01:カセドラル・シダー
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セントラル・カセドラルを覆うようにして突如現れたという黒き大樹の調査にキリトは
上に進むごとに面積が大きくなっている形状の大樹の、その根の質感は、《夜空の剣》の素材となっているギガスシダーのものに酷似していた。触った際の感触も、硬さも、何もかもがギガスシダーと瓜二つのようだったのだ。
まるで倒されたはずのギガスシダーが復活して来たかのようだった。
では強度はどうかと思って、《夜空の剣》で斬り付けてみたものの、傷一つ付かなかった。《EGO》でも試してみたが、黒き大樹の根は白き炎剣の熱と炎さえも弾いてしまった。当然ながらリランの火炎放射も通じていかない。
黒き大樹は尋常ならざる水分を含んでいるのか、
その黒き大樹からは、クィネラに
アドミニストレータが生と支配への執着で黒き大樹――《カセドラル・シダー》になった。そんな仮説を唱えた後、クィネラは修道女達を避難させ終えた整合騎士達を集め、《カセドラル・シダー》の《対策本部》を設立。
更にアドミニストレータによって封印されていたという女性騎士シェータ・シンセシス・トゥエルブ、何だかユージオに雰囲気がどことなく似ている少年騎士レンリ・シンセシス・トゥエニセブンの二名の整合騎士を目覚めさせた。
シェータは無口でミステリアスな雰囲気を漂わせる女性で、レンリは少し気弱そうではあるものの、全体的に優しげな雰囲気の少年であったが、どちらも整合騎士らしい力強いオーラを感じさせていた。
整合騎士達はまだまだいるそうなのだが、残った者達は全部《カセドラル・シダー》に呑み込まれてしまい、助け出せなくなってしまったのだという。なので、シェータとレンリを加えた、現在の整合騎士達全員で《カセドラル・シダー》の対策に当たる事になった。
だが、すぐさま《カセドラル・シダー》自体の対策が行われる事はなかった。突如として信仰の対象でもあったセントラル・カセドラルを呑み込むように出現した黒き大樹の怪物に、央都セントリアの民達は大混乱に陥っていたからだ。
街の誰もが「暗黒界が攻めてきた」だとか「この世の終わりが来たんだ」などと言って、大恐慌の有様になっていた。まずはこの大混乱を納めない限りは前に進む事はできない。
キリト達は央都中を巡り、全ての町民にひとまずは安心してほしいと伝えていった。しかし大混乱はまるで流行り病のように広がっているような状態であったために、中々収まってくれなかった。
央都セントリアが元の平穏を取り戻し、いよいよ《カセドラル・シダー》の対策に本格的に入れるようになっていた頃には、《カセドラル・シダー》の出現から三十日も経過してしまっていた。
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「吾輩は猫である。名前はまだない。はい、言ってみて」
「「吾輩は猫である。名前はまだない」」
《カセドラル・シダー対策本部》の一角から聞こえてきた声に、キリトはきょとんとして近付いていた。聞き慣れた少女の声と、同じく聞き慣れている子供の声である。
ふと思い出してみたところ、それはアスナ、ユピテルの声だと分かったが――奇妙な事に、ユピテルの声が二重に聞こえていたような気がしてならなかった。
これは何だ――そう思いながら発生源に向かってみたところ、実際にアスナとユピテルの姿があった。だが、そこにはもう一人子供がいる。ルコだ。ルコがユピテルと並んで、何かを言っている。
「三人とも、何やってるんだ?」
キリトの声に三人は振り返ってきた。すぐさまアスナが応じて来る。
「あぁ、キリト君。いいところに来てくれたね」
「いいところ?」
「うん。今、気になってた事の確認をしていたの」
「気になってた事って?」
キリトの疑問にユピテルが答えてきた。
「キリトにいちゃんは、ルコちゃんと居て結構長いとお聞きしました。本当ですか?」
キリトはユピテルの隣にいるルコを見る。確かにルコとはアンダーワールドに囚われたその日から、二年後にあたる今日まで一緒に過ごしてきている。
まだまだ謎が多いが、ルコが何を好んでいて、どういう性格をしているかなどはわかっていた。
「あぁ、ルコとはずっと一緒に暮らしてきているからな。それがどうかしたのか」
アスナがユピテルと交代して答えた。
「わたし、ルコちゃんの声を聞いてから気になってたんだけど……ルコちゃんの声、どうにもユピテルと似ているように感じるの」
「え?」
中々に信じがたい話が出てきた。ルコの方がユピテルよりも背が低いし、そもそもユピテルとルコはそれぞれ性別も対照的である。なのに声が同じように聞こえるだって?
