30分後通常世界に復帰するとご丁寧に龍脈が曲がっていた。
おそらく、こいつのせいで自動防衛が働いたのであろう。
「くっそめんどくさいが、一応原因を調べてみますかね」
しかし、神社の外に出ようとするがそこで結界に阻まれる。
こう言う時に自動書記が役に立つ。
母屋に戻って自動書記をつけている日誌を開くと何が起きたか大まかに書かれている。
「ふむふむ、つまり地球に隕石がぶつかったからその影響で色々狂っていると」
しかし、スカイネットによって監視されているはずだから隕石ぐらい予測できても可笑しくないはずなのに、何故出来なかったんだ?
読み進めているとある一文に目が留まる。
『なお、この隕石は明らかに人為的である(下記の注意書き参照)』
「やってくれるじゃないの『風符 隙間ぬい氏ビル風』
ここから先は悪いが俺のシーケンスだぜ」
一気に地球規模の術式を発動する。
探索目的は一つ、明らかに力の量がおかしいいやつ。
「見つけた」
二人だけ力のオーラが明らかに違うやつが居るのがわかる。
「座標情報整理、確定、『理論 乱雑座標移動』
──2──
「やってくれるね、人間」
神界に用意された最高神アザトース専用の神殿。
その中で満面の笑みを浮かべながら身支度するアザトースがそうつぶやく。
彼女が邪神と言われる理由はここにあった。
一度彼女を怒らせると存在そのものが消えるまで相手を させられるからである。
そんな彼女が身支度を済ませていざ、向かおうとしたその時に彼女の神使の一人が慌てて入ってくる。
「アザトース様、貴女様がわざわざ行かれなくてももうすでに例の神主が動き始めています」
その報告を聞くと手を止める。
「そう、
「?
例の細工とは何でしょうか?」
神使が質問する。
「そうね、彼みたいな純粋で強い神使は非常に珍しいからね、簡単に変化しないようにしといたのよ。
死ぬことも人として精神活動する事も難しくなる。
もともと、関心のなかった彼のことだから気づいていないみたいだけれども」
「それは、どう言う事でしょうか?」
神使が聞き返す。
「そうね。
彼の対人恐怖症は幼いころのいじめや彼の育った環境以外にも、私の部下に監視させていたのもあるわね。
只でなくても貴重な資源。
純粋なカタチで残しておかないと」
「それってまさか」
神使が焦った顔で聞き返す。
「えぇ、彼は人間との関りを少なくして、精神への汚染を少なくさせてつもりだったのだけれども、帰って常識が少なくなってしまったわね。
だから、今、エンカント率を弄ってまで、枠を作らないとせっかくの資源が無駄になってしまわね。
それよりも地上はどうなっているかしら?」