アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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約1年ぶりの投稿。本当に申し訳ありませんでした。
忘れてたわけじゃ無いんです、ただちょっと書けなくなっただけなんです。中々、書けずに今回、やっと書け投稿するという運びに。
アルドノア作品のリハビリ的な感じで頑張って書きました。次回は一ヶ月いないに投稿します。


第七十七星 始まり -Beginning-

 

 

 

「襲撃された。しかも軍の人間にか?」

 

「えぇ、なんとか撃退しましたが輸送ルートを察知されたかもしれません」

 

 戦闘によってボロボロになった上着を脱いで白シャツ一枚になった彼女はネクタイを緩めながら別室に集まった鞠戸たちと話す。

 

「他に言っていたことは?」

 

「月では仲間が世話になったと言っていた。もしかしたら元特殊部隊員かもしれない」

 

 月の最終決戦にて月基地の制圧とアセイラム姫暗殺を目的としたアサルト部隊が投入されたがご存じの通り、フィアがたった一人で迎撃、その半数以上を葬ったのは記憶に新しい。

 

「かなりのやりてだった。あの状況下で出くわしていたらどうなっていたか」

 

 あの時、彼女も限界だった。あの様な奴に出会わなかったのは単純に運が良かったのだろう。

 

「とにかく。この作戦、何らかの妨害があると予想して準備しなきゃいけないわね」

 

「そうですね。作戦当日まで出来るだけ一人での活動は控えるようにしましょう。韻子、ニーナの迎えは私も行く」

 

「え、分かったわ」

 

 合流予定の最後のメンバー。ニーナは韻子が迎えに行く予定だったが状況がキナ臭くなってきたためフィアも同行することにした。

 

ーー

 

「韻子、フィアちゃん!」

 

 翌日、空港にてキャリーバックを持ってキャピキャピしているニーナが到着。なんか、フィアが知っているよりさらに顔が緩み、蕩け落ちるのではないかと思うぐらい顔の筋肉が緩んでいる。

 

「久しぶりだねぇ。また会えると思わなかったよ」

 

ニーナは現在。新芦原から遥か遠くの大学に通っているためにフィアとは戦後、初めての再会となる。フィアを抱き締めたニーナは満足そうに笑う。

 

「すまない、また力を借りる」

 

「いいよ。私、なんでも操縦できるから任せて」

 

 過去地球で空中戦艦を操縦していた者は当然ながら居ない。しかもニーナは信用できる上に度胸もある。これ以上の人材は居ないだろう。

 

「作戦内容は後日改めて説明する。他にも随伴の兵が来たときにな」

 

「分かったよぉ」

 

 親指と人差し指で丸を作ったニーナは笑いながら承諾。これで参加メンバーは全員集結。ついに作戦が始まるのだった。

 

ーー

 

「これが…」

 

「ライエさん。慎重にね」

 

「分かってるわ」

 

 宇宙から届いた巨大コンテナの中には親衛隊が運んできたアルドノアドライブ一号機が厳重に保管されていた。それを確認した伊奈帆とライエはスレイプニールとアレイオンを使って慎重にトラックに移す。

 

「あのお姫様の贈り物…」

 

 正直、アセイラムに関してあまりいい記憶がないライエ。挙げ句の果てに首まで絞めて殺しかけたのだから。でも彼女のお陰でこうして私はここにいる。ライエにとってはとても複雑なものがあるだろう。

 

「よし、固定完了。ご苦労様」

 

「えぇ」

 

「隔壁を降ろすよ」

 

 アルドノアドライブが保管される倉庫は分厚い隔壁に囲まれた場所。その解除は伊奈帆かフィアのIDカードでしか不可能だ。

 ついに作戦が開始される、そんな、わずかな緊張感と共に伊奈帆はアルドノアドライブを見つめるのだった。

 

ーー

 

 作戦開始日、当日。基地の地上倉庫に集まったメンバーたちは前に立つフィアを見つめていた。

 

「これより、我々は現時点において最重要任務に就くことになる。各員の奮闘を期待する。では総員搭乗!」

 

「「「了解」」」

 

 ひとまずは車で基地から駅まで、そこからは電車での長旅になる。本命のトラック、偽装トラックに護衛の軍用ジープが4両、前後に2両ずつが着く。

 