キリトはもう一度きょとんとしてユピテルとルコの二名を見た。
「そんなに似てるか、二人の声」
「わたしはそう感じるの。だからキリト君にも聞いてみてほしくて」
アスナに言われたところで、キリトはつい先程の事を思い出す。そう言えばここに来る直前、ユピテルの声が聞こえてきていたが、それは二重に聞こえていたような感覚があった。
そしてユピテルの隣にはルコ。もしかしたらこれは――。
「ユピテル、ルコ。俺の言う事を繰り返してみてくれ。エリュシデータとダークリパルサー」
「「エリュシデータとダークリパルサー」」
ユピテルとルコの声がハモった時、キリトは目を見開いた。今、どちらかの声が二重に聞こえたようになった。聞き間違いではない。確かにルコかユピテル、どちらかの声が二重だった。
これはつまり、二人の声の質がほとんど同じであるという事だ。アスナの言っている事は真実だった。
「マジだ。ユピテルとルコの声、同じに聞こえる」
「そうでしょう。だから、どうしてなのかが気になって。ユピテルは現実世界から来た《
「確かに……ん?」
キリトはふと、《カセドラル・シダー》出現から十五日ほど経った頃に、アスナ達から聞いた話を思い出した。
アスナ達がこの世界へとやってきた理由と、事の発端。まず自分とシノン/詩乃は、アスナ/明日奈達と《ダイシー・カフェ》で話をした後の帰り道で、謎の人物による襲撃を受けた。その際に何らかの薬物を強引に投与され、意識を失った。
この後の事をアスナが話してくれたのだ。あの後、自分達は世田谷総合病院で救命措置を施され、その後は精密検査と高度治療のために所沢の防衛医大に運ばれるはずであったが、ここで行方不明となった。誰も自分達がどこにいったか分からなくなったらしい。
その後アスナは諦めず、ユピテルや友人達と共に自分達の跡を捜索してくれたが、真相に辿り着く事はできなかった。だが、そこで救いの手を差し伸べた人物がいた。イリス/
リランやユピテル、ユイやストレア、プレミアやティアといった娘と息子達のみが持っているという非常用回線でしか連絡ができないとされていた彼女は、突如としてアスナに連絡し、
「キリトとシノンはラースの本拠地であるオーシャンタートルで治療を受けているよ。手は打っておいたから、心配なら来るといい。来る時は
と言ってきた。アスナはイリスの進言通り神代凛子博士――リランの育ての母親――に連絡を取り、リーファ/直葉と共にオーシャンタートルへ向かい、自分達の現状を知り、そしてソウルトランスレーターを使用してこの世界へダイブしたという事だった。
アドミニストレータとの決戦の後に話ができた通り、このアンダーワールドの運用と開発にはイリスが関わっている。
当然だ。彼女はAI研究と開発の面では稀代の天才なのだから。無数のAIを育成する環境であるアンダーワールドを開発するラースに採用されないわけがない。
そんなイリスだが、彼女はこれまで、自身の関わった仮想世界には必ずと言っていいほど自身の子供であるAIを導入する傾向にあった。そんなイリスが最初に産んだ子供であるユピテルと、ルコの声が非常に似ているという事は――。
「もしかして、ルコはイリスさんの娘か!?」
「えぇっ。ルコちゃんもユピテルと家族なの!?」
「いいえ、それはありませんよ」
びっくりするキリトとアスナを、冷静なユピテルが止めた。じっと見つめるルコを見つめ返しながら、ユピテルは答える。
「ルコちゃんからは《アニマボックス信号》が検知されません。もしルコちゃんがぼく達と同じアイリの子供であるならば、《アニマボックス》が搭載されていて、信号が検知できているはずです」
