東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 お待たせしました。

 今回は少し短め。

 とはいうものの、参護さん動けなくなっちゃったしね。
 しかたないね。

 今回は外伝ありきの物語になってます。

 それではどうぞ。


海原参護の日記 Φ月

Φ月:(;゙゚'ω゚'):日

 

 増築の段取りが本人置き去りのまま進んでいる件について。

 

 阿求様から予定の図面を渡されて、確認したら新築にするのとほぼ変わらないぐらいの範囲を建て替える予定らしい。

 

 職人は鬼に頼むということで、おそらく伊吹萃香ではないかと予想。

 

 出会ったことは無いが、意識して博麗神社には行ってなかったし、当然と言えば当然なのかもしれない。

 なぜ今まで神社に行かなかったかと言えば、大した理由ではないが、何でも屋の仕事は妖怪退治も含まれるから彼女の仕事とバッティングしているのだ。

 これは、商売敵として潰されるのでは?

 という考えからだ。

 

 まぁ、よく考えれば俺と彼女の相手をする妖怪のレベルが違うから存外相手にされないだろうと結論が出ていた。

 

 被ることがあるとすれば、中級妖怪を相手にしている時だろうが、上級に片足突っ込んでいるようなレベルの妖怪なんて相手にしたら死ぬ。

 

 幽香さんの模擬戦で空中コンボがデフォルトになりつつあるが、あのレベルなのだろう、上級は。

 

 図面を見れば、現実の感覚だと数か月単位の工事だが、幻想郷だと数日らしい。

 

 改めて幻想郷の感覚がわからないな。

 

 

 

Φ月(´;ω;`)日

 

 魔理沙の奴が、職人を明日連れて来てくれるそうだ。

 

 挨拶しておきたかったから丁度いい。

 

 だけど、魔理沙は本当に申し訳なさそうに何度も何度も謝っていた。

 

 え? 俺何時の間に謝られるようなことしたっけ?

 

 生きて帰ってきてくれとか、戻ったら旨いモノご馳走するからとか、そんなやばいの俺?

 

 鬼は戦いが好きな種族だということは知っている。

 

 だけど、その対象が俺に向くなんて考えてなかった。

 

 元々人間相手に戦いを楽しんでいたというイメージだ。

 正々堂々を好み、嘘や卑怯な行為を嫌う。

 

 特に妖怪を相手にできる人間なんかは彼女たちの絶好の獲物だろう。

 

 うん、これは標的待ったなしだわ。

 

 よくよく考えてみても、むしろ突撃してこなかったことの方が不思議なレベルだ。

 どうやら、博麗霊夢さんが抑えていてくれたようだ。

 

 今度、食材を届けに行こう。

 

 足向けて寝れないレベルの恩だ。

 

 Yパチュリーも潤んだ目でこちらを見ている。

 

 いや、そんな死にゆく人を見る目で見ないで!?

 たぶん大丈夫だから! 彼女も手加減してくれるよ……たぶん。

 

 

 

Φ月(ヽ´ω`)日

 

 きょうはつかれた

 

 ねる

 

 しぬ

 

 

 

Φ月('A`)日

 

 昨日は日記を書く気力すらなかった。

 

 今日も結構しんどい。

 

 結果から言えば、魔法の森の一角と玄武の沢の岩肌をだいぶ削って地形を少し変えてしまった。

 

 現在、YパチュリーとY咲夜が全身の包帯を換えながら、Y美鈴が気功を流して治癒力を底上げしている状態だ。

 

 ベットから出れない。

 

 いやぁ、右手だけ無事だったから日記も書けるけど、それ以外ボロボロだ。

 

 波紋で活性化、気功で強化してこの状態だから、生身だったら死んでいた。

 

 YレミリアとYフランが全身に薬草を塗って、包帯を取った俺の身体を這い回り薬を塗り広げていた。

 そのついでとばかりに、俺の身体の上でスケートをするのは目をつぶろう。

 

 だって、Yパチュリーに二人とも怒られてたからな。

 

 Yフランがトリプルアクセルを決めた時は拍手をしたかったが、あいにく左手は動かせない。

 着地時に、情けない声をあげてしまったのは仕方がないと思う。

 

 横では土下座している魔理沙と、笑いながら酒を飲んでいる萃香。

 

 うん、カオスだね!

