うちはイタチに転生…?マジですか?改訂版!   作:ディア

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今回は題名通り閑話です。なのに5000字オーバー…これだけ書かないと半年以上もほったらかしにした皆さんに申し訳ありませんから…それでは本文どうぞ。


閑話

★★★★

イタチ達が報告している頃、木の葉競馬場…ではなく机の上にあるラジオのイヤホンを片耳につけそわそわと動いている少女がいた。

【さあうちはヤスナリ悲願のダービー制覇へ向けてウチハトップロードが先頭だ、ティーエースラオウが追い詰める!】

「よしそのままいけぇ!3-6来いやぁっ!」

とても少女とは思えぬ言葉遣いで叫ぶ美少女。彼女の名前は木道アキホ。一応ハイレベルと言われた今年の中忍試験の第三次試験の突破者である。

【おっと大外からナミカゼベガが迫る迫る!】

「あ″あっ!?ざけんな!落馬して死ねクソジョッキー!」

だが第三次試験に向けて休みが取れたアキホはブラック企業以上に過酷な任務で得た金で賭博に使い込んでいた。そして嵌ったのが競馬だ。その理由はムチ、マスク、調教の三単語だけで連想して貰いたい。

【トップロードも粘るが大外からナミカゼベガぁーっ!!】

「クソッタレぇ!!」

アキホは机ごとラジオを壊し、馬券を破る。何度でもいうがおっさんではなくまごうことなき少女である。それも少女の前に美がつく人間である。残念にもほどがある。

「俺の馬券返しやがれ!3-6が鉄板って言うから買ってやったって言うのに…金返せクソ情報屋がぁっ!」

アキホは綱手並とは言わずともかなり弱かった。綱手の賭博の弱さがレベル1のスライムだとするならアキホはスライムベスといったところだろう。はぐれメタル並の強運なナルトからしてみれば五十歩百歩の違いである。

さてそんなアキホの1日を覗いてみよう。

 

 

☆尋問・拷問部隊

 

本来、下忍がここに来るべきではないのだがそれはアキホが尋問や拷問が得意なアキホたる所以だろう。

「イビキ隊ちーす。」

イタチだけでなくイビキにもそのような口を聞けるあたり、アキホは優秀なのだろう。

「ん?アキホか…今日は尋問・拷問部隊の仕事はないぞ。」

「マジですか?」

「マジだ。それにお前中忍試験に向けて準備はしてあるのか?」

「大丈夫、大丈夫。いざとなればこう…まあ、とっておきの方法でぶちのめしてあげますから。」

「トイレの最中や寝込みを襲うなよ?あと夜襲もするなよ?だからといって昼間襲うのもダメだからな。というか朝昼晩全てにおいて襲撃はやめろよ。後始末が大変なのは俺達なんだからな。」

後始末が大変と言っているのはナルトの中にいる九尾が暴走してしまう心配から来ている…のではなく、アキホがタキオと同様にハッチャケたりしないかどうかの心配から由来していた。

「……それじゃ失礼します。」

「(本当に大丈夫なんだろうな?…念には念を入れておくか。)」

イビキは暗部の伝手を使い、試験当日までアキホやアキホの対戦相手であるナルトを監視を強化させた。

尚その中にはナルトの穴を狙っていたゲイがいたようでアキホの監視以上に大変なことになっていたのは言うまでもない。

 

 

☆うちはシスイ

 

アキホはシスイに師事しており、幻術の指導を受けていた。

「(話が長え…)」

しかしアキホは不良である。ダラダラと長い話を聞くなんてことはできない。その為シスイの話を聞くと眠くなる。居眠りはタキオの専売特許であるがアキホも大概だった。

「という訳でやってみろ。」

「え〜…んなことよりも身体動かしたい…」

「アキホ。そんなに動かしたければ動かしてみろ。」

「言われなくとも…ん?動けない?」

「幻術をちょっと応用すればこんな風に気づかれずに出来るんだ。解除方法はわかるね?」

「チャクラの流れを元に戻せばいいんだろ?」

「そう、幻術返しはそれが基本。だけどこの幻術はチャクラコントロールを完全に出来ないと解けないようになっている。早い話が…」

シスイの話が長く続き、アキホは思わずあくびをする。

「(大人ってのは話が長くなるから嫌いだ…)」

シスイの言葉を完全に無視してアキホは自分の身体のチャクラを緑溢れる森の中で清らかに流れる川のようにイメージし、コントロールし始めた。

「(頭よりも身体で実践した方が良いと…)」

シスイは頭の中でアキホの特訓方法を考えていた。

 

 

☆うちはフブキ

 

