しかし、人一人を連れた状態で長距離を移動することは不可能であり、実際に移動できたのは紅魔館の裏にあった地下構造物まであった。
「おい、これはどう言う事だ、説明しろ」
隣にいる上井が何か言っているようだが、どうやらそれどころでは無いようである。
「これ地下鉄の入り口か?」
周りに張ってある掲示物が昔みた地下鉄の駅に飾ってある物に似ている事に気づく。
「地下鉄って何だ?」
現代人とは思えない発言だぞそれ。
「とりあえず上井君、君にはこの異変が解決しだい元の世界に戻ってもらう」
取り敢えず今やらないといけない事を整理する。
1 霊夢よりも早くこの地下鉄異変を解決させる
2 異変が解決しだい上井を元の世界に戻す。
3 幻想郷に関する記憶の削除。
以上。
「よし、まず主犯を探さないと」
「おい、俺はすでに──」
何か上井が言っているが気にせず奥に進んでいく。
非常等が照らす改札の所は自動改札が並び、何時でも使える状況であることがうかがえる。
機能していない改札を抜け改札内になる場所に入る。
駅の装飾等も済んでいる。
まるで終電後の駅のようである。
第三軌条のトンネル、信号の脇にある打ち子式のATS地上子といえ
「ほんと、昭和時代の渋谷線だよな」
「ここ歩いていいのか?」
「不法建設だから問題ない」
「そういう問題なのかな?」
トンネルを進んで行くと明かりが見える。
どうやら此処に誰かがいるのが確かのようだった。
しかし、響き渡るこの振動音。
一定の間隔に響く打ち子の音。
「来るな」
「何が?」
次の瞬間旧東京高速鉄道1000系がこっちに来る見える。
すぐ横にある対向用の信号機にさざなみからエネルギー弾を撃ち信号を赤にする。
打ち子が車両に付いている非常コックにあたり列車は非常停止する。
当然ながら俺が小銃を扱っているところは柱の隙間から見えているはずなので、当然中から人が出てくる訳で。
「誰よ私の定時運行を邪魔するものは」
後ろに止まっている車両が消え、そこにいるのは着物を着た女性。
俺の左手に持っている小銃を見るなり呆れて顔して、
「まったく、将校さんはおおあきですわ」
そう言って弾幕を展開する。
「俺、まだ弾幕ごっことか成れてないんですけど!?」
そう言って上井が柱の陰に隠れるのが見える。
「まったく、若いやつっていうのはどいつもこいつもッ!」
弾幕を展開しながらある程度の距離を取りたかったが、後ろが壁でこれ以上下がれない。
「ふん、若いのは貴方も同じですわ、自分の置かれている状況も分からないまま戦いを使用なんて」
しかし、俺はこの状況を逆手に利用し、後ろの壁に結界用と攻撃用の二種類のお札をはりすぐさま移動を開始する。
「ほんと、相手が悪かったよな」
そう呟くと同時に立体的に五芒星の配置に置いた術式を発動する。
「え、もうしかして瞬殺ですの!?」
敵があわててスペルカード出せているがそんなのを無視する。
『印符 二重五芒星封印』
敵を無効化した上で話を聞く。
「つえぇ」
上井の声が聞こえた気がしたけれども無視する。
「さてと、この地下鉄異変の主犯は誰だ?」
左手に持った小銃を向け質問をする。
「ふん、教えるものですか」
どうやら自分が置かれている状況が理解できていないみたいだな。
威力を調整にして小銃からエネルギー弾を撃つ。
次の瞬間、後ろの壁に小さな穴があいた。
「もう一度聞く、主犯は誰だ」
「ッ、人里にいる田原マチ姉様よ」
「そう」
取り合えず封印はそのままにしてその場所を後にする。
──2──
幻想郷の中でも一番大きいとされる人里。
その外れに"幻想地下鉄道社屋"の看板を掛けている小さな小屋がある。
「まったく、講習は受けたがまさか使うことになるとはな」
上井の方には、万が一応援が来た時には逃げるように伝え、さざなみを構えて中に入る。
「その場から動くな」
さざなみを中に向けながら邪気眼に明るさ補正の術式を掛ける。
扉に人避けの術式を貼り付け中に進む。
「外見と内装が一致しない。
何か術式が――」
次の瞬間、後頭部に銃口が突きつけられる。
「あらあら、迷宮にしておいたつもりだったのだけれども、連れが元に戻したようね」
微かに感じる上井の霊力。
まさか、アイツ!
「変に動くと撃つわよ?
いくら防弾術式を用意しているとはいえ零距離は流石に堪えるでしょ?」
「それはどうかな?」
後ろに自動操縦の指示を付与したあやめとしおさいを召還する。
「何のつもりかしら?」カチャリ
引き金を引く音がする。
「こういう事だよ」
よと言うのと同時にしおさいに発砲指示を出す。
能力でデジタル無線と同じ波長を出すことで遠隔操作が可能だと気づいたのさ前日の事だった。
その夜に妨害対策にデジタル無線の送受信機を取り付けて置いたが、まさか、こんな早くに使うハメになるとは。
サイレンサーの機能が動作しているあやめを介して発砲されているエネルギー弾は気付かれずに当たるはずだっが、いざ発射してみるとすぐに避けらた。
勿論、このままでは俺に当たるので俺も避け、手に持っているさざなみを構える。
「さてと、お互いこれで王手だがどうする?」
全員の位置関係を確認した上で、しおさいの横に奴さんを召還する。
「先手必勝!」
ほの一声と同時に俺の能力としおさいから弾幕を展開する。
「させないわよ『遺構 仮止めの万世橋』」
弾幕が複雑に絡み合い、お互いに交わしずらくなる。
しかし、そのような光景を見ていた上井が以外な一手を出すとは、この時は考えてなかった。