D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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クリスマス・パーティー 2日目 突撃・撤収・思い

「あんまり、ジロジロ見ないでくれる? 恥ずかしいんだけど……」

 

義之が見つめていたのに気付いた沢井は、顔を赤くして恥ずかしがる

 

「ああ、悪い……」

 

義之も同じように顔を赤くして、視線をそらした

 

今現在、教室内には義之と沢井だけである

 

さきほど、最後の客が帰ったためだ

 

そのため、義之は手持ち無沙汰になり、椅子に座って沢井を見ていたのだ

 

すると

 

「今は、あっちも一段落したところだから休んでましょう」

 

と、気付けば雪村が教室内に居た

 

その後方には、蓮華とアリサとすずかが居る

 

アリサは赤いビキニを着ており、すずかは紫色のビキニで腰にパレオを巻いている

 

「了解」

 

と、義之が返事をした

 

その時だった

 

ガラッ!

 

「動くな! 生徒会だ!!」

 

まゆきが強襲してきた

 

「な!?」

 

「そんな……、気付かれたなんて」

 

「うげぇ! まゆき先輩!?」

 

義之たちは慌てるが

 

「うーん、届出と違う出店内容に、値段設定の高額さ。これだけ揃ってると、幾らお姉ちゃんでも庇えないかなぁ?」

 

と、音姫も入ってきた

 

(バカな、生徒会のほうは裕也が情報操作している……筈?)

 

義之は、大量に入ってきた生徒会役員の後方に、何故かボロボロになっている渉を引きずっている裕也に気付いた

 

裕也「………」← あー、庇えないなーって顔

 

フェイト「………」← 額に手を当てている

 

(状況から察するに、渉が杉並関連に協力して、捕まり、吐いたってことか?)

 

(その通りだ。恨むなら、渉を恨め)

 

義之と裕也は、念話で会話をしている

 

「うーん、それじゃあ。とりあえず、先に処罰を下すとなると、まずは模擬店の即時中止、さらに撤収を行ってください。なお、これはもう1つの教室も同じです」

 

「「「「「「はい……」」」」」」

 

こうして、付属3年3組の模擬店、セクシー・寿司・パーティー

 

暗号名(コードネーム)SSPは、呆気なく幕を閉じた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

で、数時間後

 

付属3年3組は、裕也とフェイトと杉並を除き

 

全員廊下に正座していた

 

「体中がすっげー痛い……」

 

「ちくしょー、まさか気付かれるなんて……」

 

渉は、あれから10数分後に目覚めた

 

「申請とは違う出店内容に、あきらかに校則違反の姿での接客に値段設定。しかも意図的な情報操作まで……」

 

音姫はあまりの内容に頭が痛いのか、額に手を当てている

 

「まー、さっきの先生方の話を鑑みるに、あんた達の冬休みは無いのは決定だね」

 

「「「「「えー! そんなーー!!」」」」」

 

クラスメイト達は悲鳴を上げるが

 

「やかましい!! あんた達がやったのは、そんくらい大変な事だったのよ! むしろ、芳野学園長に感謝しなさい。学園長が説得してなかったら、もっと重かったんだから」

 

まゆきは、腕組みしながら言い放った

 

「あ、はいはいはーい!」

 

渉が何かに気付いたように、手を挙げた

 

「なによ板橋。一応言っておくけど、あんたが一番罪が重いんだからね?」

 

「なんで、裕也にフェイト、杉並は正座してないんだ?」

 

「それに関しては、まず杉並くんは、花火はきちんと安全策が実施されてましたし、安全も確認したので、不問にしました。裕也くんとフェイトちゃんは確かに、情報操作をしていたとはいえ、生徒会の仕事はまじめにやっていたので、同じく不問にしました」

 

裕也とフェイトは、気まずそうに顔をそらしていた

 

「ふっ、すまんなぁ、板橋。裏の裏の裏の、もう一つ裏をかかせてもらった」

 

杉並はそう言いながら、髪を掻き揚げた

 

「ちくしょー」

 

「それと、杉並くんが打ち上げようとしていた花火ですが、先ほど地域の方々に連絡して、もうすぐ打ち上げます」

 

音姫は腕時計を確認しながら宣言した

 

「よかったー、あれ、楽しみにしてたんだよなー!」

 

「楽しみね」

 

「うんうん、そうだね~♪」

 

すると、杉並が腕時計を見て

 

「ふっ、そろそろカウントダウンと行こうか、10」

 

音姫&まゆき「「9!」」

 

茜&杏&小恋「「「8!」」」

 

渉&蓮華「「7!」」

 

アリサ&なのは&はやて&すずか「「「「6!」」」」

 

ユーノ&アリシア「「5!」」

 

クロノ&エイミィ「「4!」」

 

ギンガ&スバル&ティアナ「「「3!」」」

 

義之&麻耶「「2!」」

 

裕也&フェイト「「1!」」

 

全員「「「「「0!!」」」」」

 

ドーン!  ヒューー……  パーーン!!

