D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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封印解除

義之達がゆりかごの中に突入した頃、裕也達はある意味で決戦をしていた

裕也達が戦っているのは、教皇ヨハンナを含めたインデックスの最強戦力の約十数名

それに対するのは、裕也を含めた数名のみ

人数差は如何ともし難いだろう

だから裕也は、禁を破ることを決めた

 

「ドクター!」

 

裕也が声を上げると、司令室に居たスカリエッティは眼前に魔法陣を表示させた

そして、通信ウィンドウの向こうに居るカリムとリンディに目配せすると

 

「防人裕也……魔力リミッター、完全リリース!」

 

と中心部分のスイッチを押した

その直後、裕也の体から漆黒の柱が立ち上った

それは、抑圧されていた裕也の魔力だった

裕也は産まれて間もなくに、その身を強化された

そして、強化されたのは何も身体能力だけではない

魔力も、幼い身には有り余る程に強化されたのだ

そのランクは、未だに人が到達なしえなかったSSS

つまりは、測定不能

しかし、そんな膨大な魔力値にいくら強化された身体能力とはいえ、幼い身には耐えられなかった

だからスカリエッティは、裕也の魔力にリミッターを掛けたのだ

そして、今そのリミッターは外された

裕也本来の魔力が吹き荒れ、裕也の左目の眼帯の下から目映い光が漏れている

裕也の魔力に呼応して、(アイオン)の眼が活性化したようだ

その時、金色の閃光が空に展開していたインデックスの魔法使いやガジェットを撃破しながら裕也達の方に近付いてきた

 

「裕也!」

 

それは、高速戦闘を可能とした魔導士

フェイト・T・ハラオウンだった

どうやら、天に登った魔力柱の色に気づいたのだろう

 

「フェイトか……」

 

裕也は背後に着地したフェイトを見ずに、両手に持っていた無銘の刀を地面に刺した

そして、両手を合わせると

 

「来い……千歳の徒、真打ち!」

 

裕也がそこまで呪文を唱えると、左手の掌から柄が出てきた

その柄を、裕也は掴んで

 

「童子切………安綱!!」

 

その刀を抜いた

その刀は、今まで裕也が使っていた刀の中では、一番普通の刀だった

いや、たった一ヶ所だけ違う場所があった

それは、鍔の場所だった

普通の刀だったら、見事な装飾が施された金属製の鍔が装着されている筈の場所にあったのは、(こぶ)だった

黄色い肉の(こぶ)が、四つ程グルリと着いていた

しかもその(こぶ)は、不気味に脈動していた

 

「裕也……その刀は………」

 

「出来れば、使いたくなかったがね……」

 

フェイトが恐る恐る問い掛けると、裕也はそう答えて構えた

そして、その刀に気づいたのは他にも居た

 

「ノーヴェ、あれ!」

 

「なに? ……あのバカっ!」

 

ウェンディの言葉を聞いて、ノーヴェは裕也の持っている刀を見て悪態を吐いた

裕也が持っている刀

銘は童子切安綱といい、その昔に日本三大妖怪の酒呑童子を切り捨てたという伝説の刀で、日本三大名刀に指定されている刀だ

しかし、この安綱はある呪いがあった

切り捨てられた酒呑童子の怒りなのか

安綱は、使い手の血肉を食うのだ

ただし、代価として絶大な効果を発揮する

空間すら切り裂き、そして、不死身の敵に死を与える

つまりは、ヨハンナには天敵の一振りなのだ

しかし、ヨハンナを斬り殺すまで裕也はその身を食われ続ける

しかも、裕也は確実性を上げるために、禁忌の力を開放する

 

「裕也! それだけはダメ!」

 

左目の眼帯に手を掛けた裕也を見て、フェイトは裕也の左腕に抱きついた

それを使えば、裕也が確実に死ぬと分かっているからだ

しかし裕也は、笑みを浮かべて

 

「皆を、守るためだ」

 

と言うと、その眼帯を力任せに引きちぎるように外した

そして、天を見上げて

 

(アイオン)の眼よ! 今代の所有者、防人裕也が命じる! 我が魂を食らい、その力の全てを発揮せよ!」

 

と宣言した

その直後、刧の眼はこれまでとは比較的にならない光を発した

 

(俺の魂、欲しければくれてやる! だから、全てを発揮しろ!)

 

裕也がそう思った直後、異変が起きた

裕也の周囲に、半透明の人影が現れた

しかも、一人二人ではなく、数十、数百に匹敵する人影だった

 

「なに、これ?」

 

何が起きてるのか分からず、フェイトは呆然とした

現れたのは老若男女問わず、服装や装備にも統一性が無かった

しかし、唯一の共通点が有るとしたら、右目の金色の眼だった

 

「まさか、この人達って………」

 

フェイトは、現れた人影の正体に気づいた

 

「歴代の、(アイオン)の眼の所有者………?」

 

フェイトの推測は当たっていた

そこに現れたのは、長い年月の間に(アイオン)の眼を有した者達

その中でも特に、戦闘能力に秀でた者達だった

ある老人は一冊の本を開き、72体の人外を操り

ある青年は、その手に持った札を投げて術を発動し

ある馬上に乗った色黒の大男は、雄叫びを上げながら剣を降り下ろし、配下たる兵と共に突撃していった

 

「これは、まさかっ!」

 

その現れた存在は、古にその名を馳せた英雄達や無名の猛者達だ

そして、裕也もまた、その領域に踏み込んでいた

 

「行くぞ、ヨハンナ………ここで、お前達の企みを終わらせる!」

 

裕也はそう宣言しながら、安綱を突きつけた




あ、予告短編集にて、いくつか作品を投稿しました
それの中には、裕也が死んだ後に別の世界に行く作品もあります
それと、活動報告にてある意味でアンケートもありますので

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