D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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告げられた残酷な真実

「どういう……ことですか?」

 

ノーヴェの言葉が信じられなかったのか、すずかは呆然とした様子で問い掛けた

 

するとノーヴェは、一回目を閉じてから、ゆっくりとした口調で

 

「裕也の家族の死んだ理由、聞いたか?」

 

と問い掛けた

 

すると、アリサが少し不思議そうな表情をしてから

 

「確か、両親は事故で亡くなって、妹は病死って聞いたわよ?」

 

と言った

 

アリサの解答を聞くと、ノーヴェは頷いてから

 

「それは、表向きの死因だ。本当はな、産みの両親は殺されて、育ての両親は戦って死んで、妹は……裕也が殺した」

 

ノーヴェの言葉を聞いて、明久達は固まった

 

「そんな……」

 

「そんなのって……」

 

すずかとアリサは呆然とした様子で固まり、明久と結華は目を見開いた

 

「裕也くんの父親は、インデックスの使徒だったが、外部の女性と結婚し裕也を産ませたことで、背信者として殺されたよ、女性も一緒にね」

 

スカリエッティはそう言うと、一拍置いてから

 

「そして、育ての両親は追撃してきた使徒と交戦し死亡……そして、妹の美樹ちゃんは操られて戦わされて、裕也くんが殺した……」

 

スカリエッティがそこまで言うと、結華は拳を握り締めて

 

「……んだよ、それ」

 

と呟くと、スカリエッティを睨みつけて

 

「ふざけんな! なんだよ、理不尽過ぎるじゃねえか!」

 

と怒鳴り出した

 

「裕也が何をしたってんだよ!?」

 

と怒鳴りながらスカリエッティに近寄ろうとしたが、それを明久がなんとか制した

 

「そうだね……本来なら、私達のような大人が戦うべきなんだよ」

 

スカリエッティはそう言いながら、顔を俯かせた

 

すると、なんとか結華を宥めた明久が

 

「それで、ドクターはなんで裕也君のことを詳しく知ってるんですか?」

 

と問い掛けた

 

すると、スカリエッティは明久に視線を向けて

 

「それはだね……私も元々はインデックスの使徒で……裕也君を改造した人間だからだよ」

 

と告げた

 

スカリエッティのその告白に、明久達は息を呑んだ

 

「不思議に思わなかったかね? 高い魔力と戦闘力。それに、常人離れした身体能力を」

 

スカリエッティのその説明を聞いて、アリサとすずかはすぐに思い当たることがあった

 

小学校で模擬戦をやった時、裕也は教師を相手に勝っていた

 

それだけじゃなく、救出戦の時にはすずかを抱えて有り得ないスピードで部屋中を駆け回っていた

 

それらは確かに、普通では有り得ないことだ

 

「私は裕也君をね、とある魔道具に適応させるために、体を作り替えたんだ……今は後悔しているがね」

 

スカリエッティがそこまで言うと、明久が目を細めて

 

「ある魔道具?」

 

と首を傾げた

 

すると、スカリエッティはポッドに入っている裕也に視線を向けて

 

「生態融合型魔道具……(アイオン)の眼」

 

と呟くように言った

 

「……(アイオン)の眼?」

 

「なんだそれ?」

 

スカリエッティの説明を聞いて、明久と結華は首を傾げた

 

ただし、生態融合型魔道具という響きからか、嫌そうな表情を浮かべているが

 

「その言葉の通りだよ……使い手と融合する魔道具さ……私が知る限り、最悪の魔道具だがね」

 

とスカリエッティは答えた

 

「最悪の……魔道具?」

 

「どうして、ですか?」

 

アリサとすずかが問いかけると、スカリエッティは泣きそうな表情を浮かべて

 

(アイオン)の眼はね……使い手の魂を食らうんだよ」

 

と明久達にとっては、衝撃的な事実を告げた

 

「魂を……食らう……?」

 

「つまり……裕也君の寿命を削るって……ことですか?」

 

呆然とした様子でアリサとすずかが問いかけると、スカリエッティは無言で頷いた

 

すると、結華が歯を噛み砕くほどに鳴らしてから

 

「なんで、そんな物を裕也に埋め込みやがった!? あいつが何をしたってんだよ!」

 

と叫びながら、スカリエッティの襟首を掴んだ

 

だが、スカリエッティは答えずに泣きそうな表情で結華を見るだけだった

 

スカリエッティのその表情を見て、結華は拳を握り締めると

 

「なんか言えよ!」

 

と言いながら、拳を振り上げた

 

だが、その拳が振り下ろされることはなかった

 

「結、ダメだ!」

 

なぜなら、その拳を明久が止めたからだ

 

「だが!」

 

「いいから、堪えて!」

 

結華は抗議するが、明久は必死な表情でそう言うとスカリエッティに視線を向けて

 

「ドクター……裕也君は、そのことを知ってるんですね?」

 

と問い掛けた

 

すると、スカリエッティは頷いてから

 

「ああ……自分が長く生きられないことは知っている」

 

と答えた

 

その時、階段を降りてくる足音が聞こえて

 

「裕也君はね、自分の寿命が短いのを知ってて、それでも、戦う道を選んだのよ」

 

と女性の声が聞こえた

 

明久達が視線を向けると、そこに居たのはすずかの姉の忍だった


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