俺が病院から出ると辺りは夕方…になるはずもなく正午辺りだった。当然俺のやることは…決まっている…
「一楽でも行くか…」
昼飯にラーメンを食うことだ。
「らっしゃい!何にしますか?」
何にしようか…ん?良い物があった。
「キャベツ豚骨味噌ラーメン大盛りで。」
まさかキャベツがあるとは思わなかったな…
「キャベツ豚骨味噌ラーメンですね!了解!」
ラーメンが出来るまでの間待っていると…原作の主人公であるナルトがやって来た。
「おっちゃん!俺豚骨ラーメン大盛りで頼むってばよ!」
豚骨ラーメンとは…意外とシンプルだな。
「おう!豚骨ラーメン大盛りだな!ナルトちょっと待ってろ!この兄ちゃんのラーメン作っているからよ!」
ナルト…この時からお前ラーメン屋の主人のテウチと知り合いだったのか?
「おう!」
ナルトは返事をすると俺の方に向いた。
「ところで兄ちゃんは何を頼んだんだってばよ?よかったら教えてくんない?」
人懐こい笑みで俺に尋ねた…俺のカウンセリングが効いているのか?
「俺か?」
「そうそう…兄ちゃんの頼んだラーメンが気になってしょうがないんだってばよ。」
「それは…来れば分かる。」
「え~!?ケチ…」
「へい、キャベツ豚骨味噌ラーメンお待ち!」
そう言って店主テウチが出したのはキャベツを大量に乗せたラーメンだった。
「兄ちゃん…よくそんなにキャベツ食べられるな…」
ナルト…キャベツって美味いんだぞ?だからそんなに引くなよ。
「人の好みをどうこう言う物ではない…では頂きます。」
やっぱ一楽のラーメンは美味いな…
「それよりもナルト…お前試験に合格したのか?」
テウチがナルトにそんなことを聞いてきた。
「落第だってばよ…」
落第か…まあ原作通りなのか?
「なんでだ?」
「それが…今回の試験難しくて…」
いやいや…色々と俺が教えたはずだぞ?
「どんな試験だったんだ?」
「縄抜けの術…」
縄抜けの術って原作スタートの一年前じゃなかったのか?
「ふ~ん…ところで兄ちゃんは忍びだったよな?」
「まあな…」
「どうだい?よかったらナルトの世話をしてやらないか?」
「いえ…俺は担当上忍ですのでこの子の世話を見るとなると…中々厳しいものです。」
実際は、ナルトのことを見ているからその必要はないんだよな。
「そうか…兄ちゃん人が良さそうだし断らないと思ったんだけどな…」
「まあ、世の中そんなものです。ご馳走様でした。会計は?」
「100両だ。」
日本円にすると1000円分か…あれだけの量の割りには結構安いな。
「では…預かりました。またのお越しを。」
そうして歩いていると…少し殺気を感じた。少しでも殺気を感じたら俺は攻撃に備えておく…これは常識。
ブォン!
そんな物騒極まりない音がしたが俺は避けた。
「やっと見つけたぜ…」
そう言って現れたのは俺が担当している下忍達だった。
「アキホ…何の真似だ?」
俺はそう言って構えを解いた。
「当然…てめえのような下忍に嘘をつく上忍をぶっ叩きに来たんだ!」
「お前達は下忍じゃなく下忍候補だ。勘違いするな…」
「うるせえ!お前のような嘘つきは俺にぶん殴られろ!」
何と言うか…結構ガキ大将っぽいな。アキホは。
「断る。それに仮とはいえ上官に逆らったらお前は不合格だぞ?」
「良いから殴らせろよ!」
やれやれ…面倒だな。試験を始めるか。
「…お前達全員失格だ。アカデミーに帰れ。」
俺は冷たい声でそう告げた。
☆☆☆☆
「はあ!?なんでだ!?」
アキホ…お前わかっていないのかよ?
