D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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新しい出会い A・M編

義之side

 

む、ようやく俺か・・・

 

俺は、昼休みのチャイムと同時に背筋を伸ばした

 

「くぁ~」

 

と俺が、あくびをしてたら

 

「どうだ桜内。一緒にメシでも」

 

振り返ると、杉並がイヤラシイ笑みを浮かべて立っていた

 

「俺は別に構わんけど、渉はどうするよ?」

 

俺は、机に突っ伏している渉に声をかけた

 

「あー、俺はパスパス。2人で蜜月の時間を楽しんできてくれ」

 

と渉は、手をひらひらさせた、ってか嫌な言い方すんな

 

「ふむ、それではふたりきりの甘いランチへしけこむとするか」

 

「気持ち悪いこと言うな」

 

一瞬、鳥肌がたったじゃねーか

 

「なるほど、このカップリングはありかもね」

 

「だよね~。なんか色々といけない想像が・・・。ねぇ、小恋ちゃん?」

 

「ふぇ! な、なんでわたしに聞くの!?」

 

「だって小恋ちゃん、そういうの好きじゃない」

 

「そんなことないよ~」

 

「自分の欲求に素直になる。それが1番よ、小恋」

 

「だ、だから~、違うってば~」

 

後ろのほうで、勝手にキャッキャと盛り上がってる雪月花3人組

 

アホか

 

「で、どこ行くよ? 学食か? 購買か?」

 

俺は杉並に問いただした

 

「ふふふ・・・。まぁ、黙ってついて来い。とっておきの場所に招待しよう」

 

にやりと笑って、すたすたと教室を出た杉並

 

「しゃーねーな」

 

俺は杉並を追った

 

「で、どこまで行くんだよ?」

 

俺は上履きから靴に履き替えながら聞いた

 

「なぁに、ちょっとそこまでだ」

 

そう言った杉並の後を着いて行き

 

校門を出ていった

 

 

義之sideEND

 

 

裕也side

 

俺は、フェイトと一緒に弁当を食べていた

 

「ふむ、相変わらずリンディさんは料理上手だな」

 

俺は、リンディさんが作った弁当を素直に賞賛していた

 

「(ボソリ)うーん、今度は私が作ってみようかな?」

 

「なんか言ったか?」

 

「う、ううん! 別に!!」

 

「そ、そうか」

 

俺は、フェイトの珍しく強い語気に少し驚いた

 

「しかし、義之と杉並は一体どこに行ったんだか」

 

義之たちは、昼休みが始まると同時に教室を去ったきりだ

 

とその時、ポケットの携帯が震えた

 

「む? 一体だれだ?」

 

俺は、携帯を開いて画面を見た

 

「水越《みずこし》先生?」

 

水越先生とは、本名を水越舞佳《みずこしまいか》と言い、保健室の先生だが、本業は天枷研究所の研究員なのだ

 

「(ピ!)はい、防人です」

 

『あ、裕也君? 今いい?』

 

「はい、丁度弁当も食べ終わりましたし」

 

俺は携帯を肩で抑えながら、弁当を片付けていた

 

『よかった、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど、いい?』

 

俺は時計を見た、ふむ、まだ時間的にも余裕があるな

 

「はい、構いませんよ?」

 

『よかった。じゃあさ、今から校門のところに来てくれる?』

 

「分かりました、少し待ってください」

 

そう言って俺は携帯を切った

 

「水越先生なんだって?」

 

フェイトが俺に聞いてきた

 

「なんでも、手伝ってほしいことがあるんだとよ。ちょっと行ってくる」

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

俺は、教室を出て校門に向かった

 

そして、校門に着くと

 

「よし、来たわね?」

 

そこには、タバコ(無着火)をくわえた白衣を纏った女性が居た。この女性が水越舞佳先生だ

 

「どうしたんですか?」

 

俺は呼び出した用件を聞いた

 

「ん~? ちょっと立ち入り禁止の場所に誰かが入ったみたいでね、戦力が欲しいのよ」

 

「なるほど、了解」

 

俺は了承した

 

「それじゃ、着いてきて?」

 

俺は水越先生に着いて行った

 

 

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

桜公園を抜けて、道なき道を歩き密林を越えたら俺の目の前に洞窟が見えた

 

「ここは・・・・」

 

「ここは”ある存在”を封印していたの。うーん、バリケードあった筈なんだけどな~」

 

そう言いながら、水越先生は洞窟内に入っていった

 

 

 

 

裕也sideEND

 

 

 

義之side

 

俺達の目の前には女の子が眠っているカプセルがあり、そして先ほど俺の膝がそのカプセルの横にあったス

イッチを押してしまった。

 

すると、洞窟内にピコンピコンと電子音が鳴り響いた

 

「どうするよ?」

 

「ふむ。まぁ、押してしまったものはしょうがない。なるようになるだろ」

 

「ずいぶん軽いな」

 

「深刻になったところで、どうしようもあるまい」

 

確かにね

 

「なんだと思う? これ」

 

俺は指差しながら聞いた

 

「さあな。まぁ考えられるとすればー」

 

とその時、電子音が止まった

 

「考えられるとすれば?」

 

「こういうことだな」

 

俺は、杉並の視線を追ってカプセル内の少女を見た

 

そして、ガッチリと視線が交錯した

 

「なるほどね」

 

予想通りの結末。

 

少女は俺を睨みつけていた。

 

そして何故か、拳がプルプルと震えている

 

そして、体を起こした。

 

しかも勢いよく

 

ゴーン!!

