東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 なんとか、書き終わりました。

 後半に色々ブチ込みすぎました。

 新キャラの登場と新ゆっくりの登場、両方やらなくちゃいけないのが作者のつらいところだな。

 というわけで、どうぞ。


海原参護の日記 ω月

 

ω月ヽ(´ー`)ノ日

 

 幽香さんがうちに来るようになってから、朝はY美鈴との組手と、Y幽香との植物への水やりと世話をすることが日課になっている。

 

 随分とY小悪魔も成長して、少しだけではあるが動き回るようになった。

 

 今日は三歩も動けていたので、もうすぐ他のゆっくりたちと同じように歩けるようになるだろう。

 

 少し動くと疲れてしまうようで、部屋で疲れているY小悪魔を拾い上げて食卓まで運ぶのも日課になっている。

 

 人里からの依頼も妖怪からの依頼も最近は順調で、本当に文さんには感謝しかない。

 彼女の新聞に広告を出していなければ人里からの依頼しか来なかっただろうから、ゆっくり妖怪たちの食事代が稼げなかったかもしれない。

 

 ちなみに、Yパチュリー・Yレミリア・Y咲夜・Y美鈴・Yフラン・Y小悪魔・Y幽香。

 以上、七人で大体食費が二人と赤ん坊分ぐらいになる。

 

 成長したゆっくり妖怪が成人男性の三分の一ほどだから、あながち間違った計算でもない。

 

 さすがに、合計三人+赤ん坊分の生活費を稼ぐのは難しいものがある。

 

 食費自体はたまに鈴仙さんがタケノコを、妹紅さんが鶏肉や魚を、幽香さんも野菜や果物を持って来てくれるから助かっている。

 

 タケノコなんて刺身でいけるぐらい新鮮だから、調理も楽だ。

 刺身と言っても軽く茹でる。

 普通のタケノコに比べればかなり楽な調理だし、醤油と生姜で食べるのがお気に入りだ。

 

 といっても、最近なぜか家事が当番制になって、俺・Yパチュリー・Y咲夜・Y幽香で家事を回している。Y美鈴は俺たちが家事をしている間、YレミリアとYフランの相手をしている。

 Y小悪魔は当番以外の人が面倒を見ている。

 

 なんというか、家族がどんどん増えていっているみたいだ。

 

 

 

ω月( ´_ゝ`)フーン日

 

 今日は鈴仙さんが依頼を持ってきた。

 

「依頼なんですが、姫様のお相手をしてください」

 

 なんのお相手かをきちんとしゃべろうか?

 

 なんでも、暇を持て余している彼女の主人が、文々。新聞の広告記事を読んだそうだ。

 

 そしたら、

「何でも屋なら、私の暇の相手もしてくれるわよね?」

 と言い出して、止めようとした彼女の上司も最終的に折れてしまったそうだ。

 

 いや、いいんですがね?

 

 依頼料を見たけどとんでもない値段だったし、食費が浮いているとはいえ、生活費は稼いでおきたい。

 

 それに、姫様こと蓬莱山輝夜さんにも会ってみたい。

 怪我をすることが多いが、入院よりも自宅療養が多いから永遠亭に行ったことが無い。

 

 いつも鈴仙さんから八意印の薬を怪我をするたびに持って来てもらっているから、これを機会にきちんとお礼をしておくべきだろう。

 

 ほぼ一日がかりの仕事になるはずだ。

 

 そうだな、暇つぶしなら家のトランプやらボードゲーム持っていくことにしよう。

 TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)なら一日かがりでも問題ないだろう。

 

 

 

ω月(´ヘ`;)ウーム…日

 

 今日は永遠亭での初お仕事でした。

 

 八意永琳さんに仕事前にあいさつと、これまで怪我をした時に調合してくれていた薬のお礼をした。

 

 そしてさっそく仕事相手の蓬莱山輝夜さんの部屋にお邪魔した。

 

 どうも、本当に暇を持て余していたようで、知らない人間に会うだけでもかなり喜んでいた。

 

