キリト・イン・ビーストテイマー   作:クジュラ・レイ

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かなり長め。


05:双剣少女の真相

 

 

           □□□

 

 

 セブンのライブコンサートがあった翌日、キリト達はついにスヴァルト・アールヴヘイムの最終エリアである《岩塊平野ニーベルハイム》のラストダンジョンである、《闇のユグドラシル》へ赴き、攻略を進めていた。

 

 ALOの象徴とも言えるようなフィールド――正確にはオブジェクトと言うべきなのか――である世界樹ユグドラシルと同じ名前を冠する《闇のユグドラシル》は、まるで大樹の根の中を進んでいくような、地下に広がっている仕組みであった。

 

 その中についにキリト達は乗り込む事に成功したのだが、入り込んで早々、こちらを見つけては攻撃を仕掛けてくるモンスター達に苦戦する事となった。

 

 そもそもこの《岩塊平野ニーベルハイム》に出現してくるモンスター達はかなりの強さを持った者達ばかりで、ちょっとやそっとじゃ倒せないようなものばかりなのだが、《闇のユグドラシル》に出てくるモンスター達はより高いステータスを持っているものがほとんどであり、何千何万というモンスターを相手にしてきたキリト達と言えど、苦戦せざるをえなかったのだ。

 

 しかし、たとえ相手がそのようなモノばかりであったとしても、怯む事無くキリト達は進み続けていき、並みのプレイヤー達ならば何度も戦闘不能と強制帰還と再挑戦を繰り返す事になるであろう《闇のユグドラシル》の中腹付近に、潜ってから一時間後に辿り着く事が出来た。

 

 

「よし、ここで一息つくとしよう」

 

 

 キリトの指示を聞いた皆が待ってましたと言わんばかりに一斉に溜息を吐き、それぞれ休みやすい姿勢を取る。そんな皆の事を見まわしていると、アスナがリズベットやリーファと混ざって寄って来た。

 

 

「やっぱりラストダンジョンなだけあって、敵の強さも半端じゃないね」

 

「《使い魔》に出来たらどれだけ快適なのか、気になるような敵ばっかりよ。やっぱ一筋縄じゃ行かないってわけか」

 

 

 アスナとリズベットからの言葉にキリトは頷く。確かにこの《闇のユグドラシル》にいるモンスター達は強敵ばかりで、リランという強力な《使い魔》を従えている自分でも苦戦する事さえある有様だ。そんなモンスター達と戦い続けている皆を見てみれば、やはり誰もがひどく疲れたような顔をしている。

 

 アインクラッドの百層、ALO本土の様々な高難度ダンジョン、そしてスヴァルト・アールヴヘイムという一筋縄では行かないような難関をクリアしてきた皆と言えど、やはり戦闘と前進、仕掛けの解除などをかなりの頻度で行うような構造となっている《闇のユグドラシル》の攻略は疲れるものなのだろう。

 

 そんな疲れた者達の中の一人となっていたカイムが、隣にユウキを連れて、キリトの元へとやってきた。

 

 

「けれど、意外な感じがしない、キリト」

 

「意外? 意外って何がだ」

 

「ほら、シャムロックの人達だよ。ボク、てっきりシャムロックの人達も潜ってて、ボク達に襲ってくるんじゃないかって思ってたんだけど……ボク達、シャムロックの人達に会ってないよね」

 

 

 昨日セブンとスメラギとで、事実上シャムロックに宣戦を布告をしたようなものだから、シャムロックの者達は既に《闇のユグドラシル》に来ていて、自分達の足止めをしようとして来るのではないかとキリトも思っていた。

 

 しかし、《闇のユグドラシル》を潜り進めていく中では、自分達と同様に攻略を進めているはずのシャムロックの者達を見る事は無く、昨日のように突然の襲撃を受ける事も無く、極めて順調に攻略を進める事が出来ている。

 

 

「確かにそうだな……俺もてっきりシャムロックの連中と鉢合わせするんじゃないかって思ってたんだけど……そうでもなかったな」

 

「もしかして、もうシャムロックの人達は僕達よりも深くまで行ってるとかじゃないかな。それで、ものすごく強いボスと戦ってる、とか」

 

 

 よく隣にイリスがいるが、今回はいないシュピーゲルの方へ、キリトは顔を向ける。

 

 最近忘れそうになっていたけれども、シャムロックはこのスヴァルトエリアの攻略を進めるプレイヤー達の精鋭部隊みたいなものであり、名のある実力者ばかりを抱えている最強軍団。精鋭のプレイヤー達が徒党を組んで攻略を進めるから、その攻略速度は並大抵のものではなく、自分達もやっと追いつけるくらいなのだ。

 

 そしてこのシャムロックを率いるセブンは、《闇のユグドラシル》の攻略完了を一刻も早くしたいようだから、相当な覚悟を持ってこの《闇のユグドラシル》の攻略を進めているはずだし、そのために総力を用いている可能性だって大いに考えられる。

