D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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入り口

警察の事情聴取が終わり、明久達はスカリエッティの診療所へと向かった

 

しかし、診療所は休みらしく暗かった

 

「休みみたいだけど……」

 

と明久が中を覗いていると、ドアが開いて

 

「裏に回ってくれ」

 

とチンクが言った

 

チンクの言葉に従って、明久達は裏口へと回った

 

そして中に入り、チンクの案内に従って付いていった

 

「なあ、一体どこに行くんだ?」

 

結華が問い掛けるが、チンクは無言で進んだ

 

そして入ったのは、ロッカールームだった

 

「ロッカールーム?」

 

「一体、どうして……?」

 

アリサとすずかが不思議そうにしていると、チンクは《使用禁止》という札が貼られたロッカーに近づいて鍵を使って開けた

 

そして、ロッカーの中が階段になっているのを見て、明久達は目を見開いた

 

「付いて来い」

 

チンクは短く言うと、階段を降りていった

 

明久達は一回顔を見合わせるが、すぐにチンクの後を追って入った

 

そして、一分近く降りていくと、先に光が見えた

 

「光だ」

 

「本当」

 

アリサとすずかが声に出した数十秒後、明久達は光を潜り抜けた

 

そして明久達の視界に入ったのは、広大なスペースと大きなモニターだった

 

「ここは……」

 

「まるで、どこかの司令部みたい……」

 

すずかは呆然として、明久がそう言うと、結華がハッとして

 

「まさか……守護者部隊の司令部?」

 

と呟いた

 

「え?」

 

明久が不思議そうにしていると、パチパチと手を叩く音がして

 

「見事な観察眼だね。結華嬢」

 

と、スカリエッティが現れた

 

気づけば、明久達の周囲にウーノ達も立っていた

 

「ここは守護者部隊の初音島支部さ……そして私が責任者で、ウーノ達はここの所属の隊員という扱いさ」

 

スカリエッティの説明を聞いて、明久達は周囲に立っているメンバーを見回した

 

その中に蓮華の姿はあったが、裕也の姿は無かった

 

「あの……裕也くんは……?」

 

すずかがおずおずと問い掛けると、スカリエッティは指を鳴らした

 

すると、スカリエッティの背後の壁が開いて、手術衣を着た裕也が入ったポッドが出てきた

 

「裕也くん!」

 

「裕也!」

 

すずかとアリサ、明久は駆け寄るが、結華はスカリエッティに視線を向けて

 

「裕也も守護者部隊なんだよな?」

 

と問い掛けた

 

すると、スカリエッティは頷き

 

「ああ……裕也くんは初音島支部では、随一の戦闘能力を有している隊員だよ」

 

と答えた

 

すると、結華は拳が白くなるほど握り締めて

 

「だからって、子供を戦わせていい理由にはならねぇだろ!? 蓮華だってそうだ! なんで、小学生が殺し合いしてるんだよ!」

 

と怒鳴った

 

根が優しい彼女だからこそ、どうしても譲れなかった

 

戦いというのは、本来は大人がすることで、子供は守られるべき存在である

 

その子供が、いくら戦闘能力が高いからといっても、殺し合いの戦場に投入されているのが、どうしても許せなかったのだ

 

「彼らが自ら望んだんだよ」

 

「……なに?」

 

スカリエッティの言葉を聞いて、結華は思わず首を傾げた

 

「彼らが自ら望んだんだ……皆を守りたいからってね」

 

スカリエッティが再び説明すると、結華はギリっと歯を鳴らして

 

「望んだからって、殺し合いの戦場に投入すんなよ! なんで、裕也達なんだよ! あんたが戦場に出ればいいじゃないか!」

 

「ゆ、結、落ち着いて」

 

怒鳴り散らしている結華を明久が必死に宥めようするが、結華は明久を振り払って

 

「皆を守りたいって言ったからって、なんで殺し合いなんだよ! なんのために非殺傷設定に出来る魔法が有るんだよ! それで十分じゃねえか!」

 

結華がそう言うと、蓮華が近づいてきて

 

「非殺傷設定の魔法じゃあ、あいつらは倒せないんだ……インデックスの奴らはな」

 

と言った

 

「なに……?」

 

「そういえば、インデックスって何者なの?」

 

結華は眉をひそめて、明久は首を傾げた

 

すると、スカリエッティが投影式キーボードを操作して、モニターに映像を表示させた

 

《バチカン法皇教皇庁禁書目録聖省 通称、インデックス》

 

「バチカン法皇教皇庁禁書目録聖省……?」

 

「それで、インデックス?」

 

モニターの文章を見て、結華と明久は首を傾げた

 

バチカンは二人も知っている

 

世界的宗教の総本山である

 

「そのインデックスが、何をしてるのさ?」

 

「まあ、ただの宗教家じゃないのは、あいつらで分かるが……」

 

二人揃って首を傾げていると、ウーノが前に出て

 

「インデックスは、世界支配をしようとしています」

 

と告げた

 

「……は?」

 

「世界支配……?」

 

明久と結華は理解不能といった表情を浮かべて、首を傾げた

 

「そして、その為ならば……誘拐や殺しも厭わない」

 

「現に、幾つかの遊牧民や街が消えた……」

 

ウーノとスカリエッティが立て続けに説明すると、アリサが

 

「まさか……カナダのアガサス町が無くなってたのも、そうなの?」

 

と問い掛けた

 

「アガサス町……ああ……確か、二年前だったか。インデックスが攻め込んできた」

 

スカリエッティがそう言うと、アリサはその場で座り込んだ

 

「アリサちゃん!?」

 

すずかが心配そうに駆け寄ると、アリサは涙を流しながら

 

「あの町の人達が、何をしたって言うのよ……優しくって、暖かかったのに……なんで……!」

 

と叫んだ

 

「インデックスは自分達が異端と認めた魔法が存在する場合、徹底的に蒐集するために、町一つは簡単に消す」

 

泣いているアリサをすずかが慰めて、明久と結華は驚愕していた

 

インデックスが、そんなことをしていたのかと

 

「裕也は……ある意味、一番の被害者だ」

 

そう言ったのは、裕也のポッドの近くに立っていたノーヴェだった

 

「どういうこと?」

 

明久が問い掛けると、ノーヴェは浮かんでいる裕也を見てから

 

「裕也はな……家族を奪われて、身体を作り替えられたんだ」

 

と告げた


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