「うわー失格だー(棒)」
俺はあえて棒読みで言ってやった…その方が楽だしな。今、イタチ上忍に巻物出したら空気読めない奴だと思われるし。
「まだ時間内だろ!?」
フブキ…そのふざけた髪型の割にまともなのは何故だ?
そんなことを考えているとさっきの忍鳥達がやってきた…すると…
「アキホ!お前はフブキを見捨てて巻物を取りにいく…班員を見捨てるとは何事だ!」
忍鳥達が俺たちに説教を始めた。ああ…面倒だなこれ。
「う…あれしか方法がなかったから…」
まあそうだよな…アキホの強さは所詮そんなものだ。ベストよりもベター…それがアキホだ。
「フブキ!お前は単独行動で突っ込む!自分の力を過信しすぎだ!そしてその変な髪型やめろ!」
思わずフブキの髪型に追求されたことについて吹きそうになったのは余談だ。
「うるせえ!俺はイタチを超えるのにてめえごときに負けてたまるかよ!それに髪型は関係ねえだろ!!」
おいおい…お前もイタチ上忍の弟…サスケも同じようなこと言っていたぞ?確か『俺は兄さんとフブキを超えるんだ!』だったけか?
「そしてタキオ!お前はフブキやアキホの手伝いもせずただ自分のことを考えている大馬鹿だ!」
「で?何か?」
「何だその態度は!?俺を舐めているのか!かかれーっ!!」
って…おいおい…!
「なんて糞面倒な事をしてくれるんだ…!!」
俺がそう愚痴る理由はあいつらが襲って来たからだ…俺が目を瞑ると忍鳥達は俺を襲ってこなかった…
「…?」
目を恐る恐る開けるとその理由がはっきりとわかった…フブキやアキホが忍鳥達を殴り飛ばしていたからだ。
「お前ら!何をやっている!?」
俺がそう大声を出すと二人は笑ってこう言ってきた…
「うるせーよ。サボリ魔がギャーギャー喚くんじゃねえ…!」
「全く…俺はこういうのは得意じゃないが…どうせやるなら思い切りやらないと気が済まない。そう言うことだ。覚悟しやがれ!糞忍鳥共!」
「お前ら…」
俺は不覚にも感動してしまった…これでフブキやアキホ達に迷惑をかけることは出来なくなった…
「イタチ上忍…頼みがある!」
俺は思い切ってあることをイタチ上忍に懇願してみる…
「ん?」
「この二人を合格にさせてやってくれ!全ては俺がこの二人を見捨たせいでこうなったんだ!巻物は取ってある!俺の不合格と引き換えにこれで二人を…合格にしてやってくれ!」
俺は土下座をしてイタチ上忍に必死にフブキとアキホを合格させるように言った…
「断る…」
「お願いだ!俺の責任でフブキとアキホが下忍になれないなら自殺したっていい!頼む!」
「何を馬鹿な事を言っている…俺が断ったのは二人を合格させることじゃない。お前の不合格と引き換えに合格させることだ。」
「え…?」
俺はイタチ上忍が言ったことにそんな間抜けな言葉を出してしまった。
「前言撤回しよう…お前達は合格だ!今回の試験はチームワークを見るものだ。チームワークがない班は真っ先に潰れる…」
そう言うことか…俺の懇願がイタチに評価されたって訳か。
「だがチームワークを発揮した班は一人の上忍をも凌ぐ班となり得る。お前達にはその上忍を凌ぐ班となって貰いたかったから俺はあえて巻物の場所を誤解させるような言い方で言っておいた…だが結果正解に最も近い答えを出したのはお前だった…タキオ。」
「そうかよ…もう解説はいいから早く解散してくれ…」
俺は答えがわかったように思えたけど実際はもっと違うものだったんだな…
「これで最後だ…俺が言いたいのはお前達は最後の最後でチームワークを発揮したと言うことだ…明日は任務受付所で任務の受け方を説明する…遅れずに来い!では…解散!」
やっと昼寝出来るぜ…おやすみ…
「おい!タキオ!?」
「しっかりしろ!!」
あー…?俺を二人が呼んでいるような感じけどもう意識が…zzz