D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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短いが、許してください


二人の思い

ゆりかご最下層

管制フロア

義之と美夏の二人はそこに到着した

そして、その広大なフロアで見つけた

義之の恋人にして、美夏の友人

沢井麻耶を

 

「麻耶ぁ!」

 

「沢井ぃ!」

 

二人が呼び掛けると、麻耶はゆっくりと振り向いた

そして、光の無い目で二人を捉えた

すると、麻耶の周囲に展開されていたホロウィンドウとホロキーボードを閉じて杖を構えた

そして、周囲に魔力球を展開して

 

「………アクセル……シュート」

 

と二人目掛けて、魔力弾を発射した

その数、約二十

麻耶は砲撃魔法も機動近接魔法も得意ではない

しかし、そのマルチタスクから来る精密な誘導や魔法の複数同時発動を得意としている

二人はそれを理解しているから、回避ではなく迎撃を選択した

義之が濃密な弾幕を形成し、美夏がその弾幕を潜り抜けてきた魔力弾目掛けてストックしていた速射砲撃を発射

二人の連携により、麻耶が放った魔力弾を全て撃墜した

その直後、二人の両手両足を黄色のバインドが縛った

だが、すぐに

 

《バインド・ブレイク!》

 

そのバインドは、義之が持っていた美秋が破壊した

そう

義之は、麻耶が操られているならば、もしかしたら美秋の声を聞いて気が戻るかもしれないと思ったからだ

しかし、その美秋に二人は助けられた

それは、美秋の気遣い的な性格から来ている

本来だったら、義之は美秋の正式な使い手ではない

しかし、今は義之を仮の使い手と認証していることにより、義之の魔力で魔法を使っている

 

「美秋、助かった」

 

「すまん」

 

《いえ、構いませんよ》

 

二人がお礼を言うと、美秋は軽い調子で返した

しかし、問題はここからだった

操られた麻耶を助ける方法を、二人は知らない

もし、前に裕也が言っていた遠く離れた場所から操られているのならば、二人に麻耶を解放する手段は無い

そうなれば最後

前の裕也のように、殺すしか無いのかもしれない

今、局面は世界の行く末を決める戦いだ

裕也は、世界と妹を天秤に掛けて、世界を取った

涙ながらに、世界を

 

(裕也は、こんな気持ちだったのか……っ!)

 

(防人は、戦士として選択したのか……!)

 

二人は裕也が気持ちと、選択を理解した

戦いたくない、殺したくない

だが、戦い殺さないと世界が危なくなる

しかし、今は助けられる可能性があった

それは、今インデックスはほぼ総力を挙げて攻めてきていること

そして、ゆりかごを使うために麻耶とヴィヴィオの二人を操っていること

ここから推察して、インデックスは近くから二人を操っている可能性が非常に高いのだ

確かに、遠距離からでも操ることができる

しかし、距離が離れるほどにタイムラグが起きるそうだ

今はインデックスにとって、大事な戦いのはずである

だったら、タイムラグ無しで操りたいはず

故に、この操り魔法を使っている使い手はこの初音島にも来ているはずだと

だから、二人は希望を持って戦いに臨んだ

外で戦っている裕也達が、操っている魔導師を倒してくれると

 

(頼んだ、裕也!)

 

(防人……お前なら、成してくれるだろ?)

 

それは、他力本願かもしれない

しかし、二人は信じていた

裕也達が、敵を撃破してくれることを

だから、傷付ける戦いではなく、取り返す戦いを始めた


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