 

 

 

Φ月<丶´Д`>ゲッソリ日

 

 まだまだ、怪我が治らない。

 

 波紋使ってこれって、重傷だ。

 

 鈴仙さんは顔を真っ青にしながら、永遠亭から持ち込んだ医療器具を部屋に次々と配置していった。

 永琳さんは何やら永遠亭から離れられないらしく、鈴仙さんと魔理沙の二人で看病されている。

 

 さすがに自分のせいだと考えている魔理沙は進んで看病しに来てくれる。

 

 ミイラ人間化なんて漫画だけだと思ってたよ。

 

 排泄物はYパチュリーとY咲夜が全部処理してくれる。

 むちゃくちゃ恥ずかしかったが、まさか鈴仙さんや魔理沙にさせるわけにはいかない。

 

 魔理沙は自分がやると張り切っていたが、こればかりは羞恥心の方が勝った。

 

 ゆっくりたちに頼むのも正直辛いのだが、仕方がない。

 

 萃香はまだ隣で酒飲んで笑ってる。

 もう帰れよお前。

 

 

 

Φ月(;´Д`)ゲロゲロ日

 

 戦った後から、ずっと萃香が家から、というか部屋から出て行かない。

 

 ずっと、酒飲んでゆっくり達と遊んで、俺と話して寝る。

 

 いや、増築の仕事はしてるらしいが、部屋から出れないのでよくわからない。

 

 なんでも、人間があそこまでもったのは久々だとか、あんなに血が騒いだのは初めてだとか、とても楽しそうに言っていた。

 

 渇きを潤したのはいつ振りだろうか、っと懐かしむような目をしながら酒を飲む見た目幼女。

 

 どうやら俺の戦いで、その渇きとやらは潤せた模様。

 

 あと一人、バトルマニアの鬼が居る気がするが、二度とやらん。

 

 なにしろ、全身打撲やら裂傷、骨折もあちこちにできてるし、血を流し過ぎて貧血気味。

 食事はペースト状のモノしか食べれらないから、内臓にもダメージが入っているだろう。

 

 どうやら俺のことを気に入ってくれたようだが、二度と戦わん。

 

 二度と戦わん。

 

 

 

Φ月(-.-#)日

 

 萃香の奴は増築しながらどうして俺の部屋から出ないで済むのか?

 

 どうやら彼女には部下がいるらしく、そいつらが昼に増築、夜に俺が寝ている最中に萃香が参加して増築しているらしい。

 

 もう目処は立っているそうで、数日中にできるそうだ。

 

 本当に幻想郷の常識はぶっ飛んでるね。

 

 今日はゆっくり達の部屋が増築対象らしく、全員部屋に集まっていた。

 

 萃香もY幽香を持ち上げて、ゲラゲラ笑っていた。

 知り合いだから、こんな状態になってるの見るのが面白いんだろうな。

 

 Y幽香も気にしていないようで、なすがままだ。

 

 今日は布団の周りをゆっくり達に囲まれて眠ることにする。

 ちょっと幸せな気分になれた。

 

 萃香も一緒だった。

 

 いや、女の子が一緒の部屋って。

 全身打撲で何もできないだろうけど、酒飲んで腹()きながら寝るなよ。

 

 幼女の皮被ったおっさんじゃねぇか。




 いかがでしたでしょうか?

 参護は耐久性能だけは一級品です。

 一応、参護自身レベルアップはしているのにこのダメージ。

 鬼の恐ろしさが良くわかりますね。

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