D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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準備と模擬戦。そして………

12月18日土曜日

 

本来なれば今日は休日、家で寝てるかキャロとエリオの宿題の手伝いやバイトをやっている日だ。

 

しかし、俺たち付属3年3組は全員教室に集合していた、・・・・約1名を除いて・・・

 

「桜内・・・・」

 

「沢井よ。頼むから、その雰囲気を消してくれ」

 

俺、防人裕也は背後に阿修羅すら凌駕する存在の雰囲気を出している我らが委員長の沢井麻耶《さわいまや》に言った。

 

そして、なぜここまで沢井が悪鬼羅刹みたいな気配を出しているのかというと

 

「義之、絶対忘れて寝てるね・・・・」

 

そう、義之がまだ来ていないのだ。沢井が義之に1分おきに電話をかけているのだが

 

(義之よ、頼む。早く来てくれ・・・・)

 

先ほど渉が机で寝ていたら、そのままご臨終にされた・・・・

 

「・・・・・・」

 

「ふむ、反応がない、まるで屍のようだ」

 

「それはシャレにならんぞ?」

 

俺は、思わず杉並に突っ込みを入れた。

 

「あははは・・・」

 

フェイトは苦笑いしか出来ないようだ。

 

 

そして、始まって数十分後

 

「悪い悪い。遅くなった」

 

義之がようやく到着したようだ。

 

「・・・・・」

 

(渉よ・・・・)

 

俺は、未だに沈黙している渉を見ることしか出来なかった。

 

「ったく、桜内は。・・・・何回電話したと思ってるの!?」

 

俺が数えてた限りだが、20は行ってたな。

 

「申し訳ない・・・・」

 

義之は渉を見てから、申し訳なさそうに言った。

 

「ぐお・・・」

 

ようやく再起動したか・・・

 

そして、義之も机に着席したので、ようやく準備は始まったのだった。

 

 

「沢井よ、俺とフェイトはすまないが生徒会に向かうぞ。まぁ、ある程度は情報操作するが、あまり派手にやるなよ?」

 

「ええ、わかったわ。お願いね」

 

「非常要員とはいえ生徒会なのに、いいのかな・・・」

 

「フェイト、いい加減諦めろ」

 

「うぅ・・・」

 

俺とフェイトは、そのまま生徒会室に向かった。

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「すいません、遅れました」

 

「すいません」

 

俺とフェイトが生徒会室に付くと、そこには主要な生徒会役員と意外な人物がいた。

 

「芳野学園長、おはようございます」

 

「おはようございます」

 

俺たちの目の前に居たのは金髪で小柄な、ここ風見学園の学園長の芳野さくらさんがそこにいた。

 

相変わらず小さいし、若い、いや若すぎる。

 

見た目は完璧、小学生だぞ。

 

「ん? なんか今、失礼なこと考えなかった?」

 

「気のせいです」

 

危ない!! 勘の鋭い人だ!

 

「まぁ、いいや。僕は仕事が残ってるから、音姫ちゃん後頼んだよー」

 

さくらさんは、タッタカターと去っていった。

 

「はーい、じゃあ裕也くんにフェイトちゃん紹介するね。今日新しく生徒会に入った子だよ」

 

音姫さんはそう言いながら、自身の右側に立っていた金髪の女の子を手で示した。

 

「あ」

 

「あ」

 

「あ」

 

3人揃って間抜けにも「あ」って言ってるし

 

「なに? あんた達知り合い?」

 

まゆき先輩が面白そうって表情で、聞いてきた。

 

「ええ、先日ちょっと」

 

「はい」

 

「ええ」

 

「ふーん、あ、名前はエリカ・ムラサキちゃん。なんでも、東欧の国のお姫様なんだって」

 

「気にしないでください。ここに居るからには、一生徒として過ごしたいのです」

 

エリカ嬢はそう言った。

 

「そうか。ああ、俺の名前は防人裕也だ。好きに呼んでくれ」

 

「私は、フェイト・T・ハラオウン」

 

「よろしくお願いしますわ」

 

俺たちはお互いに挨拶してから、握手した。

 

「裕也とフェイトちゃんは非常要員だから、正式な生徒会役員じゃないけどね」

 

「非常要員?」

 

エリカは不思議そうに俺とフェイトを見た。

 

「そ、裕也はバイトもやってるからね」

 

「私は家の手伝いがあるから」

 

