★★★★
二人の人外(一人は認めないだろうが)が猿飛アスマ、夕日紅と対峙していた。
「これはこれは…私とあろうものがご紹介遅れましたねぇ…私は干柿鬼鮫…以後お見知りおきを。」
そのうち一人は干柿鬼鮫。人外だと認めない方の鮫…のような青い肌の人間だ。背中に巨大な刀、鮫肌を背負い、元霧隠れの里の額当てを当ててセンス皆無の暁のコートを着ていた。
「お見知りおきなんてねえよ。お前はここで死ぬんだからな!」
アスマが自らの武器である刃付きナックルを取り出して構えるともう片方の人外…白い肌のフードの男が口を開いた。
「俺の名前はシン…死ぬまで覚えておけ。」
その片方はシン。アスマは袖の間から見るとその腕には多数の写輪眼が埋め込まれていた。
「おい写輪眼を何故持っている!」
「それは戦争ではよくあることだろう?」
何故腕に写輪眼が埋め込まれているのか、あるいはそれを何に使うのか…何にせようちは一族から奪ったものであるものには違いないし、カカシと同じく写輪眼を持っているこのシンという男は決して侮れない…二人はそう結論してチャクラを練った。
「私の方も無視しないで貰えますかねぇ!」
鬼鮫が動き、アスマに襲いかかる…
「木ノ葉旋風!」
が、何者かが現れ鬼鮫は後退して避けた。その男は緑のタイツで全身を包み、髪型はおがっぱ。だがそれに宿る魂は熱き魂!かつてないほどにその男は燃えていた。
「何者ですか?貴方は…」
「人呼んで木ノ葉の猛獣!マイト・ガイ。」
そう、マイト・ガイだ。彼が矢鱈ハイテンションなのは気にしてはいけない。今更である。
「猛獣…?珍獣の間違いじゃないですか?」
鬼鮫が呟くとシンは頷き、ガイを可哀想な目で見ていた。
「アスマ、紅、あの写輪眼の男…俺に任せてもらえないか?この中で写輪眼対策が出来るのは俺くらいのものだろ?」
「…そのためにフブキを弟子にしたのか?」
「いや違う。フブキはイタチを越える為に俺を利用したんだろう。お陰で写輪眼対策はバッチリだ!」
キラン!
ガイは親指を立ててドヤ顔にするとアスマ達が引いていたがそんなことはお構い無しにシンの方へと向かう。
「鬼鮫…手を出すなよ。こいつの剛体は新しいサンプルになるかもしれないからな。」
「わかりましたよ。では残りは構いませんね?」
「もちろんだ。」
シンは腕の袖を巡り、腕に仕込んだ写輪眼を露にすると何かを感じ取り横にジャンプした。
「なんだよありゃぁっ!?」
その光景を見たアスマが目を開き、思わず突っ込む。その光景とは無数のミニ螺旋丸が雨のように上から降ってきたのだ。所謂弾幕である。
「くそっ!」
アスマ達はシンと反対方向へと避けて対処するとアスマ達のいた場所の土が抉れ、受け止めたりしないでよかった…と内心そう思い、シン達の方向へ弾幕は移動した。
「仕方ありませんねえ…鮫肌、少し痛みますが食べてくださいよ!」
鬼鮫は鮫肌を取り出し、ぶん回して弾幕を鮫肌に食べさせた。ここで言っておくが鮫肌は生きている刀でチャクラを喰らうので食べさせると表記する。
「流石に暁と言うだけあってそう簡単にはやられないか。」
そこにはイタチがいた。
「イタチィ!!死ぬかと思ったぞ!!」
アスマが眼が白目になるほどキレ、怒鳴り散らす。
「待って、アスマ…あそこ見て。」
紅が先程いた場所を指差すとそこにはシンの白い腕があった…つまり、アスマ達に最小限の怪我で済むようにイタチは誘導していたのだ。
「こいつは…!?あいつの腕か!?イタチ…もしかしてこの事を…?」
☆☆☆☆
やたら高評価されているうちはイタチです。妹様の弾幕やったら上手く行き過ぎてアスマ達にも被害を与えてしまい、怒らせたかと思えば機嫌がよくなった。
「キヅイテマシタ。」
とはいえ流石に今怒らせても無意味…というか冷静さを失い、鬼鮫にやられてしまう可能性が高い。あいつらとは違って空気読めるからな!
