アルドノア・ゼロ 忠義は主君と共にあり   作:砂岩改(やや復活)

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今回はマリーン視点からです!



第十三星 思わぬ再会ーunlooked for reunionー

 

 

日本列島の九州の港、そこでは地球のカタフラクトと火星カタフラクトが戦闘を行っていた。

 

「クソッ!なんだアイツ!」

 

「くわぁぁぁ!!」

 

「スティール11!クソッ!この化け物めぇ!!」

 

味方が次々とやられていく声を聞きながらスティールリーダーは叫びなからマシンガンを撃つが当たる気配すらない…そんなスティールリーダーの恐怖を嘲笑うかのように黒いカタフラクト『ゼダス』はゼダスソードでコックピットごとアレイオンを真っ二つにしたのだった。

 

「チッ…降りたと思ったらすぐ戦闘とは…地球人どもめ…」

 

ゼダスのパイロットのマリーンはイラつきながら呟くとゼダスソードをしまい手のひらのビームマシンガンで港をまんべんなく攻撃する。

 

『や…止めてくれ…』

 

するとイラついているマリーンの耳にオープン回線で命乞いが聞こえてきた…両腕を失い足も損傷しているのか全く動く形跡がない…。

 

「あぁ…さっき取り逃がした奴か…まだ居たとはな…」

 

『俺には武器がない…戦えないんだ…』

 

「ハハッ!さっさと逃げれば良いものを…恨むんなら…」

 

マリーンはそう呟くと手のひらのビーム砲からビームサーベルを形成ししっかりとコックピットに突き刺した…。

 

「己の無力さを恨むんだな…」

 

アレイオンが完全に停止したことを確認すると揚陸城から通信が入りザーツバルムが現れる。

 

『流石だなマリーン…たった数時間でこの戦果は…』

 

「…ザーツバルム卿、トレース出来ましたか?」

 

『あぁ…奴が向かったのは…種子島だ…』

 

「ッ!…種子島……ですか…」

 

『我等にとっては因縁の地だが……この際クルーテオに任せても…』

 

「大丈夫です…墓参りも兼ねて行って参ります…」

 

『そうか……』

 

ザーツバルムの心配にマリーンは先程の狂気は消え失せただ静かに答える…そんな様子を見たザーツバルムはマリーンを心配するがあえて触れずに通信を切るのだった。

 

「マリーン…」

 

通信を切ったザーツバルムは珍しく弱々しそうにマリーンの名を呟く…マリーンは婚約者であるオルレインの従姉妹(いとこ)でオルレインの母の年の離れた妹の娘である…妹は遅くに結婚しその中でも末っ子なので歳はかなり離れているがその娘の中でも一番オルレインに似ていた…。

 

「全く皮肉な物だ…」

 

更にオルレインの死んだ少し前の十五年前に生まれたのだからザーツバルムはオルレインの生まれ変わりとつい思ってしまうのは当然だった…それから彼はあくまで上司として厳しくマリーンを育て上げ、この暗殺計画には外そうとしたのだが向こうから志願して来て断る事は出来なかったのである。

 

(ただ残念なのは…性格が歪んでしまった事くらいか…)

 

そう思いながらザーツバルムは種子島を映した地図を見るのだった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

その頃、種子島では…

 

「なぜスカイキャリアが…」

 

『仲間割れ?』

 

『さぁ…獲物を取り合ってるだけかも…』

 

『どっちでもいいよ…敵の敵なら、味方で無くても役に立つ…』

 

「だな…せめて有効活用させてもらおう…」

 

伊奈帆の言葉にフィアは同意すると一度収納された5本のロケットパンチがスカイキャリアめがけて襲いかかる…スカイキャリアも精一杯の回避運動をとるが急に失速し墜落していくかのように落ちるところをロケットパンチが襲うが伊奈帆が狙撃しそれを阻む。

 

「壊れた…」

 

『なる程、手が動くときは壊れるのか…』

 

フィアが感心し伊奈帆がロケットパンチの弱点を見つけるとロケットパンチが離れその二つが艦に迫る。

 

『距離を取った…と言うことは…コントロール、ウェルドックを開けてください!』

 

『マスタング22ッス!』

 

『界塚弟か…いいでしょう…』

 

艦長の承諾を得てわだつみのウェルドックがゆっくりと開き伊奈帆はスレイプニールをその開いた扉に乗りライフルを構える。

 

『フィアは上から狙撃を!耳を塞いで!』

 

「皆さん!耳を塞いでください!」

 

