D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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生徒会の仕事

「見張り番お疲れ様。裕也」

 

フェイトが出店で買ってきた、フランクフルトを俺に渡してきた

 

「おう、サンキュ」

 

俺は受け取ると、早速口に運んだ

 

うむ、うまい

 

「で、どう?」

 

フェイトは、曲がり角から少し離れたドアを見る

 

「ああ、何人か出入りしたな。今は誰も居ない」

 

俺達が見張っているのは、非公式新聞部の部室だ

 

部室と言っても、奴らは非公式なために、あらゆる空き部屋が部室に変わる

 

そして、今回は俺達の見張っている部屋と言うわけだ

 

「やっぱり、今回はアソコだったね。まゆき先輩の言うとおりだ」

 

俺達はまゆき先輩に指示されて、部屋を見張っていたのだ

 

「だな。恐らく、そろそろ援軍が」

 

と、俺が言った時に、ポケットの中の携帯が鳴った

 

「連絡が着たな、包囲完了したか」

 

メールには、包囲完了

 

とだけ、書かれていた

 

「よし、潜入するぞ」

 

「うん」

 

俺が先にドアに近づき、鍵を開錠してから、中に入った

 

「暗いね」

 

「電気は点けるなよ、気付かれたらまずい」

 

「うん」

 

俺とフェイトは暗い中、部屋の中をいろいろ調べる

 

すると

 

「ねぇ、裕也。これなにかな?」

 

と、フェイトが机の上の紙を指差す

 

「む? 設計図だな」

 

それは、なにかの設計図だった

 

俺は、それをとりあえず携帯で撮影すると、まゆき先輩に送信する

 

「見た感じ、円筒形だね」

 

「ああ。しかも、台座まであるから、発射台かな?」

 

と、考えていると

 

ガチャガチャ!

 

と、ドアを開けようとする気配がした!

 

「隠れるぞ!」

 

「うん!」

 

とはいえ、準備室程度の狭い部屋に隠れる場所など、そんなにあるわけなど無く

 

結果

 

バタン!

 

俺とフェイトは、掃除用具入れに隠れた

 

「狭い……」

 

「仕方ないだろ!?」

 

俺とフェイトは、掃除用具入れの中で小声で叫ぶという離れ業を行った

 

すると

 

ガチャ!

 

と、ドアが開いて黒尽くめの奴が数人入ってきた

 

「3、いや4人だね」

 

「ああ、1人、身長的に杉並みたいなのが居るが、判別できないな」

 

すると

 

「ふぇ!?」

 

フェイトが珍しく慌てている

 

「どうした?」

 

「っ!」

 

フェイトは震える指で、1箇所を指差した

 

俺はそこを見ると

 

「虫?」

 

そこには、大体3,4cmくらいの虫が居た

 

カメムシかな?

 

すると

 

「ひっ! ひぅ!」

 

フェイトはジタバタし始めた、って、ヤバイ!!

 

「落ち着け、フェイト!(小声で)」

 

俺がフェイトを落ち着けようとした

 

その時だった

 

ブーン!

 

先ほどの虫が、こちらに向けて飛んできた

 

「ーーーーーっ!」

 

どうやら、フェイトの我慢も限界に到達したようで

 

「いやーーーーー!!」

 

と、掃除用具入れから飛び出してしまった

 

俺とフェイトは前転すると、一気に体勢を整えて

 

「「生徒会だ! 大人しくしろ!!」」

 

と、機先を制した

 

「「「「!?」」」」

 

俺とフェイトの声を合図に、包囲していた生徒会役員が一気に突入してきた

 

「とりあえず、その被り物を脱いでもらおうか」

 

と、俺が言うと

 

「ふっふっふ……」

 

ん? この声は……

 

「まさか……」

 

「はーっはっはっはっは!」

 

と、笑っていた奴は一気に黒マントを脱ぎ捨てた

 

そいつの正体は

 

「呼ばれてないけど、ジャジャジャジャーン!!」

 

(バカ)だった

 

「おい、もう脱いでいいのか?」

 

渉が脱いだのを皮切りに、他の奴らも全員脱いだ

 

こいつら、非公式新聞部でもなんでもない、軽音楽部の連中じゃねーか

 

「渉くん……なにしてるの?」

 

「ふっふっふ、俺はただの囮だ! さぁ、杉並の花火の発射まで、5秒前!」

 

なに!? 花火だと!?

 

「5,4,3,2,1! ドーーン!!」

 

シーーーン………

 

「あれ?」

 

渉が首をかしげた時だった

 

prrrr

 

「ん? 誰だ?」

 

俺の携帯が鳴った

 

「はい、防人です」

 

『あ? 裕也? さっきは大手柄! おかげで、杉並捕獲!!』

 

「おお!」

 

「やった!」

 

「マジで!?」

 

なんと!

 

『さっき裕也が送ってくれたのは、花火の発射台の設計図! 実は以前にもあいつ、同じような物を製作してたのを押収したことがあるのよ!』

 

なるほど

 

『そして、小山の大将はお高い所が好き!』

 

「ようするに?」

 

『奴さん、屋上に居たのよ』

 

「あ、なるほど」

 

確かに、屋上ほど花火の発射に適してる場所は無いな

 

すると

 

「さーてっと、これで杉並の要求は終わったし、クラスの模擬店は安泰だな!」

 

と、渉が逃げようとしたので

 

「待った」

 

俺は渉の首筋を掴んだ

 

「ぐえ!?」

 

(バカ)が変な声を出したが、気にしない

 

「クラスと杉並がなんだって? お前の言葉は携帯でまゆき先輩も聞いたから、言い逃れは出来んぞ?」

 

「えー、えっと……」

 

渉は視線を左右に流して、どう言い訳しようか考えていると

 

スル

 

「え? 縄?」

 

窓際に縄が垂れ下がってきた

 

すると

 

ダンッ!

 

と、誰かが、*ラペリングしてきた       *縄で屋上や、ヘリから降下してくること

 

それは

 

「板橋~、正直に話さないと……」

 

まゆき先輩だった

 

まゆき先輩は、拳を鳴らして

 

「ぬっ殺すわよ?」

 

笑顔だが、視線は笑っていない

 

「……えっと、模擬店で使用するネタを杉並が格安で提供する代わりに、この囮役を引き受けまして……」

 

こいつ、クラスを売ったよ

 

「よーし、聞いたね!? 全員付属3年3組に突撃!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

まゆき先輩を筆頭に、他の生徒会役員達は部屋を出て行く

 

「そんじゃ、俺はこれで…」

 

と、渉は逃げようとするが

 

そうは問屋が卸さない!!

 

「お前も来るんだよ!!」

 

俺は渉にバインドを放って、連行を開始する

 

「あー、やっぱり? あふーん……」

 

 

 

やれやれ、あんまり派手じゃないといいが……


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