それを聞いたエリカは俺に顔を向けて

 

「バイトって、そんなことよりも生徒会に集中すべきではありませんの?」

 

すこし怒った表情で言ってきた。

 

「俺には親が居ない。しかも、子供を引き取って育ててるから養育費が必要なんだ」

 

エリカはそれを聞くと、驚いた表情をした。

 

「親が居ないって、・・・・まさか・・・」

 

「想像にお任せしよう」

 

俺はあっけらかんと言った。

 

のだが

 

「すいません、知らなかったとはいえ失礼なことを・・・」

 

エリカは申し訳無さそうに俯いた。

 

「かまわん、慣れている」

 

「まぁ、以後気をつければいいよね?」

 

「ええ」

 

「ありがとうございます」

 

そう言って、お互い握手したタイミングで音姫が手を叩き

 

「それでは各員の担当ですが、まず裕也くんとフェイトちゃんは自分のクラスをお願いします」

 

「「はい」」

 

よし、これで情報操作ができる。

 

そうして、次々と担当が発表されていった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

そうして、担当と以後の作業が発表及び配分された後だった。

 

「ねぇ、裕也くん。エリカの実力を把握したいから、模擬戦をお願いしていい?」

 

まゆき先輩がそうお願いしてきた。

 

「俺が、ですか?」

 

「そ、やっぱりここは、学園最強にお願いしようかなって♪」

 

それを聞いたエリカは、驚いた顔をしてまゆき先輩に迫り

 

「学園最強!? 彼がですか!?」

 

「そうなの、決勝戦でまゆきも負けたの」

 

それを聞いたエリカは、更に驚いた表情をして裕也を見ていると

 

「すまん、遅れた」

 

「「「遅れました」」」

 

ドアを開けて入ってきたのは、アースラの隊長のクロノ・ハラオウン先輩を筆頭に、ギンガ・ナカジマさん、その妹のスバル・ナカジマ。そして、スバルの相棒を務めるオレンジ色の髪のツインテールが特徴の少女のティアナ・ランスターだ。

 

「そういえば、クロノとギンガも負けたよね?」

 

「いきなり何の話だ? そして誰にだ?」

 

まゆき先輩の質問に、クロノさんが頭上に?マークを出していると

 

「ほら、6月にやった魔法大会だよ。お兄ちゃん」

 

フェイトが補足して説明すると、ああと納得した表情をして

 

「確かに裕也に負けたな、僕は準決勝で負けたな、それとフェイトお兄ちゃんはよせ? もういい年だぞ、僕たちは」

 

「兄妹なんだから、気にしない」

 

「やれやれ・・・」

 

それを聞いていたギンガさんは、苦笑しながら

 

「私は3回戦で負けましたね」

 

「・・・・本当なのですね・・・」

 

エリカは驚きながらも、事実を受け入れたようだな

 

「で、どうするの? やるの?」

 

まゆき先輩は俺とエリカを交互に見ている。

 

「俺は別に構いません」

 

「私もです」

 

それを聞いたまゆき先輩は、満足そうにうなずくと

 

「それじゃあ、生徒会全員、今からグラウンドに集合ね?」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

今ここに、俺とエリカの模擬戦が決定した。

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

第3者side

 

約5分後

 

生徒会役員は全員、グラウンドに集合していた。

 

そして、グラウンドの高台には野次馬で一般生徒も見学している。

 

「両者バリアジャケット展開!」

 

まゆきはグラウンドの中央に立っている二人から離れた場所で大声を出して指示を出した。

 

「「はい!」」

 

二人は同時に返事をすると

 

「阿修羅セットアップ!」

 

裕也は右手を前に突き出し

 

「ヘキサ=ペンタ、セットアップ!」

 

エリカは右手の中指に填めていた指輪を見せる

 

<承知!>

 

<はい!>

 

次の瞬間には、バリアジャケットが展開していた。

 

「勝負は簡単。どちらかが降参するか、戦闘不能の時点で終了とします!」

 

まゆきは確認するように、二人に言う。

 

「「はい!」」

 

まゆきは、二人が返事したのを確認すると

 

「勝負開始!」

 

「私が奏でる円舞《ワルツ》で踊りなさい!」

 

エリカは始まると同時に、自分の周囲に10数個の魔力弾を形成する。

 

「魔力弾、アクセル・シューターか!」

 

裕也はすぐに、攻撃方法を特定した。

 

