D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士 作:京勇樹
裕也がリミッターを解除した頃、ゆりかごに突入した義之と美夏は最下層へ、なのはは王の間へ、ヴィータは駆動炉へと向かっていた
突入した場所の都合で、一番最初になのはが王の間に到着した
そしてなのはの目に入ったのは、玉座に座っているヴィヴィオの姿だった
しかし、その姿は変わり果てていた
なのはが知るヴィヴィオは、幼い少女だ
だが、今玉座に座っているのは、見た目は高校生ほどになり、その身に纏っているのは、なのはと似た意匠の黒いバリアジャケットだった(原作のあのバリアジャケットです)
なにより一番変わっていたのは、その目だった
目に光が無く、まるで人形のようだった
そのヴィヴィオの姿に、なのはは一瞬身が震えたが
「ヴィヴィオ……一緒に帰ろう?」
と声を掛けた
しかし、ヴィヴィオは何も言わずに拳を握り締めた
それを見て、なのはは腰を僅かに沈めて構えた
その直後、ヴィヴィオの拳が眼前に迫った
なのははそれを、持ち前の反射神経で屈むように回避した
だが気づけば、目の前にはヴィヴィオの膝があった
避けられないと悟ったなのはは、その一撃をレイジングハートで防御
だが、あまりの威力に腕が痺れ、3m程地を滑って後退させられた
なんとか転倒するのを堪えて、なのはは頭を上げて前を見た
すると、ヴィヴィオはまるで矢のような速度で肉薄してきていた
しかも、その勢いのまま右拳を繰り出してきている
なのははその一撃をプロテクションを展開して、上へと受け流して、がら空きとなった胴体に杖での一撃を叩き込もうと振りかぶった
しかし、戦いたくないという思いから、僅かに動作が鈍った
その瞬間、脇腹に強い衝撃を受けて、大きく飛ばされて壁に激突した
「ガハッ!?」
壁に激突した衝撃で、なのはは強制的に息を吐き出された
前に視線を向けると、ヴィヴィオが右足を振り上げた状態で固まっていた
どうやら、回し蹴りの直撃を受けたらしい
たった一撃
たった一撃の直撃を受けただけで、なのはの肋骨は悲鳴を上げていた
(これが、聖王の血筋の一撃……なんて、重い……)
歴史でしか知らない、聖王の一族
しかし、その強さは理解していた
否、していたつもりだった
しかし、その強さは自分の予想よりも遥かに上だった
なのはは、自分のバリアジャケットの防御力に自信があった
事実、なのはのバリアジャケットを抜いてダメージを与えてきたのは、片手で数える程しか居ない
しかし、ヴィヴィオの一撃はその防御を意図も容易く貫通した
それだけで、ヴィヴィオの強さをなんとか計りきれた
(
なのはは唇を噛んだ
正直に言えば……
「ヴィヴィオとは、戦いたくないよ………っ!」
共に過ごしたのは、とても短い
しかし、その短期間の間になのはとヴィヴィオはまるで親子のように過ごした
だからまだ漠然的だが、なのははヴィヴィオを自分の娘のように思っている
実際に血は繋がっていなくとも、自分がお腹を痛めて出産したわけでもない
しかし周囲からも
『まるで、親子みたいね』
と言われた
だから、今はもう……
「ヴィヴィオは、私の娘だよっ!」
なのははそう言うと、レイジングハートを構えた
そして、その目に宿るのは、決意の籠った不屈の光
自身のレイジングハートの起動詠唱にもある、不屈の心!
「レイジングハート……守るための……取り戻すための戦いだよっ!」
《了解、主! 必ず取り戻しましょう、可愛いヴィヴィオを!》
レイジングハートの鼓舞を聞いて、なのはは頷くと同時に、周囲にアクセルシューターを十数発精製した
こうして、親子の戦いが始まる