員考えることは同じなのか互いに膝に手作り弁当を抱えて
不敵な笑みを浮かべているのをはやて達は、苦笑しながら見ていた。
だが、ここで大きな誤算が生じた。
男一人で女に囲まれる苦しさを知っているためか、一夏は明も誘ったのだが
箒たちはそっちのけで一夏は明にばかりかまったのだ。
しかも彼女たち同様明もまた弁当を自作しており、長年台所を預かり味にはうるさい
はやてから見ても、かなりの出来で一夏は絶賛しまくりであった。
その上、一夏は褒められて顔を赤くした明の口元についていたオムライスの
ケチャップのソースをためらうことなく、指でとるとそのまま舐めるということを
平然とやったのだ。
驚きで固まるはやて達を余所に、明は頭から湯気が出るほど赤くなり、反対に
箒たちは一夏が“そっち”なのかと恋人がいることを知った時とは、違う絶望を味わっていた。
「まあ、彼女がおるってゆうてたし本人からしたら友情の範囲内なんやろうけど
……のはずやよ……な?」
まるで乙女のような反応をする明に、千冬をからかうときのカズキのような笑みを
浮かべていた一夏にはやては自信なさげにつぶやいた。
「それに、問題はこれだけやないし……」
はやての頭を現在一番悩ませているのは、前触れもなく現れた二人目の男性操縦者では
なく、リベリオンナイトのことであった。
つい先日ミッドチルダに応援を要請され、留守の間の調査を任された調査員の全滅。
基地をいくつも壊滅させてきたことやグレアム元提督を退けたことからなのは達には一歩劣るものの、連携や集団戦に長ける優秀な隊員たちが交代要員に選ばれたのだが、結果は全滅という
最悪の結果だった。
この結果を受け管理局は、クロノをはじめとした一端ISやリュウケンドーの次元世界に害悪をもたらすとは考えにくいものの調査を打ち切り対策を考え直すものと、リベリオンナイトが時空管理局に関係するものを目の敵にしていることを利用してなのは達3人自身に囮となってもらい襲ってきたところを逮捕するという意見に別れてしまった。
はやて自身は自分たちが囮にされることに思うところがないわけではないが、相手の
居場所が分からない以上一理ある考えでもあると考えている。
しかし、戦うとなったらこちらも全力でいかなければならないことがこの策で行くのに
まったをかけていた。
自分たちが全力で力を解放すれば、並の結界では例え張ったとしてもその結界ごと今いるIS学園を更地にしてしまうのは容易に想像ができた。
特に、今親友に笑顔で嫉妬のオーラを放っている彼女なら容易いことだ。
かといって、リベリオンナイトは手加減をして勝てる相手でもない。
「難しいところやな、ホント……」
柵にもたれて空を眺めながらつぶやくはやての言葉は、風へと消えていくがこの時彼女たちも、
学園に侵入者が入らないよう目を光らせているカズキも気付かなかった。
自分たちがいるこの場所を遠くから、見ている復讐者に――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それじゃあ、ゲキリュウケンは預かるね~」
「はい、お願いします」
一夏は現在、カズキの部屋にやってきていた。
ゲキリュウケンのメンテや調子を見るためであると一夏を呼び出したカズキだったが、その顔は
どこかイタズラを企むような笑みを浮かべていた。
まあ、カズキのその顔は日常茶飯事のことなので一夏は大して気をとめることなく
朝からずっと浮かべている笑顔のまま部屋を後にした。
『――で?わざわざ理由をつけて、私を一夏から離したのはどういうことだ、カズキ?』
「ふふふ♪それはねぇ~……」
「さて、まずはシャワーでも浴びて汗を流すかな……っと!」
一夏は真っ直ぐに自分の部屋に戻るとシャワーを浴びるために着替えを
とろうと進むと――
「ふふふ……へへへ……」
自分の布団に包まって不気味に笑いながら、ベッドをゴロゴロ転がる明の姿が
一夏の目に入った。
「……はっ!」
「――何…………しているんだ?」
じぃ~っとこちらを見下ろす一夏の姿に気がついて、明は動きを止めて
ダラダラと冷や汗を滝のように流す。
「いいいいい一夏!!!?