そう言われてキリトは冷静さを取り戻す。
確かに、ルコが愛莉の子供であったならば、その時はリランが真っ先に《アニマボックス信号》をルコから検知できているはずである。なのにそうはならず、セントラル・カセドラルの最上階で囚われていたクィネラの《アニマボックス信号》を検知した。
つまりルコは愛莉の子供というわけではないという事だ。声が似ているというだけで決めつけるのは早計だったと、反省したい気分になってきた。
「そ、そうだな。声が似てるくらいで、そうだと決めつけるべきじゃなかったな」
「そうだよね。何でもかんでもイリス先生の子供だと思っちゃ駄目だよね。けれど、やっぱりルコちゃんの声はユピテルにそっくりだなぁ」
先程の自分のようにきょとんとするルコを見つめるアスナに、ユピテルがもう一度返答する。
「真偽は定かではありませんが、人間の声門というものにはいくつかのパターンが存在していて、これが偶然他人と重なっている場合があるそうです。そうすると、似た声の人間が複数人存在する事になるらしいですよ。もしかしたらぼく達は、同じ声門を持った者同士という事なのかもしれません」
「せいもんが、かさなる?」
ルコはちんぷんかんぷんといった顔だ。頭の上にクエスチョンマークが出ているイメージが見えた気がした。今のルコには難しい話だろう。
「ごめんね、ルコちゃん。気にしないでいいよ。単にルコちゃんの声がユピテルに似てて可愛いなって思っただけだから」
アスナに言われるなり、ルコの目が輝いた。頬に桜色が指す。
「ルコ、かわいい?」
「うん。ルコちゃんはとっても可愛い女の子だよ」
「ふかぁー!」
そう言ってルコはにんまりと笑った。あまりに良い笑顔なものだから、こちらの頬まで緩んでしまう。
これもルコと一緒に過ごしてきてわかった事だが、ルコが笑うと周りも一緒に笑う事が多い。この子には周りを笑顔にさせる力があるようだ。
いや、それは子供が本来持っている自然の能力に過ぎないが、ルコの場合はそれが強いような気がした。だからこそ、ルコに手を出したあの腐敗貴族の末路は相応のものだったのではないかとも思う。
「そうだな。だけどなルコ、可愛いからって調子に乗って対策本部の外で帽子を外したりはするなよ」
「わかってる」
ルコはきゅうと自身の頭を覆う帽子を深く被った。
ルコが四つの耳と、
その事をルコは十分承知してくれているようで、外に出る時は決して帽子を外さないように気を付けているようだった。事情を知ったクィネラが、帽子を外れにくいように改造してくれたのも良かった。
そんなルコが背負うお役目についての情報も、なかなか見つからなくて困ったものだ――。
「いたいた。キリト!」
背後から声がした声にキリトは向き直った。誰かが走ってきている。シノンだった。セントラル・カセドラルの武具庫で着替えたときの服から、クィネラが作ってくれた、青と白を貴重とした、それなりに露出度のある弓使いらしい服装に身を包んでいた。
「シノン、どうかしたのか」
「ベルクーリさんからの呼び出しよ。南帝国で魔獣が発見されたらしいの」
この世界には現実世界には存在しないような獣達が何千種も存在しているが、その中には人々や他の獣を襲う事を率先するモノ達も見られる。そういった獣達の事をひっくるめて、魔獣と呼ぶのだ。
しかし、魔獣は普通の獣と比べて、比較的数も種類も少ない。四帝国の中には魔獣が生息していない国さえあるくらいだ。そして南帝国は確か、魔獣の生息していない地域だったはず。
「えっ。南帝国には魔獣はいないんじゃなかったのか」
「そのはずだったんだけど、何故か出てきたから、調査してくれですって」
シノンの表情が少し険しくなる。
