D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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美夏危機一髪! (黒ヒゲじゃないよ!)&赤っ恥

「ふう、食った食った」

 

と、俺、桜内義之は『ちょっと、食いすぎたかな?』

 

と、思いながら学食を出て歩き、教室を目指していた

 

「ん?」

 

すると、どこからか、妙なアラームが鳴っているのが聞こえる

 

なんか、聞き覚えがあるような無いような・・・・

 

「あっちのほうか?」

 

俺は耳を澄まして音を聴きながら

 

音源に向かった

 

「この辺みたいだが・・・・」

 

音は階段付近が一番聞こえる

 

俺は階段付近を見回す

 

「ん、んん・・・・」

 

見ると、誰かが倒れていた

 

「あ、おいおい…大丈夫か・・・」

 

俺は慌てながら倒れていた女生徒に近づき、助け起こした

 

「んん・・・・」

 

「天枷・・・・」

 

お前かよ・・・

 

女生徒は天枷だった

 

「一体、どうしたんだよ。天枷?」

 

俺は支えながら聞いてみる

 

すると

 

「ば、バナナ・・・・」

 

は?

 

「ばなな? あ、そうか、バナナか」

 

どうやら、バナナミンが切れかけているようだ

 

「お前、今、バナナを持ってないのか?」

 

「きょ、教室のバッグ・・・」

 

教室か

 

たしか、天枷は由夢と同じクラスだったな

 

ここからはちょっと遠い

 

だったら、学食に一旦戻って、なんか仕入れてきたほうが良さそうだ

 

「ちょ、ちょっと待ってろ。すぐ持ってくるから。そこ、動くなよ?」

 

「す、すまん・・・」

 

俺は天枷に念を入れてから、学食に向けて走り出した

 

え、えーと、バナナ、バナナ・・・・

 

俺は学食に到着すると、周囲を見回した

 

「あったよ、おい・・・・」

 

学食に、幸運なことにバナナが売っていた

 

イッツ・ミラクル!

 

『バナナはおやつに入りません!』

 

等と書かれたポップが飾られている

 

(どうでもいいわ!)

 

俺は一目散に券売機まで近づき、『今日のフルーツ』と書かれたボタンを押した

 

再び踊り場にたどり着くと、例の警告音が早くなっていた

 

「あ、天枷、バナナ買って来たぞ。ほれ、食え」

 

「さ、桜内・・・・」

 

うお、動けないくらいヤバイのかよ!

 

俺は急いでバナナの皮を剥いてやると、天枷の口元に差し出した

 

「すまない・・・・」

 

天枷は謝ると、バナナを咀嚼し始めて

 

「・・・・・・・」

 

天枷は一心不乱にバナナを頬張り、そして飲み込んだ

 

すると、途端に、天枷の腕輪からの警告音がピタリとやんだ

 

「うう、マズい・・・・」

 

天枷は唸るように言うが

 

「文句言うな、折角買ってきてやったのに」

 

「マズいものをマズいと言って、何が悪い」

 

と、天枷はプイとソッポを向く

 

「まぁ、いいけどね」

 

無事なら

 

「まぁ、そのなんだ。すまなかった、ありがとう」

 

天枷は、視線を逸らしたまま礼を言った。

 

天枷は俺に対して邪険な態度を取るが、こういうところは礼儀正しい。

 

厳しくしつけられたか?

 

「バナナ代は、あとで支払うからな」

 

「はいはい」

 

俺は天枷の律儀な態度に少し、笑ってしまった

 

「な、笑うな。なにがおかしい?」

 

「別に笑ってないって」

 

「嘘をつくな! 今確かに笑っていたぞ!!」

 

「だから、笑ってないって」

 

「そんなに美夏が滑稽か!? 嫌いなものを食べないと生きていけない美夏が、そんっなに滑稽かぁ!?」

 

いや、確かに笑ったかもしれんが、それが理由で笑ってないから・・・・

 

俺が内心、どうしようか思っていたら

 

「あら、桜内・・・」

 

 

俺達は言い合いしていたところへ、委員長があらわれた

 

「わ、わぁ・・・・」

 

「い、委員長・・・・。どうしたんだ、こんなところで・・・・」

 

「ううん、なんかこっちの方で変な音がしたから」

 

「へ、変な音?」

 

ヤバイかも・・・・

 

「うん。ピコーン、ピコーンって、変なアラーム音みたいな音が・・・」

 

まずいな・・・・

 

妙な詮索されたらやっかいだ。ここは適当にごまかすとするか・・・・

 

「き、聞いたか、天枷?」

 

(ごまかせ!!)