ちちち違うんだ!!!こここここれは、その!!!!!
――うわっ!?」
弁明しようと明は急いで立ち上がるが、布団に足を取られてベッドの横に
落ちてしまい、その姿があらわになる。
それを見たら、誰もが目を奪われるだろう。
明は何故か下着姿であり、その胸にははやてが思わずル○ンダイブをかまし、
鈴がどこぞの髪形を愛する心を力に変える青き戦士のごとく修羅とかすような
大きな揺れる“もの”がついていた。
「…………」
「…………/////」
一夏と明は時間を止められたかのように、無言で見つめ合うが明が顔を羞恥で
真っ赤にする一方で、一夏は隣のベッドの上にあるジャージに目を移していた。
「……とりあえず、俺シャワー浴びてくるから、その間に着替えとけよ?」
「あ、ああ……/////」
一夏はそう言うと、着替えをとってシャワールームへと足を運んだ。
その姿を見て、やや呆然としていた明は急いでジャージに着替えるのだった。
「ふぅ~…………っぶねぇ~!!!!!
もう少しで本能が理性を倒すところだった!
くそ!カズキさんの仕掛けはこれか!」
さっきまで、笑顔だった一夏はシャワールームに入るなり顔を赤くするとうずくまり、
カズキが仕向けたイタズラに気付いた。
「全くいっつも、俺たちをからかいやがって!
そりゃ、あいつのあんな姿を見られて役得と言うかなんというか……
それにまた胸が大きくなったような……じゃなくて!!!
はぁ~、頭冷やそう……って、あちぃっ!」
ブツブツと文句を言う一夏は、シャワーの温度を間違って高くしてしまい
熱い目に合うのであった。
「明の部屋は、同じ男ってことで一夏と同室になったんだけど、
今あいつはその部屋に一人。
これが何を意味するか、わかるか~い?」
ケラケラと掘った落とし穴に落ちないかな~と、ワクワクするイタズラ小僧のように
楽しそうにカズキはゲキリュウケンとザンリュウジンと話をしていた。
「部屋に自分一人ということは、何かしても誰にも見られない。
そして目の前には、自分が好きな男が使っているベッドがある。
そんなの見たら、あのムッツリがにおいを嗅いだり布団に包まるのを
我慢できると思う?」
『……まあ、無理だな』
『だよなぁ~』
どうやら、人とは感覚が違う魔弾龍からも明はそう認識されるムッツリのようだ。
「あの一見、堅物に見える箒だって部屋に一人の時は理性と本能が
凌ぎ合っているんだぁ~。
ひょっとしたら、服を脱いで包まっているかもよ~?」
『まっさかぁ~』
『それはマズイだろ、いろいろと』
そのマズイことをしていることをザンリュウジンとゲキリュウケンは、まだ知らない。
ちなみに、そのマズイことをなのは達はいろいろな手段でやっていたりする。
「さらにそうやって本能が勝った時、人間は時間の経過って奴を忘れてしまう……。
その現場に一夏がはち合わせたら――すっっっごくおもしろいと思わない?」
『それは、まぁ……』
『……確かにな』
「それに…………フフフ♪」
『『……はぁ~』』
まだ何かあるのか、怪しげにそして楽しそうに笑うカズキに最早
二体の魔弾龍はため息をこぼすしかなかった。
「……それで?」
「……はい」
一夏はベッドに腰かけ、明は床に正座という形で向かい合っていた。
その様は、取り調べを行っているようであった。
「原田明、15歳。
魔弾戦士に力を貸すために作られた戦士の村出身であり、一番の実力者。
俺たちに気取られないよう影から支援するために女としてではなく、男の姿をして
俺や弾のいた中学にやってくる。
様々な武器や武術を使い、室内といった密閉空間では恐ろしい戦闘力を発揮する。
性格は至って真面目で礼儀正しいが、かわいいものに目がない」
「うっ……」
「照れ屋でいわゆるツンデレという奴であり、エレン姉のようなドジな面も
あったりする」
「……うぅ~」
「男子中学生かと思えるほど妄想力豊かで、ムッツリで俺の恋人」
「ううううるさい~い/////!」
一夏の説明に抗議を上げるが、真っ赤に染まった顔ではなんとも説得力がなかった。
「でも、何で男装を解いていたんだ?」
「そ、それはカズキさんが急なことでも対応できるよう
部屋では男装を解いておけって……」
「あの人は……」
もっともらしい理由をつけて、相手を言いくるめる……
カズキが誰かをからかう時の、常套手段である。
明はカズキの言葉をその通りに受け取っているが、要はこの部屋で戸惑いながら
暮らす一夏と明をおもしろおかしくからかうのが目的だろう。
「男装を解いていた理由は、わかったけど何で俺のベッドでゴロゴロと
転がっていたんだ?」
「そ、それは……/////」
「……ど・う・し・た・の・か・な?」
一夏はニタニタと目を細めながら意地の悪い笑みをしながら、顔を赤くする明へと迫った。
「長いこと会えなかったから、寂しかったのかな?