 彼女は囲碁や将棋、チェスやオセロなんかがかなり強く、やりこんでいる感じがあった。

 当然俺は負けたのだけれど、負け続けると彼女自身が退屈するかもしれない。

 

 だからこそそこで提案したのは、TRPGだ。

 

 いや、結構馬鹿にできないのだ。

 多人数での話し合いながらのプレイであり、GM(ゲームマスター)の性格次第で若干判定に揺らぎが出るのがまた面白い。

 

 輝夜さんもTRPGの魅力にすっかりハマってくれたようで、次までにオリジナルシナリオを作るんだと張り切っていた。

 

 ルールブックはクトゥルフとサタスペを置いてきたが、サタスペがお気に入りのようだった。

 なんでも、やりたい放題できるのが楽しい、のだそうだ。

 

 メンバー集めるからと外出まで計画していた。

 

 そのことに関して永琳さんから感謝された。

 

 なんでも、永遠を生きる蓬莱人の天敵の一つに『暇』があるのだという。

 

 最近は色々な遊びも飽きてしまっていたようで、鬱々としていたそうだ。

 妹紅さんとの殺し合いの時にそれが爆発するのか、鬱々としていた度合いで被害が拡大するのだという。

 

 後始末は永琳さん達なので、被害が少ないことに越したことは無い、といった所だろう。

 

 家に帰ると、YパチュリーがソードワールドとダブルクロスのTRPGのルールブックを棚に飾っていた。

 本当にどこから持って来てるんだろうか?

 

 

 

ω月(((( ;゚Д゚))))ガクブル日

 

 Yパチュリーは読書好きである。

 

 だから定期的に新しい本を仕入れているが、そろそろ本棚が危なくなってきた。

 

 阿求様に相談すると、友人に貸本屋をやっている人がいるらしい。

 

 名前を本居小鈴さんといい、鈴奈庵という店名で活動しているそうだ。

 

 一年以上住んでいるが気付かなかったのは、生きているのに精いっぱいだったからということにしておきたい。

 

 本を読む暇も無かったし、一人暮らしに慣れるのも大変だった。

 

 今は人の生活を助けるぐらいにまで生活スキルは上がったと思う。

 

 さて、貸本屋『鈴奈庵』だが、阿求様が紹介状を書いてくれたこともあり、すんなりと受け入れてくれた。

 

 ある程度、文々。新聞で俺のことを知っていたようで、ニコニコと受け入れてくれた。

 

 いくつか借りる本を選び出して、借りる手続きをする。

 

 借りる際にポロッとYパチュリー用の本があることをしゃべってしまったら、今度読みに行くと言われてしまった。

 本の返却時に持ってくると言っても、私の読みたい本は私が選ぶの! と言われてしまえば是非も無い。

 

 家に来るならと、ゆっくり妖怪について説明した。

 

 ちょっと楽しみだと言っていたから興味が出たのだと思う。

 

 最後に「本を汚したらオシオキです」とクギを刺された。

 

 怖えよ。

 

 

 

ω月( ゚д゚)日

 

 本居小鈴さんが家に来た。

 

 それと同時に輝夜さんも家に来た。

 

 見事なバッティングである。

 

 ちなみに、輝夜さんは鈴仙さんとてゐさんを連れて来ていた。

 

 ああ、TRPGやるんだなと直感で分かったが、そこで小鈴さんが居たのは運が悪かったと言える。

 

 俺、小鈴さん、輝夜さん、鈴仙さん、てゐさん。

 

 一人がGMとして、プレイヤー四人は中々に丁度いい人数だ。

 

 結果、輝夜さんの依頼という形でシナリオ終了まで拘束されることになった。

 

 寝る前の日記を書く時間だけど、なぜか隣の部屋に四人分の布団が用意されていて、明日の朝ごはんの下ごしらえも済ませている状態だ。

 つまり、朝早く朝食を作り、食べた後で続きをプレイする予定なのだ。

 