 

0の宣言と同時に爆発音が響き渡り、数瞬後には、空に色とりどりの花が開く

 

「わあぁ~!」

 

「綺麗ねー」

 

「ふふ、絶景…」

 

「うわー」

 

「わお」

 

「たーまやー!」

 

「かーぎやー!」

 

と、皆がそれぞれの反応をしていると

 

<ただいまをもちまして、第59回風見学園クリスマス・パーティーの一般開放を終了します。繰り返します、……>

 

という、放送が聞こえた

 

「それじゃあ、処分ですが。」

 

と、音姫は花火を背景に付属3年3組のクラスメイト達を見る

 

「弟くん、沢井さん、裕也くん、フェイトちゃんの4人を生徒会預かりとさせていただきます♪」

 

「「「「「え?」」」」」

 

何気に、爆弾が投下されている

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

クリスマス・パーティーが終了して、数10分後

 

「ふむ、終わったな…」

 

裕也は1人で、屋上に居た

 

すると

 

「裕也!」

 

と、声が聞こえたので振り向くと

 

「そーれ!」

 

と、フェイトは缶を投げた

 

「サンキュ」

 

裕也はそれを片目で確認すると、キャッチした

 

「それと、はい。クレープ」

 

フェイトは、手に提げていたビニール袋から紙に包まれたクレープを取り出して、裕也に手渡した

 

「ん、あんがと」

 

裕也は貰うと、背中をフェンスに預けてクレープを食べ始めた

 

フェイトも同じように、フェンスに背中を預けて裕也の隣で、クレープを食べ始めた

 

「ねぇ、裕也……」

 

フェイトは下を向きながら、裕也に聞く

 

「なんだ?」

 

裕也は上を向いている

 

「あとどのくらい……生きられるの?」

 

フェイトの声は震えていた

 

「わからないな、10年か、1年か、半年か……でも、長くは生きられないな」

 

裕也は淡々と告げている

 

「……なんで」

 

「ん?」

 

「なんで……そんなになってまで戦うの?」

 

フェイトは涙を滲ませながら、裕也を見る

 

「それはね、もう失いたくないからだ。俺は何人も守れなかった、救えなかった、助けられなかった。」

 

裕也の目に宿るは、悲しみの光

 

「だからな、せめて皆は守ると誓った。例え命に代えても」

 

そう呟く裕也の目に宿るは、決意だった

 

「嫌だよ……」

 

「え?」

 

「裕也が一緒に居ないと、嫌だよ!」

 

フェイトは涙を流しながら、頭を振る

 

「フェイト……」

 

裕也は、泣いているフェイトを見つめた

 

「裕也にだって、生きる権利はあるんだよ!? 辛い経験したから、幸せになる権利があるんだよ!?」

 

フェイトは裕也に抱きつく

 

フェイトが落とした缶が、中身をこぼしながら転がる

 

裕也は、手に持っていた缶とクレープを魔法で浮かべてフェイトを受け止める

 

「だけどな、俺は俺自身の幸せは望まない」

 

そう裕也が告げると、フェイトは勢いよく頭を挙げて、裕也を見つめる

 

「だったら、私が裕也の幸せを望む! 裕也を幸せにする!」

 

フェイトの瞳に宿るのは、強い決意だった

 

「なんで、そこまで?」

 

裕也は困惑した表情で聞く

 

「私ね…」

 

フェイトは顔を赤くしながら、裕也を見つめる

 

「裕也のことが好きなんだよ?」

 

それを聞いた裕也は、目を見開く

 

「フェイト……」

 

「裕也は、何時も私達を支えてくれて、しかも、守ってくれてた」

 

「だけど、俺のせいで、フェイトたちの両親を奪ってしまった……」

 