 

 

「その可能性は高いだろうな。ここの攻略を進めてたら、シャムロックの走力とぶち当たる事になっても不思議じゃなさそうだ」

 

「シャムロックの総力と戦うの? 流石にそうなったらわたし達でも勝ち目がないんじゃ……」

 

「そう、だな」

 

 

 そこでキリトは声の主の元へ顔を向ける。先端部が紫がかっている赤い長髪と金色の瞳、黒と白と赤を基調とした戦闘服に身を包んだ、レプラコーンの少女であるレイン。

 

 ある時まではシャムロックに居たが、後々脱退させられ、現在は自分達の仲間としてスヴァルトエリアの攻略を進めている少女を見た途端、ある事を思い出したキリトは、改まったかのように向き直った。

 

 突然視線を向けられた事に驚いたのか、レインは少し戸惑った様子でキリトの事を見つめ返す。

 

 

「キリト君、どうしたの。わたしの顔に何かついてる?」

 

「……レイン。そろそろ俺達に本当の事を話してもいい頃じゃないのか」

 

「え、何が?」

 

「君はセブンと、七色博士と姉妹関係にあり、七色博士の姉であるって話をだ。そして、君の本当の名前も話してほしい」

 

 

 キリトの言葉が放たれるなり、周囲に居た全員が一斉に驚きの声を上げ、レインも目を見開いたまま何も言わなくなる。

 

 直後、キリトのあまりにも突拍子もない話に動揺しているかのようにアスナとシノンがキリトの元は駆け寄り、キリトとレインを交互に見ながら言った。

 

 

「え、キリト君、どういう事!? レインちゃんが、セブンちゃんの、姉!?」

 

「ちょっとキリト、冗談でしょ!? レインがセブンと姉妹なんて、そんな……!?」

 

 

 アスナとシノンが上げている驚きの声は周りの者達にも伝染していき、やがて一帯が戸惑いと混乱、驚きの声に包み込まれる。騒ぎ立てる周囲を見回してから、レインは苦笑いして、キリトに答えた。

 

 

「あ、あはは。キリト君ってば、流石に冗談きついよ。そんなわけないでしょ~? わたしがセブンと姉妹だなんて、似ても似つかないし、あっちはすんごい人気者の美少女なんだよ。わたしなんかと比べたら……」

 

 

 手を振りながら話を否定するレインをじっと見つめつつ、キリトは今朝の電話を思い出す。

 

 直葉、リラン、ユイ、ストレア、ユピテル、クィネラの七人で朝食を摂った後、ALOにログインしようとしたその時に、キリト/和人のスマートフォンに一通の電話がかかってきた。

 

 誰かと思って出てみれば、その相手は一応政府の人間であるクリスハイト/菊岡。なんでこいつが電話をかけてくるんだと思いながらその話を聞いてみれば、菊岡はイリス/愛莉からセブンの計画する《クラウド・ブレイン》についての話を聞いて、その事について話をしたいと返してきた。

 

 そこから菊岡は《クラウド・ブレイン》の危険性のなさや違法性のなさを、自分の感想も含めて話してきたのだが、その話はすでにセブンから聞いているし、更に菊岡個人の話はどうでもいいと思ったので、右から左と言わんばかりに聞き流していたが、七色博士の姉の話に差し掛かった時にそれをやめた。

 

 いつも胡散臭い雰囲気を漂わせているけれども、時には核心に触れるような話をする事もある菊岡によれば、七色博士には生き別れている姉がおり、その姉に該当する人物がALOにいて、その人物には特別に自身の機関から、七色博士の情報を提供しているというのだ。

 

 そしてその七色博士の姉の名前は――本名こそは教えてもらえなかったものの――自分達と一緒に居るレインであるという事を教えてくれた。

 

 その時は本当に驚いたけれども、同時に納得できる部分がちゃんと存在していた事を思い出し、和人は線と線が繋がってくれたのをしっかりと感じる事が出来て、ほぼ初めて、しっかりと菊岡に礼を言った。

 

 それら一連の事を、キリトは周りにいる全ての者達も含めてレインに話した。

 

 

「君は七色博士の姉妹である事を条件に、運営側からパーソナルデータを提供してもらっていた。だからこそ、シャムロックの動向をある程度知る事が出来てたって事なんだろう」

 

「……」

 

 

 言葉が喉で詰まっているかのように、レインは答えようとしない。そこでキリトが口を閉ざすと、シノンがキリトの隣に並び、レインに問うた。

 

 

「レイン、あんたがセブンの姉っていうのも信じられないけれど、私達はあんたの事をよく理解してないわよ。たとえば、私達の素性を知ってたりして……」

 

「それは簡単な事だよ。レイン、君もSAOに巻き込まれたプレイヤーの一人であり、SAO生還者だからだろ」

 

