アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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第三十六星 虚無の苛立ちーnihilistic of irritatedー

 

 

月面基地、カタフラクトハンガーではマリネロス攻略作戦を終えた三機の機体が帰投し整備が行われていた。

 

「タルシスの量子アンテナの点検は念入りにな!」

 

「レギルスの脳波リンクシステムのデータを上げろ!調整が出来ないじゃ無いか!!」

 

「エネルギーバイパスのOS調整するぞ!ディスプレイが足りない!持って来い!!」

 

ハンガーは怒号と共に多くの整備員と大型の機械が行き周り活気に溢れていた。三機ともまともな実践が初めてであったのがその忙しさを加速させているのだ。

 

「こりゃ、ひどいなぁ~」

 

そんな怒号の中、シナンジュのコックピットで大きくため息をついたのは機付き長…フェインだった。

しかしそんなフェインの言葉とは裏腹にシナンジュは大きな損傷が無く敵の特攻で傷ついたタルシスとレギルスに比べたら綺麗な姿だった。

 

「脚部の間接が逝ってしまいましたね…」

 

「シナンジュ"でも"駄目だったか~」

 

フェインは手を顔に当ててもう一度ため息をつく、整備員の言葉通りシナンジュの間接、主に脚部はフィアの操縦に耐えきれず文字通り逝っていた。

フィアは操縦に関して文句を言うなら一つだけ…足癖が悪いのだ…地上の戦闘なら問題はないが宇宙における戦闘になると足をよく使うが為に脚部の損耗が激しい。

シナンジュの前の機体では訓練中に突然足が膝からもげてどっかに飛ばしたと言う事件が発生している。

 

一回の訓練で何故足がもげるのか聞きたいものだ。

 

「足首と膝のパーツは全部交換するよ、いつもの持って来て~」

 

「「「了解!!」」」

 

整備班が整備のために動き始めるとフェインはレンチを片手にコックピットの整備を始める。

 

「コントロールスティック周りがガタガタじゃない…どんな無茶な操縦をしてるんだか……」

 

先程から愚痴ばかり吐き出してるがその顔は清々しく満足しているような笑みを浮かべていたのだった。

 

ーーーー

 

月面基地、司令室

 

「うむ、予想以上の成果だな…エルスート卿」

 

「いえ…スレインとマリーンのお陰です……」

 

「嫌みか?」

 

「アハハ……」

 

ザーツバルムの言葉にフィアが静かに答えると隣に居たマリーンがジト目で見ながら小突く。

それを見ていたスレインも苦笑いをしながら頬を掻く。

 

「ふむ…敵、要塞の確保によって我等の行動も随分と楽になるだろう…今人員を向かわせておる……手中におけるのもさほど変わらんだろう……」

 

「ありがとうございます…」

 

「久々の戦闘で疲れたであろう…ゆるりと休まれよ」

 

「ハッ!!」

 

ザーツバルムの労いの言葉にフィアは敬礼をすると下がる。

 

ーーーー

 

スレイン、マリーンと別れたフィアは自室に戻るとベッドに身を投げ込む。

 

「ハァ…」

 

暗い自室の中、大きなため息をつくと瞼の上に腕を乗せ動かなくなる。本当なら早くシャワーでも浴びなければならないのだが想像以上の疲労に何もやる気が起きなかった…そんな中、頭に浮かぶのはマリネロスでの出来事。

 

「スレイプニール……」

 

オレンジ色の機体…その名前を呟くと頭がヅキヅキする。

 

(確か薬があったはず……)

 

フィアは重い体を起こすと軍医から貰った薬をデスクから取り出す…記憶障害の場合、頭痛は付きものらしいので貰っていたのだ。

 

「ん?」

 

デスクを漁っていると引き出しの奥に黒色の拳銃があった。

 

「これは……」

 

《すぐに行く…それまで頼む…》

 

《……分かった…無理しないでね》

 

《お前こそ…》

 

「ッ!!」

 

視界が塗りつぶされそうな吹雪の中、黒い影が自身を労るように呟く…突然のフラッシュバックに驚きながらも視界が大きく揺れるのが分かった。

 

「なんだ…これ…は……」

 

思わず倒れそうになるがデスクに手をつき阻止する。

拳銃と一緒に見つけた頭痛薬を乱暴に飲み込むと力なく座り込み荒くなった息を整える為に大きく息を吸う。

 

「なんなんだ…いったい……」

 

フィアは度重なるめまいと頭痛に愚痴を漏らすのだった。

 

ーーーー

 

月面基地周辺宙域、そのデブリ群に存在する五つの光点は数隻からなる輸送艦隊を守るように展開していた。

 

『こちらR2(ロイヤルガード2)…レーダー及び有視界に異状なしと認む』

 

「分かった…各機、ここはもう敵地だ警戒は厳となせ!」

 

『『『『了解!』』』』

 

一つ目(モノアイ)を煌めかせながら周辺を警戒している機体、ローゼン・ズールは味方機であるベルガ・ギロスの通信を聞くと輸送艦からの通信を受け取る。

 

『まもなく月面基地に着きます、各艦着艦ドックが分かれるので姫様を頼みますシャーウィン副長』

 

「了解しました、親衛隊各機!全機帰投せよ!月面基地に入港する!」

 

『『『『了解!』』』』

 

「ようやく隊長に会える!」

 

ローゼンのコックピットでリア・シャーウィンは先程とは打って変わって年相応の顔でモニターに映る月面基地を見るのだった。

 

 

 

 




どうも砂岩でございます!
突然ですが…スランプです…やっと最近時間が出来たので溜まってたガンプラを作ってます、グシオン良いね!作りやすい!この調子でマン・ロディも作りたいですね。(←何が言いたいのか分からない)
って言うのは置いといて…今回はフィアの記憶の混乱と親衛隊到着ですね、後はシナンジュの整備…個人的にはフェイン機付き長の出番を増やしたいけど…うん、無理ですね。
整備シーンって好きなんですよ、だからこう言うのをもっと書きたいですね。
親衛隊到着と共に物語は更に加速していきます(たぶん)、もうそろそろ二期にも入りたいですしね。

では最後まで読んで頂きありがとうございました!

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