修行を終えたアキホが一楽へ向かうとそこにはシスイとその弟フブキがラーメンを食べていた。

「よう、フブキーストン。それにシスイースター島。」

「その変な渾名をつけるのは…アキホか。」

フブキが振り向くとアキホがその隣に座り、注文する。

「おっちゃん、豚骨ラーメン大盛りで。」

「…そもそもイースター島って何処の島?」

「兄貴、アキホが渾名をつける時は訳がわからんから無視していいぞ。」

「そうだよな。」

「それよりも二人揃って食事なんて珍しいじゃねえか。…おっちゃん!唐揚げ追加だ!」

店主のテウチが「あいよ!」と元気よく返事するとフブキに近寄る。

「それよりもフブキ、お前はどんな奴に師事しているんだ。」

「マイト・ガイ上忍だよ。イタチから聞かされてないのかい?」

シスイがそう答え、尋ねるとアキホは首を振った。

「マイト・ガイ…ああ、あの緑タイツのおっさんの方か。」

「そうだ。緑タイツ一号だ。」

「フブキ、もしかして二号もいるのか?」

シスイが口を挟むと、何を当たり前のことをと言わんばかりにため息を吐いた。

「いるぜ。ロック・リーって言ったけか?あいつがそうだ。ふざけた見かけなのに下忍の中じゃ体術は飛び抜けて強い奴だ。ちなみ俺も三号にされかけた。」

「されかけたって…何があったんだ?」

「俺が一号に師事して間もない頃、緑タイツを渡された。」

「なるほど…」

二人はその言葉に納得した。

「へい、豚骨ラーメン大盛りと唐揚げお待ち!」

アキホの注文した品が届き、アキホは嬉しそうに手を合わせ「いただきます」と声を出し、箸を持ってラーメンを食べ始めた。

 

「そう言えばアキホ、タキオと連絡取れないのか?最近会ってないから不安で仕方ないんだが。」

「もあ?…どうせいつものところで寝ているだけだと思うぜ。」

「イタチの教育のせいで最近とんでもないことをやり始めるようになったじゃねえか。例えば劇物、J・アンシチューの再現とか。」

「J・アンシチュー…?」

アキホはその単語に首を傾げた。と言うのも何度でも言うがアキホは不良であり、授業の話など聞いてもない。当然そんなマイナーな劇物も知るはずもない。

「昔聞いたことがある…J・アンシチューは初代火影様やうちはマダラを始めとした木の葉の重鎮達を食中毒に追いやった禁術当然の劇物らしい…」

「らしいって…なんで断言しきれないんだ?兄貴。」

「その事故が起きたのも三代目火影様がまだ初代火影に弟子入りする前の頃の話だからね。その劇物を作った犯人やレシピ、そしてそれを知る人達も話題にすることなくその劇物の存在はこの世から消えた。」

「…それを再現したら木の葉はど偉いことになるんじゃないか?」

「まあそのJ・アンシチューもつい最近作られた都市伝説みたいなものだ。今度会ったらそんな劇物を作らないように伝えておいてくれよ。」

「わかったよ。」

アキホはラーメンや唐揚げを食べ終わると会計し、その場を離れた。

 

 

☆凱旋タキオ

 

「タキオーすっ!」

山の奥でタキオを見つけたアキホが声をかけると何やら料理を作っていたらしい。

「アキホか。」

「何をやっているんだ?」

「ゴキブリを寄せる餌作り。」

「はぁぁぁっ!?そんなもの作ってどうする気だよ!?」

アキホはおっさんらしい行動を取っても所詮は少女。大の男ですら逃げるあの黒い虫には敵わない。

「今度の試験で対戦相手に投げつけるに決まってんだろ。だからと言って最初の対戦相手にはやらねえけどな。イタチの溺愛している弟だし…」

「俺に向かってそんなことをしたら絶交だからな!」

もはやアキホは涙目だった。それだけあの黒い虫は嫌なのだ。

「フリか。」

「フリじゃないっ!そんなことをしたら、わ、わさびをお前の鼻の穴に入れちゃうよ!」

思わず女らしい言葉遣いをしてしまうアキホ。それほどまでにあの黒い虫は女性陣にとって天敵なのだ。男であっても苦手な者は多いが。

「わかったわかった、お前じゃなきゃ良いのか?」

「余程嫌われている奴でもない限り、投げたら女子全員から嫌われるぞ…」

「…そう言えばアキホ、お前の最初の対戦相手はナルトだったよな?よかったら使うか?」

「俺がそんなもの投げたら俺がゴキブリ女とか言われそうだから投げないぞ!」

「そうか残念だ。そうなると俺は使えないか…油女の虫好きにでもやるか。あいつ以外使わなそうだし。」

「勝手にしろよ…それとフブキから伝言だ。今話題になっている都市伝説の劇物、J・アンシチューのような毒は作るな。だそうだ。」

「…その手があったか!アキホ、サンキュー!」

タキオは姿を消してしまい、アキホはため息を吐いた。

 

 

☆綱手

 