「流石ですね…うちはイタチさん。」
そう言って俺の右から声が聞こえた。そいつは干柿鬼鮫…原作のイタチの相棒だ。
「お前は…干柿鬼鮫か。」
俺は鬼鮫に振り向くと鬼鮫は驚きの顔を見せた…
「ほう、次期火影候補ナンバーワンの貴方が私の名前をご存知とは光栄ですね。」
忍び足るもの、名前等は知られるような者は忍びとしての素質はない。これはアカデミーの教科書にも書いてあることで誰もが知っている常識だ。それ故に鬼鮫の言ったことは皮肉だ。
「お前のやったことは有名だからな。それにその鮫人間みたいな容姿が何よりの特徴だと聞いていた。」
原作知識でも知っていたがイビキが愚痴っているときに鬼鮫の話となりその情報を得ていた。
「どうせ私は鮫人間みたいな容姿ですよ…」
鬼鮫ってそう言えばその方面の精神攻撃に弱いんだっけか?二次創作のギャグでも苦労人ポジになるしな。
「俺のことを忘れてないか?」
…おいおい。こいつが俺の代わりかよ。
うちはシン
原作のサスケの娘、つまりイタチの姪っ子であるサラダを誘拐した野郎だ。こいつは大蛇丸よりも屑野郎で自分のクローンを盾代わりにしか思っておらず最期は自分のクローンに殺されるというどこかで聞いたような話を見事に再現してくれた奴だ。
ただ実力はあり、瞳力はマーキングした物体を自在に動かせると言うもので全盛期から少し離れたとはいえ成長したナルトやサスケに傷を着けた奴だ。しかもダンゾウをとっとと捕まえてしまったから両腕は健在だ…こいつはマズイな。アスマや紅が相手していたら死ぬ。
「アスマ上忍、紅上忍、マイト上忍は鬼鮫の方は任せました。俺はその白男を相手します。」
「わかった。」
「気をつけてね。イタチ。」
「写輪眼には写輪眼をと言うしな…イタチ任せた。」
「そちらもお気をつけて。」
シンをどうやって倒すか…原作のサスケ通り倒しても問題ないが…オーバキルは避けたい。目立つしな。
「イタチィ…あんたは俺の目標だった。大蛇丸から聞いたぜ…5才で三代目火影の側近達を失禁させたって話じゃないか。」
ん?なんか音がするな…何の音だ?
「だから?」
シンの話よりもその音が気になり適当に聞き流して視野を広め、見てもどこにもいない。
「あんたを超えれば俺はその伝説を塗り替える事になる!だから今げふぅ!?」
シンが後ろから馬に蹴られた。その事実に周囲の空気が凍った。
「よう!イタチ!」
恐らくここにいる木の葉の忍び全員が聞いたことのある声の持ち主が俺を呼び、腕をあげる。しかしそいつは宇宙制覇と書かれた特効服を着ており、髪もリーゼント、背中には日本刀を差していた。…どうしてこうなった!?
「イタチ知り合いか?」
最悪だ…一番質問されたくない質問が来てしまった。どう答える?今かまだか…って、違う!素直に答えるか?
「マイト上忍の弟子ですよ。」
Q 聞かれたくない質問を答えるには?
A 答えつつも他人に押し付ける
我ながら完璧だ…
「違う!俺はこんな奴は知らん!」
ガイが首を全力で横に振って冷や汗をだらだらと流す…まあそうだよな。ガイに任せたらこいつが見ないうちにこれだけアホな格好になって来るとは思いもよらなかったし、俺がガイ自身だったら横に首を全力で振る。
「もしかしてフブキじゃないのか?」
アスマ正解…そんな君にはイタチポイント5点分上げよう。1000点集めればサスケの女装写真集を進呈する。
「絶対にあり得ん!昨日フブキには根性を鍛えると言う名目の元、鉄の国の伝説の名刀 桜吹雪を頂戴するように命じたはずだ!少なくとも鉄の国にいくまで何日もかかるからあり得ん!」
確かに…暗部の奴が愚痴ってたけか?鉄の国の任務は長期任務が多くてホームシックとかで憂鬱になるとか。
「ああ、それならすぐ近くにいた死にかけの侍のオッサンを介抱したらくれたぞ。ほら。」
フブキがガイに桜吹雪を渡すと目を丸くし、凝視した。
「そんなバカな…本物だ。」
にわかに信じがたいがフブキのいっていることが本当なのか。
「さてと…この雑魚はどうする?」
「雑魚って言ってやるな…そいつはテロ集団、暁の構成員だ。少なくとも危険度Aクラスはある。」
「そうか?じゃあ殺すわ。」
グキャ!
うわぁ…仮にも未来のナルトやサスケを苦戦させた相手を首を折って雑魚のように殺しやがった。しかも鬼鮫の前で。
「それより木の葉の忍びとして働かせたいやつらがいるんだがイタチのコネで何とか出来ないか?」
「物凄く嫌な予感がするが一応会うだけ会ってみよう。」
「口寄せの術!」
今ここでやるなよ…ん?なんか音の数多くね?そしてその煙が晴れるとそこにいたのはシンのクローン達(後で数えたが99人)だった。
「「「「フブキの兄貴!お疲れ様です!!」」」」
「ちょっと待て、何があった。」
思わずそう尋ねるとフブキは「何言っているんだ?こいつは?」と言いたげに俺を見た。
「見りゃ分かるだろうが。こいつらがイタチに紹介したい奴等だ。」
「そうじゃなくてだな…そいつらとお前が今殺した奴と似ていないか?」
「そう言われれば似ていなくもないよな…?でも違うような気もする…」
フブキがそう唸っているとクローン達が声を出した。
「もしかしてオリジナルじゃね?」
「え?まじで?」
「あの糞野郎死んだ?」
「マジマジ。」
「首が曲がっている。」
「マジだ!すげえ!」
「俺たちの時代キタコレ」
「オリジナル\(^o^)/オワタ」
「フブキの兄貴すげえ!」
「パネェ!」
スレ住民か!
「まあ、Dランク任務なら腐るほど余っているし、問題ないだろ。」
「やったな!お前ら!」
「「「「「「フブキの兄貴!一生ついていきます!」」」」」」
こうしてシンのクローンが仲間になり、ありとあらゆるところで目撃されたそうな…めでたしめでたし。
ちなみに鬼鮫はクローンを呼び出した時にどさくさに紛れて撤収していたらしい。抜け目のないやつだ…まあ今回はナルトと接触しなかっただけマシか。