 

 この話は菊岡から聞いたものではなく、キリトが独断で思っていたものなのだが、キリトはこの可能性がある事をずっと信じていた。

 

 まずレインは、VRMMOの初心者であり、ALOが最初のゲームであると言っていたけれども、その戦闘技術や仕草、過ごし方などはVRMMOに三年以上慣れ親しんでいるかのようなものばかりであり、この時点で既に食い違いが発生している。

 

 

 そしてレインは、何故か自分達の事を最初から知っており、時には自分達の話すSAOの中に居なければわからないような話にさえ、普通に付いて来る事もあった。

 

 その理由は、レインがSAOの中に閉じ込められていたプレイヤーの一人であり、自分達と同じSAO生還者であるから――この事を話すと、そこでまた皆の方から驚きの声が上がり、特にSAO生還者である者達が一斉にレインとキリトの元へと集まってきた。

 

 

「どどど、どういう事だよ、レインちゃんが、俺達と同じSAO生還者!?」

 

「レイン、その話は本当なのか!?」

 

「俺達と同じSAO生還者……た、確かにレインは俺達みたいにこの世界に馴染んで、戦ってたな……!」

 

 

 クライン、エギル、ディアベルの順に問われ、レインは戸惑うような様子を見せつけたが、すぐさま俯き、何も言わなくなった。直後の皆が静まり返ったそのタイミングで、レインは顔を上げ、閉ざされていた口を開いた。

 

 

「……ここまで追い詰められちゃ、話さないのは、もう無理だなぁ~。もう潮時って事かぁ」

 

「全部言えだなんて言わないよ。けれども、どうか俺達を納得させてほしいんだよ、君の事を」

 

 

 キリトの言葉を受けたレインは頷き、ざわめくのをやめた皆の方を見回した後にキリトへ向き直り、深呼吸してから、もう一度言葉を紡ぎ始めた。

 

 

「……わたしの本当の名前は、枳殻(からたち)虹架(にじか)だよ。都内で女子校生をやってるけれど、キリト君の言った通り、七色博士の実の姉だよ。そして……お久しぶりですね、()()

 

「え? ()()……?」

 

 

 レインから飛び出した言葉にキリトは目を点にする。その隙を突いたと言わんばかりに、レインは話を続ける。

 

 確かにレイン/虹架は七色博士の姉であるのだが、七色本人はそのような事は何も知らず、自分に姉がいる事自体何も知らないでいる。

 

 元々、両親は母親が日本人で、父親がロシア人であり、虹架と七色は日本人とロシア人のハーフとして生まれ、家族四人でロシアで生活していた。

 

 

 しかし、七色が成長するにつれてその生まれ持った才能が開花の予兆を見せるなり、父親の方が七色をアメリカに行かせて大学に入学させ、才能を大きく伸ばして、将来的には優秀な研究者にすべきと提案。

 

 しかし、七色は普通の女の子として暮らすべきと、母親がこれを断固として拒否したがために、二人の間に亀裂が走り、最終的に離婚へ至ってしまった。

 

 その結果、虹架は母親と共に日本へ残り、七色は父親に連れられてアメリカへ渡ったのだ。

 

 先程ざわめいていた者達もその話が始まるなり、完全に口を閉ざして聴く一方となっていたが、一旦虹架/レインの話が終わったその時に、リランが呟くように言った。

 

 

「……随分と複雑な家庭事情というものがあったようだな」

 

「うん。けれどその後は生活が苦しくてね……それでわたしは学生である傍ら、バイトもするようになったんだ。まぁバイトと言っても、趣味を兼ねたものでもあるんだけれどね。秋葉原でメイドさんになって、接客したり歌を歌ったりする……そんなバイトなんだよ」

 

「!」

 

 

 思わずキリトは反応を示し、隣にいるシノンも同様の反応を示していた。この前秋葉原に出向いたその時に、丁度《レイア・ルナハート》というメイド喫茶の店員の一人が歌を披露している、一種のミニライブのようなものを見た。

 

 もしかして、あの時の店員こそが、このレインだったのではないか――そう思ったその時に、その考えを読み取ったかのようにレインがあの時秋葉原で聞いた歌を軽く口ずさんだものだから、キリトもシノンも、そしてシュピーゲルも驚きの声を上げてしまった。

 

 

「き、キリト、この歌って!」

 

「あぁ、あの時秋葉原で聞いたあれだ。まさか、君があの時のメイドだったとは……」

 

「うん。実はわたしもわかってたんだよ。キリト君とシノンちゃんと、シュピーゲル君と、イリスさんの四人でわたしの事を見てくれてるって。四人から感じる暖かさが同じだったから……けれど、そっちはわたしには気付かなかったんだね」

 

「全然気付かなかったよ。まさかあの時のメイドさんがレインだなんて……」

 