「それだけじゃないわ。魔獣の中に混ざって、特別身体が大きくて異様な獣もいたらしいわ。そいつは、身体の一部が黒い装甲に包まれているようだったそうなの」
キリトは思わず目を見開いた。魔獣に混ざる異様な獣の特徴に覚えがある。
「黒い装甲……《EGO化身態》か」
「えぇ。遠い昔に誰かがエゴを暴走させたんだわ。そいつが魔獣と一緒に出現して、人家に被害を出そうとしているみたい。それに、《カセドラル・シダー》が出現したのと同時に、カセドラルから飛竜を盗んで飛んでいった奴が向かったのも、南帝国だって判明したらしいわ」
対策本部が設立されてすぐにベルクーリから聞いた話だ。カセドラルが《カセドラル・シダー》に飲み込まれる直前に、整合騎士以外の誰かが飛竜で飛び立ったらしい。
飛竜を持ち出したという事はつまり、公理教会に属し、アドミニストレータに従っている誰か。即ち人界の敵である。それが南帝国に向かったという話と、魔獣とEGO化身態が出現したという話。
繋がりがないと考える方が無理がある。
「その飛竜を盗んだ奴が何かしたって事か」
「それをひっくるめて調査してきてほしいし、聞いてもらいたい話があるから、来てほしいんですって。それと、アスナとユピテルも一緒に来てほしいみたい」
「わたし達もなのね。わかったわ」
「よし、行こう」
キリトはアスナとユピテル、ルコを連れて対策本部の中央部へ向かった。多数の天幕の中でもひときわ大きなものがあり、そこにベルクーリ達整合騎士と、彼らをまとめる最高司祭クィネラ、その補助を担当するカーディナルがいた。
彼女らから、シノンから聞いた話の確認をした。
今現在、南帝国を筆頭として、それまで生息が確認されていなかった地域に次々と魔獣が出現するようになり、あちこちの村や町に被害が出るばかりか、生態系が破壊されつつあるのだという。
この状況を打破すべく、対策本部は魔獣討伐隊を編成。各地から衛兵や修剣学院の生徒問わず、実力者を集め始めた。その中には驚くべき事に、キリト達の後輩であるティーゼとロニエもいて、更には卒業したソルティリーナの姿もあった。彼女達も整合騎士達と共に魔獣討伐隊の一員として戦うのだという。
しかし、流石にいきなり彼女達を南帝国に派遣するわけには行かないので、ひとまずは央都周辺の警護及び魔獣の討伐に向かってもらう事になり、南帝国にはキリト、シノン、リラン、アスナ、リーファ、ユピテルの六人組と、エルドリエが単身で向かう事となった。
特にエルドリエは南帝国の果ての山脈を目指す事になった。既に飛竜で向かったという誰かが、果ての山脈にある闇の国への出入り口に手を出している可能性もないわけではないからだ。
人界はアドミニストレータが引っ掻き回したせいで一種の機能不全に陥っている。今、暗黒界からの侵攻を受けようものならば一溜りもないだろう。ベルクーリとクィネラとアリスの進言を受け、エルドリエは自身の飛竜を駆っていった。……その際アリスと話すキリトにぶつくさと文句を言っていたが。
エルドリエを送り出したその後に、キリト達も魔獣と《EGO化身態》が発見された地域に向かったのだった。
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「えぇっ!? ユピテル君に乗れるようになったんですか!?」
「うん。クィネラちゃんの作ってくれた
驚くリーファにアスナが説明を施していた。央都を南に進むと、すぐに南帝国の入り口に辿り着いた。
そこは湿気を多分に含んだ空気に包まれた熱帯雨林であった。草木は全てが古代樹のように大きく、見通しも悪ければ入り組み方もかなり酷い。