それとも、単に俺の匂いをかぎたいっていうアレなことなのかな?」
「うっ!な、なんかお、怒っていないか?お前……/////」
「えっ?何で俺が怒っているのかわからないのか?」
意地の悪い笑みから一転してニッコリと微笑み影をさした笑顔で、
一夏はグイッとさらに明に近づいた。
「お前は普段、無茶をする俺に怒るけど今回の……
俺を狙う奴らをおびき出すための囮になるっていうのは……無茶なこと
じゃないのかな?」
「うぐっ……!」
一夏の指摘に明は、言葉が詰まってしまう。
若さゆえか、一夏や弾は周りが見てられない程の無茶を度々やらかしたことが
あるのだ。
様々な経験を通して、そういったことは減ってきてはいるがその度に一夏は
明に雷を落とされてきた。
そうやって、苦言をされてきたのにその本人が無茶をやらかそうとするのだから
誰だって一言言いたくはなる。
まして――
「好きな女の子が、自分のために囮なんて危ないことをするのを黙っている男が
いると思うか?」
「し、しかしだな!」
「お前はリュウケンドーたち魔弾戦士の力になるためにやってきたわけだから、
それ関係の敵を倒すためなら、百歩ぐらい譲って理解はするさ……
でも、こんなことにまで首を突っ込んで危ない目にあってほしくない――」
「じゃあ、お前は私にお前が傷つくのを黙って見ていろって言うのか!」
明は、一夏に迫られていた時と変わって怒りながら立ち上がった。
「そうじゃねぇよ。お前いつも言っているじゃないか。
一人で何でも抱え込むな、もっと仲間を頼れって。
だから、俺はお前一人に無茶をさせない」
「一夏……」
これは決してゆずらないとばかりの言葉に、明は気圧され二人は
見つめ合う形になる。
「ところで、カズキさんはいつまでそこにいるんですか?」
「ははは♪バレた?」
「やっぱり、いやがった……」
明と見つめ合いながら一夏は、何の脈絡もなくそういうと部屋の天井の一部が動き
そこからひょっこりとカズキが顔を出した。忍者装束で。
「――っと♪」
「ななななな!?いいいいつから!」
「どうだった、明?一夏の布団に服を脱いで包まった感想は?」
「*☆&%#!!!!!」
「その反応……したんだね?」
『オイオイ』
ニタ~リという音が聞こえてくるような邪悪な笑みを浮かべるカズキに明は
自分が嵌められたことを察した。
「~~~~~っ/////!!!」
「はいはい、カズキさん。それぐらいで。
本題に入りましょう。後、明をからかってイジっていいのは俺だけです」
「お前にもないわ/////!」
『お前ら……』
「『ははははは♪』」
一夏の言葉に顔を真っ赤にして反論する明に、ゲキリュウケンは呆れ
カズキとザンリュウジンのコンビは笑うのであった。
「まあ、とにかくだ。俺たちの目的である奴らのあぶり出しは、
早めにケリをつけるつもりだから、その報告をね」
カズキは、ゲキリュウケンを一夏に返しながら今後の方針を二人に告げた。
「知っての通り、時空管理局には無限書庫というデータベースがある。
管理局が管理している世界だけとはいえ、明が本当は女だってことはその機能を
使えば難しくないはずだ。
幸いにも、今はリベリオンナイトの情報が優先されているから
ユーノの力添えで学園に提出された偽装書類のようなことしか知られていない。
とはいえ、ユーノの優秀さを考えるといつまでも気付かないというのも