「行ってくれ」

 

「はい」

 

 先頭車両に乗り込んだフィアは運転席に座る兵に声をかけて車を出させる。それに続いて次々と車が発進していく。

 

「久々に緊張するよ」

 

「落ち着いて、私たちが護るから」

 

「うん」

 

 本命のトラックにはニーナと韻子、ユキの三人。荷台にはライエが潜んでいる。最後尾には鞠戸と伊奈帆の乗る車が続き、他の車には随伴の兵が操作している。

 

「来たわ…」

 

「作戦通りだ、出来るだけ数を減らせ」

 

「了解」

 

 積み込みをするための貨物用駅の周辺。そこにはスナイパーライフルを構えている女性。それはフィアを襲撃した張本人、ミーシャの姿だった。彼女はフィアの乗る先頭車両を確認すると静かに引き金を引くのだった。

 

(もうすぐ駅か…)

 

 基地から懐に潜ませている銃から手を離さないフィアは正面の建物の上が僅かに光ったのを目撃していた。

 

「止めろ!」

 

「え?」

 

 異常を察知したフィアだったがすでに遅く運転手の額に銃弾を撃ち込まれ、車はスリップ、横転する。

 

「くそっ、そこで待ち伏せするか!」

 

 フィアはひび割れたフロントガラスを蹴破ると車内にあったライフルで狙撃場所を銃撃する。

 

「フィア!」

 

「ニーナ、止まるな。そのまま全力で駅に向かえ」

 

「不味い…」

 

 咄嗟にブレーキをかけたニーナはフィアの言葉でアクセルを全力で踏み加速させる。その時、路地裏でライエが見つけたのはRPGを構えた人の姿。

 ライエは空かさずのぞき窓ごと銃撃、それが当たったのか体勢を崩す敵、弾頭はトラックから逸れすぐ後ろにいた3両目のジープを吹き飛ばす。

 

「フィア、左!」

 

「なっ!」

 

 積まれたゴミの影から人が現れ、フィアに襲いかかる。ナイフを突きつけられるが吹き飛ばすはライフルで受け止める。すると敵は懐から拳銃を取り出す。

 

「……」

 

「ちぃ!」

 

 すぐさまライフルを捨て、敵の拳銃をつかむと揉み合いになる。フィアは敵の足を思いっきり踏むと相手は悲鳴を挙げる。その隙に拳銃のマガジンを取り外しそのまま、相手の足に最後の弾を撃ち込む。

 

「があぁぁ!」

 

「邪魔だ!」

 

 さらにナイフの刃を返して心臓に突き刺すと捻って傷口を広げる。止めに相手に刺さったナイフを踏み深く突き刺す。

 

「フィア!」

 

「すまん!」

 

 フィアは向かえにに来た伊奈帆の車に乗り込むと先に行ったニーナたちを追いかけるのだった。

 

ーー

 

「こちらミーシャ、相手の半数を殺りましたがこちらも二人がやられたわ」

 

「なんだと、そっちには精鋭しか送ってないぞ」

 

「シャルフがあの少女にリッターも」

 

 ナイフと拳銃の使い手だったシャルフがいとも簡単にやられるなんて彼女は予想以上の化け物のようだ。

 

「シャルフがか…分かった、すぐに次の作戦に移行する」

 

「分かったわ」

 

 ミーシャは電話を切ると合流ポイントに向かうのだった。

 

ーー

 

「助かった」

 

「それにしてもお前、よくあの状況で撃退したな。凄すぎて言葉もでねぇよ」

 

「……」

 

 完全に虚を突かれた形にはなったがそれを覆してしまうのが彼女だ。本音の所、結構危なかったのだが。鞠戸の言葉に伊奈帆も黙って同意する。

 

「正直、危なかったがな」

 

 拾ってきたライフルの動作確認をしていたフィアは目的地である駅を睨み付ける。

 

「完全にルートがバレてる。奴らはまた来るぞ」

 

 そう言ってライフルのマガジンを装填する彼女の目はあの頃の鋭い目をしていた。

 

 

 





お久しぶりで御座います。砂岩改で御座います。
長い間、間を開けてすいませんでした。意地でも最後まで書ききるつもりなので暖かい目でみて頂けると嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!

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