D・CⅡなのはstriker's漆黒と桜花の剣士   作:京勇樹

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救出戦、前篇

謎の人影が入ってきて、僅か数分で戦いが始まった

 

しかも、自分達とは別次元の戦いが

 

「異端者が! ここで朽ち果てろ!」

 

「はっ! 寝言は寝てほざけ!」

 

インデックスが放った魔法を、斧使いは斧を盾代わりにして防いだ

 

「なぜだ! なぜ貴様らは無闇に悲しみを振りまく!」

 

「我々の理想に賛同出来ぬのならば、貴様らは人を名乗る資格などない!」

 

「ふっざけるなぁぁぁ!」

 

インデックスの言葉を聞いて、刀使いは怒りの雄叫びを上げた

 

「ダメだ……僕達じゃあ、手に負えない……」

 

戦闘を見ていた明久は、呆然と呟いた

 

明久の目には、全員の動きが全く捉えきれていなかった

 

明久とて、Aランク超えの魔導師である

 

だが、目の前で起きてる戦いは完全にSランク超えの戦いだった

 

互いの動きを先読みして、必殺の一撃を放っては避けている

 

明久は、自分にあれほどの動きが出来るのか? と自問自答するが、答えは否だった

 

あれは完全に別次元の戦いだった

 

互いの命を刈り取ろうとする、命懸けの戦い

 

それが目前で起きている

 

しかも、それを行っている片方は自分よりも幼い子供だ

 

それを考えると、情けなく思った

 

「僕は……弱い……っ!」

 

明久が悔しくて拳を握り締めていると、結華が心配そうに見つめて

 

「アキ……」

 

と明久の名前を呼んだ

 

その時だった

 

「貴様らこそ、なぜそんな化け物を守る?」

 

とインデックスの使徒が言うと、すずかの体が震えた

 

「化け物……?」

 

明久が呆然と呟くと、すずかは頭を両手で抱えて

 

「やめて……」

 

と呟いた

 

「いいか? そこに居る少女はな人間じゃない!」

 

インデックスはすずかを指差しながら、そう言った

 

「やめてよ……!」

 

インデックスの言葉に、すずかは泣きそうになりながら呟いた

 

「いいか!? そこに居るのはな……!」

 

「やめてよぉぉ!」

 

インデックスの言葉を遮るように、すずかは泣き叫んだ

 

「そこに居るのは、夜の一族という吸血鬼! 化け物なんだよ!」

 

「やめてぇぇぇ!」

 

インデックスのその言葉に、すずかは涙を流した

 

「それでも、貴様らはそこに居る化け物を守るとでも!?」

 

インデックスはそう言うと、笑い声を上げた

 

その直後、そのインデックスの胸部を刃が貫いた

 

「がっ……」

 

そのインデックスは口端から血を流すと、崩れ落ちた

 

「それがどうした……?」

 

刀使いがそう言うと、インデックスの使徒は眉をひそめた

 

「なに?」

 

「その程度のことで、なにがどうなる?」

 

刀使いがそう言うと、インデックスの使徒はすずかの方に視線を向けた

 

そこでは、アリサがすずかを抱き締めていた

 

「すずか、ごめんね……」

 

「アリサ……ちゃん?」

 

アリサの言葉に、すずかは呆然とした

 

すると、明久がすずかの頭に手を置いて

 

「夜の一族だから、なに? すずかちゃんは、すずかちゃんでしょ?」

 

と語り掛けた

 

「そうだぜ? すずかはすずか。それ以上でも、それ以下でもない」

 

明久に続いて、結華がそう言った

 

「明久さん……結華さん……!」

 

明久と結華の言葉を聞いて、すずかは嬉しそうに涙を流した

 

「さあ、断罪の時だ……!」

 

刀使いはそう言うと、右手の刀を突き付けた

 

その時、明久はその刀使いの姿がある少年と重なった

 

自分達と一緒に住んでいる、眼帯を着けた少年だった

 

「裕也……くん?」

 

明久がその名を呼んだ瞬間、刀使いの動きが僅かに鈍った

 

だが、その鈍りはこの場では致命的な隙だった

 

僅かに動きが鈍った瞬間、刀使いに対してインデックスの魔法が直撃し爆発が起きた

 

「裕也!?」

 

その光景を見て、斧使いは思わず刀使いの名前を呼んだ

 

「裕也!?」

 

呼ばれた名前に結華が驚愕していると、爆煙の中から人影が飛び出してきた

 

飛び出してきた人影は、明久達の近くに着地した

 

それは間違いなく、明久と結華の居候先の家主

 

防人裕也だった

 

しかし、裕也は先の被弾で顔の左側を血で濡らしていた

 

「裕也くん!」

 

すずかが心配そうに呼ぶが、裕也は反応しなかった

 

すると、アリサが何かに気づいて斧使いに視線を向けて

 

「まさか、そっちは……蓮華?」

 

と呟いた

 

その時、斧使いの動きが僅かに鈍った

 

その直後、インデックスの使徒が明久達に杖を向けた

 

その直後

 

「明久さん! 結華さんを! 蓮華はアリサを!」

 

と裕也は叫ぶように言って、すずかを抱きかかえた

 

それに続くように、明久は結華を抱きかかえて、斧使い

 

蓮華はアリサの前に片膝を立てて斧を盾にした

 

その直後、インデックスの使徒は膨大な数の魔力弾を発射した

 

明久と裕也はそれぞれ、結華とすずかを抱きかかえて走り出した

 

「裕也くん!」

 

「喋ると舌を噛むぞ!」

 

裕也はそう言うと、所狭しと、空間内を駆け回った

 

その動きは一般人の範疇を超えており、同い年の少女を抱えているというのに同じ速度を維持している

 

明久は柱の影に隠れて、結界を張っていた

 

だが、裕也は立ち止まることなく駆け回っていた

 

「クハハハハハッ! 逃げるだけか? 異端者の猿が!!」

 

インデックスがそう告げた直後、二人が割って突入してきた窓の向こうが一瞬光った

 

その直後、魔力弾がその使徒の胸部を撃ち抜いた

 

「な……に……?」

 

使徒は何が起きたのか理解出来ないと言った表情を浮かべると吐血して倒れた

 

それを確認すると、裕也はようやく足を止めた

 

「終わったか……」

 

裕也はそう言うと、すずかをゆっくりと降ろした

 

「明久さん、結華さんは無事ですか?」

 

裕也が声を掛けると、明久は結界を解除して

 

「僕達は大丈夫!」

 

「無事だ!」

 

と二人で無事を教えた

 

二人の無事を確認すると、裕也は続いて蓮華のほうに視線を向けて

 

「無事に決まってるだろ」

 

「大丈夫よ!」

 

と蓮華に続いて、アリサも無事を告げた

 

裕也は頷くと、すずかに視線を向けて

 

「ごめんね……助けるのが遅くなった……」

 

と謝った

 

すると、すずかは首を振って

 

「私は大丈夫……それよりも、裕也くん。傷が……」

 

と裕也の頭に手を伸ばした

 

「僕は大丈夫……これぐらいじゃあ、死なないから」

 

裕也はそう言いながら、すずかの頭を撫でた

 

すると突如として、裕也はすずかを抱き締めてグルリと回った

 

その直後、裕也に対して魔力弾が直撃し裕也は倒れた

 


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