 

アクセル・シューター、現在最も普及している誘導弾魔法で、使い手の実力によっては数が増えて、全て別行動制御が可能な魔法だ。

 

 

「シュート!!」

 

10数個の魔力弾は、裕也に向けて複雑な機動を描きながら迫る。

 

「この程度!!」

 

しかし、裕也はその魔力弾を全て両手に持っていた刀で弾いた。

 

「まさか、全部弾くなんて!」

 

「はっ! なのはのに比べたら全然弱い!」

 

裕也はそう言うと、刀を構えなおし

 

「さて、円舞《ワルツ》は踊れないが、剣舞《ブレイドダンス》なれば一曲披露しよう!」

 

裕也は二本の刀を交差するように構えて

 

「防人裕也、推して参る!!」

 

一気に前に飛び出した

 

<ソニック・ムーブ!>

 

その瞬間には、文字通り”消えた”

 

「っ!」

 

エリカは首筋に悪寒が走った瞬間、六芒星のビットを外し、鎌のような魔力刃を形成して後ろに刃を回した

 

ガギン!!

 

その瞬間には、裕也がその場所に居た。

 

「ほう、防いだか、なかなかやるな」

 

(グラーマが教えてくれなかったら、危なかった!)

 

しばらく鍔迫り合いが続くと、裕也は距離を取った。

 

「阿修羅、カートリッジ・ロード!」

 

<承知!>

 

裕也が両手に持っている刀の峰の機構部分がスライドして、薬莢が排出された。

 

すると、両手の刀の刀身に黒い焔が吹き出た。

 

「魔力の焔への変換資質!?」

 

エリカは焔を見て驚いている。

 

「黒龍閃斬!」

 

裕也は距離が離れてるにも関わらず、二本の刀を交差させながら振った。

 

すると、黒焔は十字でエリカに飛んでいく。

 

「くっ!」

 

<プロテクション!>

 

エリカの前に、円形の障壁が展開されて黒焔を防いだ。

 

「グラーマありがとう」

 

<いえ、しかし彼は強いですね>

 

「ええ、学園最強というのもデタラメではなさそうですわね」

 

「来ないのか? ならば、こちらから行くぞ?」

 

裕也は刀を突き出した状態に持つと

 

「阿修羅、モードツインガン!」

 

<承知! イクスプロージョン!>

 

二本の刀の峰からまた薬莢が排出され、刀身が鍔《つば》の根元で曲がり、刀身が厚くなり、刃先が割れて中から筒が現れた。

 

そして、銃身になった刀身の刃の部分が前にせり出した。

 

「刀が銃に変わった!?」

 

<変形機構ですよ、お嬢様>

 

驚いているエリカを、グラーマが諭していると

 

「阿修羅、カートリッジ・ロード!」

 

<承知! イクスプロージョン!>

 

薬莢が廃莢されると、銃身に今度は黒い雷が発生してバチバチと鳴っている。

 

「今度は電?!」

 

<一体なぜ!?>

 

エリカとグラーマは驚いている。

 

「俺の希少技能《レアスキル》は、魔力の全属性への変換なんだよ!」

 

裕也は叫びながら銃を構える

 

「黒龍咆哮波!!」

 

黒電が龍の形をかたどって、エリカに迫る。

 

「グラーマ!」

 

<はい、ビット展開!!>

 

エリカの周囲に散開して浮遊していたビットがエリカの前に展開して、6角形のバリアーを発生させて裕也の一撃を防いだ

 

「鎖鎌展開!」

 

<はい!>

 

杖の先端に形成されていた魔力刃が離れて、杖と刃の間に魔力で鎖が形成されて繋がった。

 

「ほう、阿修羅、モード野太刀」

 

<承知、イクスプロージョン!>

 

裕也の両手に握っていた銃は刀に戻り、裕也が両手を合わせると1本の長い刀になる。

 

そして、その刀を左手に持ち右手は柄の辺りに半分開いて待機させ、左手の親指は鍔に当てた

 

足は右足を前にして、体は半身の状態にさせた。

 

「あの構えは?」

 

「居合い抜きの構えだね。でも、裕也くんは2刀流のほうが得意のはずだけど・・・」

 

フェイトの質問に、音姫は答えつつ疑問に思っていると

 

「知らなかったすか? 裕也は居合いも得意なんすよ?」

 

それに答えたのは、生徒会に所属しているウェンディだった。

 

(もしかして、あの技を使う気っすか?)