ここから魔獣と《EGO化身態》の目撃現場に徒歩で向かうとなると、何時間もかかってしまうだろうし、下手すれば日にちを
なのでいつも通りリランの翼を使って、空から魔獣と《EGO化身態》を探す事になったのだが、リランに乗れるのは三人が限界である。この場にいるのはリランを除くと五人なので、二人残ってしまう。
その二人は徒歩で向かうしかないかとキリトが思ったそこで、アスナがユピテルに《使い魔》形態にならせた。
そこで、リーファ同様に驚く事になった。
《使い魔》形態、《ユピテル・フェレトリウス》になったユピテルは、《
その胴体の上部分に、ゴムのような質感でできた鞍が装備されていた。そんなものが《使い魔》形態のユピテルに装備されているところなど見た事がないので、キリトも妹と同じように驚いてしまった。
「これをクィネラが作ったのか……あいつ、本当に何でも作れるんだな」
「流石はこのアンダーワールドの管理者ね。作れないものはないんじゃないかしら」
シノンが物珍しそうな顔でユピテルの背中の鞍を見ていた。
クィネラが整合騎士達と共にセントラル・カセドラルの外へ降り立ち、改めて整合騎士達に状況説明を行った後に、リランによってクィネラの能力の確認が行われた。
このアンダーワールドの管理し、存続させていくために導入されたクィネラには、実に様々な能力が付与されていた。
オブジェクト――そこら辺の岩や植物から始まり、家や設備、武器や防具を生成する能力。
天命を操作し、時には寿命の克服させる事さえもできる能力。
天候を操作する能力。
全ての神聖術を詠唱無しで放つ能力など、まさにこの世界の神のような力の数々が与えられていた。
しかし、それら全てを悪用していた悪霊アドミニストレータを切り離した際、能力のいくつかも切り離されてしまったのだという。
確認したところ、クィネラに残ったのはオブジェクト生成能力と、全ての神聖術を行使できる能力のみであり、残りはアドミニストレータに持っていかれてしまったのだとわかった。
このオブジェクト生成能力を使い、クィネラは
その後に、対策本部で使用する様々な道具の製作に取り掛かったのだった。
そこで出来上がったのが、ユピテルの背中の鞍なのだという。それを載せたユピテルが《声》を送ってきた。
《今のぼくの身体に触ると感電してしまいますが、この鞍は完全な絶縁体なので、感電せずに乗る事ができますよ。こんなものを作り出すのは、ぼくにはできない事ですね》
弟の言葉に、狼竜形態となっている姉が頷く。
《我も壊すのは得意だが、作るのはてんで苦手だ。クィネラは作るのが得意なのだろう。良い事だ》
リラン、ユピテル、クィネラの三人
なるほど確かに、三人でバランスが整っていると言える。これも母親であるイリスが意図した事なのか。そんな事を思いながらキリトはリランとユピテルに呼びかける。
「クィネラは俺達のためのものを作ってくれた。今度はリランとユピテルで魔獣と《EGO化身態》を壊して、生態系と人的被害の修復をする番だぜ。準備は良いか」
キリトの問いかけにリランは「あぁ!」と、ユピテルは「勿論です!」と答えた。この二人がいれば、どんな魔獣や《EGO化身態》が出てこようが敵なしだろう。最高の存在が味方に居てくれている。
キリトは期待に胸を高鳴らせながら、リランの背中にジャンプし、跨った。続いてシノンがキリトのすぐ後ろに飛び乗ってきて、手をキリトの腹に回す。騎乗完了。
そのままユピテルを見下ろすと、その背中の鞍にアスナとリーファが跨っているのが確認できた。あちらも準備できたようだ。
「さぁ、いくぞ!」
キリトが号令を放つと、リランは地を蹴って翼を羽ばたかせ、空へ舞い上がった。