東方風雷郷 ~Last Boy Story~    作:沼倉風太

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myo-n様制作の「東方狂世録とのコラボ作品」


第9003C「公務員の意外なお仕事」

公安員の自宅待機中の時間を利用して神社の業務を行うのが最近の日常と化している。

一応、国家特殊公務員として職務に当たっているのだが、全くとして業務が来ない。

勿論、校則でバイトが禁止されているのでこっちの方が平和的なのだが。

そんなある日の昼下がり・・・、確か土曜だったような気がする。

「行方不明者の捜索?そんなの地元警察の言ってくださいよ。

 わざわざ来てもらってあれですが」

客間に通してお茶を出して話を聞くが、これぐらいどうと言う事の無い事だと思っていた。

少なくともあの時までは・・・。

「あの、これを渡すようにと言われまして」

そう言って出してきたのは重要と書かれた茶色の封筒だった。

中を開けると捜索打ち切り通知書と書かれた紙と特殊事案解決依頼書の二枚がはいいてた。

誘拐の可能性が低いと判断された場合は一週間後に行方不明者の捜索は打ち切られ、俺のような公安員や地元の自警団等に捜索がうけ渡される。

公安員だとしても地元の人に委託され、今回の様にわざわざ遠くまでくる必要のないはずである。

しかし、なぜ来たのかが次の書類に書かれていた。

地元住民に聞いたところ下記の怪しい人物が共通して上がった。

 

すべての項目に目を通して頭の中で整理して浮かんでくる人物は約一名。

「八雲紫・・・」

自然と言葉が漏れる。

「知ってるのかそいつ」

机の向かいに座ってる依頼人・・・、そういえば名前を聞いてなかったな。

まあいい。

「まぁ、知ってるっちゃ知ってるけど」

「って言う事は俺、幻想入りできるのか!?」

・・・。

「あのな、お前は連れていけないぞ」

 

「はっ!?何でだし1?」

 

「当たりまえだろ。

 無駄に覚醒とかされたら困るし」

 

「えーー」

 

「えーじゃない。

 取り敢えず、この捜索依頼書に必要事項を書いて」

引き出しの中から4枚の書類を出す。

「え、これじゃだめなんですか?」

持ってきた書類を指す。

「あーー、それは使用済みだから」

 

 

 

成程ね、捜索して欲しいのは上井和希、依頼者はその友人の武蔵関戸君ね。

「分かった、三日後に連絡するから」

書類に受領の印をつける。

「あれ、費用とかは?」

あ、それ聞いちゃう?

「それは任意だから。

 それ以外の質問は?」

 

「特にないっす」

 

「そう」

そう言ってお帰り頂いた。

しかし、最終目撃地点が諏訪学研都市となると。

「めんどくせ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、依頼を受けたからには実行しなければ成らない訳で、その翌日、俺は最終目撃地点の近くで聞き込みをしていた。

公安の腕章を付けているとはいえ、標準語と言うだけでやはり怪しまれてしまう。

「やっぱりここが怪しいか」

かつて佐藤優が幻想した時と同じ場所。

この場所だけ時空間の歪みがおかしな値を示している。

「やっぱり、"現実と幻想の結界"が大きいのかな」

時計草と空間の欠片を組み合わせたレリーフ、ここで使うとなるとはな。

「それじゃ、もう一回世界線を越えますかね」

僅かな空間の歪にレリーフを重ねドアノブのように回す。

世界線を越えるこの術式の代償が大きいから困るんだよね。

「まったく、幻想入りする人の度が増えるごとに世界が歪むのってどうにか成らないのかねほんと。

 

空間の裂け目の向こうは何時かの魔法の森、ではなく紅魔館は門番の上空・・・。

「まったく、悪魔のゲームはこりごりだっつの!」

装備を呼び出していざ紅魔館の中に入る。

 

窓開けた瞬間に視界がモノクロになる。

咲夜の時止めに対してもいい加減成れたらしく、止まった時の中でも普通に動ける。

まあ、付けてる腕時計が動いている所を見る限り、俺だけの平行次元の中を動いてるようになっているようだが。

足元にある魔方陣を発動させたところで視界が元に戻り、

「これ以上動くな」

の声と共にスペルカード構えた執事・・・。

写真で見た上井の姿があった。

「目的達成、後は連れ戻すのみ」

そう言うと同時に左手に短銃の"さざなみ"を呼び出す。

「何をする気だ?」

右手にスキルカードを用意するのと、

『雷符 雷流放電』

詠唱、それと同時に左手の"さざなみ"にこめた煙球を撃つ。

漫画とかで見る煙の間に消える方法である。

 

 

 

 

 

 

 


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