 

 シュピーゲル同様、キリトも同じようにレインがあの時の《出来かけの歌姫》であるとは予想できていなかった。随分と奇妙な偶然もあったものだ――そう思ってその事を噛みしめていると、フィリアがレインに尋ねた。

 

 

「けど、何でレインはセブンに隠れながら近付いてたの。自分が姉なら、セブンに直接言えばよかったんじゃない」

 

「それは……多分(ひが)みみたいなものがあったんだと思う」

 

「僻み?」

 

「わたしはゲームも好きで、アイドルとかコスプレとか、そういうサブカルも大好きだったんだけど、やっぱり一番は歌を歌いたかったの。歌を歌って有名になって、沢山お金を稼いで、お母さんを楽させてあげたいって思ってた」

 

 

 そこでレインの顔に影が落ちる。これまで接してきた中で初めて見せるレインの表情を注視しながら、キリトはその話を聞き続ける。

 

 

「でもさ、同じ血を引いたあの()が歌で成功して、しかも博士なんて事までやってのけてるって聞いてたものだから……最初はあの娘がどんな顔をしてアイドルをやってるのか、見てみたくなった。

 そしてあわよくば、あの娘の失敗や間違いでも見つけて、醜聞(スキャンダル)に仕立て上げてやろうとか考えてた。だって、あの子の才能が原因で両親が離婚しちゃったわけだし……」

 

 

 確かに、七色の才能が物心つく頃に開花してしまったが理由に両親が対立し、そのまま離婚をしてしまって、レイン/虹架は母親と裕福ではない生活をする事になってしまった。一方、妹の七色はその才能の開花のままに歌を歌い、アイドルをし、博士までやって巨額の金を稼いでいる。

 

 圧倒的な勝者(ウィナー)となった妹がいて、その妹のせいで、結果的に敗者(ルーザー)として苦しむ事になってしまった虹架。

 

 そんな虹架が七色へ僻みの気持ちを抱いてしまうのも、キリトはわかるような気がしてならなかった。

 

 

「それから色々あったんだけど、結局またVRMMOの世界に戻ってきたってわけだよ。けれど、セブンに近付くにはシャムロックに入らなきゃいけなかったでしょ。だから後は御存じのとおり、強くもないのにシャムロックに入ろうとして……」

 

「嘘吐きレインとして(さげす)まれる事になったわけか」

 

「そういう事だよ」

 

 

 そこでアスナがレインの元へ軽く歩み寄り、声をかける。その様子は先程真実を問われたレイン自身のそれに似ていなくもなかった。

 

 

「ねぇレインちゃん、それでわたし達に接触して来たんだよね。けれど貴方は今、キリト君の事を団長って……」

 

「うん、アスナさん。アスナさんやキリト君が覚えているかどうかはわからないけれど、わたしもSAOに居た時には攻略組に居て……丁度キリト君が二代目の団長になった頃から、血盟騎士団に所属してたんだよ。強さランクは、(セブン)だったかな」

 

 

 その言葉を受けて全員で驚きの声を上げる。レインがSAO生還者であるという事は見抜けたけれども、まさか攻略組で血盟騎士団に入団していた人物であったとは、流石のキリトも見抜く事は出来なかった。

 

 自分は血盟騎士団の団長の二代目となったけれども、結局やっていた事は攻略を進める事とボスを倒す事くらいで、団員達の事はほとんど認識せずにやってしまっていたようだ。

 

 その事を痛感するキリトに視線を合わせ、レインは続ける。

 

 

「それで、このALOでキリト君達を頼ったのは、キリト君達……ううん、キリト君がシャムロックと対等に渡り合えるくらいの強さを持った人だったからだよ。キリト君は攻略組を率いて進み、一人も死亡者を出さずにアインクラッドから脱出する事が出来た。

 それだけじゃない。キリト君は《壊り逃げ男》とも戦って勝った。もう、頼れるのはそんな英雄のキリト君しかいないって思ったんだ。君達の力を借りてあの子の元へ行きたいって……思ったんだ」

 

 

 レインから話されるSAO攻略時の戦いの話、《壊り逃げ男》との戦いの話。それはレインがあの時から一緒に戦っていた者の一人であるという証明そのもの。

 

 自分は何も知らないでいたけれども、レインもまたあの場に居て、共にレイドを組んで戦っていた仲間の一人であり、自分はずっとレインと共に戦っていたのだ。

 

 その事を改めて認識するのと同時に、キリトは頭の中に引っ掛かりを感じる。レインはこれまで一緒に戦ってきた仲間であり、自分と同じ血盟騎士団に居た。

 

 なのにレインはこれまで、その事を言う事もなければ、どこか申し訳なさそうな雰囲気を漂わせて、自分達の後を付いて来るだけだった。

 