怪しまれるから、何とか一週間以内にはこちらのかたをつけたいね」
「そんなに、上手くいくんですか?」
カズキの考えに、明は反論を上げた。
管理局の方は、ユーノのおかげで何とかなるかもしれないが自分たちの
目的の敵がこちらの思惑通りに動いてくれるのかという懸念があるからだ。
カズキ達が今回戦おうとしているのは、創生種のような魔のものではなく人間である。
ISを使えるのは女性だけだから、女の方が男よりも優れていると考えている者達と
男がISを使える理由を解明して利益を上げようとするもの達である。
女性優遇の制度が数多く施行されているとはいえ、多くの女性は多少男を小馬鹿に
するぐらいだが、一部の増長したもの達は自分達の利権を守ろうと。
そして、ISを男でも動かせるようにすることで兵器として利用し金儲けを企む者たちに
カズキはまとめて消えてもらうつもりなのだ。
一夏は世界最強のIS操縦者である千冬の弟で開発者である束とも浅い仲ではないので、
誰も手出しができなかったが、明にはそういった後ろ盾となるものがないので奴らも
動きやすいのだ。
それこそが、カズキの狙いだとも知らずに――
「大丈夫♪ハチにいろいろとがんばって、もらっているから♪」
「「『『(ご愁傷様、ハチ)』』」」
二人と二体の龍は、目の前の男にこき使われているタヌキを憐れむのであった。
「まあ、それまでは普通に過ごしてこの部屋では将来のための
同棲生活を楽しむといいよ♪」
「同棲……/////!!!?」
「ああ~そうなるのか~」
『こいつ……箒との同居を何とも思っていない』
『しょうがねぇ~よ、ゲキリュウケン。男にとっちゃ惚れた女は、何よりも特別なんだ。
それにこの場合、心配するのは一夏が明に手を出すんじゃなくて
明が一夏に手を出すのが心配なんj……』
その瞬間、ザンリュウジンはカズキの元から離されポッドの下の茶碗の中へと
移動された。
そして、茶碗へと入れた明は迷うことなくそれへお湯を注いだ。
僅かゼロコンマという時間の出来事である。
『あぢぢぢぢぢ!!!煮える!煮えちまう!!!
――って、待って!ふたをするのは待っ……』
「はぁ……はぁ……」
顔を真っ赤にした明は、息を切らして茶碗にしたふたを押さえた。
「さてと、俺はそろそろ帰るとするよ。おっとっと、こっちじゃなかった」
カズキは、ザンリュウジンが入った茶碗を持って部屋の入口にいこうとしたが
やってきた天井の方へと戻っていった。
「帰ったか……」
「全く……」
「ああ、そうそう♪」
「「『うわっ!?』」」
帰ったかと思ったカズキが再び天井の板を外して、顔を出したので一夏達は
驚きの声を上げた。
「一夏はどっちのベッドで寝るのかなと思ってね~
箒が使っていた方は、もうシーツとか変えたけど……」
「そうか、このまま寝たらさっきまで明が俺の布団を使ってたから
今度は俺が明の匂いに包まれるのか」
『逆に明が一夏のベッドを使えば、明は一夏の匂いに包まれるか……』
「はっ?えっ?」
「それじゃ、明日もあるから遅刻しないようにねぇ~」
混乱する明を置いて、カズキは今度こそ一夏の部屋を後にした。
「で?どうするんだ?」
「ど、どうするって/////」
「俺としてはどっちでもかまないけど、明はどっちがいいのかなぁ~って♪」
「だ、だから……それは……/////」
ニタニタと笑いながら、一夏はうろたえる明に判断を委ねた。
「(ど、どうする!