「そうだけど、裕也は両親だけじゃなくって、妹の美樹ちゃんまで……しかも、美樹ちゃんは操られて……」

 

「ああ、俺が殺した。だから、あれは俺の罪だ。いや、あれだけじゃない、俺は俺が殺した人たちの全ての罪を背負う、それしか、俺には…」

 

と、裕也が視線を逸らす

 

 

「だったら!」

 

フェイトは裕也の顔を両側から掴み、無理やり視線を合わせさせた

 

「私も一緒に背負う! 裕也にだけ背負わせない!」

 

フェイトは、そう宣言すると

 

「んっ!」

 

首筋に抱きついて、唇を重ねた

 

「んっ!?」

 

裕也は驚いて、固まった

 

そして、5秒間ほどキスして

 

「えへへ…、キス…しちゃった……」

 

と、顔を赤らめながら裕也を見つめる

 

「ふぇ、フェイト! いきなりなにを!」

 

裕也は(本人にしても)珍しく、顔を真っ赤にして、慌てている

 

「言ったでしょ? 私は、裕也が好きだって。だからね、裕也を支えたいの」

 

フェイトは手を後ろで組みながら、クルクルと回る

 

「フェイト……」

 

「恋する乙女は強いよ? 知ってた?」

 

フェイトは先ほどとは打って変わって、満面の笑顔だった

 

「そのようだな……」

 

裕也は微笑みながら、フェイトを見つめた

 

すると

 

「あ、雪だ……」

 

深々と雪が降り始めた

 

「本当だな………なぁ、フェイト」

 

「なに?」

 

フェイトは裕也が呼ぶと、回るのを止めて、裕也に近づく

 

「メリー・クリスマス!」

 

「うん、メリー・クリスマス!」

 

2人は、雪の中で手をつなぎ、踊り始めた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

少し時は戻り、場所は桜公園

 

「悪いな、委員長。今まで優等生で通してたのに……」

 

義之は桜公園の桜並木道を歩いていた

 

なお、隣には委員長こと、沢井麻耶が歩いていた

 

今まで、職員室で先生から説教されていたのだ

 

「今更、なに言ってるのよ」

 

沢井はそっけなく返事をした

 

「それに、私も結構楽しかったしね」

 

麻耶は思い出したのか、微笑む

 

「そう言ってもらえると、助かる」

 

しばらくの間、義之と沢井は無言で歩く

 

すると

 

「処分、どうなるのかしらね」

 

と、沢井が義之に尋ねた

 

「さぁなー、音姉がなんか考えてるみたいだけどわからん。多分冬休みに入ったら、連絡がくると思うぜ」

 

と、義之は適当に返事をする

 

「それもそうね」

 

沢井が返事をすると、また無言の時間になった

 

気付くと、T字路に差し掛かっていた

 

ここで、右に曲がると、沢井や裕也、フェイトたちが住む集合団地に行けて、左が義之の家の方角だ

 

「今日一緒にクリパ回れなくって、残念だったな」

 

義之はガードレールに腰を下ろして、沢井に話しかけた

 

「そうね。でも、昨日は楽しかったわ、ありがとうね、桜内」

 

「あれくらいだったら、幾らでも」

 

義之は沢井の言葉に手をヒラヒラさせながら、返事をした

 

すると

 

「ん? わぁ!」

 

と、沢井は上を見上げた

 

それに気付いた義之も、上を見上げる

 

「これは」

 

「雪ね」

 

大粒の雪が深々と降ってきた

 

「ホワイト・クリスマスね」

 

「そうだな。なぁ、委員長?」

 

「なにかしら?」

 

「メリー・クリスマス!」

 

義之の言葉を聞いた沢井は、しばらく義之を見つめると

 

「ええ、メリー・クリスマス!」

 

微笑みながら、そう告げた

 

 

 

PS

 

その頃、蓮華は……

 

「待て待て待て! なぜに水着になってる!? しかも、なんだその露出は!?」

 

蓮華の目の前には水着を着た神夜が立っているが、その露出が半端ない

 

「フフフ……あの小娘の水着を見といて、なにを慌ててるの?」

 

「だから、小娘って誰だ!? てか、会話が繋がってねぇぇぇぇぇ!!??」

 

蓮華は必死の逃亡を開始した

 

神夜は猛追を開始

 

結果は……蓮華がアリサの屋敷に逃げ込み、アリサに説教さえました

 

 

 

 

ここから、物語は一気に加速する


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