 同じ血盟騎士団の中に居たならば、その時のように話しかけてきても良かったはず。気になったキリトは、レインに問いただす。

 

 

「なるほど、君は俺達と一緒に戦ってくれてたんだな。けれど、それならなんで、俺達に心を許そうとしないんだ。どうしていつも、そんな申し訳なさそうな感じですごすごと俺達の後について来るだけなんだ」

 

「それは、本当に申し訳ないって思ってたからだよ。わたしはなんだかんだ言っても団長だったキリト君を、(てい)よく利用してた。それが本当に情けなくて……だから……」

 

 

 レインが今にも泣きそうな顔になって俯くと、シノンがゆっくりと歩み寄り、そっとその肩に手を乗せた。驚いたように顔を上げたレインが向き直ってくると、シノンはその表情に笑みを浮かべる。

 

 

「なるほど、ね。あんたの事情はよくわかったわ。納得させてくれる話をしてくれて、ありがとうね。同じ血盟騎士団だったって事がわかって、嬉しいわ」

 

「シノンちゃん……」

 

 

 シノンに続くかのように、リーファがレインの元へ歩み寄り、声をかける。同刻、その視線はキリトとその背後にいるリランへ向けられた。

 

 

「レインさん、あたしも兄妹がいるから、その気持ちがよくわかるよ。あたしの場合はおにいちゃんだけれども、おにいちゃんってばあたしよりも何倍も剣道が上手でさ。努力もしないでどんどん上へ上へと行っちゃうんだよ。

 それにおにいちゃんはいつの間にかドラゴン使いになって……本当に、嫌になっちゃうよねぇ」

 

「お、おいスグ……」

 

 

 厭味(いやみ)ったらしいリーファの視線にキリトが戸惑うなり、リーファは「なーんてね」と言って笑い出す。あまりに現実味のある厭味ったらしさだったものだから、ついついリーファ/直葉の本音だったのではないかと思ってしまったキリトは、がくりと肩を落とした。

 

 直後、アスナの肩に停まっていた小さな妖精となっているユピテルが、リーファの隣に並ぶ。

 

 

「ぼくもその気持ちがわかる気がする。リランがぼくのねえさんだけど、ねえさんはぼくよりも色んな事が上手で、ぼくよりも強くて、ぼくよりも色んな事を知ってて……羨ましいって思える事が沢山あるんだ。嫌になっちゃうのも、わかるよ」

 

「ゆ、ユピテル!?」

 

「ユピテル、あなた、そんな事思ってたの!?」

 

 

 とんでもない話を聞いたかのように驚くリランとアスナ。この二人は普段からユピテルの傍に居るというのに、ユピテルの真意がわからなかったのだろうか。それともMHHPの本能に基づき、レインを治療しようとして慰めの言葉をかけているだけなのか。

 

 普段ならばそういう事を気にするキリトも、今はそんな気にはならず、レインの元へと歩み寄った。

 

 

「レイン、話してくれて……これまで一緒に戦って来てくれてありがとうな。これから君は、本当に俺達の仲間だよ。だから、何か辛い事があったら俺達に相談してくれ。俺達でよかったら、俺でよかったら力になるからさ」

 

「キリト君……」

 

「それで、今君がやりたい事はあるのか。何か抱え込んでいるように見えるんだけど」

 

 

 キリトに問われたレインは俯いて、一旦その口を閉じる。その数秒後に顔を上げたところで、表情を笑みのそれに変えながら、レインはその口を開いた。

 

 

「わたしは、皆と一緒にスヴァルトエリアをトップで勝ち抜きたい。それで、七色に改めて自己紹介したいの。わたしがおねえちゃんなんだよ、って!」

 

 

 今まで見せる事のなかった、暖かくてはっきりとした笑みと、決意を感じさせる光を蓄えた瞳。レインの言葉に何の偽りもない事を察したキリトは頷き、答える。

 

 

「よし、そういう事ならお安い御用だ。行こうレイン。君の目的を、一緒に果たそうぜ!」

 

「うんッ!」

 

 

 レインが頷くなり、皆の方からも「レイン、よろしくね」「皆で早く先に進もう」「皆でシャムロックに追いつこうぜ」などの声が上がり始めた。耳にしたキリトは意気が胸の中から突き上げてくるのを感じ、叫ぶように号令する。

 

 

「よしッ、それじゃあ先に進もう! シャムロックを追い越して、俺達が一番乗りになるぞッ!!」

 

 

 まさにSAOの時に逆戻りしてしまったかのようなキリトの叫びに、レインを含めた全員で「おおっ!」と答え、その声が周囲に木霊したのを皆で聞いてから、足並みを揃えて《闇のユグドラシル》の深部目指して進み始めた。

 

 

 

 

 

           □□□

 

 