そして夜。疲れ切っていたアキホはぶらぶらと歩いていた。

「あの情報屋コロス…!」

前言撤回。情報屋を探す為に目を凝らし、賭博場をグルグルとうろついていた。その様はまるで殺人鬼のようだった。何故情報屋を探しているかは冒頭を参考にしてもらいたい。

「助けてください〜っ!」

シスイほどの年齢の女性が強面の男達に追いかけられ、逃げ回っていた。

「あのネーチャンも災難だな…ん?」

アキホはそれを無視した。しかしとある男が視界に映り込み目の色を変えた。

「あ″っ!?あの野郎…待てやゴラァっ!」

その男はアキホに情報を与えた情報屋だった。思わず殺気をモロ出しすると情報屋達はそれに反応してアキホを見る。

「ぎゃぁぁぁぁっ!?鬼だ!鬼が出たーっ!!」

「助けてくれーっ!!」

男達は阿鼻叫喚。顔が歪むほどまでに怒り狂っていたアキホは構わず追い詰める。そして男達は逃げ…捕まった。

「お前らの足が使い物にならなくなるのと、金を出すのとどっちがいい?」

アキホの目は完全に座っており、なまじ美少女なだけに余計に恐怖を与えた。

「金だ!金を出すから!勘弁してくれ!」

「そうか…賢い判断で残念だ…とりあえず眠っとけ。」

「ぎゃぁぁぁぁっ!!!」

男達は叫び声を上げ、その場で寝てしまった。

「幻術・都市伝説の恐怖…なんてな。しばらくの間金を見るのも嫌になんだろ。」

アキホはそういって情報屋達から追い剝ぎをした上にズボンを下ろし、パンツ一丁の姿にする。まさしく外道のそれだった。

 

「あの!ありがとうございました!」

その作業の途中で情報屋達に追いかけられていた女性がアキホに頭を下げた。

「あん?助けた覚えなんてねえぞ。」

「その人達はあくどい商法で市民からお金を騙し取る悪い奴らなんです。この人達に騙されて私は危うくAV動画に出演されかけました。」

「てめえふざけやがって!俺だけじゃなくこのネーチャンのことも意図的に騙したのか!!」

アキホは情報屋の股間を蹴り、踏む。被虐趣味の変態であれば興奮しただろうがこの場にいるのは寝ている詐欺師である。というか八つ当たりだと気づいていたことに驚きである。

「それよりもどうしてそんなに金が必要だったんだ?」

「師匠の師匠が賭博に使う金が必要だからって言って…」

「…それであんな奴らに金をもらおうとしたのか?」

「はい…」

「ならそいつはどこにいる?賭博の金が足りないから近くにいるんだろ?案内しろ!」

「は、はい!」

アキホはその女性について行き、賭博場へ入る。すると金髪の女性がそこにいた。

 

「センス、持ってきたのか?」

どうやらこの金髪の女性が例の師匠の師匠らしく尊大な態度をとっている。

「いいえ…綱手様、それが…」

「何?どういうこと…!?」

そしてその金髪の女性、綱手が振り向くとそこには般若の顔をしたアキホがいた。

「綱手姫、これはどういうことですか?」

「こ、これは失礼致しました!アキホお嬢様!」

綱手は土下座をしてアキホに頭を下げる。アキホはお嬢様だったがその窮屈な生活が嫌になり忍者になろうと決意してアカデミーに入ったのだ。しかしどこに行ってもお嬢様扱いされた。お嬢様扱いされるのが嫌なのにそうされてはたまったものではない…アキホは次第にグレ、アカデミーで不良行為を働くことになった。

「そう畏まらないでください。俺は所詮一介の下忍、それに対して貴女は上忍。だから俺に頭を下げる必要はありませんよ。」

しかしアキホはお嬢様としての生活を忘れた訳ではない。幼き頃から学んだ上品な言葉遣いは多少(一人称くらい)は崩れているがまだまだ残っている。というかこの話し方が素なのだ。

「はっ…では…」

「ただし!そこのセンスさんからお金をカツアゲするとは何事ですか!?パワハラですよ!すぐにこの女性に頭を下げなさい!」

「すまなかった、センス!」

「いえ…」

「かつて三忍と呼ばれた綱手姫とあろうものが情けない…このことは父を通して報告させてもらいます。」

「そ、それだけはご勘弁してください!」

「ではセンスさん。貴女はどうしたいですか?」

「綱手様に謝って貰えればそれで充分ですよ…」

「ふむ、そういえば綱手姫、彼女は何を教わっているのですか?」

「医療忍術を少々…」

「綱手姫、これからは貴女もセンスさんの医療忍術の修行に付き合いなさい。」

「是非やらせていただきます!」

「ではセンスさん。不幸なこともありましたがこれからは綱手姫がつきっきりで面倒を見てくれるようですよ。」

「はい!ありがとうございます!」

「これにて一件落着…では失礼します。」

アキホはそう言って綱手達と別れ、アキホのとても濃い1日が終わった。


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