三途の川を渡る事30分。
何とかして向こう岸の"あの世"へ渡ることが出来た。
小町に渡銭を渡して閻魔様の所へ向かう。
渡るや否やこちらの方へと死神が手招きをするので中に入る事にした。
以前の様な強制離脱では無く、自然離脱であるので霊力はきちんと使える。
万が一に備えて全身に対して結界の補強をして閻魔様の所へ向かう。
───2───
閻魔様の判決は黒。
過去のやらないといけない試練から逃げていたので、試練の部屋の中で突破してからもう1度来るようにとの事だった。
ちなみに試練の内容を聞いても答えてはくれず、実際にやってみればわかるとの事だった。
あの世の中心にある裁判所から少し離れた林の中に試練の洞窟なる物があった。
閻魔様の説明によればこの中にその試練があるとの事だった。
果たして、試練とは一体なんだんだろうか。
──3──
湖南が倒れた翌日·国立高度医療センター
「全く、君の弟さんは無茶な事をするのかね?」
ディスプレイにカルテに出して医者が皐月に聞いてくる。
素人に見ては一見何ともないが専門家にとっては生きている方が奇跡に近かった。
脳細胞使用率96%。
気絶している人間・・・ましては起きている通常の人間でもありえない数値である。
現想同一視性症候群を発病した人の脳の稼働率は普通の人より高くなる傾向にあるのだった。
しかしそれでも40%であり
そして人間の脳は一定以上の負荷をかける機能停止に陥ることになってしまい、最悪の場合再起不能になってしまう。
この様な事になっている原因は一つ。
銃弾が当たって損傷した脳細胞を修復するためである。
人間の脳細胞は一度破損すると再生不可のであり、代理として電子補助脳を使用するが特殊能力は使えなくなってしまうのだ。
普通の能力者であれば、この時点で諦めるのだが湖南の場合には脳の修復を選んでいる訳であるが・・・。
「弟さんなんだけれども、絶賛昏睡状態なのは良うんだが・・・。
このペースで修復させてたら・・・その・・・半年後になるよ?」
「そうね・・・、私の方で手配はしているけど、何とも無いのね?」
この場合の皐月の心配事は一つである。
【今まで隔離していた人間関係を一年以内に常人並みにする事】
半年の時間ロスとなるとそれだけ機会が減るというわけである。
「出来るだけ早くしないといけないのに、ホントめんどくさいわよね」
「それより、弟さんには何時になったら話すのかね?
君が血の繋がってい無い姉だと言う事を」
「本人も薄々気付いているわよ、まぁ本人から言い出さなければ言うつもりはないわ」