 《闇のユグドラシル》の攻略を再開してすぐに、先程と同じように幾多のモンスター達が立ち塞がってきた。何匹ものモンスターが群れを成して襲い掛かってきたけれども、SAOの攻略組の精鋭が集まっていて、ましてや士気を上昇状態となっているキリト達の足は止まる事無く動き続け、道塞ぐモンスターの群れを次から次へとなぎ倒して行った。

 

 

 そんな攻略を続けて二十分くらい経ったある時、キリト達は一つの大部屋に差し掛かった。ダンジョンの中にある大部屋と言ったらほぼ確実にボスの出現する場所である事を、SAOとALOで何度も見てきている一同は、即座に身構えてその中に入り込んだが、すぐさま中の光景に驚く事となってしまった。

 

 強大な力を持っているであろうモンスターが待ち受けているはずの大部屋の中に存在していたのは、一つの人影。少しずつ近付いてみたところ、キリト達の侵入に気付いたかのように、その人影は振り返り、その姿をはっきりとさせた。

 

 

 水色の短髪に紫色の瞳、白と青を基調とした戦闘服に身を包み、腰に刀を携えた長身の男性。シャムロックの最精鋭でセブンの付き人のような存在でもあり、昨日セブンと共に喫茶店に赴いてもいた、スメラギだった。

 

 既に何度も見ている青年の姿を目にしたキリトは、即座にその名を呼ぶ。

 

 

「スメラギ……?」

 

「遅かったな、キリト。このルートのボスは俺一人で倒させてもらった」

 

 

 スメラギはまるで、獰猛さを胸の内に秘めた冷静な狐のような眼光をしていた。普通の者ならば睨まれた時点で縮こまってしまいそうだが、キリトは一切臆さない。

 

 

「どうしてあんた一人だけがここにいるんだ。他の連中はどうした」

 

「他の者達はもうラスボスのエリアへと突き進み、戦闘をしている頃だろう。俺は一人だけ残ったのだ。キリト、貴様の事を足止めするためにな」

 

「なるほど。俺を足止めして、俺達の勢いを削ぐのが目的か。随分と面白い事を考える奴だったんだな、あんたは」

 

 

 笑みを浮かべる事も無ければ、動作の一つも見せないスメラギ。その様子は武術や剣術の修練を重ねていくうちに、ちょっとやさっとの事じゃ微動だにしなくなった達人のようにも見える。

 

 そのスメラギが立てた作戦も、自分とリランの強さがかなりの影響を及ぼしている自分達の勢いを下げるには、実に効果的なやり方だと言えるだろう。

 

 胸の中で高ぶりを感じたキリトは、それの赴くままに背中の鞘から二本の剣を抜きはらい、右手に持ち手の長い片手剣を持つ。同刻、リランがキリトの隣へ躍り出てしゃんと身構える。

 

 

「いいぜ。あんたと戦ってやる。俺もこの日を心待ちにしてたんだからな。けれど、あんたの目的は俺一人だけだろう。なら、他の皆は進ませていいって事だよな」

 

「そうだとも。最も、キリトとその《使い魔》に依存している貴様らが、果たしてキリトと《使い魔》を抜いてどこまで進んでいけるのか……」

 

 

 スメラギが鋭い眼光を飛ばしながら挑発をすると、キリトの左隣にシノンが、更にその左にクラインが並んで身構え、強気な表情をその顔に浮かべる。

 

 

「私達も随分となめられたものね。私達がキリトとリランが居なきゃ戦えないとでも言うの?」

 

「言っとくけどな、俺達は一人一人が一騎当千の戦士ってやつだ。キリトとリランがちょっといなくなった程度で弱くなるほど、ヤワじゃねえってもんだ!」

 

 

 シノンとクラインを皮切りに、続々とその隣に仲間達は集い、やがて全員が並んで壁のようになる。SAOという死闘のゲームを生き抜き、絶望的な差を生み出すような力を持っている敵さえも倒してきた者達の放つ、強き意志の光を宿す眼光を浴びても、やはりスメラギは微動だにしない。

 

 しかし、その者達の中で一人だけ心配そうな表情を浮かべてキリトに歩み寄ったのが、レインだった。

 

 

「キリト君、本当にやるつもりなの。あの人はシャムロックの最精鋭で、あのユージーン将軍にも勝ってる人なんだよ。それに、あの人は今のところALOで最強の《ビーストテイマー》で……キリト君とリランちゃんの二人だけで戦うなんて無茶だよ!」

 

 

 レインの言う通り、スメラギはサラマンダーの領主モーティマーの弟であり、ALOの絶対強者とも言われていたユージーン将軍を撃破して見せ、数多(あまた)の《ビーストテイマー》達に戦いを挑まれては、挑み来るその全てを一方的にねじ伏せる程の実力者と言われている。

 

 SAOの時ならば、確かにスメラギに戦いを挑もうとはせずに、如何にして攻略組へヘッドハンティングをするかを考えただろう。

 