普通に、使えばさっきまで私が使っていた布団を一夏が/////!
だ、だけど一夏がこっちを使えば私が一夏のを使うわけで
そしたら……今度は止められない////////!!!!!)」
「ふふふ♪どうするんだ?」
『(楽しそうだな……コイツ)』
顔を真っ赤にする明を見て楽しむ一夏に、ゲキリュウケンは味覚がない自分が
甘味を感じているのが分かった。
『(……というか私は、これから一人でこの甘ったるい空間にいなければならないのか?)』
普段は、仲間の誰かがツッコンだりして終わる一夏と明のやりとりだが
ストッパーとなるものがいないこの状況で、自分は一体どうなるのか不安に
なるゲキリュウケンであった。
明がどっちを選んだのか……それを知るのは一夏とゲキリュウケンだけである。
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明が転校してきて5日が経過した土曜日――
「だぁっっっ!!!また、負けたぁぁぁ!!!!!」
一夏達は、全面開放されたアリーナでISの特訓をしており鈴の叫びが
こだましていた。
「なんか戦うたびに強くなっているね、一夏」
「ああ。昔は私より少し強いぐらいだったが、随分と先に行かれたようだ」
「それにしても、絶好調すぎませんか?」
「この分だと、お姉ちゃんを倒すのも遠くないかも……」
「あんた達!少しはあたしを慰めようとは思わないわけ!」
「「「「ははははは……」」」」」
一夏達が行う訓練は特別なことをせず、とにかく基礎トレーニングがメインである。
体力作りに基本操作の繰り返し、そして仕上げに模擬戦を行いISに関して“新人”な
一夏たちに代表候補生組がレクチャーをする形になっている。
その筆頭たる国家代表の楯無は生徒会の仕事のため、本日は欠席している。
今は、一夏と鈴の模擬戦が終わりその反省会中である。
「まあ、でも明までこんなに強いのは驚いたわ」
「せやな。さっきなんかシャルロットちゃんと引き分けたし」
「すごかったよね~。二人とも次から次に銃を出して~」
「そうですか?私よりなのはやフェイト、はやての方がすごいと思いますよ?
私は武器を扱う家の生まれで、子供のころから訓練していますがお三方は
とても銃を持って数カ月とは思えません。
銃を持ったのは、ISに触れてからなんですよね?」
「「「(ギクッ!)」」」
鈴が一夏たちに噛みついているのを眺めながら、アリサは一夏達の前に行われた
明の模擬戦の感想を述べていたら、思わぬところで墓穴を掘ってしまった。
「明は、カズキさんにもいろいろ教わったみたいだから、それで説明できるけど……」
「そういえば、そうですわね。
特になのはさんの精密射撃の腕は私と互角以上ですし」
「フェイトの戦闘スタイルの切り替えもだよね。
接近戦も強いのに、射撃も正確だもん」
「はやても個人戦だと弱いけど、指揮能力は高いから集団戦で力を発揮すると思う」
「ええっ~と……」
「そ、それは……」
「その……」
国の将来を担う代表候補生から見ても、なのは達三人の能力は一目置く程で
どうごまかせばいいのか分からず、なのは達は見るからにオロオロしてしまう。
「(ちょっ!二人が本気で勝負したりとかするから!)」
「(だって~ISって、魔法で飛ぶのとは違った動きができておもしろいんだも~ん)」
「(それに、力をセーブしてわざと負けるっていうのも……)」