 

「あがっ!!」

 

「・・・・」

 

まぁ、そうなるわな

 

「・・・・」

 

いい音が鳴り響いた。

 

おかげで、神秘性が一瞬で吹っ飛んだよ

 

ガラスの蓋がビリビリと震えている

 

「き、貴様っ! 謀ったな!!」

 

いや、なにも謀ってないです

 

「・・・・てか、俺のせいか?」

 

「ふむ、難しいところだな」

 

いや、どうみても俺のせいじゃないと思うんだけど。

 

と少女が、中でなにかしらの操作をすると。

 

ウィーンとモーター音がしながら蓋が開いた

 

「ちっ!」

 

少女は上半身を起こすと同時に、盛大に舌打ちした

 

おでこが赤く染まっている

 

「あの、大丈ー」

 

「貴様か?」

 

「な、なに?」

 

「貴様が美夏を起動したのかと聞いている」

 

「起動だと!? と言うことはもしやっ!」

 

杉並が驚きつつ、どうやらこの子の正体に気付いたようだ

 

「部外者は黙っていろっ!」

 

杉並を少女は鋭く一喝した

 

「む、むぅ」

 

「なぜ、美夏を起動した? なにが目的だ?」

 

感情を抑え込んだ低い声。

 

明確に敵意を持った視線。

 

ぴんと空気が張り詰めていく。

 

いや~偶然です~。

 

たまたま興味本位で洞窟に入り、屈んだ拍子に膝がぶつかって起動しちゃいました~。

 

そんなことを言ったら、間違いなく殺されちゃいそうな雰囲気だ。

 

ここは慎重に言葉を選ばないとー

 

「ふっ、ただの偶然だ。屈んだ拍子にこいつの膝が起動スイッチを押しただけだ」

 

「バカかお前はっ!」

 

思わず叫んだ、って、声裏返ってるし

 

「なにをバカ正直にー」

 

「・・・そうか。膝が・・・ね?」

 

俺もバカか!

 

後悔しても後の祭りだった

 

少女はゆっくりと身体を起こして、カプセルから降り立った。

 

「・・・偶然に・・・だと?」

 

少女は伸びをしながら、首をこきこきと鳴らした。

 

そして身体を半身に構え、ぐっと拳を握り締めた。

 

「・・・ふざけたことを」

 

ヤバい!

 

「ちょ、ちょっと待ったぁ! 落ち着いて話そう、な? な?」

 

「人間風情と同じ時間を共有しなければならないと考えるだけで・・・・虫唾が走る」

 

「そ、その、勝手に起動したことは謝るよ、ごめん。でも暴力ではなにも解決しないと思うぞ、ほら、杉並もそう思うだろ?」

 

俺は一縷の希望に縋る思い(不本意だが)で、杉並に声をかけた

 

「すまない。部外者は黙っていないと怒られてしまうもんで、その件に関してはノーコメントとさせてくれ」

 

こ、この野郎!!

 

「覚えておけ。美夏はこの世界で嫌いなものが2つだけある、1つはバナナ。そして、もう1つは・・・人間だ!」

 

ぐいぐいと、にじり寄ってくる少女。

 

「美夏はずっと眠っていたかったのだ。それを無理やりたたき起こした挙句、偶然だと? それで済まされると思っているのか。これだから人間ってやつはっ!」

 

少女は大きく右拳を振り上げる。

 

いやだから、暴力はいけないってぇ!

 

「食らえっ!」

 

風を切る音。

 

眼前に拳が迫った瞬間だった

 

ダン!

 

と音が聞こえて、拳が止められた後少女は押し倒されて、その首筋に刃が当てられた

 

「そこまでよ!」

 

鋭い声が響き渡った

 

「な、なに!?」

 

「俺の親友に手ぇ出そうとは、いい度胸だな? 死ぬか?」

 

「どうやら間に合ったようね」

 

どこのどなたか知りませんが、ありがとうございます!

