そして、今回も短いです
「殺し屋ナイトレイド……人相、性別、年齢、一切が不明の凄腕の殺し屋……」
「犠牲になった将官達のデータだ」
裕也はそう言いながら、ティアナの机の上に一冊のファイルを置いた
ティアナは自身のパソコンで、件の殺し屋のデータを閲覧していた
とはいえ、その殺し屋
ナイトレイドのデータは、恐ろしい程に無かった
分かっているのは、相手が凄腕ということだけ
「ありがとう、裕也」
ティアナはそう言って、裕也が置いたファイルを手に取った
そのファイルには、ナイトレイドに殺された将官、約十数名の書類が纏められていた
「結構、犠牲者が多いわね……護衛を含めたら、五十人足らず死んでるじゃない……」
「その中には、フリーランスだが……ランクSに匹敵する魔導師も居たようだ……それが、これだ」
裕也はそう言って、別のファイルを置いた
それをティアナは取り、開いた
そして、数枚見て
「ランクAA+……それほどの魔導師が、一撃で……」
と唸るように呟いた
彼女は、その域の強さをよく知っていた
だからこそ、それを殺せるナイトレイドの強さに驚いた
ティアナは少し悩むと、裕也を見て
「裕也、どう思う?」
と問い掛けた
その問い掛けに、裕也は
「ほぼ間違いなく、N0だろう……」
と言った
それを聞いて、ティアナは
「でしょうね……ランクAA+なんて、シグナム副隊長並……それが、一撃でなんて……そうなると、戦闘機人かしら……」
と呟いた
そして改めて、ある一人の犠牲者リストを見た
そして
「もしかして……」
と言ってから、別の犠牲者リストを見始めた
そして、次々と犠牲者リストを捲った
すると
「やっぱり……」
と呟いた
すると裕也が
「何か分かったのか?」
と問い掛けた
その問い掛けに、ティアナは
「ええ……殺された将官達は、全員……穏健派……それも、ラダビノット大将と繋がりが強かった将官達ね」
と言った
それを聞いて、裕也は
「つまり、ナイトレイドは……」
「強硬派の誰かに雇われているか、その庇護下に居る可能性が高いわね」
裕也の言葉に、ティアナはそう言った
ティアナが言った、穏健派や強硬派とは
それは、新たに見つかった世界に対する姿勢の派閥である
穏健派は、出きるだけ相手の主義主張を尊重し、歩み寄る姿勢の派閥だ
それに対して強硬派は、相手の主義主張を無視し、その世界を強制的に時空管理局の支配下に置いて、あらゆる科学技術や、未知の魔導技術を接収しようという派閥である
以前は対等な比率で、中々対応が決まらないでいた
そして今は、代表だったレジアス中将の死去
更に、バックボーンだった最高評議会の消滅が重なり、その勢力は大分小さくなっていた
最早、見る影も無いと言っても、過言ではない
だが少なからず、残っている強硬派も居る
だが、いくら執務官とは言っても、簡単にその将官達を調査することは出来ない
だからだろう、ティアナは
「クロノ提督に、連絡を」
使える手は、全て使うことにした
嫌な予感がしたからだ
(これを見過ごしたら、何か取り返しのつかないことになりそう……それこそ、世界レベルで……)
ティアナはそう思いながら、クロノの顔が映った通信ウィンドウに
「クロノ提督、一つお願いが……」
と言ったのだった