「この三人が戦い慣れているのは、明と同じよ」
念話ではやてが二人に文句を言っているのを察したのか、アリサが助け舟を出した。
「なのはちゃんの家族は、武術をやっているから時々教えてもらってたんだよね?」
「えっ?あっ!そうそう~なのはちゃんのお父さんやお兄さんにいろいろとなぁ~」
「「そうなのそうなの!」」
アリサに続くようにすずかも援護することで、はやては二人の意図を察し
なんとか合わせた。
「ふぅ~ん?そうなんだ……」
「お~い。そろそろ、反省会に戻っていいか?」
「ん?まだ、終わっていなかったのか?」
「何よ!あんたがあたしがあたしのことを分かっていないとか
訳のわかんないこと言うからでしょうが!」
鈴が納得していなさそうな目をしていると、一夏が会話に入ってきた。
どうやら、彼女は途中で反省会を抜けたようだ。
「別に難しいことじゃないさ。鈴だけじゃなく、皆もだけど
自分の長所は分かっていても、できないことや弱点をよくわかっていないんだよ」
「どういうことだ、一夏?」
言っていることがよくわからず、箒が聞いてくるが彼女だけでなく他の者も
分からないという顔をする。
「いいか?どんな機体や技にも一長一短がある。
例えば、自分の攻撃の弱点を知っていれば相手がそれを突いて反撃されても
驚きで固まらず対処できるってことさ」
「「「「「「「「「「おお~!」」」」」」」」」」
「かっこつけているが、カズキさんからの受け売りだろ?それは」
皆が感心する中で明は呆れ気味に、一夏へツッコミを入れた。
「ははは、別にいいじゃないか。それよりも、接近戦での弾丸のかわし方だけど……」
「ああ、それは……」
「あの二人……仲良すぎでは?」
「うん……」
「二人だけの世界って感じ……」
「なぜか分からないが……油断してはいけない気がする……」
「昔から仲は良かったけど……前とは何か違うような……」
「ほ、箒?皆?」
「アンタたち、何か黒いオーラが出てるわよ」
「あれやったら、なのはちゃんの弟子にしてもうたら?
なにせ、なのはちゃんは白い悪m……」
「……」
「もう、はやてちゃんは~
うん?あれって……」
男同士のはずなのに、一夏と明の仲に焦りを感じるのは恋する乙女特有の直感なのか。
黒いオーラをうっすらと纏う箒たちに、アリサたちはたじろぐがそれを見たはやては
余計なことを口にして、ニッコリと笑う白い何かに見つめられた。
そんなはやてに呆れるすずかは、こちらを見つめる人影に気付いた。
「ねぇ、ちょっとアレ……」
「ウソっ!?ドイツの第三世代型だ」
「まだ本国のトライアル段階だって聞いてたけど……」
「…………」
そこにいたのは、明と共に転校してきたラウラだった。
転校してきてから、誰ともつるもうとせず会話せず孤高の女子といった感じで
こちらを睨んでいる――
と本人は思っているのだろうなぁ~とその場にいた者たちは考えていた。
初日でやったからかいを、カズキは毎日しているのだ。
しかも、千冬以上に過剰に反応するものだから、すっかり学園中に生意気だけど
かわいい子と認識されているのだが、ラウラ本人は全くそのことに
気がついていなかったりする。
「おい」
「何だよ?」
一夏達と少し距離を取ったところにやってきたラウラは、戦いの意思を隠すことなく
しゃべり続ける。
「私と戦え!」
「お前と戦う理由が俺にはないんだけど?
訓練なら一緒にすればいいじゃないか」
「貴様になくとも私にはある!
