D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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推移

開戦から約一時間

 

裕也達は善戦していた

 

『第一機動隊は後退して、給弾と休憩をしてください!』

 

「了解! 後退する!」

 

ウーノからの通信を聞いて、警察の部隊が後退を始めた

 

「ディエチ! 彼らに支援砲撃を! セッテは敵の足止め!」

 

「「了解!」」

 

裕也の指示を聞いて、ディエチはヘビーバレルで支援砲撃を始め、セッテは両手に持ったブーメランブレードを敵に向かって投擲した

 

ディエチの砲撃の直撃を食らった使徒は消し飛び、セッテのブーメランブレードを受けた敵は、真っ二つになって地面に血溜まりを作った

 

だが、それでも使徒達は止まらない

 

まるで、自分達は捨て駒だと言わんばかりに命を捨てて駈けていた

 

その光景に、警官隊の一部が萎縮していた

 

命を捨てる光景に、怯えているのだ

 

「来るな……来るな……」

 

一人の若い警官は呟くように繰り返しながら、銃撃を続けた

 

『第三警官隊と代わって、第四警官隊は後退してください!』

 

「了解! お前ら、下がるぞ!」

 

ウーノからの通信を受けて、その若い警官が所属していた警官隊が後退することになった

 

だが、その警官は錯乱状態になっているらしく、後退せずに銃撃を続けていた

 

だが弾切れになり、弾倉交換しようとして、予備弾倉も無いことに気づいた

 

「しまった……弾が!」

 

「武田、前だ!」

 

弾倉が無いのに気づき困惑していると、隊長らしき人物がその警官に注意を促した

 

そして、その警官が前を向いたら、目前に刃を振り上げている使徒が居た

 

「っ……!!」

 

その警官が自身の死を予見した直後、その使徒の首が飛んだ

 

「あっ……あっ……」

 

その光景を見て警官が呆然としていると、その警官の襟首を蓮華が掴んで

 

「とっとと下がれ!」

 

と罵倒しながら、乱暴に投げた

 

「おらっ! そいつを連れて、さっさと行け! 後、そいつは医療班に引き渡せ!」

 

「了解、すまない!」

 

蓮華に言われて、若い警官を二人掛かりで引きずって下がっていった

 

「裕也! 警官隊に精神的にヤバい奴が出始めたぞ!」

 

蓮華がそう言うと、血糊を振って飛ばした裕也が

 

「予想してた。ウーノさん! 計画通り、第二防衛線まで下がります!」

 

と叫んだ

 

すると、通信ウィンドウが開いて

 

『了解! これより、聖王教会騎士団第二小隊と騎士ゼストを派遣します! 彼らと連携して、後退時間を稼いでください!』

 

と通達がきた

 

「了解! これより、後退戦を開始します!」

 

裕也はそう返答すると、刀を構え直して

 

「これより、第二防衛線まで下がります! 警官隊は先に後退を開始! 我々守護者部隊と聖王教会騎士団第二小隊が後退時間を稼ぎます! 負傷者が居る場合、装備を捨ててでも必ず連れて帰ってください!」

 

と号令を下した

 

「「「「「了解!」」」」」

 

裕也の号令を聞いて、各隊は行動を開始した

 

特に、警官隊は射撃を繰り返しながら、ジリジリと後退を開始

 

それを、到着した聖王教会騎士団第二小隊とゼストが支援を開始した

 

「ゼストさん!」

 

裕也が呼ぶと、一人の使徒を刺し貫いたゼストが近寄って

 

「防人、我々で一度切り込むぞ。後方撹乱を行い、後退時間を稼ぐ」

 

と提案した

 

「了解! 蓮華、神夜、聞いたな!」

 

裕也がそう言うと、近くで背中合わせで戦っていた二人が視線を向けて

 

「おうよ! いっちょ派手に暴れてやろうぜ!」

 

「承りました!」

 

と頷いた

 

「ウーノさん! 俺達はこれより、敵の中心に切り込んで後方撹乱を行います! トーレさんとディード、オットーを警官隊と騎士団の援護に!」

 

『了解、回します!』

 

『これより、クワットロの能力を発動させるのと合わせて、追加のガジェットを応援に向かわせる! 各員、データ共有で惑わされないように対応してくれ!』

 

ウーノに続いて、スカリエッティから通信が入った

 

クワットロの能力名はシルバーカーテンと言い、精密な幻覚を生み出すのだ

 

その精度は本物と見分けがほとんどつかず、下手したら味方すら惑わされるほどである

 

ゆえに、味方はゴーグルに戦術データリンクを映し出し、惑わされないようにするのだ

 

「「「「「了解!」」」」」

 

全員は返答すると、データ共有を行った

 

その直後、裕也達の目前に、夥しい数のガジェットや、裕也達の姿が現れた

 

裕也達はデータ共有でそれらが幻覚と分かっているが、使徒達は困惑したようで動きが止まった

 

「今だ! 切り込むぞ!」

 

「続けぇ!」

 

その隙を突いてゼストを筆頭に、裕也達は一気に切り込んだ

 

 

そして裕也達は、絶望的な事実を知る……


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