魔法少女リリカルなのは 集う英雄達    作:京勇樹

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焔の魔神

「准将! どこですか、准将!!」

 

燃え盛る炎の中で、ティアナは必死に声を上げていた

それは、微弱だが生態反応が出ているからだ

その反応を頼りに、ザッカート准将を探していた

その時、ガラッという崩れる音が聞こえて、ティアナは

 

「准将!?」

 

瓦礫に埋もれている、ザッカート准将を見つけた

ティアナは急いで駆け寄ると、瓦礫を退かし始めた

だがその時、ティアナは見てしまった

腹部に、大きな穴が空いていることに

 

「これは……」

 

「貴様は……機動六課の……」

 

ティアナが言葉を失っていると、ザッカートが息絶え絶えな声を漏らした

それを聞いたティアナは

 

「ザッカート准将、執務官のティアナ・ランスターです!」

 

と名乗った

するとザッカート准将は、ティアナを一瞥してから

 

「まさか……こんな最後とはな……」

 

と呟いた

そして、ティアナを見て

 

「いいか、よく聞け……あいつ……N0に指示を下していたのは……間違いなく、私……アラーム・ザッカートだ……私が、穏健派共を殺すように指示を出していた……勢力を拮抗状態に……戻すために」

 

と言った

 

「准将……」

 

 

「今の記録したな……デバイスよ」

 

《はい、間違いなく》

 

ザッカートの問い掛けに、クロスミラージュはそう答えた

それを聞いて、ザッカートは

 

「もう私は……長く持たない……そんな私よりも、N0を……止めるんだ……あいつは、人を殺すのを……楽しんでいる……そんな奴を野放しにしたら……大変なことになる……」

 

と言った

それを聞いたティアナは

 

「わかりました……准将」

 

と言って、立ち上がった

そして、背を向けて

 

「それでは……」

 

と言って、駆け出した

その直後、一際大きな崩落音が響き渡った

肩越しに見れば、数mもある瓦礫が崩れ落ちていた

ザッカートはそれを見ていたから、ティアナを行かせたのだろう

その時、外で大きな爆発音が聞こえた

 

「裕也!」

 

炎の中から出たティアナが見たのは、文字通り炎の魔神と化した裕也だった

それは、ティアナが突入した後まで遡る

裕也とナイトレイドは、油断なく対峙していた

するとナイトレイドは、裕也に切られた右腕を拾い

 

「まあ、この程度だったらな」

 

と言って、乱雑にくっつけた

すると、僅かに光ってからくっついていた

それを見た裕也は

 

「自己再生能力か……」

 

と言った

すると、それを聞いたナイトレイドは

 

「ああ……だが、これだけじゃないぜ!!」

 

と言って、左手を右から左に振るった

その直後、裕也の胸部から血が吹き出した

 

「これは……風の刃か」

 

「ああ……それが、アタシに与えられたIS。エアリッパーだ!」

 

ナイトレイドは、高い再生能力の他に戦闘機人として、風の刃を生成する能力を与えられたらしい

風による不可視の刃

それで、数多くの高ランク魔導師を葬ったのだろう

だが、裕也とて人造魔導師計画の一人

その程度で、倒れる訳がなかった

その後も裕也は、幾度となくナイトレイドと激突

出血傷を増やしていた

ふとその時

 

「しかし、このままでは無駄に血が流れるだけか……」

 

裕也はそう言って、両手に持っていた刀を消した

そして

 

「両腕解放……奈落の業火……固定、掌握」

 

両手に出した焔の球体を、掴んだ

その直後、裕也の体が焔と化した

黒い焔の化身に

 

「業火の魔神……」

 

「ははっ……いいぜ……楽しもうぜ、殺し合いをさぁ!!」

 

裕也の姿を見て、ナイトレイドはそう言いながら笑った

そして、二人は激突した

ティアナが戻ってきたのは、正にそのタイミングだった

そして、この事件は終局を迎える

 


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