私は貴様にも……あの男にも負けるわけにはいかんのだ!」
「……って言われてもなぁ~」
「本来なら専用機持ち同士。IS同士の戦いが一番なのだが、それはできないからな」
「ん?ISで勝負するのではないのか?」
腕を組みながら、睨んでくるラウラに明は疑問の声を上げた。
今までの流れから、ISの勝負を仕掛けてくると思ったからだ。
「それをするには、百番勝負をしなければならないからな。
不本意だが、まずは下の勝負からだ」
「百番勝負……ですか?」
「何それ?」
「日本に来たくせに知らんのか」
ラウラが言った百番勝負というものが分からず、首をかしげるセシリアとシャルロット
に対して、ヤレヤレとでも言いたげに首を振った。
「百番勝負。
それは、日本に古来より存在する高みを目指す戦士たちが無益な争いを
無くすために生まれた勝負。
様々な方法で戦士のランクを定め、下のランクが上の者に挑む時は
下のランクに許された勝負でしか戦うことを許されない。
その勝負に一定数勝つことで、ランクを上げる勝負をすることができる。
教官やあの男、そして貴様は私よりも上のランクだ。
ISによる戦いは、私のランクではできないっ!」
拳を握りながら悔しがるラウラだったが、聞いていた面々は唖然としていた。
「ねぇ、百番勝負なんて本当にあるの?」
「うんうん」
「聞いたことないわよ、そんなもの」
「これって、やっぱり……」
「鈴の言うとおりだろうな……」
「それ以外にないだろうな」
「じゃあ、聞いてみるか。
お~い、ところでその百番勝負って誰から聞いたんだ?」
ひそひそと話し合う面々を代表して、一夏が質問を投げかけた。
「あの男、碓氷カズキからだが?」
「「「「「「「「「「「やっぱり~」」」」」」」」」」」
「……日本にそのような文化があるとは……
なかなか奥深いですわね……」
ラウラの予想通りの答えに、何を吹きこんでいるのだと皆の心は一つになったが
セシリアは彼女同様、勘違いを続けた。
「それで?その百番勝負って何をするんだ?」
「ふっ。それは…………ババ抜きだ!!!」
「うぅぅぅ~~~」
数十分後、食堂でラウラは悔しそうに唸っていた。
「ははは……」
「これは何と言うか……」
「弱いな」
「弱いわね」
「う~~~」
「もう!箒もアリサもはっきり言いすぎだよ!」
「それもあるが、一夏。お前も少しは手加減したらどうだ」
「やだね」
今日の訓練を終えた一夏達は、食堂でその百番勝負のババ抜きをすることになったの
だが、ラウラは一夏がジョーカーを取ろうとするとパァーっと笑みを浮かべ、逆に他の
カードだとあっ……っとそれはダメェ~みたいな顔をしたりと簡単に顔に出るので
勝負にならなかった。
そして、一夏も何故かニコニコ顔で容赦をしなかった。
「なんでかわかんないけど、なんかムカついたから」
「なんだそれは……」
「やぁやぁ~みんな♪楽しくやっているかい~?」
「っ!?」
明が一夏の言い分に呆れていると、カズキがやってきてラウラは体をビクッと震えた。
「あれれ~?ラウラちゃん?一夏に百番勝負で負けたの?
でも、あれを言ってないみたいだね?」
「うっ!」
「ほらほら♪負けたら、相手になんて言うんだっけ?
ちゃんと教えたでしょう?さぁさぁ♪」
千冬や皆をからかう時とは違う、まるでいじめっ子のような意地悪な笑みを浮かべて
カズキはラウラに笑いかける。
「――――ま……」
「「「「「「「「「「「「ま?」」」」」」」」」」」」
「ま……げ…………まじ……だ……/////」
「は~い♪よ~く言えました♪」
羞恥と悔しさで顔を真っ赤にして、目尻に涙をためながら敗北発言をしたラウラに
カズキは、うれしそうに頭を撫でるが、一夏たちは小さい妹を泣かしてしまったような、
なんとも言えない気分になった。
「ああ~もう~。碓氷先生それぐらいで!ほら、ラウラ。泣かない泣かない」
「ううううう~~~~~//////」
「そや!ラウラちゃん。今度はうちらとやろか?