 一つのシナリオをクリアするならここまで時間もかからないだろうが、なにせ周回前提のTRPGだ。

 ある程度周回ボーナスが手に入った状態でこそ面白さが発揮される。

 

 それを味わいたいのだろう。

 

 あ、ちなみにGMは鈴仙さんだ。

 

 なんでも徹夜でルールを覚えさせられたのだとか。

 同情してしまった。

 

 

 

ω月(´ぅω・`)ネムイ日

 

 朝一で準備してTRPGのセッティングをした。

 

 ゆっくり達もパタパタとセッティングを手伝ってくれた。

 

 朝ごはんは俺が作ったが、昼ごはんと晩ごはんはYパチュリーとY咲夜が作って配膳してくれた。

 

 プレイしながら膝の上に乗っかってきて、揉まれたそうに鳴きながら体を擦り付けてくるゆっくりたちの要望に応えていると、輝夜さんも興味が湧いたのかY美鈴を揉んでいた。

 

 おお~っと声を漏らしながら目を光らせていたので、気に入ったのだろう。

 

 TRPGの休憩と称して、他のゆっくり妖怪たちを揉みまくっていたから外れてはいないはずだ。

 

 しかし、Yパチュリー達に料理を作ってもらって感じたことだが、冷蔵庫が無いのは少々手間がかかる。

 

 出来合いのものを作っておいてもすぐに悪くなってしまうので、その都度作らないといけないのだ。

 

 昔の氷を使った冷蔵庫の仕組みを知っているから後は氷を手に入れるだけだが、幻想郷で製氷技術なんてあるわけもない。

 

「ごめんな、冷蔵庫があれば少しは楽ができるんだけどな~」

 

 気を付けているつもりだったが、TRPGのせいで気が緩んでいた。

 

 首をかしげていたYパチュリーを見て、

 

 あ、やっちまったな

 

 と思った。

 

 そうそう、輝夜さん達と小鈴さんはプレイ後にそれぞれ帰って行った。

 小鈴さんは数冊の本を持って、輝夜さんはプレイした結果が満足いったのかホクホクで帰って行った。

 

 

 

ω月(`・д・´)キリッ日

 

 予測通り、家に来たのはゆっくりチルノ。

 Yチルノ。

 

 作っておいた氷冷蔵箱の上の段が寝床になったのだが、彼女自身も気に入ったようで喜んでいた。

 

 氷を入れるよりもずっと食品が長持ちするので冷蔵庫並みになった。

 

 ありがたいけど、Yチルノに申し訳ない。

 

 お詫びにと揉んであげた。

 

 ヒンヤリした弾力のあるスライムという感じの手触り、触られること自体が好きなのか、手を触れるとよく感じようと頬を摺り寄せてくる。

 

 大きさはYパチュリーと同じぐらいだが、遊ぶのが好きなようでYレミリアとYフランと遊んでいる。

 Y小悪魔への世話も進んでやっている所を見ると、面倒見のいいガキ大将という感じだろうか?

 

 ゆっくりたちのおかげで生活がどんどん豊かになっていく。

 食費は増えたがそれ以上にもらい物が多く手に入るし、ゆっくり達のおかげで家事や鍛錬も助かっている。

 

 仕事が増えたおかげで収入も良くなったし、仕事関連で色々と交流が増えたのもありがたい。

 

 考えてみれば、恩しかない気がする。

 

 ゆっくり妖怪。

 

 彼女たちは本当に俺をいい方向に導いてくれた。

 

 だったら、俺は彼女達を護ることを誓おう。

 特にYパチュリー、彼女との出会いで今の俺があるのだ。

 

 お礼と言っても、念入りに揉んであげるしかできないのが歯がゆいのだが。




 いかがだったでしょうか?

 本居小鈴と蓬莱山輝夜、Yチルノの登場になります。

 二人はたまに出てくるのでいろいろと主人公の家が大変なことになります。

 特にTRPGにハマった輝夜が色々と引っ張ってくる予定ですので……。

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