D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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仲間たち

「さあ……決着を付けようか、ヨハンナ……」

 

裕也はそう言いながら、安綱を突きつけた

その刀身からは、凄まじい力が溢れている

妖刀、童子切安綱

この刀はその昔、日本三大妖怪の一体

酒呑童子を切った刀である

不死身と称された酒呑童子を切り、倒した

しかし、その際に呪われたのである

それは、使い手の血肉を食らうのだ

故に、童子切安綱の使い手は長くは保たず、次々と使い手を変えていった

しかし、そんな安綱をある一族が回収し封印

それを、守護者部隊が回収し裕也が使い手になったのだ

不死殺しの概念を有する刀だ

対ヨハンナ戦で使えると判断していたのだ

そして、それは当たった

ヨハンナは、魂と同化している魔道具

ヨハンナの神名碑により現象化

それによって、不老不死となったのだ

だが、何事にも天敵が居る

不老不死だろうが、現象だろうが

不死を殺すモノ

因果を操る者が居る

ヨハンナにとっては、天敵その物だった

 

「貴方が、私に勝てるとでも?」

 

「勝つ……勝ってみせる……例え、億分の一だろうが、お前を殺すという因果を引き寄せてみせる!」

 

裕也はそう言って、駆け出した

 

「愚かな」

 

ヨハンナはそう言いながら、魔法を発動した

発動したのは、電磁槍

見た目は至って普通の槍だが、防いだり受け止めたりしたら凄まじい電磁力が襲いかかり焼かれるのだ

だから、回避するしかない

裕也はその電磁槍の下を、まるで潜るように回避しつつ近寄った

そんな裕也を足止めしようと、救難十四聖が動こうとした

だがそれは、裕也が呼び出した英雄達によって妨げられた

それは、過去に劫の眼を有した英雄や無名の猛者達

征服王イスカンダル

魔術王ソロモン

そして、金眼の魔王ヴェラード

いずれも、過去に多大な戦果を上げて名を知らしめた猛者だ

更に、それに追随するように誠の文字を背負った侍

烏帽子を被り、札を手にした若者

中には、黒と水色の二本の剣を持っている青年すら居る

彼ら無名の猛者とて、その強さは計り知れなかった

その彼らにより、救難十四聖は全員足止めされた

その隙に、裕也はヨハンナに肉薄

刀を振るった

その一撃をヨハンナは、僅かに体を横にずらして避けた

しかし、一撃で終わるわけがない

裕也は風を切り裂きながら刀を振るった

振るい続けた

それら全ては、必殺の意志が込められた連撃だった

狙いは首、額、脇、胸部だ

しかし、それら全てをヨハンナは避けた

それを見て、救難十四聖を含めた使徒達は驚いた

普段だったら、一切避けない

なにせ、ヨハンナは現象なのだから

《そこに居るだけ》

《体が死んだだけ》

ただ、それだけ

だから、気付けばそこに居る

そうしないのは、ヨハンナが自ら鍛練の手解きをした時くらいだ

教皇とは言え、ヨハンナとて魔法使いだ

鍛練しないと、魔法や戦闘の腕は鈍る

実戦を想定し、相手の攻撃を回避したり防御したりする

そうしなければ、鍛練にならない

自分だけでなく、相手にも

しかし、実戦でヨハンナが回避行動を取るのは初めて見た

何度も繰り返すが、ヨハンナは不老不死だ

故に、回避行動は必要としないのだ

わざと受けて、相手が呆けた隙に仕留める

それが、ヨハンナの戦法だった

相手に自分が不死身だと分からせて絶望させ、殺すという方法もやった

そうすれば、確実に相手は何もしなくなったからだ

だが、裕也は知ってもなお殺しに来ている

もし、本当にヨハンナを殺せるのならば?

殺す方法が、本当にあるのならば?

そこまで考えて、使徒達は動き出した

使徒達の最高責任者であり、信仰する神の次に敬愛する教皇ヨハンナのために

 

「あの異端者を殺せ!」

 

「ヨハンナ様のために!」

 

使徒達は口々にそう叫びながら、裕也目掛けて攻撃を放った

だが、その悉くが英雄達によって防がれた

彼らとて、高度の魔法使いの使徒だ

しかし、相手はそんな彼らよりも格上の英雄達

しかも、半霊体

普通の攻撃は無意味

普通の攻撃じゃなくとも、彼らのその腕により悉くが防がれるか避けられる

そして、倒される

その隙に、裕也は目にも止まらぬ速度で剣劇を繰り出す

その時だった

空から、ガジェットの郡が裕也目掛けて飛来してきた

その数は、優に百を越える

しかし、英雄達は使徒達の相手に全員が回っている

だが、裕也と共に戦っているのは英雄達だけでない

 

「火龍……一閃!」

 

「トライデント………スマッシャー!」

 

飛来してきていたガジェット目掛けて、火と雷の砲撃が放たれた

それだけではなく、遥か彼方から魔力の矢が飛来してきて、ガジェットに次々と命中した

砲撃を放ったのは、シグナムとフェイト

そして矢を射ったのは、風見学園の屋上に佇んでいるすずかだった

しかし、三人の攻撃を僅かなガジェットが突破

そして、裕也に攻撃を放とうとした

だが、他にも仲間は居る

 

「おらぁ!」

 

「忘れんじゃないわよ!」

 

「しっ!」

 

蓮華、アリサ、神夜の三人が迫ってきていたガジェットを撃破

そして、裕也の背後を守る

敵が居るのは、前だけじゃない

後ろにも居る

ここは戦場だ

なにが起こるか分からない

だから、少しでも万全の態勢を取る

それが、最善の結果になると信じて

未来のために、彼らは戦場を駆け抜ける


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