宙を舞う、自由の翼   作:茶樹

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エア・ギアを題材にした作品が少なかった。

「なら自分で書いてみるか……」
と至る今日この頃如何お過ごしでしょうか?


―ーということで、それではどうぞご覧くださいますようお願い申し上げます。


第一話

 護廷十三隊。

 一番隊から十三番隊まであり、現世における魂魄の保護を目的に作られた死神のみで形成される部隊である。

 それぞれ尸魂界において特に四番隊は医療系統に特化している部隊で、最前線にて戦闘を行うのを旨としない。補給、治療それらを賄う隊だ。

 死神としての力を有しながらも、前線にほとんど出ず、負傷した者の治療を行う。

 それもあり他の隊――特に『戦闘専門部隊』の十一番隊の面々からは小馬鹿にされる。 それも、道を歩いていてでも、だ。

 

「戦いもしないのになんで刀なんてぶらさげているんだ」

 という風に。

 

「……別に戦わなくても斬魄刀が必要な時もあるでしょう?」

 こう返しても。

 

「それなら刀じゃなくてもいいんじゃないか?ヒヨっ子」

 と来るもんだから。

 

「ま、間違ってはいないです、けど……」

 みたいに認め――

 

「――たらダメだろうよ。 死神として、なぁ?ハナ」

 食いかけの三色団子を右手から左手に持ち替えて『ヒヨっ子』と呼ばれた少年の頭に手を、被せて絞り上げるように、抑え込む!

 

「いったあああああああああああっ!!?」

 

 うん。 良く聞き慣れたいい声だ……は置いとくとして。

 ちょっと分からせないとアイツ等の面子ってもんもあるしな。

 

「口を挟まないでいるだけだったんだがな、コイツの代わりに言わせてもらうぞ」

「お前も四番隊の腰抜けだもんなあ」

 ……そのニヤけた顔を毎回むけているんだろうな。

 ちょっと四番隊ってのがどういうのか教えるのがコイツの為でもあるか。

 

「まあ、いい。 『斬魄刀』ってのは戦う為だけにあるのかい?」

 

「そ、そんなの当たり前だろう!」

「じゃあ、改めて聞くけどさ。 戦いって何?」

 何言ってんだコイツって顔を見事に形作ってやがるな。

 あー後で斑目の野郎にボヤいとくか……ボヤく相手が戦闘狂に近いがね……

 

「アホか? 『オレ達』の仕事は虚を斬ることだろうが。 虚と斬り合うのが戦いだ」

 

 

「確かに『オレ達』の仕事はそうだろう。 でもよ、モノはそう単純にいかないよな? あんただって言ってる様に『斬り合う』 のさ。 虚だって斬られると分かっているなら抵抗だって、反撃だってする。 まさに死に物狂いでな。 そこでヘマすりゃ最悪、命だって危ないのはわかるよな?」

 

「当たり前だろ! 何十って虚を切ってきたと思ってやがる!」

 

「そこさ、あんたみたいに何十って虚を切ってき奴なら、怪我の一つや二つは必ずしてるはず、だろ?」

 

 今度は苦渋の面か。

 ……やっと思い至ったか?

 まだ手当てをしてくれた、ぐらいの認識かね。

 

「あんたが今こうして虚と戦える、斬り合えるのだってその怪我の一つや二つがないおかげだろう?」

 

「……間違っちゃねぇな」

 

「『あんた等』がいくら憎かろうが、敵前で傷を負ったのならば『俺らが』治そう。 そしてまた戦えるように手の限りを尽くそう。 戦いに帰って来てくれた時にはまた、『俺ら』が治そう」

 

「…………」

 

 認めるってのはこういうことだ、ハナよ。

 怖いからとか上辺だけとかじゃなく、本心から、だ――認めると言うのは。

 

「『あんた等』がそうであるように、『俺ら』は負傷して苦しんでいる仲間を救うって戦いをしてるんだよ。 未来に繋がるような戦いをさ」

 

 こんなだけ言えばハナもコイツも納得して問題解決ってな。

 ……喉が渇いた。

 

 

「さ、こんな重い話しは終わりだ。 ハナ、行くぞー」

「シレっと言わないでくださいよー! なんか僕空気だったじゃないですか……確かに考えさせられるお話しで聞いてしまっていましたが……」

 

 無自覚とは怖いものだよな。

 ハナ、お前が四番隊で背負ってるその位置はお前さんの実力だよ。

 

「まあまあ、話しは終わったんだ。 わざわざ突っつく事はしなくていいさ」

「は、はい! ですがすいません! 一つだけ……」

 

 この期に及んでお前って奴は――

 

「手を、放して、下さい、ませんか?」

「あ……ごめんよ」

 手にはミシミシと嫌なな音がなっている、様な気がしたい。

 

 頭を離すと、涙目で心配そうに頭をさするハナ。

「ほんとうに割るかと思いましたよ!?」

「すいません……」

「良い話しが聞けたので、それでいいですよ」

 

 懐ろが深いというか器が大きいというか、いいやつだな。 お前って奴は。

 今度は手のひらで頭を軽く数回叩く。

 

「なんですか!? 離したと思ったら急に」

「お前はいいやつだなーってさ」

「はあ……もう、いいです。 で何処に連れて行くつもりだった――」

 

「あ、あの!」

 後ろからイカツイ顔になんとも言えない表情を貼り付けてハナの言葉を遮った十一番隊隊士。

 流石にこれ以上言われたら、なあ……

「あんたに、いや! あんたらに礼がしてえ! せめて今から行く場所だけでも教えてくれれば、飲みものぐらいなら届けられる!」

 なるほどね。 義理堅いことでも有名だもんな、十一番隊って。

 俺が脳内に丸坊主とナルシストを思い浮かべながら唸っているとハナがポツリと呟いた

 

「そういえば、僕も何処に行くのか聞いてませんでした」

「……なんで付いてきたんだ坊主」

 哀れみの視線をハナに当てる。

 

「あー、言ってなかったか?」

「はい」

 

 

 

 

 

「十一番隊隊舎」

 

「「はい?」」

 

 ハモるな、ハモるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ってな感じで始まりました。彼を渦巻く日常。いやはや書いてて楽しいですね、妄想って!
書き溜めとかは全くしていないので不定期更新になりますがどうぞ温かくお願いします。
そして感想、その他もろもろお待ちしております。

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