 

「HMーA06型、ミナツね?」

 

俺は抑えてくれた人物と声の人物を見て驚いた

 

「裕也に水越先生!?」

 

それは、保健室の水越舞佳先生と親友の裕也だった

 

水越先生の背後からは、数人の屈強そうな男性達が俺達を包囲した

 

「あ~あ、あんたたちだったのね。こんなオイタしたのは。まったく~」

 

水越先生は、呆れたようにため息を吐いた

 

「す、すいません」

 

「ま、いいわ。裕也君、そろそろ解放してくれる?」

 

「・・・了解」

 

裕也は、押し倒していた少女の首筋から日本刀を離してから、少女を解放した

 

「で、お目覚めはどうかな? ミナツさん」

 

水越先生は身体を起こした少女に聞いた

 

「聞くまでもないだろう。最悪だ!」

 

「ごめんなさいね。私達としてもあなたを起こすつもりはなかったの。でも、起きてしまったからには・・・」

 

水越先生が周囲に目配せすると、包囲していた男性達が包囲を狭めて、裕也が刀を構えた

 

「誰も逃げたりなんかしない」

 

「そう。素直で助かるわ、それじゃあ、連れて行って」

 

「了解しました」

 

そして、少女を取り囲むように連れて行く

 

な、なんなんだこの状況は

 

洞穴の中に変なカプセルがあって、そこで女の子が眠っていて、アラームが鳴ったと思ったら裕也と水越先

生がやってきて・・・。

 

HMーA06型? ミナツ?

 

頭が混乱してる

 

お、落ち着け。

 

とりあえず情報の整理をー

 

「貴様たち、なんという名前だ?」

 

「へ?」

 

「・・・・なに?」

 

突然、話しかけられて思考が飛んだ

 

「バカか貴様は。美夏は貴様達の名前を聞いているのだ」

 

「え、あ、あっと、桜内義之」

 

「防人、防人裕也だ」

 

「桜内に防人か、その名前、覚えておくからな」

 

ぎろりとひと睨みされる。

 

いや、覚えなくていいから

 

「やれやれ」

 

そう言いながら裕也は刀を鞘に仕舞って、空間魔法で消した

 

そのまま少女は、男達に連れて行かれた

 

「まったく~、入り口の立て看板が見えなかった? 立ち入り禁止って、それに有刺鉄線を厳重に張り巡らせといたはずだけど?」

 

「いえ、俺達が来た時には有刺鉄線は切り取られていました。立て看板には気がつきませんでした」

 

杉並がしれっと嘘を吐いた。裕也も気付いてるようで、杉並を睨んでいた

 

「それよりもさっきの娘は? HMーA06型とか言っていたように聞こえましたが」

 

「はぁ~、しょうがないわね、彼女はロボットよ。HMーA06型、開発コードはミナツ」

 

「ロボット!?」

 

俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。そのくらい驚きだった

 

「なるほど、あの手ごたえはやはりそうだったか」

 

お前は気付いてたんか!?

 

「・・・ミナツ?」

 

「えぇ、そうよ」

 

「いや、だって、あんな感情豊かなロボットなんて」

 

確かに、最近のロボット技術はかなりの水準に達していると言っていい。

 

現在市販されている『μ《ミュー》』というロボットを見たことがあるが、パッと見は確かに人間そっくり

に見える。

 

しかし、あそこまで感情豊かに動いたりしゃべったりするロボットを、俺は知らなかった

 

「うむ。確かにあそこまで見事に人間らしさを持ったロボットは見たことがないな」

 

「ああ」

 

「あの子は特別なの。だからここで眠らせていたんだけどね、まったく、余計な仕事を増やしてくれて」

 

「すいません」

 

「そうね、悪いと思ってるんならひとつ仕事を手伝ってもらおうかな? 桜内義之くん」

 

「は、はい。俺にできることなら」

 

「うん。それじゃあ、後で放送で呼び出すからよろしくね、ということで、とっとと帰りなさい。授業はじまっちゃうわよ」

 

水越先生はこれでお終いとばかりに、パンパンと手を叩いた

 

「はい、失礼します」

 

俺は水越先生に一礼して、歩き出す

 

「あ、そうそう、さっきの出来事は全部忘れなさい」

 

背中にかけられる声

 

静かに、鋭く。

 

「これはお願いじゃないから。この意味、わかるでしょ?」

 

「もちろんです」

 

「うん、それならいいわ」

 

そして、洞窟を出た

 

「結局なんだったんだよ?」

 

「簡単なことだ、洞穴の中に最新鋭のロボが保管されていた。それをお前が起動してしまった」

 

「水越先生は? どうしてここへ?」

 

「さしずめ本職は研究所の職員ってことだろう。副職として教師をする。さして珍しいことでもない」

 

ま、そんなところだとは思うけどさ。

 

「杉並、正解な?」

 

やっぱり

 

「それにしてもすばらしい体験だった。あそこまで生々しいロボを目の当たりに出来るとは」

 

思い出したように興奮気味に話す杉並

 

「確かにな、さてと、って、あーーーっ!」

 

「どうした?」

 

「なにがあった?」

 

「時間だよ時間。授業開始まで後5分しかないじゃねーかよ!」

 

「あぁ。と言うことで少し走るぞ」

 

「ばか! メシは!?」

 

「あきらめるんだな。その分貴重な体験が出来たんだ。結果的にプラスだろ。」

 

「それはお前だけだ」

 

「ふざけんな! 俺のメシを返せ!」

 

「別に俺が奪ったわけじゃないから、返したくても返せんな」

 

「くそ! カロリーが足りてないんだよ!」

 

  

 

 

俺たちは少ないカロリー(裕也は別)を気にしながら学校まで走ったのだった

 


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