 だが、今自分達のいるALOは戦って負けても死ぬような世界でもないから、そのような事を恐れる必要なく、立ち向かう事が出来る。

 

 それにシャムロックと戦う以上、スメラギと戦う事は決定事項みたいなものだったから、この展開は予想できていたものだし、そもそもスメラギとはずっと戦ってみたいとも思っていた。

 

 その事を思い出しつつ、キリトはレインに向けて首を横に振った。

 

 

「大丈夫だレイン。これはゲームだ。このVRMMOの遊びの中で、俺はスメラギに、シャムロックに勝利したい。そしてこの心意気はあのスメラギにも、あるはずなんだよ。そうでなきゃ、ここで一人待ってたりなんかしないよ」

 

「……わかったよ。キリト君はいつだってそう言って、実際に勝って来たもんね。キリト君の事を信じて、わたし達は先に進むね」

 

 

 そう言ってレインが離れていくと、今度はシノンがそっと音無く寄ってきて、小さく声をかけてきた。

 

 

「キリト、あなた……」

 

「大丈夫だ。俺は負けないよ。あいつに勝って、すぐに皆に追いつく。それだけは約束できるから、安心して先に進んでくれ、シノン」

 

「……わかったわ。信じてる、キリト」

 

「任せておいてくれ」

 

 

 安堵の表情を浮かべたシノンの頷きを見てから、キリトは両手に剣を携え、左隣に《使い魔》であるリランを連れて、スメラギへと歩み寄った。仲間達との距離が開いて行き、スメラギとの距離が縮まっていったあるタイミングで、スメラギの肩に白い光の玉が姿を現す。

 

 それが弾けると、肩に載れるくらいの大きさで、白い毛並みを持って全身に青い炎のような模様を走らせている、九本の尻尾が特徴的な糸目の狐が姿を現し、「こんこん」と小さな声で鳴いた。

 

 見た目こそはとても小さくひ弱そうに見えるが、スメラギに挑み来る《ビーストテイマー》と《使い魔》達を千切っては投げてきた、自身の《使い魔》の現出に合わせて、目線をキリトの隣に並ぶリランに向けながら、スメラギは言う。

 

 

「……おい、貴様は二人で俺に挑むつもりでいるのか」

 

「答えはデュエル開始直前になったら教えてやる」

 

「そうか。ならばデュエルのために場所を変えるとしよう」

 

 

 そう言うなり、スメラギは懐から紫色の結晶状のアイテムを取り出して使用。その手元から結晶が砕けると、キリトとリランの全身を青い光が包み込み、前方が青い光で塞がれてしまった。

 

 二人が何事かと思うよりも前にその光は消え、視界が取り戻されると、二人はもう一度驚く。先程まで《闇のユグドラシル》の内部にいたというのに、いつの間にか辺りは《闇のユグドラシル》の外、《岩塊平野ニーベルハイム》のフィールドの一角になっている。

 

 そして目の前には、アイテムを使ってここまで自分達を飛ばしたと思われるスメラギの姿がしっかりとあった。

 

 

「回廊結晶だな。転移先をここに設定して使ったわけか」

 

「そうだ。ここならば誰にも邪魔される事無く貴様と戦え……セブンは実験を成功させる事となる。俺達シャムロックの勝利は目前だ」

 

 

 そこでスメラギは腕組みをし、もう一度キリトの隣に目線を向ける。同じように視線を送ってみれば、そこにいるのはリランだ。

 

 

「ところで、貴様の《使い魔》は《狼竜種》であると先日の《Mスト》で見たぞ。貴様の《使い魔》はどうした」

 

「あぁそうか、あんたは何も知らないんだったな。なら、教えてやるよ。見せてやれ、リラン」

 

 

 キリトは得意気に言うと、リランは「了解した」と一言言って、キリトから軽く離れる。直後、リランの全身から白金色の閃光が放たれ、やがてそれは爆発的な勢いで広がり、周囲を白色に染め上げた。

 

 その光が止んだの確認してから目を戻してみれば、先程まで金色の長髪と白金色の狼耳、尻尾が特徴的な少女が居た場所には、白金色と金色で構成された豪勢な鎧に身を包み、ところどころに白金色の美しい毛を生やし、人間のそれによく似た上半身を持って、前腕部が槍の穂先にも似た形状の武器となっている巨腕を肩から生やし、先端部が三叉の槍のような形の尻尾を持つ、真紅の瞳の狼龍の姿があった。

 

 キリトの自慢の《使い魔》であり、今まで負け知らずで戦い続けている、《戦神龍ガグンラーズ》の出現を受けて、キリトはスメラギの方に向き直る。一人の少女が狼龍へと姿を変える光景には驚かないでいられなかったのか、それまで微動だにしなかった顔に、スメラギは驚きの表情を浮かべていた。

 

 

「まさか……そいつが貴様の《使い魔》だったというのか!?」

 