勝てるように特訓や!」
「……うん――グスっ……」
見ていられなくなったのか世話焼き体質が発揮したのか、シャルロットとはやての
両名によってラウラは慰められた。
「ははは♪
それじゃあ、俺は“お客さん”を出迎える準備をしなきゃいけないからこれで♪」
「「「「「「「「「「「「……はぁ~~~」」」」」」」」」」」」
自分のペースを少しも乱さないカズキに、ため息を漏らす一夏達だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はやてちゃんは、まだラウラちゃんとババ抜きしてるのかな?」
「うん。最初は冷たいって印象だったけど、本当はいい子なんだよ」
「ヴィータちゃんみたいだね♪」
「ははは」
なのはとフェイトは、二人で寮への道を歩きながらラウラについて話していた。
なのはは最初は似たような感じだったヴィータのことを思い出して、二人で笑っていた。
だが、平穏と言うのは守り維持するのは難しくても崩れるのは一瞬である――
「え?」
「これは……結界!?」
二人の周りはいつの間にか、“色”が消えた世界になっていた。
「かかったのは二人。本当は一人一人といきたかったが、まあいい……」
「「っ!!!?」」
不意に聞こえた声になのはとフェイトは身構えた。
「消えろ。世界の害悪――!!!」
憎しみで塗りつぶしたかのような黒い鎧をその身に纏った、リベリオンナイトが
憎悪に満ちた刃を二人に振り下ろした――――
明のモデルはニセコイの鶫 誠士郎(つぐみ せいしろう)です。スタイルは箒や楯無、フェイトに負け劣らずでフェイトやセシリアのようなムッツリですwww
部屋割ですが、明が一夏と同室になったことで箒ははやてとラウラはシャルロットと
同室になっています。
何故、箒とラウラではないのかですが、なのは達のおかげで丸くなったとはいえ少し
人見知りな箒に、転校したばかりのラウラの相手は難しいのでは?と考えたからです。
そして、箒はいろいろと疲れたから癒してくれー!とはやてにセクハラ
されて木刀で天誅を下しています。(セクハラだから、木刀でもいいよね?もちろんある程度
手加減はしています)そして、にっこりとほほ笑む白い悪魔様が(汗)
ラウラは、シャルロットに女の子なんだから裸やそんなパジャマはダメと
世話を焼かれております。
本能から、逆らったら何か恐ろしいことになりそうなのでなすがままです。
明が一夏の布団に包まってゴロゴロしましたが、他のヒロイン達は……
箒:冒頭の明のように理性と本能が火花を散らし、本能が勝とうと
したところで誰かが部屋にやってきて、断念。
セシリア:一夏の部屋にやってきて、ベッドに腰かけた時にトリップ。
鈴:中学時代に、一夏の実家で枕のにおいをかいだ経験あり。
シャルロット:隙を見て、一夏の部屋の枕カバーをすり替えて自室でヘヘヘ。
楯無:一夏の部屋に忍び込んで、シーツを新品に変えてゴロゴロ。
簪:姉を脅して、交代で使用。
そして、なのは達がやったヤバイことは
フェイト:ユーノの部屋に遊びに行った時に、シーツを入手。閃光の速さで行ったので計画的犯行
の可能性あり。服を全部脱いで包まって、妄想の世界へトリップ
はやて:ユーノの部屋に食事を作りに行った時に、シャツをちょろまかしてクンカクンカ。
アリサ:自宅に泊まりにこさせた時のシーツや貸したパジャマを寝る前にギュッと抱きしめる。
すずか:アリサと同じように自宅に招待した時に、シーツやパジャマだけでなく食事の時に使った
箸やスプーンを眺めながら怪しく微笑む。
なのは:ユーノの部屋に遊びに行った時、たまたま眠くなり”ユーノ”のベッドで夢の世界へ。
その間、ユーノはその無防備な寝顔に理性と本能がガチバトルwww
ラウラは書いていたら、生意気だけどかわいい子になってしまった(苦笑)
百番勝負は、カズキがドイツにいる千冬の元へ行った時にラウラに絡まれた時に
いちいち相手をするのがめんどくさくなったから吹き込んだデタラメです。
そんなのを信じてしまう、純粋なピュアっ子です。うちのラウラは♪
”ま……げ…………まじ……だ……”のところは、いじめっ子にしすぎたかな?
ちなみに、一夏に弁当を作ってもらったエレンはルンルンスキップをするぐらいにご機嫌で、
千冬は作ってもらった弁当を山田先生に愛弟弁当と言われて、問答無用で訓練場へ連行ww