 

(わ、わかった!)

 

「い、いや。美夏は知らんが・・・・」

 

「嘘、確かに聞こえたのよ。警告音みたいなのが」

 

そう、言いながら委員長は周囲を見回して

 

「こっちじゃなかったのかしら?」

 

「・・・・・・」

 

(なんとかしてくれ!)

 

天枷から悲鳴じみた念話が聞こえて

 

(任せろ!)

 

俺も念話で返事しながらうなずいた

 

「あ、そーだ、委員長!」

 

「へ?」

 

俺は、委員長に近づいて、その肩に腕を回した

 

「俺、委員長に聞きたいことがあったんだった~」

 

「な、何よ・・・・」

 

すまんが、このまま連行する!!

 

「ここじゃまずいから、ちょっとこっちに来てくれよ」

 

俺は委員長の肩を抱きながら、自分(・・)教室(・・)へ向かった

 

「じゃーな、天枷。俺、ちょっとこいつと話があるから、失礼するわ!」

 

俺はシュタッと右手を挙げながら言った

 

「あ、ああ。じゃあ、またな!」

 

俺は天枷にウィンクして、その場を立ち去った。

 

(今のうちに逃げとけ)

 

(桜内、すまない・・・・)

 

(いいってことよ・・・)

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

俺はそのまま委員長を無理やり、俺達の教室前まで連れてきた。

 

ここまで連れてくれば大丈夫だろ・・・・

 

(ふぅ、冷や冷やさせやがって・・・・)

 

「ちょっと・・・・」

 

委員長が顔を真っ赤にして俺に抗議してきた。怒り心頭ってところか?

 

「え? ああ、悪い悪い、聞きたいことってのはさ~」

 

さて、どうするか・・・

 

なにも考えてないんだが・・・・

 

「桜内・・・・あんた、いつまで私の肩、抱いてるつもり?」

 

「へ?」

 

俺は、今の自分の状況を再確認する

 

現在地は? ここは、3年の教室ばかりの廊下です

 

体勢は? 俺の左手は今、委員長の肩に回ってます、更に体はある意味、密着したままです

 

「え、えーっと・・・・」

 

教室内からはクラスメイト達が好奇の目で俺達を見ている

 

そして、よく見れば、委員長の顔は真っ赤です

 

怒りだけじゃないよね、この状況は・・・・

 

「わぉ、義之くんってば大胆♪」

 

 

「ふふ、いいトコ見ちゃった・・・」

 

はい、俺、オワタ

 

「・・・・・・・(顔真っ赤)」

 

「あ、あはははは・・・・」

 

こ、これは、誤解を解くのにかなりの時間を使いそうだなー

 

ガラッ!

 

「あ、裕也にフェイト。それに、蓮華」

 

教室のドアが開き、そこにはようやく三角巾が取れた裕也とフェイト、それに蓮華が居た

 

「義之、委員長と大胆に逢引か?」

 

な!?

 

「(ボソリ)私は裕也にしてほしい・・・・」

 

なんですか? 聞こえなかったが・・・

 

「おーおー、大胆だな義之!」

 

蓮華……お前、楽しんでるだろ?

 

「蓮華……」

 

「げぇ!? 神夜!? お前、何時の間に!?」

 

気付けば、神夜が蓮華の背後に居た

 

「ふふ……何時からでしょうね? 蓮華、私は何時でもいいですよ?」

 

「待て、なんの話だ!? そして、迫るんじゃねぇ!」

 

「ふふふふ………蓮華」

 

「来るんじゃねぇぇぇぇぇ!!」

 

蓮華………ざまぁ

 

「あぅ・・・・・」

 

さて、この状況。どうしよう・・・・・・

 

 

 

 

 

 

俺はこの状況を打破するのに気付けば放課後までかかっていた・・・・・

 

 

 


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