「ウェルドックに姫様がいるのか!?クソッ!」

 

フィアはスレイプニールの片膝を甲板に付けて射撃体勢を取ると伊奈帆に続いて狙撃し狙撃されたロケットパンチは片方が海に落ち、もう片方がフィアのスレイプニールギリギリ横を通り種子島の岩盤を砕くと隠されていたドックが姿を現す。

 

『フィア…行こう…』

 

「え?おい!待て!」

 

船が隠しドックに向かうのを確認した伊奈帆は甲板から港に降りフィアを呼ぶとフィアも急いで甲板から降りる。

 

『ちょっと!フィア!伊奈帆!』

 

『マスタング11私たちも行くわよ!』

 

『え…えぇ!?』

 

韻子は突然の行動に戸惑いつつも甲板から港に降りるとユキが伊奈帆に少し怒りながら話す。

 

『なおくんどう言うつもり?勝手に!』

 

『ユキ姉こそ…船の護衛は?』

 

『あんたねぇ…』

 

「フフッ…」

 

伊奈帆とユキのコントの様な話にフィアは思わず笑うが伊奈帆の言葉ですぐに気を引き締める。

 

『さぁ…三面六臂をやっつけよう…』

 

「それで…どうするんだ?」

 

『フィア…あの三面六臂はロケット以外に武装はあると思う?』

 

「……あくまで私の予測だが…恐らく無い…」

 

『そう…』

 

伊奈帆は通信を秘匿回線にしフィアと連絡を取るとフィアは伊奈帆に合わせて答えると伊奈帆は少し考え通信を元に戻す。

 

『ユキ姉…あのカットを直接攻めよう…』

 

『はぁ!?何言ってんの!あんなのに敵う訳無いじゃない!』

 

『どうかな…以外とこけおどしかも…韻子、ハンドガン借りるよ…』

 

『あ…うん』

 

韻子は伊奈帆に言われた通りハンドガンを手渡すと伊奈帆は空に銃口を向けスカイキャリアに分かるように撃つ…するとスカイキャリアは意図を理解したように近づいてくる…それを見たユキは思わず問いただすが伊奈帆はただ静かに答える。

 

『あの三面六臂はあの場所から動いていない…同じ攻撃を繰り返すだけだ……アイツの武器はあれだけだ…』

 

伊奈帆の自身に溢れた言葉にユキも黙り込みそれを見た伊奈帆は接近するスカイキャリアに向かうとフィアも付いてくる。

 

『フィア…君も乗るつもり?』

 

「弾は心もとないんだろ?私も乗った方が良い」

 

『……分かった…でも乗るかな?』

 

伊奈帆の了承を得たフィアは笑うと自分が知っているコードでスカイキャリアに通信を繋げる。

 

「スカイキャリアのパイロット…聞こえるか?二機乗るが大丈夫だな?」

 

『あ…はい…重量的には問題ないかと…その声…まさかフィア卿ですか!?』

 

「スレイン!まさかお前とは…」

 

伊奈帆とユキが言い合っている傍らフィアとスレインは思わぬ再開に驚きながらもスカイキャリアに乗り込み、続いて伊奈帆が乗り込む。

 

『接触回線オープン、手短にいこう…そちらの兵装は?』

 

『榴弾砲が二十発程…そちらは?』

 

『HE弾が九発』

 

「私はHEが十一発だな」

 

『しかしフィア卿…ヘラスの拳は巨大分子になってどんな弾も…』

 

『破壊されたのがある…指を動かす時は元に戻るんだよ…』(知り合いだったんだ…フィアとコウモリは)

 

「あと装甲がないスラスター部分だな」

 

スレインの言葉を聞いて伊奈帆が偶然に少し驚きなからも話を進める。

 

『スタビライザーの信号を回して…』

 

『規格が違いますよ…』

 

「問題ない…既に解析してある…」

 

『流石フィアだ…』

 

素早く解析されてスタビライザーを受け取った伊奈帆はフィアを素直に褒めるとフィアは少し笑い迫るロケットパンチを逸らす。

 

「使える腕はあと四つだ…」

 

『分かった…コウモリ…フィアが逸らしたロケットの後ろにつけてくれ…』

 

『コウモリ!?』

 

スレインはいきなりのあだ名に驚くがすぐに後ろにつけ榴弾砲をロケットパンチのスラスターを狙って撃ちスラスターをやられた一つが海に落ちもう一つはフィアと伊奈帆の狙撃にやられる。

 

「あと二つ…」 

 

『来ました!後方よりさらに二機!』

 