「そうだぜ。こいつが俺の《使い魔》だ。俺はこいつと一緒にあんたに挑むぜ、スメラギ」

 

 

 狼竜となったリランが見下ろすと、スメラギは若干目を見開いたが、すぐさまその顔に不敵な笑みを浮かべた。まるで戦い甲斐のある相手に出くわした事を喜んでいるかのようなその表情にキリトが驚いた直後、スメラギはその顔のままキリトに向き直る。

 

 

「いいだろう。相手にとって不足が無い時ほど、戦いは面白いというものだ」

 

 

 スメラギが言うと、肩に載っている小さな白狐が、指示を受けたかのようにその肩から飛び降り、地面に着地した。白狐は何も言わずに前方へとことこと歩き、スメラギからある程度離れたところで立ち止まった。

 

 一見すればピナのようなマスコット的なモンスターにしか見えない、愛らしい糸目の白狐。女の子ならば是非ともペットにしておきたいと思えるような白狐だが、その実力はスメラギを何回も勝利に導き、打ち破った《使い魔》の数は無数とも言えるくらいだという。

 

 一体こいつは何なのか――キリトがそう思って身構えた直後、白狐は突然頭を(もた)げ「くぉーん」という甲高い声で遠吠えした。

 

 狐にも狼にも似たその声が岩塊が目立つ平野の中に木霊していくと、何の突拍子もなく白狐の身体を青白い炎が包み込み、白狐は数秒足らずで小さな青い火の玉になってしまった。

 

 

「!?」

 

 

 キリトとリランが驚くや否、青い火の玉は一気に膨張していき、やがてその大きさが大よそ五メートルほどとなったところで止まった。それから間もなくして火の玉は爆発し、リランが狼竜となった時のように周囲を青色に染め上げながら熱風をまき散らした。

 

 突然放たれたあまりの熱に、キリトは溜まらずリランと共に後退。熱風が収まったその時に目を向け直したそこで、絶句する。

 

 

 先程まで白狐の居たであろう場所には、全身を白く美しい毛並みで包み込み、その上から炎に似た隈取のような青い模様を走らせ、肩、足から揺らめく炎が凝固したかのような青い結晶を生やし、頭部に耳と同化した結晶状の角を持ち、先端部が目のない狐の頭部となっている尻尾を九本生やしている、はっきりと目を開いた、全高五メートルはある巨大な妖狐の姿があった。

 

 しかもその尻尾に至っては、一つ一つに意思が存在していているかのような動きをしており、手足がないものだから、蛇のようにも見える。

 

 まるで日本神話の怪物であるヤマタノオロチと、同じく日本の妖怪の代表的な存在である九尾の狐が複雑に合体したかのような、異様さと神々しさを併せ持つその九尾の妖狐の姿に、キリトもリランも言葉を失う。

 

 そのまま隣に目をくれてみれば、白狐を肩に乗せていたスメラギ。それら全てを合わせる事で、あの九尾の妖狐が白狐の変じた姿――白狐の本来の姿である事を、キリトは察する。

 

 

「それが、あんたの《使い魔》、なのか……」

 

「それ以外に何がある。さぁ、デュエルを始めるぞ。モードは勿論全損決着……それでいいな」

 

 

 スメラギが言うなり、キリトの目の前に一枚のウインドウが出現。その中身には、デュエルを承諾しますかという問いかけと、YesとNoの二つのボタン。スメラギとのデュエルを開始するか否かの運命を決する瞬間に出くわしたキリトは、胸の中に再び高鳴りが来ているのを感じ取る。

 

 今まで自分達の見て来ていたスメラギの《使い魔》の姿とは、仮の姿のようなモノだった。あれこそがスメラギの《使い魔》の本来の姿であり、今から自分とリランはあれに挑む事となる。

 

 あれがどのような戦いを繰り広げて来る《使い魔》なのか、全く想像がつかないけれども、きっとこれまで以上にスリルに満ち、緊張感のある、楽しい戦いになるに違いない。もしかしたら自分達では勝てないかもしれないけれど、それでも戦わずにはいられない。

 

 

「あぁ、いいともさ。全力であんたに立ち向かってやるよ、スメラギ!」

 

 

 勢いよく叫んだキリトは叩きつけるようにYesボタンをクリックし、そのままリランの項へ飛び乗った。直後、カウントダウンがスタートし、刻一刻とその数字を減らしていき始める。

 

 そしてカウントがゼロになったその時、キリトは目の前に白き九尾の妖狐を、その項に跨っているスメラギを認め、もう一度叫んだ

 

 

「行くぞ、スメラギッ!!!」

 

「来い、キリトッ!!!」

 

 

 主人の声を聞いた《使い魔》達は、ほぼ同時に地面を蹴り、前方へ走った。

 




ついに、スメラギとのデュエル。

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