 

ウェンディは内心で心配だった

 

「エリカよ、俺が今から使う技は俺の居合いの技では最速かつ最強の技だ、阿修羅!」

 

<承知、イクスプロージョン!>

 

薬莢が排出されると、裕也が体に纏っていた魔力が跳ね上がる

 

「行きます!!」

 

エリカは裕也に肉薄した

 

その瞬間だった

 

「瞬華千斬!!」

 

裕也とエリカの体が交差する、

 

お互い技を放った状態で、固まった

 

裕也の肩の装甲が壊れる

 

そして裕也は、振りぬいた刀を左手に持っていた鞘に収めた

 

その瞬間、エリカのバリアジャケットが弾けた。

 

そして、エリカは倒れた、

 

 

「裕也!?」

 

何故か、裕也も倒れた

 

「やっぱり!」

 

「くそ!」

 

ウェンディとクロノは、すばやく裕也に駆け寄った

 

エリカにはまゆきが駆け寄って、無事を確認している

 

「ちぃっ! 出血してる! 担架!」

 

クロノは裕也の左脇から出血を確認すると、大声をだして担架を呼んだ。

 

「なんで、怪我してるの!? 非殺傷設定が外れてたの!?」

 

フェイトは原因が分からないのか、混乱している

 

<非殺傷設定は外れてません、原因は分かりません>

 

グラーマは設定を確認してから答え、同じく混乱している

 

「裕也は、治りきってない傷が開いたんすよ!」

 

ウェンディは治療しながら叫んだ

 

「ウェンディ!!」

 

「しまった!?」

 

クロノがウェンディの発言を諌めると、ウェンディはしまったという表情をして口を押さえた。

 

「治りきってない傷って、どういうこと?」

 

まゆきは、クロノとウェンディを睨みながら聞いた

 

「・・・・・」

 

「それは・・・・」

 

クロノとウェンディが、言いずらそうにしていると

 

「・・・ガーディアンが関係してるの?」

 

フェイトが恐々と聞いた

 

「っ!?」

 

「どこで聞いたんすか!?」

 

クロノとウェンディは、驚きながらフェイトを見た

 

「保健室前の廊下を通りかかったら、偶然聞こえたの。裕也と水越先生の会話が・・・」

 

フェイトは、信じたくないと思いながら言った。

 

「ガーディアンって確か、今全世界で動いてる犯罪者狩りの武力団体だよね?」

 

「確か、ICPOの下部組織だっけ?」

 

まゆきと音姫が、思い出すように言った。

 

 

 

守護者《ガーディアン》

 

ICPOと聖王教会が共同で立ち上げ、さらに全国の警察機関も協力して生まれた一大武力団体だ。

 

ただし、規模や人数、誰が所属しているかなど一切謎で、実在しているのかも疑問視されている団体でもある

 

 

「そうだ。そして、ガーディアンは実在して、裕也はその一員だ・・・」

 

クロノは、言いにくそうに俯きながら喋った

 

「クロノさん!?」

 

ウェンディは驚きながらクロノを見た

 

「仕方ないだろ・・・いつかはバレる、だったら早いほうが良い・・・」

 

「そうかもしれないっすけど・・・」

 

クロノとウェンディが話し合ってると

 

「やれやれ、クロノ。厄介なことを言ってくれたわね?」

 

「それを喋るのは、いささか早計だ」

 

声のした方向に全員振り向くと、そこに居たのは片方は件の水越先生と

 

ポニーテールにしてるピンクの髪が特徴の女性だった。

 

「水越先生、それにシグナムまで・・・」

 

「は~い♪」

 

「学校では先生と呼ばんか・・・しかし、裕也はやはり無理していたか・・・」

 

シグナムは裕也の近くにしゃがみ、傷を確認しながら言った

 

「さっきスカリエッティ先生に連絡したから、今から私が車で運ぶわ」

 

「わかった、お前達は通常シフトに戻れ!」

 

シグナムは手を叩きながら、大声を出した

 

「シグナム!」

 

フェイトは真剣な表情で、シグナムを見つめた

 

「・・・・終わったら、スカリエッティの診療所に行け。話しは通しておく・・・」

 

シグナムはフェイトに耳打ちして去った。

 

 

 

そして、クラスメイトにはシグナムが教えたのだった。

 

 


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