フィアの呟きに伊奈帆とスレインはあと少しと集中するが相手のヘラスもバカではない…確実に当たるように加速しすぎずにロケットパンチがスカイキャリアに迫る…あれでは銃弾の爆発で大きく逸らす事は出来ない…。

 

「考えたな…」

 

『僕に考えがある…コウモリ…進路175…海岸線に沿って飛んで…ユキ姉聞こえる?』

 

『都合のいい時に頼るんだから…進路そのまま!』

 

伊奈帆の通信にユキは愚痴りながらも目の前を通過したロケットパンチのスラスター部分を狙撃し最後の二機を撃ち落とした。

 

「後は本体……ナッ!」

 

後は止めを刺すだけとばかり思っていたフィアは驚愕の表情を浮かべる…ヘラス本体がロケットパンチに変形して空に飛びたったのだ。

 

『飛んでった~』

 

『なんだアレは!?』

 

『僕も知りません!』

 

伊奈帆の珍しく焦った声色に自然とフィアも焦っているとヘラスロケットは距離を取って加速し迫ってくる。

 

「来たぞ!」

 

『フィア卿!狙撃で軌道を!』

 

『あのサイズ…ライフルじゃ無理だ!避けられないのか!?』

 

『二機も乗せてるんです!避けられません!』

 

『来るぞコウモリ!』

 

『黙っていて下さいオレンジ色!』

 

「うおッ!」

 

伊奈帆の警告にスレインは若干怒りながら答えるとスカイキャリアを失速させて一気に降下し突然の降下…墜落に思わずフィアは驚きの声を上げる。

 

『また来た…』

 

『引き起こしが!』

 

墜落している時にヘラスロケットが迫り終わりかと思われた時…突然ヘラスロケットにミサイルが直撃し続いて種子島の地中からミサイルが発射されると同時に巨大な戦艦が姿を現す。

 

『飛行艇…いや…戦艦か…』

 

「なぜ航空戦艦が地球にあるんだ!」

 

『やはり居た!アセイラム姫!』

 

予想を遙かに上に行った状況に伊奈帆とフィアは驚きスレインはブリッジから見えるアセイラムを見つけ歓喜の声を上げる。

 

「スレイン!ヘラスの後ろによる着けろ!伊奈帆!その後、スラスターに一斉射!」

 

『『了解!』』

 

目標を変えたヘラスを見て素早く二人に指示を出しスラスターを殺ると墜落し航空戦艦に轢かれる…巨大戦艦に轢かれたヘラスは流石にその質量に押し潰され大破状態になり航空戦艦の後部ハッチからアレイオンがヘラスを狙撃し爆発する。

 

何とか勝利を収めたフィアはコックピットの中でため息をついていると伊奈帆が喜ぶスレインに厳しい声で問いかける。

 

『姫は死んだ…なのになぜ探している?』

 

『え?』

 

『君は姫が生きているのを知っていた…何故だ?』

 

『どういう事ですか?』

 

「おい…伊奈帆…スレインは…」

 

伊奈帆の問いかけにスレインも伊奈帆に対する警戒を強めるとフィアが仲裁の為に伊奈帆を説得しようとするが伊奈帆はそのフィアの声を遮る。

 

『フィア…僕はこの戦争の為にもセラムさんの為にも聞かなきゃならない事を聞いているだけだよ…もちろん、フィアの為にでもある…』

 

「伊奈帆…」

 

『姫に会わせて下さい…』

 

『僕の質問が先だ…』

 

『もしかして…姫を利用するつもりですか?』

 

『利用されると…困るのか?』

 

『あなたは!』

 

「待て!伊奈帆!スレインも落ち着け!」

 

お互いが銃を向け合い不味いと感じたフィアは急いで止めに入るが既に遅く、お互いが銃を撃ち合いスカイキャリアは大きく損傷し墜落する。

 

『貴方は僕の敵ですか?』

 

『君は…僕の敵だ…』

 

「クソッ!スレイン!これをクルーテオ郷に!あの人は信用出来る!」

 

墜落するスカイキャリアをフィアは迷いながらも伊奈帆に続いて脱出し素早く電文をスカイキャリアに送り叫ぶのだった。

 

 

 




どうも砂岩でございます!
今回はヘラス戦でしたが…一話で一話使っちゃったぁぁ!アニメの七話は全部ヘラス戦なので区切るところが見つけられずに……一話につき二話にする様にしてきましたが…ショックです。
閑話でも入れようかな…
では最後まで読んで頂きありがとうございました!

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